不倫相手との子供を身籠り、話し合いの末中絶を決意した女性・サラ。しかし彼女は、中絶手術のためクリニックへ向かう道すがら、何者かに誘拐されてしまう。目が覚めた時、彼女は箱の中にいた―…。
実話を元に描かれたサイコサスペンス。

S・キングが絶賛する作家、ということで手に取ってみました。
これと「ロード・キラー」も読んだのですが、これは翻訳のせいもあるかもしれないけど、思ったほどではなかったな。悪くはないけど、めちゃくちゃいい!ってわけでもなく、でもグロいのが平気な人なら、ラストまで充分楽しめると思う。
若干説明が多くてリズムが悪い。これが原文に忠実なのか、翻訳の時点で付け加えられているのかわからないけど、もったいないと感じた。でも的確に情景を描写しているし、必要な修飾でもある。

プリミアノ警部補はもっと出てくるかと思ったけど、そうでもなかった。

マッキャンとのやり取りが良かったな。中絶は彼らにとっては悪だけれど、そのために何をしてもいいのか?そういう葛藤は、思うより身近に溢れている。
私は中絶容認派だけれど、マッキャンは嫌いじゃないです。話し合うにはややこしい相手だけど、彼の考えは共感できるよ。

この作品は「ロード・キラー」に比べるとまだ、グロさは弱い。だからこそ、人にJ・ケッチャムを勧めるならこの本からだね。
私としては「ロード・キラー」の方が好きだけれど、ケッチャムの作風を手始めに知ってもらうならこの作品を勧める。
最後ああなるとは…。「ロード・キラー」のようにカオスな最後を期待していた身としては、拍子抜けだった。でもこっちの方が一般受けしそう。

ところでこの作品は映画『コード』とは関係ないんですかね?



原作というわけではなさそうだし(設定や描写などかなり違う)、どちらかがどちらかをオマージュしているとか?
ヴィンセント・ギャロの印象は薄かったのでスティーブンのビジョンは自分で作ったのですが、サラとキャスは映画の役者そのままのビジョンでした。
『コード』のジェニファー・ティリーはハマり役だったよ。怖かったw

おしまい。



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