小説書きます
最初はツナヒバ(+10)


愛してるなんてくだらない言葉



それでも君から言われるだけで嬉しくなる




「あれ。雲雀さん?外でずっと待っててくれたんですか?」




彼の同盟マフィアとの会合が終わるまで外で待っていた僕に申し訳なさそうに笑う




昔から変わらない君の癖




僕を見つめる瞳には
もう昔の面影などちっとも残ってないというのに




りりしい顔立ちになった
目も細くなった
手も大きくなった
僕より強くなった
涙を見せなくなった




弱虫だった彼は
もうどこにも存在しない




「雲雀さん?わ、体すごい冷えてるじゃないですか」




「…別に、平気だよこれ位」




慣れてるしね




そう言うと綱吉は一瞬怒ったような表情をしてその両手で僕の頬を包んだ




暖かい




降りゆく雪さえも溶かしてしまうような彼の熱に浸食される




「熱い…」



「少しは暖まるかと思って」



へらり、と笑う彼




ああ君は分かってないね




僕がどれだけ君の体温を求めているか




この暖かさに包まれことでどれ程僕の気持ちが高まるのか




「…まだ、足りない」



そう言って彼の胸に頭を擦り寄せれば、優しい君は拒まずに僕を抱き締める




すき




すきだよ。




そうやって優しいとこ



真直ぐすぎる瞳とか




笑うとつく目尻の皺とか




ぜんぶぜんぶ




「綱吉……」





でも、愛してるなんて言わない




言ったら君は僕より年上のような笑顔でキスをするから




なんだか癪で




これはなにもかも僕を追い越す君への細やかな抵抗



「愛してますよ雲雀さん」




「………ん」




ほら、君はまた無意識に僕の胸を焦がした




僕の意地なんて君はきっとお見通し




分かってて甘やかす




幼い子供のような綺麗さで僕を透明にする




「綱吉…寒い」




そうやって我儘を言えば氷のように冷えた唇に甘い熱が落ちてきた



放したくなくて、放れたくなくて
強く強く抱き締めた




あのさ



今日の我儘はこれで最後にするよ




だからお願い。唇を放す前にもう一度、どうか好きだと囁いて





(この時間が長く続けば良いと願ってる)
(ああ、)
(どうせならこのままここで2人)
(白に交わって死んでしまいたい。)





END