西さんと伊佐次さん、ワルキューレコンビ&ペルのお話です。
伊佐次さんに人見知り発動するペルを書きたかったのです←
*attention*
西さんと伊佐次さん、ワルキューレコンビ&ペルのお話です
ほのぼのなお話です
伊佐次さんが遊びに来るお話です
ペルは意外と人見知り
でも慣れた相手にはすぐに懐きます←
西さんにもなついているんです(笑)
伊佐次さん仲良くしてあげてください←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
ぱたぱたと長い廊下を走る、小さな少年。
長い髪を初夏の風に靡かせて、彼は食堂を目指していた。
先程まで仕事であった彼の兄……クラウス。
そろそろ彼が帰ってくる時間なのだ。
仕事が終わるまでおとなしく待っていた彼は急いで兄たちのところに向かっているのである。
今日はクラウスたちとも親しい異国の騎士もいるといっていた。
暇があるからまた乗馬をしに行こうか、という話もしている。
最近は大分上達した乗馬。
その腕前を"先生"にも見てほしい。
そう思いながらペルは彼らがいるであろう食堂に向かっていった。
ぱたぱたっと食堂の中に飛び込む。
昼時から少し外れたその時間、人は少ない。
すぐに、兄を見つけることが出来た。
「クラウス兄さん!」
ペルは明るい声で兄を呼ぶ。
すると彼が振り向いて、綺麗な蒼の瞳を細めた。
「ペル」
来たんだな、と彼は言う。
ペルは彼に駆け寄ると、ぎゅっと彼の腰に抱きついた。
そしてはた、と気づく。
彼の傍にいる人間の姿に。
クラウスの傍には彼の副官であるヘフテン、そして件の異国の騎士である西。
そして、ペルが見たことがない人物がたっていた。
顔立ちが、自分達とは違う。
西と同じようなタイプであるから、皇御国の人間だとは思うが……
これはいったい、誰なのだろう。
「?ペル?」
クラウスは驚いたような声をあげる。
その理由は、ペルがクラウスの後ろに隠れてしまったからだ。
ぎゅ、とクラウスの服を握ったまま彼の後ろに逃げる体勢のペル。
ちらりと顔を出して、西の傍に立つ人物を黒い瞳で見つめる彼は完全に警戒モードだ。
「あー、怖がらせちゃったかな」
そういって苦笑を漏らす、見知らぬ青年。
彼の姿に、ペルは黒い瞳を細める。
そんな彼を見て、西は目を細めた。
「伊佐兄は怖い人じゃねぇよ」
そういいながらおかしそうに笑う彼。
それを見てペルは黒の瞳をぱちぱちと瞬かせる。
クラウスも自分の後ろに隠れている弟の頭にぽん、と手を置いた。
そして、"ちゃんと挨拶をしないとダメだろう"と諭すように言う。
「彼は西伊佐次殿。バロン西の従兄だ」
怖い人ではない、とクラウスは言う。
ヘフテンも彼をなだめるように"初めて会う方ですものねぇ"と笑った。
ペルはそれを聞いて視線をあげる。
伊佐次と目が合うと、彼はにこりと微笑んだ。
「従兄……親戚?」
ペルはそう問いかける。
その言葉に西が小さく頷いた。
「そうだよ。何か不思議か?」
そう問いかける彼。
ペルはそんな彼と彼の傍に立つ伊佐次都を交互にみた。
そして、呟くような声で言う。
「二人、親戚……でも、似てない」
そう。
伊佐次と西は、あまり似ていない。
親族と言えば、似るものではないのだろうか?
そういいたげな顔をしているペル。
それを見て苦笑を漏らすと、伊佐次は西を見ながら、いった。
「確かに竹一とはあんまり似てないな……
でも、確かにれっきとした親族だよ」
随分久しぶりに会ったけどね、と伊佐次は西を見る。
西は少し決まり悪そうに視線を逸らした。
西は、一人でこの国に出てきている。
色々なしがらみから逃げる意味で出てきているためにほぼ家出のようなもの。
連絡も寄越さないで好きに過ごしている様子の彼を心配して、伊佐次は此処に来たのだった。
その事情を聞いて、ペルはぱちぱちとまばたきをする。
そしてそろそろとクラウスの後ろから出てきた。
警戒を解いた様子の彼を見て、伊佐次は目を細める。
「ペル、自己紹介は?」
クラウスはペルの肩に手をおきながら、そういう。
ペルはそれを聞いて顔をあげた。
はにかんだような表情を浮かべながら、自己紹介をした。
「僕は、ペル……よろしく」
ぺこり、と頭を下げるペル。
まだ少し慣れていない様子の彼を見て穏やかに微笑みながら、"よろしくね"と伊佐次はいった。
「私の弟なんだ」
クラウスはそういいながらぽん、とペルの頭に手をおく。
そんな兄の行動にペルは嬉しそうに目を細めた。
「弟?」
彼らの言葉に伊佐次は少し驚いたような顔をした。
そして思わずペルとクラウスとを見比べる。
クラウスはフラグメントだ。
三人兄弟であったはず。
確かにペルと名乗ったこの少年は黒髪だけれど、瞳は全く違うし、何処と無く雰囲気も違う。
そんな伊佐次の視線に気がついたのだろう。
クラウスは目を細めながら、いった。
「血の繋がった実際の兄弟ではないが……彼は私の大切な弟だ」
そういいながら、クラウスは優しくペルの頭を撫でる。
そんな"兄"の行動に、ペルは嬉しそうな顔をしている。
そんな二人のやり取りは確かに"兄弟"だった。
その様子を見て伊佐次は穏やかに微笑む。
そしてそうなんですね、と呟くようにいった。
ペルは伊佐次の方を見る。
そして小さく首をかしげながら、いった。
「バロン西にも、色々教えてもらった……よ?」
「へぇ、竹一に?」
少し意外そうな顔をする伊佐次。
そんな彼の反応に西はむっとした顔をした。
「伊佐兄、俺には教えられることなんてないって言いたいのか……?」
そういいながら表情をひきつらせる西。
伊佐次はひらりと手を振って苦笑する。
「そういう意味じゃないけど……意外だなって」
「やっぱりそういう意味じゃん」
そういいながら西は少しむくれる。
ペルはそんな二人を見て目を細めつつ、いった。
「バロン西、乗馬教えてくれた……
僕、だいぶ上手に乗れるようになったよ」
ありがとう、とペルは少しはにかんだように言う。
それを聞いて西は少し驚いたように目を見開いた後、ぷいとそっぽを向いた。
どうやら、照れているらしい。
「べ、別に……」
たいして教えてねぇよ、と西は言う。
そんな彼の様子を見て、伊佐次はくすくすと笑った。
「竹一相変わらずみたいだね」
何だか少し安心した。
そういう伊佐次に、西は頬を赤くした。
「そうそう変わるかよ……」
「それもそうだね。
でも相変わらずってことは、他の人たちに迷惑かけてない?」
そんな説教が始まる。
西はべ、と舌を出して"別にそんなことねぇよ"という。
そんな彼らの様子。
それを見てペルは目を細める。
「バロン西、何かリラックスしてる」
そんな彼の発言にクラウスも目を細める。
そしてそうだな、と呟くようにいった。
「身内でゆっくりしてるのは、やはりいいよな」
そう呟くように言うクラウスにペルは寄り添う。
クラウスはそんな彼の頭を撫でてやったのだった。
―― 落ち着ける空間 ――
(昔からよく知った人と一緒にいるのは落ち着くのかな。
僕の落着ける場所は兄さんの隣だけどね?)
(少し警戒していた表情が緩む。
自分の身内と親しくしている人たちに会えて良かった)