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どうしようもない日々だからこそ


category:



「コナツ〜〜、お祭り行こうよ〜」

またか…と何度目かもわからない、数える気も起きないため息をつく。


「少佐…それは今の状況を見てから言ってくれませんか」

ヒュウガとコナツの執務机の上には、そりゃあもう東京タワー級の(“東京タワー”って何だ?)書類のモニュメントが出来ている訳で。

「つか、ろくにやりもしないくせに何でまだいるんですか。先に行ったクロユリ中佐達と合流して行けばいいじゃないですか」


「………」

先ほどから繰り返してばかりいる会話に思わず、いや故意に大きくため息をついた。

クロユリ達と行けばいいと促す度にだんまりだ。つか、拗ねるなキモイ。

「今なんかヒドイこと言ったでしょっ?!!」

「言ってませんよ…」

「嘘だぁ〜絶対言ったし!!」




「…言ってませんって何回言ったらわかるんですか?」

自然と笑みになった顔で問えば、ヒュウガはびくりと体を震わせて涙を流しながらだんまり。


……そんなに怖い、のだろうか(自覚無し)




「…ねぇ」

「だから行かないって…」
しばらくの沈黙のあと、また繰り出された会話に反射的に断るが、まっすぐにこちらを見つめる真剣な眼差しに言葉を遮られた。


「コナツ…気づいて、ないの?」


怒っているとも、悲しんでいるとも取れる表情に、浅はかな自分に気付かされる。


…本当は、わかってた。

ヒュウガが自分と一緒に行きたいのだということ。
自分じゃなくては、意味がないのだということ。

でも、それは奢りだと思う自分がいて。
「中佐達と行けばいいじゃないですか」と問う度に、「あ、そうだね」と頷いてくれるのを期待していた。
そう言われれば自分は傷つくのだと知っていながら。
一人者の特権だろうか。尊敬に値する人に対して劣等感を自ら抱きたがる。
その度に、後悔する。

本心を隠して傷ついて陰で泣いて無理に笑顔をつくる。

もう、嫌だ。





「…少佐」

「何?」

「全部捌いたら…お祭り、行きましょう」

「本当に?!!」


…これが、自然に笑うということか。

コナツはどうしようもない日々の中で、また新たなことを学んだ。


「コナツぅー愛してるぅー!!!」


…どうしようもない上司から。



*******



本当は短い方に載せる予定だったけど、妙に長くなっちゃったんでこっちに。

なんか最後の方ぐだぐだ感ヤバくてごめんなさい。
書き始めた時と、あまりにも方向が変わっちゃってなんかよくわからなくなっちゃったのが現状です(-_-;

ま、季節ネタが使えたんで良しとしようかと。

その死神はかく語りきW


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「ヒュウガさん…」

コナツは振り向かず、まるで返事が返ってこないことを――そこにヒュウガがいないことを願うかのようにうつ向いたまま呟いた。




「コナツ…帰ってきてよ」


(…期待とは裏切られるために存在するのだろうか)

背後からの声に、コナツは逃げるように己の悲運を嘆いた。


「今ならまだアヤたんだって、上だって許してくれ…」

「嫌です」

いつもより真剣で焦りの混じった声に懐かしさを覚えつつ、それを打ち切るようにコナツは素早く立ち上がって言った。

「俺には、教会の方が大事なんです」


ヒュウガから発せられていた“気”が一瞬揺らいだ。

見なくてもわかる。彼は、きっと苦痛に顔を歪ませてしまっているのだろう。

…いつも優しく自分に微笑みかけてくれた、あの顔を。


「そっか…」

背後で聞こえた声が微かに震えている。

泣いて、いるのだろうか。

しかし、今の自分にはそれを聞く術も―資格も、ない。


「……ごめんね」

その言葉を最後に、背後の気配は消えてしまった。

振り向いて何かを叫ぼうとしたが、喉が上手く開かなかったのと何を伝えればいいのかわからなかったのとで、それは声にならなかった。


ただ、その唇からは嗚咽が洩れただけだった。


そこは誰一人として訪れない、寂れた聖堂。

そこに、月の光に映しだされた雫が哀しい光を放ちながら落ちた。



×××××××××



「…っコナツ…」


ホークザイルに乗り、月に寄り添うように走る青年は苦しそうに顔を歪めながら呟いた。

残酷な程に綺麗な、満月の夜だった。



×××××××××



翌日、上層部からブラックホークに任務が下った。



「裏切り者には制裁を」


アヤナミに任務の書かれた書類を渡した“ヤツ”らはそう耳元で囁いた。

まるで念を押すかのように――まるで嘲るかのように口元は弧を描きながら。


アヤナミは全く動ぜず書類を受け取ると、踵をかえし執務室へと戻って行った。

胸の内に、静かに燃え盛る蒼い焔をたたえながら。


アヤナミは部屋に着くと同時に、部下達に集まるよう伝えた。

そして、『コナツ討伐』の命をヒュウガに下したのである。…書類に書いてある通りに。

青年は一瞬顔を歪ませたが、すぐに笑顔に戻っていつもの調子で話し始めたが周りの者にとってはヒュウガが悲哀と後悔の念に浸っていることは歴然だった。



「じゃ、行ってくるね」


そう言って去っていった青年の背中を見送ると、アヤナミは椅子に深く腰かけてため息をついた。



××××××××



「珍しいね、コナツが此処に自分から来るなんて」

ラブラドールは庭園を見回しながら嬉しそうに笑顔で言った。


しかし、コナツは依然としてうつ向いて膝の上に乗せられた己の拳を見つめ、無言状態を保ったままだ。


それを見たラブラドールは小さくため息をつくと、諭すように言った。

「コナツ…僕に相談するために来たんでしょ?ちゃんと話してくれないと、わからないよ?」

「…てる……わかってるよ、そんなこと!!」

コナツは当てもない怒りを無理矢理ラブラドールにぶつけながら叫んだ。

あまりにも大きな声に驚いたラブラドールだったが、泣いているのだろうか、拳が震えているのを見てラブラドールはコナツの肩に手を置いた。



どうすればいいのか、わからない。

賛歌を聞く度に、大聖堂を―迷える人々が祈りを捧げる姿を見る度に、

脳裏に、あの屈託のない笑みが浮かんでは消えていく。

全てを許し、受け入れてくれたあの温かい笑顔が、ぬくもりが。


「コナツ…自分のあるべき姿を忘れないで」

あるべき…姿…。

俺にとっての、あるべき姿とはなんだろうか。

司教であることなのか。

軍人であることなのか。

死神であることなのか。


それとも―…


ふと、どこからか闇の気配を感じて顔を上げる。

ラブラドールもそれに気付いたようで此方を見ている。

コナツはラブラドールの暗黙の言葉に頷くと、庭園を飛び出した。



…知ってる。


この気配を、俺は知っている。



コナツは血が出るほど奥歯をギリ、と噛み締めた。



********

大変長らくお待たせしましたーヽ(´∇`)ノ ←誰も待ってねー

ほんとに更新遅くなりまくって申し訳ないm(__)m

言い訳は日記の方で書かせていただいたのでこちらでは遠慮させていただきます ←

でわでわ、次回をお楽しみに!!(お前なぁ…)

愛情伝達は足りすぎてるぐらいで


category:

※コナツ女装


「何じゃこりゃぁあああああ!!!」




コナツ=ウォーレン、現役ベグライター。

世界の終わりまで、あと10秒。


「…どったの?ってうわ!!」

あと3秒で終わるところだったのに…


なんぞと阿呆なことを考える暇もなくヒュウガの好奇に満ち満ちた視線が投げ掛けられ、コナツは渋い顔をしながら深くため息をついた。…この人のセクハラには辟易するばかりだ、と呆れながら。

「どうしたの?コナツ。その服…」

心配するような言葉とは正反対に、ニヤニヤと口を弧に緩めながら変態視線で見つめるヒュウガ。


…まぁ、今回ばかりは仕方ないかもしれない。


だって…





















朝起きたらセーラー服でした☆



ってシチュエーション…な訳……だから…。


なんだか心の中で復唱するだけで自分の悲運というかヒュウガが操作したんじゃないかと思われる程デキすぎてる運命をただただ嘆きたくなる。


こんなのってあるだろうか(いや、ない)

しかも膝上10センチって…!!ヘソだしって…!!!!


あぁ…神の慈悲なのか、頭の中で鐘の音が響いている…



「コナツ……いい?」


ああ、貴方って人は。

何がだとか訊く気力もわかなくて、訊かなくてもわかるでしょう?と促すように妖しく輝く紅の瞳を見つめた。


「決まってるじゃないですか…」

それでも何だかしてやられた感がちょっとばかり悔しくて、コナツは気だるそうに口を開いた。


「じゃあ……」






「ダメです」

「そんなぁ」

期待に胸を膨らませたヒュウガは、その鋭い一言にしゅるしゅるとしぼんだ。




いつもの仕返しだ。


コナツはばれないようにちょっと舌を出して片目を瞑って見せた。

愛情伝達がどうのと一人呟いているヒュウガを背にしながら。














**おまけ**


「気に入って頂けましたか?」

縫い物をしながら目だけ此方に向けて微笑んだのは、カツラギだ。

「うん!!コナツ可愛いかったなぁ…

次もよろしくね」

最後の意味深な言葉をドア越しに聞いたコナツは怒りともなんとも似つかないそれに手を震わせたのだった。


*********


初めてコナツを女装させてみました。

妄想してみると可愛いな…セーラー服コナツ。

もってけを踊らせたいとか思ってしまった私はきっと末期ヽ(´∇`)ノ

夕日色の約束


category:

※パロです



「ふぁあ…眠…」

ヒュウガが木製の扉を開けながら入ると、机に足をかけ椅子に座り頭の後ろで手を組んでいる青年に声をかけられた。

「今日も随分退屈そうじゃねえか」




「フラウ…」


彼はヒュウガの同僚だ。

城の護衛などといかにも偉大そうな仕事ではあるが、蓋を開けて見ればただの王族達の機嫌取りだ。

時折、護衛としてついていくことはあるが基本的には暇で、この青年のように一日の大半をくだらないことで過ごすヤツも少なくない。

…もっとも、この青年も遊んでばかりと言う訳ではないのだが。


「フラウも他人のこと言えないでしょ?」

そっけなくそう返すと、フラウはその反応に落胆したかのように再び天井を仰ぎ見た。

「まぁな。


…そんなことより、聞いたか?」

適当に返すが、ふとあることを思い出して机に身を乗り出した。

向かいに座っていたヒュウガはいきなりのことに少し身を震わせたが、すぐに呆れたようにため息をついた。


…フラウがこんな風に話を持ちかけるときは決まってろくでもないことを企んでいるのだ。

それに何度となく付き合わされ、何度となくその被害を被って来ているのだから間違いない。



「…何?」

「実は」

フラウが楽しそうに口を開いたのと、扉が勢いよく開かれたのは同時だった。



「王室から任務が下りました!!」


「…どうせまた警備隊が面倒くさがって雑務を押し付けただけだろ?」

やってらんねー、と欠伸をしながら背もたれに寄っかかって先程のように行儀が良いとは決して言えない態度で先程入って来たカストルの言葉を待った。

「貴方って人は…!!」

王室に対するフラウの無礼に怒りを募らせるカストルだったが、ヒュウガの手が目の前にかざされたことによってそれは中断された。

「…で?その任務っていうのは?」

ヒュウガに対してあまり好意を持てないのか、少し嫌そうな顔をしながらカストルは口を開いた。

「最近、城下町で若い女性が路地裏で殺される事件が多発しているようです。一刻も早く犯人を突き止め捕えるように、と「それだあー!!!!」

先程まで嫌そうな顔で聞いていたフラウだったが、次第にその瞳を輝かせたかと思うと、椅子を倒す勢いで立ち上がって叫んだ。


「うるさいよ…」

耳元で叫ばれたこっちはたまったもんじゃない。

ヒュウガは両耳に指をつっこんでサングラス越しにフラウを睨んだ。

「わりぃ、わりぃ。

…で、さっき言おうとしてたのがこの事なんだよ」

あまり悪びれた雰囲気もなく謝罪の言葉を告げると、鼻息が荒くなるほど興奮しながらフラウは言った。


あー…嫌な予感。


「『助けてー!!!』

女の声が人気のない路地裏に響く。

『ふっふっふ…叫んでも無駄だぜ』

そう言って女に歩みよろうとする男の真上から一人の美青年が舞い降りた。

『何者だ…ぐぁ』

青年は男を動けなくすると、倒れていた女に手を差し延べ声をかけた。

『大丈夫ですか?』

すると女は青年に腕を回して……

…って、聞いてんのかてめー!!」

一人妄想街道を突っ走るフラウを無視して、ヒュウガは出かける準備をした。

「ちょっと野暮用」

「え、ちょ、待てよー!!」

フラウの制止も聞かず、そう一言残すとさっさと出ていってしまった。


「……で?やるんですか?」

カストルが呆れたように腰に手を当てながら、目の前で任務書をヒラヒラさせた。

「やるに決まってんだろ」



××××××××



ヒュウガは昨日訪れた通りに来ていた。

コナツは綺麗な顔立ちだし確かこの辺でも事件が起きたと聞いて、巻き込まれるかもしれないと考えその事を伝えようと来たのだ。

しかし、そこにコナツの姿はなかった。
まだ朝早いから仕事が始まっていないのかもしれない。現に、近くにある八百屋はまだ閉まっている。

「大丈夫だといいけど…」

そう呟きながら、心配そうに頭を掻いた。




××××××××




「今日はどんな歌を歌おうかなぁ〜」

そのときコナツは仕事場に行く途中で、たくさんの客の笑顔を思い出しながらルンルン歩いていた。








「もし、そこの…」

「はい?」


背後から呼び止められて振り向くと、一人の男が立っていた。



なんだろう…?

と考える暇もなく、口を塞がれた。

「ん!!…んんー!!」

腕を掴まれ、引きずられるように路地裏に連れこまれた。

抵抗しようと声を上げるが、男の手で塞がれているので声が籠ってしまい、気づかれない。




誰も通らないような路地裏の奥のさらに奥に連れこまれ、そこでやっと男から解放されたかと思うと、地面に押し倒された。

「いっ…」

背中に訪れる痛みに、コナツは顔を歪ませるが、男は嬉しそうにニンマリと笑う。

「何をする…!!」

「なんだ、お前男か?

…まぁ、いい。こんな綺麗な顔立ちなんだ。男であろうと構やしねぇ」

男はコナツの顎をクイと持ち上げてなめまわすように見ながらそう言うと、興奮しながら下品な笑みを浮かべた。




やばい!!

そう思ったが、この男に対する恐怖からか声がかすれてしまう。

男の顔が近づいてきて、もう駄目だと思って目をぎゅっと瞑った次の瞬間。












「俺の歌姫に手を出さないでくれる?」


「ヒュウガ…さん…」


目を開けると、明るい笑顔を自分に向けるヒュウガがいた。

「大丈夫だった?」

「は…い……」


ヒュウガに吹き飛ばされた男が顔を上げ、ヒュウガを見ると体を強張らせ動揺していた。

「ま、まさか…お前…護衛隊の…!!」

「ヒュウガだよ。

…君を捕えるよう言われてるんだ。



もちろん、ついてきてくれるよね?」

本人は笑顔は崩していないが、目が笑っていない。というか、殺気がひしひしと伝わってくる。



「くっ…」

しかしそれでも懲りないのか、男は立ち上がってさらに逃げようとする。

ヒュウガは男を追いかけようとするが、コナツによって制止させられた。



「耳を塞いでください」

指示通りに耳を塞ぐと、コナツが歌いだした。


そんなことをやっている暇はない、と言おうとしたとき、前方で逃げようとしていた男が急に膝から崩れ落ちた。


「っ?!!」

驚いてコナツを見ると、コナツは笑顔で応えた。



いや、答えになってないんだけど…


そんな心境を察したのか、コナツが口を開いた。



「この歌には他人を眠らせる効果があるんです」



「なっ…」

そんなことがあるもんか。


…しかし、自分の目で見てしまった以上認めざるを得ない。

ヒュウガは思わず口をあんぐりと開けながらニコニコ笑顔のコナツと爆睡している男を交互に見た。




××××××××




その後、駆けつけたカストルと、彼の人形数体によって男は連行されて行った。

ちなみに、フラウは先程の妄想を実現すべくどっかの路地裏の建物の屋根で待っていたところ、いつの間にかうたた寝をしていたようで地面に頭を打ち付け、ムカついて城に帰っていたそうだ。

…いつもこうだよ、まったく。



「じゃ、また」

そう別れを告げて城に戻ろうとすると、コナツに呼び止められた。


「あの…後でお話をしたいので、仕事場に来てくださいませんか?」

ヒュウガは一瞬驚いて目を見開くが、すぐにいつもの笑顔に戻った。

「いいよ」

そう言って彼の頭にポンと手を乗せると彼はパアッと明るくなって笑顔で走って行った。

「待ってますね!!」

振り向いて手を振るコナツに手を振り返しながらヒュウガはふっと微笑んだ。

太陽の暖かさに似た笑顔だと思った。




<続く>

********

「夕日歌姫」シリーズ。

これも大分続いてますね。

つか、いつか整理しないとゴッチャになりすぎてわかんなくなりそうだ(-_-;
もしかしたら改装するかもしれないです。

段々歌姫の方向変わってきました。
もうちょっと真剣な話にしようかな…と。

SSの方でコナツの元恋人出しちゃいましたし。

その死神はかく語りきV


category:



「コナツ」

長く続く廊下を歩いていると、前から声をかけられた。


「カストル…」

「身体は大丈夫ですか?」

昨日、フラフラしながらも教会に辿り着いたとき、意識が途切れた。

その時運良くそこに居たのがカストルだった。

カストルは門の前で倒れていた俺を運んでくれたのだ。


「うん。…迷惑かけた」

ペコリとお辞儀するコナツを見て、カストルは微笑んだ。

「変わってませんね…貴方も」

「え?」



「人との接し方は結構いいかげんなのに、意外に律義な所とかな」

不意に背後から懐かしい声がする。

「フラウ」

「よぉ、元気にしてたか?サル」

「んだと、てめっ!!!」

殴りかかろうとして、フラウの後ろについて来ていた子供に気付いた。



…見ただけで、わかった。

「この子が…」

返答を求めてフラウを見ると、真っ直ぐな視線を向けて肯定を示した。


「な、なんだよ?」

子供は訳がわからなくてフラウを見るが、フラウは子供の頭にぽんと手を置くだけだった。

ガキ扱いするな、と反抗するがフラウは馬鹿にするように笑みを浮かべている。



「この子はテイト君だよ」


「ラブラドール」

「久しぶり、コナツ」


ニコニコと微笑むラブラドールを見ながら、昔と何ら変わりのない三人に思わずため息をついた。




そして、はたと気づいて懐を探りながらテイトに声をかけた。


「はじめまして、テイト君。俺はコナツ」

テイトはフラウの後ろに隠れるようにしながら「よろしく…」と小さく言った。

それを見てニコッと微笑むと先程探していたものを渡した。

「もうなくしちゃダメだよ」

「……!!!」


それは赤い宝石、ミカエルの瞳。アヤナミに奪われたはずの。


「どうしてこれを…」


コナツはただ微笑むだけで何も答えなかった。

「じゃ、また」

そう言って去って行った。


××××××××



少し離れたところにある大聖堂から響いてくるパイプオルガンの荘厳な音色に耳を傾けながら、コナツは聖堂に並べられたイスの端に腰かけてうつ向いていた。

今は大聖堂でミサが始まったためか、この小さな聖堂を訪れる者はいない。



コナツは瞳を閉じながら、ずっと考えていた。

裏切ってしまった軍のことを。


初めは『潜入』だったのに次第にその仕事が(というよりアヤナミ達が)気に入ってしまった。

だから、本当は裏切りたくなんてなかった。



…でも、これは定められた掟――カルマ、なのだ。

たとえ何があろうとも、それに逆らうことは出来ない。





…何故だろう。空虚であるはずの胸の内が苦しい。



「さようなら、アヤナミ様…ヒュウガ、さん…」
















「さよならだなんて、言わないでよ」


(…あぁ、神様)

ゴーンゴーン


「コナツ…」


(貴方はなんて残酷なんだ…)

ゴーンゴーン





「帰ってきてよ」


<続く>

********

大分長く続いておりますこのシリーズ。

もう少しで終わる予定なので、それまで付き合って頂けたら…と思います(−ω−)


コナツ司教のフラウ達との喋り方がわかんない。つか、想像できん。

そして思ったんだけど。

何でアヤナミはコナツがセブンゴーストであることに気付かなかったのか。

…ま、大人の事情ってことで 爆
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