*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋8』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第8章です⇒
story.27:『突然』
昼下がり------------警察病院に矢神拓斗を預けて来てから、水嶋は高柳たちと一旦別れて実家へ帰って来た。
出張中、ずっと放置していた七条直弥とその義姉・歩美の様子を見るためだ。
玄関を開けたら、愛猫のゆのみが出迎えてくれた。
水嶋:「ゆのみ〜。ただいま」
水嶋は、ゆのみを抱き上げてから靴を無造作に脱ぎ、部屋へ入った。
すると、2階からこちらへ降りて来る足音が聞こえてきて、歩美が顔を見せた。
歩美:「水嶋さん!」
水嶋:「…どうかしたか?」
出迎えた歩美が心配そうな顔だったため、水嶋が問い掛けると、歩美は重い口を開いた。
歩美:「今朝から……直弥くんが目を覚まさないんです」
水嶋:「なんだって…!?」
水嶋はその話を聞くと、慌てて2階へ上がり、直弥の部屋へ入る。
直弥は、横になってすやすやと寝ていた。
後から来た歩美は、ボソッと口にした。
歩美:「これって、槐事件の……アートロたちの仕業ですか?」
水嶋:「かもな。…姉貴、沢田先生には連絡したか?」
歩美:「はい。…けど、電話に出ませんでした。病院の方でも何かあったみたいで……」
水嶋:「そうか…」
先ほど病院へ行った時に立ち会ったのは、別の精神科医だった。
恐らく他の槐たちにも異変があったのだろう。
水嶋:「でもずっとこのままってわけにはいかない。このまま寝たままなら、飲まず食わずでへばっちまう…」
歩美:「水嶋さん……私、どうしたらいいですか?」
歩美がそう聞くと、水嶋は少し考えてから言った。
水嶋:「歩美ちゃんは、ゆのみとここにいてやってくれ。
俺はどちらにせよ、一度は本署へ戻らないとならんし、また直接、病院の方にも行って来る。
その前に姉貴から連絡があったらこの事を説明して。」
歩美:「分かりました」
水嶋は抱っこしていたゆのみを床に降ろして、部屋から出た。
そのまま玄関へ向かい、外へ出て行った。
水嶋は先ず、警察署へ向かった。
法子の方はどちらにせよ待つことになるだろうから、先に警察署へ行き、顔だけでも見せねば。
水嶋は急ぎ足で警察署へ向かって歩き出した。
--------------------------…
一方、本署では姫井と石塚が揉めていた。
そのタイミングで先に警察署へ戻って来た高柳、白波、館巻の3人は呆気に取られたように2人の様子を見ていた。
すると、2人の間に入っていた透真が声を掛けた。
透真:「よぅ!お帰り」
石塚:「!」
姫井:「………。」
透真の声に反応して石塚は振り返った。
姫井はその様子を睨むように見つめていた。一体、何だと言うのだろうか。
すると、石塚が3人に声を掛けてきた。
石塚:「お帰り。…水嶋は?」
高柳:「水嶋先輩は一度、家の方へ戻りました。直弥くんと歩美ちゃんが心配だったみたいで…」
「そうか…」と、石塚は応えた。
そして何事もなかったかのようにその場から立ち去ろうとする。
姫井:「待ってください!
まだ話は終わってません…!」
透真:「いい加減にしろ、姫井」
姫井:「沢田!これは大事な話なのよ!槐事件の今後を左右する…」
高柳:「何ですか?それって…」
白波:「私も知りたいです。
槐事件絡みなら尚更…」
若手の2人が話に食い付くと、透真が言ってきた。
透真:「…まだ確信がある訳じゃないんだ。
雑誌記者の長尾のことは覚えてるだろう?アイツが妙な伝言を姫井に託したらしくてな…」
透真はそう話すと、こう言ってきた。
透真:「お前らも前に調べたいって言ってただろう。『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』のこと…」
高柳:「え!」
白波:「姫井巡査部長。どういうことですか?」
2人が問い掛けると、姫井はこう言った。
姫井:「鳥の仮面の男こと、城之内凛太の事件の時に助かった男性が長尾の最後の言葉を聞いて、ある男性の名前を上げたのよ。」
姫井は、真剣な表情で口にした。
姫井:「阿岐名葉月…。
水嶋や沢田たちの同期で、殉職した警察官…。ちなみに言えば、長尾の同級生だった人よ」
高柳:「殉職…。そんな大変な事件だったんですか、誘拐殺人事件って…」
姫井の話を聞いて、『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』がどんなに壮絶な事件か想像する高柳。
警視庁の警視局長・福崎零一の息子・福崎善が絡んでいただけではなく、警察官が1人殉職していただなんて。
高柳がそんなことを考えていると、姫井はこう言ってきた。
姫井:「『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』と槐事件は、その阿岐名葉月巡査で繋がってる…。
だからよく調べないといけないのに…」
館巻:「ああ…。資料室の出入りを禁じられたのか」
姫井:「はい…」
透真:「当たり前だっつうの」
館巻が、石塚と揉めていた理由を勘づいた時、透真は困ったような表情をして言ってきた。
透真:「あの事件で、いちばん辛い思いをしたのは被害者たち以外は律なんだぞ。
…アイツは、自分の目の前で同期が殺されているところを見たんだからな。」
透真はそう言うと、姫井に釘を刺すように言ってきた。
透真:「よく考えろ。槐事件と誘拐殺人事件が繋がってたら。その理由に阿岐名が絡んでいたら、真っ先に疑われる人間は誰だ?
律は、少なからず槐事件の中心に立たされた人間だぞ。」
姫井:「だからそれを今から調べるって言ってるんでしょう!」
透真:「どうやって?
17年も前の事件だぞ。廃倉庫だってとっくに取り壊されてる。
資料を漁ったって同じだよ。」
姫井:「じゃあ、あの中途半端な捜査資料はどう説明する気?
何であの事件で銃が使われたの?どうやってあの事件は発覚したわけ!」
透真:「落ち着け、姫井!
お前、何をそんなに熱くなってるんだ!」
透真は、姫井の両腕を掴んで、声を上げた。
透真:「事件を解決したいのは分かるが、阿岐名の一件は、17年前も分からないことだらけなんだ。
俺たちも分からないのに、まったく知らないお前が--------!」
?:「こらー!」
透真が姫井を説得していると、先ほど他の警察官に任せていた加藤多江子がこちらに向かって走って来る。
多江子:「私の娘に何をするの!!
絶対に許さないわよ!!」
姫井:「お、お母さん。大丈夫よ、落ち着いて」
姫井はすぐに切り替えて、多江子のところへ向かい、話は一旦打ち切られた。
高柳:「……………。」
高柳は今の2人の会話を聞いて、不思議に思った。
高柳:(分からないことがあるって、どうゆうこと?)
『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』という事件は、それほど根の深い事件だと言うのか。
水嶋や若月里沙、葉隠真紀、そして、福崎善はあの日、どんな地獄絵図を見たのだろうか。
警察官が1人殉職してしまい、拳銃が使われた大事件。
高柳:(気になる…)
それに阿岐名葉月という人は、どんな人物なのだろうか。
水嶋が来たら聞いてみよう。
高柳は一先ず、騒ぎ立てないように黙っていることにした。
------------To be Continued...