赤髪金髪コラボでSSをば。
Twitterで話していたネタで書いてみました…
たまにはアネットもシリアスモードになったり、します…?←
*attention*
・赤髪金髪コラボです
・シリアスっぽい、感じです
・ライニさんのオリジナルの経歴(?)にちょっと関連するお話
・基本深く物事考えるのが苦手なアネットです
・ラストはこの二人らしくなってたらいいな、って…(おい)
・相変わらずの妄想クオリティで済みません
・ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKと言う方は追記からどうぞ!
からりと晴れた、晴天の下。
弾むような足取りで城下の街を歩く、赤髪の少年。
白い騎士服は日光を反射し、まるで光っているかのようにさえ見える。
それはおそらく、彼持ち前の明るさも相まってであろうが……
弾むように二、三歩"同行者"より前を歩いては、また弾むように戻ってくる、彼。
明るく笑って、隣を歩いている同行者に腕を絡めつつ、彼はいった。
「へへ、ラインハルトと出かけられるの、久しぶりだな!」
赤髪の少年は上機嫌だ。
隣を歩いている金髪碧眼の少年に明るい笑みを向ける。
人懐っこいガーネットレッドの瞳はキラキラと輝き、
夏の少し強くなり始めた日差しが彼の赤髪を明るく照らす。
「出かけるといっても仕事なのですから……
もう少し落ち着いて行動してください、アネットさん」
金髪の彼……ハイドリヒはそんなはしゃいだ様子の彼をたしなめるように言った。
そう、これはあくまでも仕事。
とは言っても、普段ハイドリヒが赴くような潜入捜査でもなければ、
アネットが赴くような戦闘任務でもない。
なんのことはない、所謂パトロールのようなものだ。
普段アネットはこういう任務に行くことを渋る。
元々、派手なタイプの彼のこと。
こうして街中を歩き回るだけという仕事は退屈で仕方ないらしい。
けれども、大好きな彼と一緒に行けるとなると話は別。
散歩に行こうと飼い主に声をかけられた犬のごとくはしゃいでいるのだった。
ハイドリヒはハイドリヒで、こんな日差しの強い日に外を歩きたくはないが、
これも仕事のうちだと割り切っている。
何より、ほうっておいたらアネットがいなくなりそうなのだ。
一応彼にとっては地元のはずだから、迷いはしないだろうが……
ほうっておいて任務を忘れるということも多々ある彼。
そうしたらおそらくまた叱られることだろう。
一応、ハイドリヒとしてはそれを防いでやりたいと言う思いも、まぁある。
とはいえ、極力日陰を選んで歩いてはいるが、やはりだいぶ暑い。
暑い場所……基、日差しが強い場所があまり好きではないハイドリヒは少々顰め顔だ。
少し路地に入って、影が多くなった。
表通りよりは人も少なく、少し涼しい。
ハイドリヒがほっとしたように息を吐いたとき。
あるもの……正式に言えば、ある光景が目に映った。
「…………」
ハイドリヒは無言でそれを見つめる。
隣で喋っているアネットはそれに気づいていないようだった。
「なぁ、ラインハルトー……?ラインハルト?どうした?」
アネットは無言で一点を見つめている彼にそう問いかける。
声をかけられて、ハイドリヒははっとした。
どうやら、ぼうっとしていたようで。
アネットは不思議そうにハイドリヒの蒼い目を見つめている。
少し躊躇ってから、ハイドリヒは自分が見ていたものの方を指差した。
「アネットさんは……ああいうのは、誰が悪いと思いますか?」
「ああいうの?」
アネットは怪訝そうに顔を顰めてから、ハイドリヒが示す方を見た。
そして、眉を顰める。
その先には、数人の子供がいた。
年齢はおそらく十代前後だろう。
問題は、そこではなくて。
一人の少年を小突いて、周りが何か言っている。
からかいの言葉のようで、周りにいる少年たちは愉快そうに笑っているが、
中心の少年は困ったような、泣き出しそうな顔をしている。
子供うちではよくある光景ではあるが……見ていてあまり良い気はしない。
「……そりゃ、虐めてる奴だろ?」
アネットは短くそう返答した。
あの状況の場合、大抵虐められている側にはなんの落ち度もないことが多い。
否、時折原因がその子にあることもないわけではないが……
それにしたっても、大勢で囲ってからかったり虐めたりすることは間違っている。
そんな答えはアネットらしい返答ではあったが、
ハイドリヒが求めていたのはそれとは少し違っていて……
「それは、そうですけれど……こういうことも、考えられませんか」
「ん?」
どう言う?とアネットは隣にいるハイドリヒを見つめた。
彼の碧い瞳はまっすぐに子供たちの方へ向けられていた。
「……父親が犯罪者で、後ろ指を刺されることから始まることだってあるんです」
ハイドリヒの言葉に、アネットは目を見開いた。
基本的に多方面において鈍いアネットだが、
今のハイドリヒの言葉の意味は、何となく理解できる。
彼の声色から、例えから……直感的に、感じた。
これは"仮定"ではない。
彼が知っている、"事実"だ。
アネットは何を言って良いかわからぬまま、彼の言葉を聞いていた。
「その場合は、誰が悪いのでしょうね」
黙り込んだままのアネットにハイドリヒは先刻の質問を重ねた。
一体誰が悪いのか、と。
虐めている側か、虐められている側か、或いは……その原因を作った者か。
そう問いかけて、ハイドリヒは言葉を切った。
碧の瞳でアネットを見つめる。
アネットは困ったように視線を泳がせていた。
「……よく、わかんねぇけど」
アネットはぐしゃりと髪をかきあげて、溜息を吐く。
それが、彼の困った時の癖であることはハイドリヒもしっていた。
アネットは言葉を選びつつ、返した。
「それでも、悪いのは虐める奴らじゃねぇの?
虐められる側には、基本的は非はねぇし……
今ラインハルトが言ったような原因だったとしても、
その子供虐めてどうなるんだよ、って俺は思うけど」
アネットにしては真剣な口調。
難しいことを考えるのが苦手な彼は言葉にも突っかかっているが、
それでも彼なりに出した答えは、やはり彼らしかった。
ハイドリヒはふ、と笑を漏らして再び少年たちに視線を投げる。
"何が正解というのはないのでしょうけれど"と前おいて、彼は言う。
「……私の子供たちも私が死んだあと標的にされていましたし、
報復のつもりかもしれませんが……
それが自己満足に過ぎないと何故わからないのでしょうね」
そう呟いて、ハイドリヒは鼻で笑った。
少年たちに向けられている、碧い瞳の視線。
"私が死んだあと"……
その言葉の意味はアネットも知っている。
彼のオリジナルは、結婚していたし子供もいたというから。
先刻の喩えも、間違いなく彼自身の、そして彼の子供の話なのだろう。
もしかしたら彼は、少年たちの姿に"自分(オリジナル)"の子供と、
それを虐めていたという子供の影を重ねていたのかもしれない。
そんな彼の表情を見て、アネットは顔を顰める。
出会ったばかりの頃よりは、いろいろな表情を見せてくれるようになった彼。
中でも、彼がふとしたときに見せる笑顔がアネットは大好きだったが……
今のような笑は、笑い方は、あまり好きではない。
何だか、悲しくなる。切なくなる。
アネットとハイドリヒがそんなやりとりをしているうちに、
子供たちはからかうのに飽きたのか、
もう一度中心にいた子を小突くと、周りは駆け出していってしまう。
中心にいた少年もそれを追いかけて走り去っていった。
"あーあ、叱り飛ばそうと思ったのに"とアネットが呟くのを見て、苦笑する。
アネットはもうひとつ溜息を吐くと、ハイドリヒの方へ向き直った。
「……ほら、ラインハルト。行こうぜ。
こんなとこでつっ立ってたってしょうがないし」
"なんか俺、腹減った"と言ってアネットはハイドリヒの手を強く引っ張る。
その力の強さと、行動の唐突さに彼は少々驚いた。
「ちょ、っと、アネットさん?今、仕事中……」
「腹が減ったらなんとか、って言うじゃん。
俺、腹減ったもん。どっかいって、なんかくおうぜ」
「私は別に……」
「コーヒーでも飲んでればいいだろ」
短く、そっけなくそう言いながらも、ハイドリヒの手を掴んだ手は緩まない。
アネットはいつになく強引だ。
怒っているようにも見えるが、そうではないようで。
その理由は直ぐに理解できる。
アネットはハイドリヒの先刻の笑みを、
彼の中にあるどうしようもない思いを消したいと思っているようだった。
あれこれと言葉で上手く自分の考えを説明したり、
ましてやハイドリヒを励ますなりなんなりするだけの技術(スキル)がないことは、
アネット自身がよくわかっているのだろう。
だから、突拍子もない……
尚且つ、"いつもの自分らしい行動"をとることで、
彼の思考を今のできごとからそらそうとしているようだった。
彼なりの、不器用な気遣い。
ハイドリヒはそんな彼の行動に、先ほど子供達を見ながら浮かべたのとは違う笑を漏らした。
―― No answer ――
(答えなんてきっと何処にもない)
(そんな問いかけでお前の顔が曇るのは嫌だから)
2013-6-25 20:11