ワルキューレコンビと科学者道化師コラボのお話です。
可愛い大佐殿とカルセのお話が書きたかったのですが…
なんだかもろもろ広がりました(^q^)
*attention*
ワルキューレコンビと科学者道化師コラボのお話です
本家Laurentia!のお話です
ほのぼのなお話です
可愛い大佐殿が書きたかった
ヘフテンさんとお二人でいるときは幸せそうなら可愛いなぁと
カルセとムッソリーニさんも微笑ましい恋人同士であってほしい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
放課を告げるチャイムが響く、校舎。
それを聞いて、養護教諭……カルセは顔をあげる。
そして書類に走らせていたペンを止めて、一度書類を整えた。
「今日は来たいっていってましたしね」
そうひとりごちて、残りの書類をファイルに戻して、鞄のなかにいれる。
そして椅子から立ち上がり、紅茶の準備をし始めた。
いつもならば静かに仕事を続ける放課後。
しかし今日は、恋人が此処に来るといっていたのだ。
普段は自分の迷惑になるからと遠慮して来ようとしない恋人……ムッソリーニなのだが、最近文化祭の支度で共に過ごせる時間が少ないからか、少しでも一緒にいられるならと思っているようである。
カルセとしてはその甘えは可愛らしいもの。
ダメかな、と控えめに問いかけてきた恋人に今はそこまで忙しくもないから来れば良い、と伝えてやれば明るい笑みを見られた。
それだけで、十分幸せである。
と、そうして茶の支度をしていると、ドアが開いた。
おや、ずいぶん早いな、と思いつつ振り向いたカルセはそこにたっていた少年を見て目を細める。
待っていた恋人ではなかったが、そこにいた彼もまた、カルセが気にかけている一人である。
少し癖のある黒髪、背丈のわりに華奢すぎる体、綺麗な青の瞳は片方しか見えない。
そしてその姿を見て、用件を理解した。
「おや、シュタウフェンベルク。眼帯、どうしたんですか?」
彼……シュタウフェンベルクは普段眼帯でおおっている方の目を片手で押さえていた。
恐らく用件はそれだろう、と予想はついた。
案の定シュタウフェンベルクは困ったような顔をした。
そしてカルセの傍まで歩いてくると、用件をのべる。
「眼帯の紐が、切れてしまって」
そう言いつつ彼は視線をポケットに落とす。
どうやらそこにあるらしい、と理解したカルセは少し失礼しますね、といいつつそのポケットを探った。
「おや、本当ですね。さっき切れたのですか?」
「あぁ……皆を驚かせても悪いと思って、急いできたんだ」
手とは逆の目を無くしているわけだから、こうして押さえて来るのも大変だっただろう。
カルセはそう思いつつ藍色の瞳を細め、シュタウフェンベルクを椅子に座らせた。
「ヘフテンに結んでもらうなりすればよかったのに」
「それも考えたんだが……帰りのホームルーム中だったから」
目を押さえながらではペンも持てないしと彼はいう。
ホームルーム中の教室を騒がしくするのも嫌だったし、大切な人であるヘフテンに迷惑をかけたくもなかった。
だから、一人で教室を抜け出して保健室にきたのだと彼はいった。
それを聞いてカルセは微笑む。
そして少し待っていてくださいね、といってから予備の眼帯を取りに行った。
「貴方は本当に優しいですね」
そう言いつつ新しい眼帯をつけてやると、シュタウフェンベルクは照れくさそうに笑った。
カルセはそんな彼の髪を指先ですいてやりながら、いった。
「でも、ヘフテンは何か勘違いしてしまっているのでは?」
「え?」
シュタウフェンベルクはきょとんとした表情で、カルセを見つめる。
カルセはくす、と笑いつつ彼にいった。
「何も言わずに此処にきたのでしょう?片目を押さえて」
「あ、あぁ……」
それがどうかしたか?とシュタウフェンベルクは首をかしげる。
カルセはそれを見てくすくすと笑いつつ、いった。
「……目が痛むと勘違いしたのでは?」
「あ……っ」
……どうやら、ちらともその考えは浮かばなかったらしい。
思慮深いわりにどこか抜けたところのある彼。
それを理解するとカルセは思わず吹き出した。
彼らしくもない笑い方にシュタウフェンベルクはややおろおろする。
カルセはそんな彼に微笑みながら首をかしげて、いった。
「眼帯は戻ったのですし、教室に戻って誤解を解いてあげた方が良いのでは?」
「そっ、そうだな」
やや焦ったようにシュタウフェンベルクは立ち上がる。
そしてカルセに礼をいって保健室を飛び出していこうとして……
ごつんっと、何かがぶつかり合う音がした。
さしものカルセも驚いてそちらへ視線を向けて……苦笑を漏らした。
「……っ」
「痛い、ですぅ……」
簡単に言えば。
保健室を飛び出していこうとしたシュタウフェンベルクと保健室に飛び込んできた誰かとが盛大に頭をぶつけたわけである。
保健室のドアの前で頭を抱えて蹲る二つの影。
それを見て、カルセはゆっくり彼らの方へ歩み寄っていった。
「本当に仲良しですね、貴方たちは。
同時に飛び出し、飛び込んでくるとは」
カルセの声に廊下側にいた金髪の少年は顔をあげる。
そして自分がぶつかった相手を見て、その人懐っこい緑の瞳を大きく見開いた。
「わ、ぁぁあっ、大佐!大丈夫ですか?!ごめんなさい!!」
泣き出しそうな声でそう詫びるのは、金髪の少年……ヘフテンで。
シュタウフェンベルクはぶつけた額を押さえつつ、頷いて顔をあげた。
「すまない、ヘフテン……怪我は、ないか?」
「僕は平気です!ごめんなさい、大佐……
あっ、あと、目、目、大丈夫ですかっ?!」
一瞬しゅんとしたと思ったら慌てて顔をあげて焦った顔をする。
忙しい子ですね、と思いつつカルセはほほえましげに彼らを見つめる。
シュタウフェンベルクは彼の質問にこくり、と頷きつつ、いった。
「私は大丈夫だ。
あと、目も……すまない、眼帯が壊れただけなんだ」
問題ないよ、とシュタウフェンベルクはいう。
ヘフテンは彼の言葉に一瞬きょとんとした顔をした。
しかしすぐにほっとしたように破顔する。
「なぁんだ、良かったです。
僕、てっきりどこか痛むのかと……流石にホームルーム中に教室飛び出すわけにはいかなかったので……」
そうしたかったんですけどねー、と彼はいう。
シュタウフェンベルクは彼の言葉にすまなそうな、でもどこか嬉しそうな顔をしながら、いった。
「すまない……それと、その……ありがとう」
少し照れたようにそういうシュタウフェンベルク。
ヘフテンは彼の言葉に嬉しそうに笑って、"何事もなかったなら、何よりです"といった。
と、保健室のドアがもう一度開く。
中を窺うように視線を巡らせるのは、カルセの待ち人……ムッソリーニで。
カルセはその姿に藍色の瞳を細めて、彼を呼んだ。
「ムッソリーニ、入りなさいな」
大丈夫ですよ、とカルセは彼を呼んだ。
するとムッソリーニは幾分ほっとした顔をして、カルセの方へ歩いてきた。
「なんだか賑やかだから……誰かいるのかな、って」
「いるにはいますが、処置はすんでいますから」
問題ないですよ、といいながら、カルセはムッソリーニの柔らかい金髪を撫でてやる。
ムッソリーニはその優しい掌に目を細めて、笑った。
「……良かった。入らない方がいいかな、って思ったから」
なんてね、と冗談目かした声でムッソリーニはいう。
カルセはそれを聞いてふわりと微笑んだ。
そして優しく彼の頭を撫でながら、言う。
「もう少し甘えて良いんですよ、ムッソリーニ。
私は教師であるより先に、貴方の恋人なのですから」
そういって目を細めつつ笑うと、ムッソリーニはぼんっと、頬を赤く染めた。
そんな彼の反応にカルセは微笑みながら優しくその頭を撫でてやった。
「あ、ぅ……カルセさん、人前……」
「彼らなら、大丈夫でしょう?」
シュタウフェンベルクとヘフテンを気にするムッソリーニ。
しかしカルセは平然とそういいながら湯のわいたポットの方へ向かう。
「貴方たちもお茶、どうですか?」
カルセの問いかけにシュタウフェンベルクとヘフテンは顔を見合わせる。
それから、ふっと笑って、ヘフテンがいった。
「折角ですが、遠慮します。
お邪魔になっても困りますし……僕たちは僕たちで、どこかでデートしましょうよ、大佐」
「で……っ」
デート、という言葉にシュタウフェンベルクは頬を赤く染める。
動揺したように視線を揺らす彼を見てクスクス笑いながら、ヘフテンは保健室から彼と出ていく。
その姿を見送って目を細めたカルセはムッソリーニの方へ向き直り、いった。
「さて、彼らも気を使ってくれたことですし……
折角ですから私たちも、二人きりで過ごすとしますか」
ね?とカルセは微笑む。
ムッソリーニは彼の言葉に頬を赤く染めつつ、こくりと小さく頷いた。
照れたように白い頬を赤く染めている愛しい恋人。
その姿に穏やかな笑みを浮かべつつ、カルセはお茶の用意を始めたのだった。
―― LOVERS TIME ――
(チャイムが鳴り響いてからは、恋人たちの時間。
二人きりで過ごす特別な時間の始まり)
(ただのクラスメイトから、恋人同士に。
教師と生徒から、秘密の関係に。)