スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

その死神はかく語りきT


category:



濡れる蝶は月夜を舞う。

その涙は誰(たれ)への餞(はなむけ)か。






「アーヤたん♪」

その声は、執務室を冷凍庫にするかのように空気を凍りつかせた。

…無論本人はそんなことには気づいていないが。


「…なんだ」

アヤたん、と呼ばれた男は目の前の、嬉しそうに笑むグラサン男に冷徹な目を向けて言った。


「暇だから遊んでー」

瓢々と言うヒュウガの後ろでは、部下であるコナツが顔面蒼白になりながらあたふたしている。

アヤナミは暫し考えた後、机の中からあるものを取り出す。


「そうか…そんなに言うのなら仕方ない…」

パシンッ

ゆらりと立ち上がったアヤナミの手には先ほどから床を叩きつけている鞭。



「え…あ…遠慮します!!」

冷や汗をかきながら言うヒュウガとは裏腹に、カツラギ達は苦い笑いを溢していた。

…クロユリに至っては必死なヒュウガを指差して大爆笑している。




「そ、そんなことより、瞳が手に入って良かったね、アヤたん」

慌てて話題を切り替えたヒュウガに対してか、それとも易々と手に入ってしまった瞳に対してなのか。
アヤナミは微かに笑いながら「あぁ」と答えた。


…その時、どこからか一瞬の殺気を感じた。

(気のせいか…)

警戒していた手を緩め、刀から手を外す。


外では至って平和な日差しがさんさんと降り注いでいた。









その日の夜は、綺麗な満月だった。

ヒュウガは何だか眠れなくて、独り廊下を歩いていた。



ふと、執務室から人が出てきた。

暗闇に目を凝らしてよく見ると、それはコナツだった。

こんな時間まで書類を片付けていたのかと「お疲れ」の一言でもかけようとしたが、コナツがあまりにも疲れた顔をしていたのでやめた。

その代わりに、明日は朝早く起きて、まだ残っているであろう書類を片付けようと決意した。

(俺ってば偉いなぁ。もしかしたらアヤたんに褒められるかも)

そう考えて、アヤナミが自分を褒めちぎる姿を想像したが、何だか気持ち悪くなったので部屋に帰ってすぐに寝た。


<続く>

*******

りん様、大変遅くなりました。
大体のストーリーを練るのに時間がかかってしまい、申し訳ないです。
『ヒュウガは(自分は)アヤナミが好きだと思っている』という設定がうまくできそうにないですo(T□T)oすみません。
続きも少しずつアップしていく予定なので、よろしければ読んで頂けると嬉しいです( ̄□ ̄;)

僕が生まれた日。


category:



もうすぐ、あの日がやって来る。

大切な大切な、あの日が。



もう梅雨に入り、水も腐るような暑さと湿気の中、

コナツは汗だくになりながら書類と格闘していた。


そんな中、ヒュウガは…

「わーい」

「わ、少佐ー!!!書類で紙ヒコーキ作らないでください!!」

ヒュウガは書類を器用に折って紙ヒコーキにして飛ばしていた。


「コナツもやる?」

「やりません!!!」

精一杯に拒否するコナツの真剣な表情にふっと頬を緩ませる。


その後だらだらと続く決まり文句。

それを妨げるように、そういえば、と話を切り出した。


「コナツの誕生日っていつなの?」

「前も言いませんでしたっけ?わからないって」

「あ、そーだっけ」

「……」

恋人の誕生日も覚えられないのか、と隅に浮かんだ考えは捨てることにした。

「いやー、ごめん」




「…ただ…」

「ただ?」

喉の奥に消えた言葉を押し出すように、ヒュウガは促した。



「今日を僕の誕生日にしようかと思うんです」

そう言って不安そうに見つめてくる蜂蜜色の瞳。

言葉の奥に秘められた意味に思考を重ねていくと、一つの事柄に行き着く。

「今日ってもしかして…」

さりげなく言った言葉に、うつ向くコナツ。

その姿に確信を得たヒュウガは満面の笑みを浮かべる。


「コナツったら可愛いー」

「う、うるさいなぁ…」

赤く頬を染めながら少し照れて上目で見てくるなんて反則だ。


「じゃあ…誕生日プレゼントはあの日と同じものでいい?」

ヒュウガの問いかけに、言わなくてもわかるでしょう、と視線で示すコナツ。

しょうがないなぁ、なんて思いつつも満更ではない笑顔を浮かべながら、ヒュウガは口を開いた。





「俺はコナツのことが好きだよ」







僕と貴方の心が繋がった

思い出の日


それはきっと

今の僕と貴方が生まれた

大事な日


*******

恋人記念日を誕生日にしようとするコナツって可愛いくね?と思って書いてみたけどうまく書けなかった…( ̄□ ̄;)

もっとコナツの可愛いさが欲しい… ←

橙色の恋愛事情


category:



自分達以外誰もいない、昼下がりの執務室。

「やっと終わったー!!」

俺はやっと終わった仕事に、腕を伸ばして叫んだ。

「ふぅ…」

珍しく机に向かって真剣に仕事をしていた少佐は僅かなため息を漏らした。

そして、はしゃぐ俺を見てクスクスと微かに笑う。


「あ…」

それを見て自分の失態に気づいた俺は思わず身を縮めた。

何だか恥ずかしくて少佐から視線をずらした時、ふと視界の端にオレンジ色の光が映った。


「うわぁ…」

綺麗な、夕焼けだった。

俺は窓の方へ駆け寄っていた。


「ねぇ、コナツ…」

オレンジ色に染まる世界を見つめていると、背後から声をかけられる。

「俺…コナツのことが好き」

いきなりの告白にびっくりして振り向こうとするが、後ろからまわされた腕に動きを妨げられる。

「コナツは…俺のこと、好き?」

少佐は俺のつむじに額を当てながら訊いてきた。


すごく嬉しい。

でも、きっと何かの冗談だ。
いつもガミガミ煩い俺のことを好きになるなんて思えない。


後ろを振り向いて少佐の顔を確かめられなかった俺は、そんなことを考えていた。

「返事はいつでもいいからね」

そう言われ背中にあった温もりが遠ざかる。

少佐は振り返ることもせずに執務室を出ていった。

…去っていく少佐の背中がいつにもなく小さく見えた。

きっと今のは冗談なんかじゃない。

本当の告白だったんだ。

そう思うと嬉しかった。




翌日、俺は休暇を取って出かけた。


俺は、少佐のことが好きだ。誰にも負けないくらい。

でも、その本心を伝えていいのかわからない。

だって男同士だし、俺も少佐も現役の軍人だ。

恋人関係だなんて…



噴水のベンチに座って悩んでいると、一人の司教らしき人が声をかけてきた。

「何か悩み事があるの?」

彼は屈託のない笑みで問いかけてきた。

最初は躊躇ったが、「良かったら話して」と優しく勧める彼にいつの間にか口を開いていた。

「実は…」

もちろん軍人であることは伏せた。


すると彼は蔑むこともなく答えてくれた。

「恋愛はね、仕事も、性も、関係ないんだよ。
愛することは、神様が僕達人間に与えてくれた最高の能力なの。
全ての人を愛すること。そして、その中にいる最愛の人を何よりも愛すること。それが、神様から与えられた僕達の使命。
だから、その人に――自分自身に嘘をついちゃダメだよ。ちゃんと、自分の気持ちを伝えなきゃ」

それを聞いて、すごく安心した。

俺は礼を言ってその場を去った。





俺がその部屋に入ると、少佐はまるで俺を待っていたみたいにベッドに腰かけていた。

「来ると思った」

そう言いながら少佐は優しい笑顔を俺に向けた。

この笑顔だ。

俺を悩ませるのは。


でも、もう迷ったりしない。

「少佐…俺も貴方のことが好きです」

俺はそう言って少佐に抱きついた。

これから先の未来に
淡い期待と少しの不安をよせながら。





「幸せにね」

運命を詠む青年は優しく微笑みながらそう呟いた。

******

こにゃにゃちわー。

今回はプロフェさんを出してみましたヽ(´∇`)ノ

ちょっぴりスランプ気味(もともとそんなに才能ないしなー)ですが、楽しんでいただけたでしょうか。

コナッちゃんは自分の気持ちより相手のことを優先しちゃうのですよ。

迷惑じゃないかな、とか、仕事に支障をきたしたりしないかな、とか。

そんなコナツが可愛いと思います!!ヽ(´∇`)

夕日色の微笑み


category:

「夕日色の子守唄」コナツside。


夢を見た。

誰かが泣いている。

輪郭がボヤけて見えないし、声も途切れ途切れでよくわからない。

ただ、その人が泣いていることだけは何故かわかった。

(なんで泣いているの?)

そう問おうと腕を伸ばした瞬間、目が覚めた。



今のは誰だったんだろう、と考えながらコナツはベッドから立ち上がると顔を洗って、朝食をとる。

彼はいわゆる『歌姫』で、路上で歌を歌って稼いでいる。

しかし、家を持たないため宿で部屋を借りているのだ。


コナツは急いで支度をするといつもの営業場所へと向かった。





既に、何人かの常連が来ていた。

客人たちはコナツが前でお辞儀をするのを見て、拍手で迎えた。

拍手が止むと、コナツは目を優しく細めると、まるで語りかけるように歌いだした。









もうすぐ日が暮れるという頃には、歌姫営業は終わりだ。

客人達はコナツの前に置かれた籠にお金を入れて笑顔で帰って行く。

時々飴が入っているのは、この街のちびっこ達の代金だ。


客人達が立ち去り、帰ろうとしたとき、一人の男に話しかけられた。

「ねぇ、君名前は?」

サングラスをかけた、長身の軽そうな男で、最初は新手のナンパ詐欺(最近流行っているらしい)かと思ったが、別段そういう訳でもなさそうだ。

男の名前はヒュウガ。

この街の中央にある城で用心棒をしているのだと言う。

「よろしくね、コナツ君♪」

いきなりそう言われ戸惑ってしまったが、とても嬉しかった。

「よろしくお願いします」

そう答えて、話しかけてくれたお礼に、と一曲歌った。

男は聞き入るように、瞳を閉じて優しく微笑んでいた。

(歌姫やってて良かった)

そんなことを考えながら、コナツは歌を歌い続ける。






宿屋に戻ると、もう既に日が暮れていた。

…彼の笑顔は沈みかけた夕日と同じ色をしている。

なんとなく、そう思った。



「明日も来るかな…」

コナツは嬉しそうに呟くと、眠りについた。

********

「夕日色の子守唄」コナツsideでした。

ここのコナツは“可愛い”路線で 笑。

超純粋な子を目指す予定です(予定は未定 笑)

ちなみに民族衣装というのは、私的には羽狩人のニンフィの服っぽい雰囲気の服です。

夕日色の子守唄


category:

歌姫(男ですが)パロ。


今日、街を歩いていたら人だかりの中に一人の青年を見つけた。

その青年は女性のように美しく、民族衣装を纏っていた。

客が去って行った後、俺は興味本位で青年に話しかけた。

「ねぇ、君名前は?」



彼の名はコナツというのだそうだ。

この街で歌姫と称して路上で歌い、お金を貰って生活しているのだと言う。

俺はこの街に十何年も住んでいたが、全く気づかなかった。

「俺の名前はヒュウガ。城で雇われて用心棒をしてるんだ。よろしくね、コナツ君♪」

「よろしくお願いします」

そう返したコナツの笑顔が未だに忘れられない。

コナツは、話しかけてくれたお礼に一曲歌ってくれた。

優しく美しい音色で、癒される曲だった。

心の中にあったどす黒いものが溶けていくような、そんな感覚。

彼と別れて自宅に戻ると、既に日が暮れていた。

…彼の歌声は沈みかけた夕日と同じ色をしている。

なんとなく、そう思った。


夜も遅くなり、瞼が重くなってきた。

(明日も行こうかな)

そんなことを考えながら俺は眠りについたのだった。







翌朝、俺は鳥のさえずりに目を覚ました。

こんなに爽快な朝は久しぶりだ。

昨日、彼の歌を聞いたからかもしれない。

そういえば、寝てるときに彼の歌声が聞こえた気がする。


俺は軽い朝食を取ると、出勤のため城へと向かった。




<続く>

********

初めての……歌姫パロ?(何パロって言えばいいのかわかんない 爆)

ぶっちゃけ前代未聞な設定だと自分でも思う 笑。

あと2、3話で終わらせようか長旅させようか迷い中( ̄  ̄;)
前の記事へ 次の記事へ