「今だから」/松任谷由実 小田和正 財津和夫






お寿司屋さんに行って、カウンターに座ります。
他にお客さんはいない。おかみさんが熱いお絞りと濃いめに淹れた玉露を持ってきてくれる。

熱いお茶にふうふう息を吹きかけながら、目の前のケースを眺めます。中には、今市場から持ってきたばかりというようにいかにも新鮮な魚介類が並んでいる。
どうしたものかなと考えていると、静かに何かの作業をしていた大将が手を止めて「何握ります?」と声をかけてくれます。

言葉少なな所に好感が持てる大将に、優柔不断も相まって、結局こう返す。
「なにか、おすすめのものをお願いします。」
承知しました、という言葉の後、しばしして目の前に置かれたものはーーー



大トロ・鮑・うに。




おどろいて思わず顔を上げる。
改めてケースの中を眺めると、さっきは気がつかなかったけれど、そこに並んでいる魚介たちは誰がどう見ても、一級品のネタになるものばかり。
右から左、端から端まで高価な、しかも海から上がったばかりのぴちぴちとしたネタだけしかありません。



なんだこの店。


思わず財布の中身を確認したくなります。うまいうまいと食べておきながら、まさか食い逃げはできない。
でもさすがに店の人の目の前でそんなことをするわけにもいきません。

背中を冷や汗が流れます。

せめてものあがきに、大将の後ろに見える、立派な筆文字でネタが書き連ねられた板をこっそり見上げる。
その板のそばには小さく張り紙が。


「どのネタもすべて×××円」


そこに書かれているのは、他の普通の寿司屋となんら変わらない金額で。
置いてあるネタから考えると、どう考えてもその金額で食べれるものではないの筈なのですが。



そこで改めて思います。

なんだこの店ーーー












…と言った感じの曲です。長いイントロでございました。


アーティストの名前を見ていただければわかるように、豪華絢爛な顔ぶれです。
しかもこの3人に加えて、編曲はかの坂本龍一氏、演奏メンバーにはサディスティック・ミカバンドの方々が参加されています。
どういった経緯でこのメンバーによるコラボが実現したのかはわからないけれど、どこからどう食べてもそりゃ美味しいわ、という感じですよね。
レコード発売当時の世間の熱狂ぶりは、想像に難くないです。


メンバーがメンバーなのでツッコミの入れようもないんだけど、曲自体もとっても良い曲です。
そりゃだって件の三人が作曲してて、坂本教授が編曲してるんだもん…ていうかこれどうしても話がループしてしまうな。
「王子様が王子様の恰好してたらただの王子様だ」という名言があってかなり好きな言葉なのですが、良いアーティストが集まって曲作って詩を書いて編曲して歌って演奏すれば、そりゃ良い曲になるよ…。


歌詞は良い感じに当時のニューフォーク。そこにYMO的な電気の編曲が合わさって、一見不思議な取り合わせっぽいんだけど、良く合ってるんですよね。
同じ1985年の曲と言えば「Romanticが止まらない」がありますが、ああいった系統の曲の、電機系編曲特有の透明感と、楽器演奏の熱いバンド感に甘酸っぱい歌詞というのがたまらなく好きです。

デジロックともまた違うんだよなー。なんなんだろう、ああいう感じ。






ところで「イ」のつく曲と言うことでわりとほかにも候補はあったのですが、なぜ「今だから」を選んだのかと言えば。
実はこの曲、CDになっていないんですよね。権利がごちゃごちゃしているからなのかなんなのか、音源は未だレコードのみ。ラジオとかでしか聴いたことが無いのです。

ということで、インターネットの片隅で叫んでいれば、誰かがうっかり目にとめてくれるかも知れないので、今回のテーマにした次第です。


だれかーーーー!!!!
今年で発売から30周年だぞーーーーーー!!!!!
アニバーサリーでCD化してくれーーーーーーーー!!!!
だーれーーかーーー!!!!