シュタウフェンベルク兄弟でのお話デス。
時々テレビで流れてるとあるにゃんこの行動のムービーを見てたら書きたくなりました←
ペルは猫気質です(笑)
*attention*
シュタウフェンベルク兄弟&シュヴァイツァーさんのお話です
本家Laurentia!設定のお話です
ほのぼのなお話です
これ見よがしにカップを落とす猫の動画を見ててやりたくなったネタ←
ペルは猫気質です
弟に甘いお兄様たちが可愛い←
とりあえずシュヴァイツァーさんごめんなさい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
カリカリとペンがノートの上を走る音。
それだけが響く、静かな部屋……
長い黒髪の少年……ペルは退屈そうに頬杖をつく。
その視線の先にいるのは、三人の兄たち。
彼らは各々の用事をしていた。
ベルトルトとアレクサンダーは課題をやっている様子。
ペルでは理解出来ないような教科書を開いて、理解出来ないような問題を解いている。
暫く一緒にお勉強をしようとじっとそれを見つめていたけれど……
到底理解出来るはずがない。
そう思って彼は小さく息を吐き出した。
ペルは視線を少し動かす。
そこには隻眼の兄……クラウスがいた。
彼は課題をしているようではない。
本を押さえ、読んでいる。
熱中している様子だが……
「クラウス兄さんー……」
ペルは退屈そうに彼に声をかけた。
するとクラウスは顔をあげる。
そしてすまなそうな顔をしながら、ペルに言う。
「すまないペル、少しやることがあるんだ……」
「本読むの……?」
ペルは不服そうに言う。
それを聞いて、クラウスは少し本を揺らしながら、いった。
「この本を、明日の授業までに読まないといけないんだ」
そういうクラウス。
彼はそのまま読書に戻ってしまった。
ペルはそんな兄たちの様子を見て黒い瞳を瞬かせる。
そして、しょぼんとした顔をした。
「……うー」
そう唸るペル。
彼は退屈そうに机に突っ伏してしまった。
彼にも課題が出ていればやることもあったのだろうけれど、生憎今日の課題は終わってしまっている。
気を紛らせることさえできないのだ。
兄たちの邪魔をしたいわけではない。
けれど、一人でこうして放置されてしまうのは寂しくて……――
ペルはすっくと立ち上がった。
相変わらず顔はむくれたままに。
一つ思いついた行動。
それを実行に移すのは、少し躊躇われたのだけれど……
どうにも、この状況には耐えられない。
そう思ったようである。
彼はてくてくとキッチンに向かった。
そして自分の背丈よりずっと高さがある食器棚を見上げる。
それから、近くにあった台を引きずってきて、その上にのった。
そしてじっと棚の中を見つめる。
食器棚にはたくさんのカップや皿、グラスが入っていた。
それを見つめて、"品定め"をする。
初めに目についたのは、良く使うマグカップ。
兄たち三人は色違いのカップを使っている。
ペルだけは、可愛らしい黒猫のついたものだけれど。
「……これ、は」
これは流石に駄目だ。
駄目というか、嫌だ。
そう思ってペルはカップから視線を外す。
次に視線が向いたのは、食事を盛り付けるのに使うプレート。
それも、兄弟揃いで使っている。
だから、手を出すことは出来なかった。
大皿は重すぎて持てない。
そう思ったとき目についたのは、客がきた時に使うグラスだった。
幾つも同じものがある。
普段使いではない。
これにしよう、とペルは思った。
グラスに手を伸ばすペル。
それに気が付いたようで、クラウスは顔を上げた。
「ん……」
そんな弟の反応に、双子の兄たちも顔を上げて、そちらを見る。
そこにはグラスを手にした末っ子の姿があった。
「ペル、どうしたの?」
危ないよ?とベルトルトは声をかける。
ペルはそんな彼らの方をじっと見た。
そして手に持ったグラスをじっと見る。
「ちょ……」
何してんだ、と声を上げるアレクサンダー。
ペルはもう一度兄たちの方を見てから……
グラスを掴んでいた手を離した。
「わ?!」
「え?!」
驚きの声を上げる兄たちの目の前でグラスは粉々に割れる。
ペルはふぅっと息を吐き出した。
まるで一仕事やり切った、といわんばかりの表情で。
「あーあー」
そう声を上げながら兄たちはペルの方へ駆け寄ってくる。
アレクサンダーがとりあえず台の上に居るペルを抱き上げた。
「そのまま降りんなよ、怪我するからな」
自分をかまってくれる、兄。
それが嬉しくてペルは少し表情をほころばせる。
それを見て大体彼の行動の理由を理解したのか、クラウスも目を細めた。
「もう、駄目でしょ?怪我するよ?」
ベルトルトはそういいながらアレクサンダーに抱かれているペルの額を小突く。
ペルは首を竦めた。
クラウスもそんな彼の頭をわしゃっと撫でながら、いう。
「怪我はないか?」
そう問いかけるクラウスにペルがこくん、と頷いた時。
「こら!駄目でしょう?!」
響いたのはシュヴァイツァーの声。
彼は怒ったようにペルを見つめている。
ペルはそんな彼の様子に首を竦めた。
「……っ」
「私はお兄さんほど優しくありませんよ!
片付けなきゃですしコップも勿体無いでしょう!」
そう叱りつけるシュヴァイツァー。
ペルは首を竦めつつ、"だって兄さんたちが遊んでくれないから……"と呟く。
シュヴァイツァーはそれを聞いて幾度も瞬きをする。
それからふぅと溜息を吐き出した。
そしてアレクサンダーに抱き上げられているペルの額を強く小突きながら、いった。
「お口があるでしょうお口が!
ちゃんと構ってって言えば構って下さるお兄さんたちなんですから……!」
口で言えば通じるだろうに何で危ないことをするのかとシュヴァイツァーは彼に説教する。
ペルはむぅうっと頬を膨らませた。
口で言えば兄たちが構ってくれたであろうことは分かっている。
けれどそれを口に出すのが躊躇われたのだ。
だからこんな行動に出たのである。
「ううう……シュヴァイツァーきらい……!!」
ペルはそういって自分を抱きあげてくれているアレクサンダーに縋り付く。
そんな彼の行動を見て、ベルトルトは半ばからかうように言った。
「あー、シュヴァイツァーが泣かせたー」
そんな彼の反応にシュヴァイツァーは目を丸くする。
そして少し戸惑ったように声を上げた。
「え?!私が悪いんですかこれ?!」
私の所為ですか?!と声を上げるシュヴァイツァー。
アレクサンダーはガラスが落ちていないところにペルを下してやりながら、いった。
「ペルは構ってほしかっただけだもんなー」
よしよし、とペルの頭を撫でるアレクサンダー。
ペルはそんな彼に縋り付きながらじと目でシュヴァイツァーを見る。
クラウスもペルの頭を撫でてやりながら、いった。
「構ってやれなくてすまないな」
早く課題を終わらせるから、な?とクラウスはいう。
それを聞いてペルはこっくりと頷いた。
シュヴァイツァーはそんな彼らの様子を見てやれやれと肩を竦める。
見事なまでに末っ子の作戦に引っかかっているではないか、と。
「まぁ、仲が良いのは良いことなんですけど……」
それにしたっても自分の扱いがあんまりだ。
自分は何ら間違ったことを言った記憶はないのだけれど。
何で自分が悪者になっているのやら……
そう思いながらシュヴァイツァーはとりあえず床に散らばったグラスの破片を見る。
そして未だに兄弟できゃっきゃとじゃれている少年たちを見て、"片付けますから向こうにいっていてください"と声をかけたのだった。
―― 気を引きたくて… ――
(だって兄さんたちが僕の方を見てくれないから。
その作戦は、大成功…だったのかな)
(まったく仲良しなのはいいことですが…
甘やかしすぎるのはどうかと思うんですけどねぇ…)