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こんな愛おしさは知らない、

ねえ、どうして君は僕のものにならない?




どうして僕は、




君という存在を愛してしまったのだろうか





「なあ、駿待てよ…!」




「なに?着いて来ないでよ」




「だってお前今日ずっと元気無かっただろ?気になってさ…」




僕が歩く速度を上げるとそれに追い付くようにスピードを上げる恢
子犬みたいについて来るその様子が
なんだか無償に苛つく




「なに、それ?いい人ぶって自分は気持ちいいのかも知れないけど僕にはいい迷惑」



冷たく言い放つと少し歩く速度が落ちるのを気配で感じた




「……悪い。でもそんなつもりはないよ。ただお前が心配だったんだ」




馬鹿みたい
怒ればいいのに
泣きそうに笑って
真っすぐな視線を向ける




「…今の嘘。忘れて」




「駿…?」




「ごめん…なんかイライラして恢に八つ当たりした。」




ほんとは誰でもない僕を追いかけてくれたことがすごく嬉しかった



ありがとうと一言お礼を言えば済むことなのに




君を見るとつい意地を張ってしまう




大好きな君に優しくすることができない
幼い子供のように我儘に愛を振りかざす方法でしか君を引き止められない




「なんだ。よかった…俺駿に嫌われたかと思った」




「は?馬鹿じゃないの。なにそれ」




「だってやっぱ駿に嫌われたくねーからさ」




ああなんて純粋な瞳
不謹慎な僕の葛藤なんて揉み消されてしまうようだ、



「なんかあったらいつでも話聞くから言えよ?」





「生意気」




「いっへーな!はにゃへ!」



ほっぺたを抓ると変な奇声を発する




「ぶっさいく」




「お前が頬抓ったからだろ馬鹿」




頬を撫でながら拗ねた顔をする
子供のようなその仕種も恢ならば様になってしまうのが不思議だ




「まあ元気出たみたいでよかった。雄二達も心配してたぞ」




「雄ちゃん…ね」




なんでだろうイライラする
やるせない気持ちと
怒涛の感情が渦を巻いて吐き気がする




「駿?どうした」




「なんでもない」




(僕だけのものにしてしまいたい)



君を見る度
我儘な欲望が膨らんでいくんだ




「具合でも悪いのか…?」



俯いてる僕に不安げに手を伸ばす恢
その細い手首を掴んで引き寄せれば不思議そうに首を傾げさせた




「ねぇ、恢」





止まらない
もう、この呼応する感情を抑える術を僕は知らない




溢れ出す、嗜虐にも似た支配欲




「好きだよ」




逃げられないように手首を強く掴み体を密着させる
瞳を逸らすことは許さない
僕意外のことを考えることはさせない




「な、なんだよ駿。からかうなよ…」




「からかってなんかない。本気なんだけど」




「っ………」



最初は苦笑していた顔が困惑したような色に変わる




「雄ちゃんじゃなくて僕を好きになればいい」




ごめん雄ちゃん
雄ちゃんは大事な友達
だけど
だけど恢は渡せないんだ




「いい加減僕を見ろよ」




「っ………駿」




ぼろり、大きな瞳から大粒の涙が零れる
次々と溢れ出すその雫は彼の綺麗な頬を濡らした




「でも、でも俺は…っ」



「うん」




「ゆうじ、が……っ」



雄二が、すき




予想できる君の言葉なんて聞きたくなくて
台詞を止めるように唇を甘噛みする
柔らかいそれは、なんだか涙でしょっぱかった




「好きだよ」







「っ………」




「好きなんだ」




「…っく、……っ」




なんで、どうして
世界はうまくいかない




そんな顔しないで
ただ僕は
君に笑ってほしいだけなのに




泣かせたい訳じゃないのに



でもどうして僕は
君を傷付けることしか出来ないのだろう



叶わない愛ならいっそ捨てられたらよかった
君を忘れさせてくれればいい



それさえも出来ぬのに
放れていく存在を黙って見ているだけなんてあまりにも残酷だ




「僕を見て。ねえお願い」




目尻の涙を拭ってそう言うと余計に涙を溢れさせた
透明なそれが僕の指先を濡らす度、心臓が痛む



そう、身勝手な願い
わかってるさ
痛いのは僕なんかじゃない
君の方なんだろう




手に入れたい
抱きしめたい
優しくしたい
放したくない




ああそれでも
やっぱり君に笑って欲しい




愛欲と渇望のコンフリクト




どうして、
気持ちを吐き出せば楽になると思ったのに
逆に重く塞がるばかりだ




ただ僕の願いは




君を愛することが出来る一人の人間に生まれたかっただけ


こんな愛おしさは知らない、


世界で初めて好きになったひとは
僕の親友の想い人でした



(「どうして僕じゃないのだろう」)
(何度自分に問い掛けただろう)
(答えなんてないとわかってるのに)







ああ愛しの番長さま!の駿くんです
主人公は雄二が好きで
でも駿の想いを踏みにじることが苦しくてどうしていいかわからなくなってる状態←




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