西さんとメイアンのお話です。
最近はもみじまんじゅうもいろんな味のがあるんですよね←
*attention*
西さんとメイアンのお話です
本家Laurentia!設定のお話です
ほのぼのなお話です
出張帰りのメイアンのお土産は…
由縁のある場所のお土産を喜ぶ西さん可愛いです←
メイアンはお土産とかマメに買ってくるタイプ
でも出張に頻繁に出かけられるのは…ってなってる西さんならいいなって
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
穏やかな風が吹き抜ける秋の夕方。
もう日も暮れはじめた駅前を走り抜けていくのは一台のバイク。
短い黒髪が風に靡いた。
週末の、駅前。
学校や仕事を終えた人々が賑やかに行きかっている。
飲み屋は込み始めるような、時間帯。
低いアイドリング音を立てて、バイクが止まる。
ハーフのヘルメットを一度外した黒髪の少年はふぅと息を吐き出して、時間を確認した。
午後五時半。
恋人が迎えに来て、といった時間よりやや早い。
ちゃんとついて良かった、と思いながら彼は少し乱れた髪を直した。
彼……西竹一が此処にいる理由。
それは恋人であるメイアンを迎えに行くためであった。
普段は西の学校、或いは彼自身の学校で授業をしている化学教師であるメイアン。
しかし今は、不在なのだ。
というのも……
「出張な……あんまり頻繁に言ってほしいもんじゃねぇな」
今は聞くものもいない。
だから、西はそう、独り言ちた。
メイアンが不在な理由。
それは、彼が出張で都外に出てしまっているからであった。
仕事を終えて、今日帰ってくる事になっているのである。
一応毎日連絡はしていた。
メールは頻繁に来たし、夜になれば電話もかかってきた。
他愛もない話をして、また明日といって電話を切って……
漸く、メイアンが帰ってくる今日になったのである。
何時に帰る?
そう問いかけた西に、メイアンは"五時四十分頃に迎えに来てくれない?"といわれたのだ。
西は正直驚いた。
てっきり、タクシーを使って帰ってくるものと思っていたから。
普段は、そうして帰ってくるのだ。
恐ろしいほどの荷物と一緒に。
しかし、今回は違うらしい。
荷物は、と聞けばあっさりと"明日の朝貴方の家に着くように手配したわ"と返された。
いつから俺の家がお前の家になったんだよ、などと軽口を叩いたが、そんな彼の反応が嬉しかったのは秘密だ。
とはいえ、荷物は自分の家に着くように手配したという。
だから彼は身軽で帰ってこられる。
だから、迎えに来てほしいと彼は言ったようだった。
別に迎えに行くのは構わない。
けれど、一体どうして?
いつものようにタクシーなりバスなりで帰ってくればいいのに……
そう西は言ったのだけれど。
―― 駄目なの?だって……
自分の問いかけに対するメイアンの言葉を思い出して、思わず表情を緩める。
それに気づいて慌てて表情を引き締めたのだけれど。
「ちょっとでも早く会いたい、か……」
メイアンの答えを思い出す。
彼は恥ずかしげもなく、電話口でそういったのだ。
その理由は、わからないでもない。
今回の出張は、いつもより少し長かったのだ。
教育関連に力を入れている学校の見学や研修授業があったからなのだけれど……
おそらく、それが原因で恋人である自分に一刻も早く会いたいと思ったのだろう、と西は思っていた。
自惚れでなく本気で。
と、その時。
「竹一!」
明るく、聞きなれたメイアンの声が聞こえた。
それにはっとして顔を上げる。
いつの間にか、彼が乗った電車が着く時間になっていたらしい。
今の自分の思考に気が付いて、西はぼっと顔を赤くした。
「お待たせ、竹一。……どうしたの?」
傍まで駆け寄ってきたメイアンは不思議そうに首をかしげる。
顔真っ赤よ?というメイアンの額を小突いて、西は言った。
「お前が無茶言うから急いできて暑いんだよ……」
そう、言い訳をする。
メイアンは一瞬きょとんとした顔をしたが"そうなの"と納得した顔をした。
「ごめんなさいね、おそくなっちゃって」
「良いよ、別に……ほら、寒くなる前に帰るぞ」
西はそういうと、メイアンの小さな手荷物をバイクのメットインに入れた。
そしてヘルメットを渡して、早く乗れよという。
メイアンはそれを聞いてふわりと笑った。
「うんわかったわ。宜しくね、竹一」
メイアンはそういって、微笑む。
西は久しぶりに見る彼の笑みに表情を緩めつつ、"おう"といった。
そうして二人はバイクに跨る。
慣れた調子でバイクのキーを回した西の首に、メイアンは腕を回した。
其のまま、ぎゅっと抱き付く。
「……おいメイアン」
「ん、充電」
メイアンはそういってくすり、と笑う。
西はそれを聞いて苦笑を漏らす。
「非科学的。……ついでに言うなら、危ないからあんまり抱き付くな」
帰るまで我慢しろ、と西は言う。
メイアンはそれを聞いて、苦笑を漏らした。
そしておとなしくほどほどに、離れる。
「はいはい、わかりました」
そういいつつ離れる彼のぬくもりが離れる。
少しだけそれに寂しさを感じつつ、西は"行くぞ"と彼に声をかけたのだった。
***
そうして二人は、家に帰り着いた。
バイクを降りて部屋に入るとメイアンははぁっと息を吐き出した。
「はぁ……やっと帰ってこれたわぁ……」
「返ってこれた、って扱いなんだな」
そういって西は笑う。
メイアンはそれを聞いて唇を尖らせる。
「何よぅ……別にこのまま私の家に帰っても良かったんだけど?」
そんな意地悪を言うメイアン。
西はそれを聞いて口を噤む。
やや恨みがましげな視線を向ける彼を見て、メイアンは"冗談よ"と笑った。
「あ、そうそう。竹一、お土産」
メイアンはそういいながら西にメットインに入れてもらっていた荷物から何かを取り出す。
そしてそれ……基小さな箱を差し出した。
「あ、もみじまんじゅうだ」
西はその箱を受け取って、目を丸くする。
そういえば彼が出かけていたのは広島だったか、なんて思いながら。
メイアンはくすくすと笑いつつ、言う。
「せっかくだからね。いろんな味あるみたいよ」
「味?」
そういいつつ西はさっそく箱を開けた。
そして目についた、チョコレートの饅頭を開けて、口にいれる。
もごもご、と暫しそれを咀嚼していた西だったが……やがて、ぱぁっと顔を輝かせた。
「何これ美味い!俺餡子のしか食ったことなかったんだけど!うまい!」
嬉しそうにそう声を上げる西。
メイアンはそんな彼を見て、微笑んだ。
「ふふ、そんなに喜んでもらえるとは思わなかったわ。
……西は、一応広島にも縁があるのよね」
カルセに聞いたわ、とメイアンは言う。
フラグメントである西たちのことを調べ、纏めている友人に教えてもらった。
彼は幼少の頃、広島の学校に通っていたのだ、と。
西はうんうん、と頷きつつ饅頭をかじっている。
よほど、珍しい味の土産が気に入ったらしい。
メイアンはそんな彼を見てくすくすと笑った。
自分に出会ってから幾らか甘党になった恋人。
彼がこうして自分の土産を喜んでくれるのが嬉しかった。
「また何処か行ったら何かおいしいもの買ってきてあげるわね」
メイアンはそういう。
しかしその言葉に西は一瞬固まった。
そして少し躊躇いつつ……"別にいいよ"という。
そんな彼の手は、メイアンの服を掴んでいた。
メイアンは彼の反応に幾度か瞬きを敷いてから、嬉しそうに微笑む。
そして優しく西の頭を撫でてやった。
「まぁ……当分は、出張なんてしたくないんだけどね」
「……ん」
暫くゆっくりしてりゃいいだろ、と西は言う。
メイアンは彼を愛しげに見つめながら、ふわりと微笑んだのだった。
―― 甘いお土産 ――
(甘いお菓子は、好きだけれど…
傍にあるぬくもりが離れるくらいなら、そんなもんいらないから)
(嬉しそうな顔をしていた彼の表情が曇った理由。
それが私にとっては不謹慎ながら、すごくうれしかったのよ)