ナハトさんのお子様フランコさんとパべリッチさんが愛しくて、
コラボな小説書かせていただいてしまいました!
お二人共、別のベクトルで本当に可愛らしいです…
それをうまく表現できてなくてすみません;;
個人的に絡んでいるところが微笑ましいなぁ、と思って、
アル、アネットとコラボらせていただきました!
*attention*
・ナハトさんのお子様パべリッチさんとフランコさん
withアル&アネット
・前半はショタコラボ、後半は元気っ子コラボ←
・相変わらずフランコさんの口調が似非すぎる
・というか、キャラがふわふわ
・ショタっ子も元気っ子も仲良く絡んでてくれたら癒されるな、と…
・相変わらずの妄想クオリティ
・ナハトさん、すみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞー!
長い、ディアロ城の廊下。
そこを歩く白髪の少年。
「重たいなぁ……持って来すぎちゃった」
彼……アルは抱えている荷物を一瞥すると、はぁと溜息をひとつ。
彼が抱えているのはたくさんの本。
これから書こうと思っているレポートに必要そうな本を選び出したら、
この数になってしまっていたのである。
研究熱心なアルのこと、想像はつきそうなものだが……
如何せん力が弱いアルにとって、これをはこぶのは楽な仕事ではない。
何冊か置きにいった方がいいだろうか、と考え始めたその時。
顔を上げると、そこに人影を見つけた。
廊下に佇む、自分たちとは違う制服の騎士……
普段はこの城にいない、友人の姿だった。
「パべリッチさん!」
きょろきょろしている黒髪の少年にアルは声をかけた。
両手がふさがっているために手を振ることは出来なかったが、
彼……パべリッチはアルの声に振り返り、笑顔で駆け寄ってくる。
「アルさん!お久しぶりです」
「お久しぶりです。元気でしたか?」
久しぶりにあった友人に笑みを向けるアル。
パべリッチはこくこくと頷いて、明るく笑った。
そして、ふと不思議そうな顔をしつつ、アルが抱えている本を見た。
「それ、何処かに運ぶの?」
「え?あぁ、うん。僕の部屋に……」
「僕も、手伝う!」
そういうや否や、
パべリッチはアルの腕の上に積み上げられている本の数冊を取った。
アルは驚いた顔をして、彼を止める。
「い、いいですよ!重いでしょうし……!」
「これくらい、平気なんだから!」
任せて!というように明るい表情を見せるパべリッチ。
そのまま歩き出す彼を見て、ちいさく笑みをこぼすと、
アルは自分の部屋に案内すべく、パべリッチと共に歩きだした。
二人の幼い騎士(否、年齢的には決して幼くはないが)が、
本を抱えて歩く様はなかなか愛らしいのか、周りから注目を集めている。
殊更、城の中の手入れをしているメイドたちにはなかなか好評で、
歩くあいだにもどう言うわけかお菓子を渡される始末。
断ろうにも両手が塞がっているために拒めず、
"受け取って?"という言葉と一緒にポケットにそれをいれられる。
パべリッチはちいさく溜息を吐いた。
「僕だって、子供じゃないんだから……」
「あはは……世話好きな方が多いんです、このお城のメイドさんたち」
アルは苦笑気味に彼の言葉に答える。
ぶつくさと文句を言うパべリッチだが、甘いものは好きなのか何処か嬉しそうだ。
アルも何処か嬉しそうに笑っている。
二人で一緒に長い廊下を歩いていく。
その途中、アルはふと思ったことを彼に訊ねた。
「パべリッチさん、ヒトラー様に会いに来たんですか?」
彼は総統……ヒトラーのことを慕っている。
おそらく今日も、彼に会うために来たのだろうとアルは推測していた。
案の定、明るく頷いてみせる黒髪の彼。
「そうだよ!総統に会いたくて来たんだけど……」
姿が見当たらなくて、と言ってパべリッチは眉を下げる。
この城は結構広い。
適当に歩き回っていたらこの城の騎士でさえたまに迷子になるというような城だ。
そもそもこの国の騎士ではないパべリッチが、
目的の人物を探し出すのは一苦労だろう。
それに。
「総統が何処にいらっしゃるか、知ってます?」
パべリッチはふと思い出したように訊ねた。
この城の騎士のアルならば知っているかもしれないではないか、と。
しかしアルは少し言いにくそうな顔をして、答えた。
「……ヒトラー様、今日は朝から任務で御不在ですよ」
「え!?そうだったんだ……」
不在、という事態は想定していなかったらしい。
まぁ、当然だろう。
基本的に"統率官"にあたる人間は滅多に任務に赴かない。
とはいえ、目的の人物が今いないとわかると、
目に見えてしょぼん、とするパべリッチ。
アルはそれを見て少し困ったような表情を浮かべる。
他人が落ち込む表情を見るのは好きではない。
「で、でも、そこまで難しい任務ではないそうですから、
夕方には戻ってこられると思いますよ?
それまで、僕とお話でもしていませんか?
天気もいいですし、中庭とかで……さっき頂いたお菓子もありますし」
ね?とアルはパべリッチにいった。
いつしか二人はアルの部屋にたどり着いていて、
アルは器用に片手でドアを開け、パべリッチを中に招き入れる。
机の上に本を置きながらパべリッチは少し躊躇う顔をする。
しかし、一人で時間を潰すのも退屈だ。
パべリッチはこくんっと頷いた。
「中庭にいたら、総統が帰ってくるのわかるかな……」
「わかりますよ。中庭の通路は皆が通りますから」
「なら、お付き合いよろしくお願いします」
ぺこっと律儀に頭を下げるパべリッチを見て、アルは嬉しそうに微笑んだ。
***
―― 一方、こちらは中庭。
赤髪の少年は退屈そうに中庭を歩き回っていた。
任務も終わり、訓練も終わり、することがない。
いつも彼が一緒にいる金髪の彼はまだ任務中なのか帰ってきていないし、
一緒に剣術の相手をしてくれそうな人間も大抵不在。
「暇だなぁ……」
ぼそり、と呟いたその時。
アネットはある人物の姿を見つけた。
いつもは此処にいない人物ではあるのだが、
今のアネットにとってはあえて嬉しい人物。
嬉しそうな笑みを浮かべると、アネットは彼の方へ駆け出していった。
「フランコ!」
「ん?おぉ、アネット!久しぶりやな!」
アネットが声をかけた人物……フランコはアネットににかっと笑い返した。
彼はこの国の騎士ではない。
だから、此処にいることはあまりないのだが……
アネットは一度彼と決闘をして以来、
似たような性格の彼に好感を持っているようだった。
なぁなぁ!とアネットはフランコに言う。
まるで子供のように目が輝いている。
「またさ、剣術やろうぜ!俺今、むちゃくちゃ暇なんだ」
「おぉ、えぇな!でも、また怒られるんとちゃう?」
フランコはそう言って、苦笑した。
前回二人で決闘をしたときは、
少々ヒートアップしすぎて互いの統率官に叱られた。
散々説教をくらったものの、アネットは懲りていないのか、
相変わらずの明るい笑みを浮かべたままに"大丈夫だって!"という。
「今度は外でやろうぜ?そうすれば迷惑かけないだろ?」
「まぁ、そうやろな。……何処にする?」
に、とフランコは笑みを浮かべる。
アネットは乗り気の彼に嬉しそうな表情を向けた。
「そうだなぁ……
もうちょいしたらノトの騎士の訓練も終わるだろうし、
彼奴らがよく使ってる丘の上とかは?」
あそこなら多分大丈夫だろ、とアネットは独り言のようにいう。
その目は既に今からの剣のぶつけ合いが楽しみで仕方ない、というように煌く。
フランコはそんな彼を見つめると、挑戦的に笑ってみせた。
「何処のことかよぉわからんけど……ええで。
今度こそ、絶対泣かせたるで?」
「泣かねぇよーだ」
べ、とアネットが舌を出したとき。
「あれ?アネットさん?」
中庭に面した廊下の方から聞きなれた声。
アネットとフランコはそちらに視線を向ける。
白髪の少年と黒髪の少年がいて、白髪の方が手を振っていた。
ぱたぱたと駆け寄ってくる二人。
二人の前で止まると、アルはアネットたちを見て、きょとんとした。
「こんにちは!アネットさんと……えっと……」
アルはフランコと面識がない。
アネットと一緒にいる人物を見て若干不思議そうな顔をする。
フランコは笑顔で彼に名乗った。
「フランコって言うんや!よろしく」
屈託ない笑を浮かべるフランコを見つめ返して、アルは笑った。
「フランコさんですね、僕はアルって言います!
それで……お二人、何をしていたのですか?」
きょとん、とするアル。
フランコはともかくとして、アネットの性格はよく知っている彼。
この時間から中庭で花を眺めるようなタイプではないことをよく知っている。
一体何をしているのかという問い掛けにアネットは笑顔で答えた。
「フランコと剣術でもやってこようかなって話してたんだ!」
「あぁ、なるほど。それならば納得が行きます」
アルはそう言って頷いた。
納得ってなんだよぉ、と少々苦笑したあと、アネットはパべリッチを見て、
それからアルに訊ねた。
「そっちのちびさん、友達か?見ないやつだけど」
「ちびって……!」
失礼なことを!とパべリッチはむくれる。
アルは苦笑しつつ、パべリッチとアネット双方を見て答えた。
「はい、僕のお友達ですよ。
パべリッチさん、ヒトラー様を待っているそうなので、
お茶でもしながらお待ちしていようかなって」
「なるほどー。お前らしいな!」
「そうなんか?」
アルと面識がないフランコはきょとん、としている。
まぁ、アルの表情やら立ち振る舞いを見ていればある程度想像はつくが。
ちょうどその時、城の方へ歩いてくる賑やかな声が聞こえた。
"容姿が"幼いアルたちよりもなお幼い見習い騎士たちだ。
騎士服の黒い留め具が太陽光を反射して、きらりと光る。
アネットはそのさまを見て明るく笑うとフランコの手を引いた。
「お、ノトの騎士たち帰ってきたな!行こうぜ、フランコ!」
「おぉ、行く行く!あ、でもシエスタの時間には帰るからな」
「しえす……?なんだそりゃ」
遠ざかっていく二人の声と背中を見送って、
アルとパべリッチは顔を見合わせ、笑った。
「賑やかですね、あのおふたりは」
「五月蝿いとも言うと思うけどね……」
全くもう、と大人の口調を真似るようにパべリッチはいう。
アルはそんな彼を見てちいさく笑みを零すと、紅茶を入れる支度を始めた。
―― 各々の過ごし方 ――
(のんびりゆったり過ごすのも 尊敬する好敵手と剣を交えるのも)
(どちらも素敵な時間だとは思いませんか?)
2013-4-27 11:17