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「コナツー!!」
呼ばれる声に振り向けば、紺地に白い模様の入った浴衣を着た一人の青年が走ってきた。
「待った?」
「ええ」
「そこは普通否定するもんじゃない?」
「30分待ったことをどう否定しろと?」
はあ、とため息をつくコナツもヒュウガと同じように浴衣を着ている。
正確にはヒュウガに着せられた、のだが。
「………じゃ、行こうか」
コナツの言葉をすっかり無視して行こうとする男の背中にまたため息をつきつつ、仕方なしについて行った。
街の入口まで来ると、流石に人は多い。つか、うざい。
満員電車よりも密度の高い人混みにげっそりするコナツと反対に目を輝かせるヒュウガ。
何でそんなに楽しそうなのか、と問う前にヒュウガが手を握って駆け出した。…目の前の人混みに向かって。
「ちょ、ヒュウガさん?!いきなり走らないでくださいよ!!つか、子供じゃないんだから手離してください」
ガヤガヤとした人混みの中で声が届くように叫ぶコナツ。
するとヒュウガがいきなり止まってこちらを振り向いた。
「い、や、だ!!だってどっか行っちゃいそうだし、醍醐味だし…」
後半の言葉はなんだか聞き捨てならない気がしたが、自分を心配してくれるのは嬉しいから良しとしよう。
そう思って微かに笑むと、ヒュウガはまたコナツの手を取ってどんどん歩みを進める。
気付くと、人気の少ない開けた場所に辿り着いた。
「ここは…」
そう言って見回そうとすると、いきなり後ろから抱きつかれ、耳元でしー、と息を吐かれた。
こそばゆくてビクッと肩を震わせると後ろからクツクツと笑う声が聞こえて思わず顔が熱っていくのを感じた。
(まったくこの人は…)
嬉しそうに笑う背後の男に幾ばくか呆れつつも背中に伝わってくる体温に安堵していると、視界の上の方がぱあっと明るくなりパーンと大きな音が響き渡る。
思わず上を見上げると五色に輝く花が其所には咲き乱れていた。
「うわぁ…」
「綺麗でしょ?今日はこれが見せたくて…。
ここはね、滅多に誰も来ない、正にベストスポットなんだよ」
「綺麗…」
そう呟くコナツは、嬉しそうに笑っていた。
それにつられるように、笑顔を浮かべる自分がいた。
そして、目の前の愛しい人と空に舞い散る花火を見つめた。
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亀です(更新速度的な意味で)
随分前に書き始めたのですが合宿やら旅行やら行っている間に延びてしまいましたm(._.)m
ずばり、BGMはキセキです。日記でも言ったけど本当に切ないっつか甘酸っぱいっつか、ヒュウコナ!!! ←