赤髪金髪コラボでシリアス…をやりたかったのですが、
任務ものになりました。
微シリアス&ラストはちょっと甘い、のかな…?
*attention*
・赤髪金髪コラボです
・シリアスのち甘め?
・アネットはすぐに暴走するので…
・ライニさんをかっこよく書きたかった
・相変わらずの妄想クオリティ
・ナハトさん、本当に済みませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞー!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
赤髪金髪コラボでシリアス…をやりたかったのですが、
任務ものになりました。
微シリアス&ラストはちょっと甘い、のかな…?
*attention*
・赤髪金髪コラボです
・シリアスのち甘め?
・アネットはすぐに暴走するので…
・ライニさんをかっこよく書きたかった
・相変わらずの妄想クオリティ
・ナハトさん、本当に済みませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞー!
吹き抜ける熱風。
ハイドリヒは風に揺れた自らの髪を押さえて、溜息を吐いた。
パーティ会場は一瞬にして戦場に姿を変えた。
屋敷にいた人間たちは慌てて逃げ出していったが、
ハイドリヒはそれを重々承知の上で参加したためにさして驚いてはいなかった。
―― 今回は戦闘部隊と諜報部隊両方が活躍せねばならぬ任務だった。
ここのところこの国で悪事を働いている一団があり、
それの情報を掴むのがハイドリヒたち諜報部隊の仕事。
ハイドリヒは"いつものように"女性の姿をして、このパーティに潜入していた。
参加している男たちと談笑し、わずかずつでも情報を掴んで帰る。
それが彼らの仕事。
そして、そのパーティが行われる会場を警備するのが炎豹の騎士の仕事だった。
問題としては……
さして何も起こらぬと思っていた会場の周りで魔獣が大量発生したこと。
先刻、通信機で外にいたらしいカナリスに聞いた話によると、
敵対組織が魔獣を送り込んだのではないか、ということであった。
とはいえ、それはハイドリヒたちには関係がない。
するべき仕事はしっかりとこなした。
次か、その次の任務ではその一団を捉えることができるだろう。
ドレス姿の彼の足元を吹き抜けるのは熱気を孕んだ風。
それはおそらく外で繰り広げられているであろう魔獣との戦闘で、
戦闘部隊炎豹の騎士が放った魔術のせいであろう。
このままこの場を離れて帰って良いのだが……
ひとつ、彼には気になることがあった。
―― 共に任務に赴いているであろう"彼"のこと……
ハイドリヒはひとつ息を吐くと静かに外に出た。
***
―― 屋敷の周り。
そこは一面炎に包まれていた。
選りすぐりの騎士たちが放つ炎属性の魔術。
かなり多くの魔獣が送り込まれたらしく、少々苦戦しているようだが、
どうにかあと少しで片が付きそうだ。
合同任務ということでついてきていた炎豹統率官……アレクは、小さく息を吐く。
どうにか無事に終わりそうだ、とそう思っていたのだが……
ある一角に目を閉じると、すっと目を細めた。
「ちっ……あの野郎」
小さくアレクが毒づく。
彼の視線の先にいるのは、赤髪の騎士だった。
獣の如く輝く赤い瞳。
彼ら……ディアロ城騎士団の騎士の制服は白い。
そのために、返り血はかなり目立つ。
その制服をあまり汚さずに戦う、というのも彼ら騎士の戦い方だ。
しかし、アネットはそれをしていない。
ただ、斬りつける。いくら血を浴びようとも。
それだけの単純作業を繰り返す機械のように。
それこそ、人間らしさは消え失せて小動物を襲う獣のような表情。
いつでも彼はそうだった。
少しでも本気になれば、枷が外れる。
その結果に暴走するのはいつものことで……
止めるのに、いつも苦労していた。
易易と止めることが出来るのはパートナー的存在のアルだけ。
しかし今日彼は来ていない。
アレクが彼の方へ駆け寄ろうとした、その隣を駆け抜ける一陣の風。
ふわりと彼の横を吹き抜けていった風に揺れた、金の髪。
「え……」
アレクが驚いているあいだに、彼はアネットのすぐ隣に立っていた。
傍から見れば、ひ弱な女性が怒り狂う騎士の傍に佇んでいるように見えるだろう。
しかし、実際は違う。
ハイドリヒは立派な剣豪である。
魔獣は既にほとんど息絶えているが、当の本人がおさまってなどおらず、
周りの空気の温度が上がり、陽炎が立ち上るほど。
そんな熱気に一度顔を顰めるも、ハイドリヒは迷わずアネットの手を掴んだ。
彼自身も炎属性魔術の使い手ではあるが、流石に熱かったのだろう。
少し痛そうに眉を顰める。
いつもの彼ならば、慌ててハイドリヒを心配するところ。
しかし、アネットは小さく唸るように"離せよ"と低く言っただけ。
ハイドリヒはそんな彼を見てすっと目を細めると……
キンッと高い音が響いた。
その次の瞬間、宙を舞ったのは大振りの剣。
それが地面に突き刺さり、周りが驚きの声を上げる。
「いい加減になさい」
アネットの首筋に剣を突きつけているのは、他でもないハイドリヒ。
鋭い切っ先は迷うことなしに彼を向いている。
「え……ラインハルト……?」
ぱちぱち、と瞬いた彼のガーネットの瞳はキョトンとしてハイドリヒを捉えている。
ハイドリヒは小さく息を吐くと剣をしまい、
自分が弾き飛ばしたアネットの剣を拾いに行った。
流石に手では拾えないため、魔術で弾いてアネットの方へ転がす。
アネットはそれを拾い上げた。
「まったく……世話のかかる人ですね」
アネットは剣を鞘に収めると、済まなそうにハイドリヒを見る。
「悪い、俺また……って、ラインハルト!手!」
すぐに気づいたのは、彼の手の火傷。
慌てた様子のアネットを見て、ハイドリヒは少し意地悪をするように言った。
「……誰の所為でしょうね」
「ごめん、俺……!」
アネットは焦った顔をしつつ、ハイドリヒの手を握る。
彼を止めようと、アネットの腕を掴んだハイドリヒの白い手は、
くっきり赤くなっており痛そうだ。
無論、本人はそんなことは表情にも出さないのだけれど。
ハイドリヒはさして気にしていないようにアネットの手を解くと、
いつもどおりの声で彼に言った。
「……そう思うのでしたら少しでもいいので理性を持って戦ってください」
帰りますよ、とそういうとハイドリヒはすたすたと歩き出す。
それを見つめる炎豹の騎士たちに少し不機嫌そうな視線を向けると、
"見世物ではありませんよ"と言って、歩くスピードを早めた。
アネットはそれを慌てて追いかける。
残された騎士たちは先刻の金髪の"美女"が誰であるのかを理解できておらず、
暫く謎の女性が暴走する騎士を止めた、という話が実しやかに語られたとか……
***
―― 帰り道。
いつもならば賑やかすぎるほどに騒ぐアネットが静かな為に、
二人の帰路はかなり静かなものだった。
ハイドリヒは溜息を吐くと足を止める。
「……アネットさん」
「な、何?!」
アネットも足を止めて、少しどもりつつ彼に返事した。
ちら、と視線を投げればアネットは動揺したようにそれをそらす。
ハイドリヒは彼に自分の方を向くよう言うと、呆れたようにいった。
「……私の怪我のことなら気にしなくて結構ですよ」
「いや、それももちろんなんだけど……」
彼にしては珍しく、物事をはっきり言わない。
むごむごと口ごもると、うつむいたまま黙ってしまった。
「何ですか。はっきりしなさい」
若干叱咤するようにハイドリヒが言うと、アネットは顔を上げて言った。
「……嫌に、なってないか?」
「は?」
「あんなふうに、戦ってる俺……挙句、ラインハルトに怪我させるし」
アネットにしては弱々しい声。
―― ハイドリヒも知っている。
アネットがそうして暴走するたび周りにいる騎士が怯えること。
それをなにげにアネットが気にしていること。
ハイドリヒはそんな彼の額を一度小突いた。
「馬鹿なことを考えている暇があったらもう少し剣の腕を磨きなさい。
私が敵だったら貴方はさっき死んでいますよ」
「え……」
なぜこのタイミングでそんなことを?という顔をするアネット。
ハイドリヒは彼の反応を無視して、話を続けた。
「こんな細い剣で弾き飛ばされたのだ、ということを忘れないように」
自分の剣をちらつかせつつ、"また訓練のやり直しですね"と言って、
ハイドリヒは小さく笑ってみせた。
―― 滅多に見せない、笑を見せたのはハイドリヒなりの思いやり。
少しでも気がそれるように。
自分は気にしていないのだということを伝えるように。
早く帰りましょう、と言って歩き出したハイドリヒのドレスの裾が夜風に揺れる。
先を歩き出した彼の長い金の髪が靡くのをしばし見つめていたが、
アネットは漸く笑を浮かべて、彼のあとを追いかけた。
―― Only you… ――
(周りの奴にどう思われていてもあまり気にはならないけれど
俺は本当に……お前にだけは嫌われたくないんだ)
(それで貴方を嫌うくらいならばとうの昔に離れているでしょう
…何とも思っていない相手を止めてやるほど私は優しくありません)