大佐殿とクヴィルンハイムさん、ペルとヘフテンさんのお話です。
ちょっと天然さんな大佐殿が書きたくて←
*attention*
大佐殿とクヴィルンハイムさんの会話メインなお話です
ほのぼのなお話です
ともすればちょっとギャグ
ヘフテンさんとペルも
割とタイトルそのまんま
ド天然発言する大佐殿が書きたかった
それにツッコミ入れるクヴィルンハイムさんが書きたかった←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
だいぶ気温も上がり始めた、春先。
その爽やかな朝に、隻眼の少年……シュタウフェンベルクは外に出てきていた。
ぐ、と伸びをしながら小さく息を吐き出す。
今日は朝から会議があった。
それを終えてこうして外に出てきているのである。
「お疲れ様です、クラウス」
そう彼に声をかけるのは、彼の友人であるクヴィルンハイム。
彼の言葉に、シュタウフェンベルクは"ありがとう"という。
そうして彼らが言葉を交わしたその時、不意に中庭の方から声が聞こえた。
甲高い叫び声のような、声。
一瞬シュタウフェンベルクもクヴィルンハイムも体を強張らせる。
何か起きたのかと、身構えたのだけれど……
すぐに理解した。
その声は、中庭で騒いでいる猫の声。
それを認識したシュタウフェンベルクは苦笑を漏らして、小さく呟いた。
「随分賑やかだな」
そう呟く彼の声。
それを聞いて、クヴィルンハイムも苦笑を漏らす。
そして、小さく呟くように言った。
「春ですからねぇ」
もう暖かくなってきたから、とクヴィルンハイムは言う。
猫たちにも"春"が来た、といったところだろう。
そう思いながら、二人は小さく笑う。
シュタウフェンベルクはふっと息を吐き出した。
そして、肩を竦めながら、言う。
「一瞬子供の泣き声かと思った……
こんなところで聞こえるはずがないのにな」
そう。
先程二人が体を固くしたのは、先程の猫が盛っている声がまるで人間の子供の泣き声のように聞こえたから。
それにより、彼らは驚いたのである。
「そうですね。
確かに何も意識していない状態で聞くと一瞬驚きますよね」
クヴィルンハイムはそういって笑う。
怯えるまではいかずとも怯えたのは事実。
一瞬顔を強張らせたシュタウフェンベルクの顔を見て、何だかおかしくなってしまったようである。
猫たちの声は静かになった。
落ち着いたか、何処かに行ったのか……
そう思いながら、シュタウフェンベルクは小さく息を吐き出す。
ふと、頭に浮かんだことがあった。
彼の黒髪を春の柔らかい風が揺らす。
そんな風を感じながら、シュタウフェンベルクはぼそり、と呟いた。
「……ペルにも発情期ってあるんだろうか」
何のことはない一言だった。
ふと頭に浮かんだこと、で。
しかしそれを口に出すと同時。
ごん、と頭に鈍い衝撃。
それに驚き頭を押さえながら、シュタウフェンベルクはその衝撃を与えた人物の方へ視線を向ける。
それは無論、隣にいた友人……クヴィルンハイム。
「痛っ、何をするんだメルツ……」
そういいながら、シュタウフェンベルクはクヴィルンハイムの方を見る。
そこには拳を固めた友人の姿。
クヴィルンハイムは彼の言葉に思い切り顔を顰めながら、言った。
「何をするんだじゃないですよ!
真面目な顔をして何言ってるんですか貴方は!?」
そう半ば叫ぶように言うクヴィルンハイム。
彼の言葉と反応にシュタウフェンベルクは蒼い目を大きく見開く。
幾度もそれを瞬かせた後、視線を彷徨わせて、彼は言った。
「だ、だって……外で猫が」
騒いでるから、とシュタウフェンベルク。
そんな彼の発言にクヴィルンハイムは大きく目を見開く。
それから視線を彷徨わせてから、溜息を一つ。
キッと鋭くシュタウフェンベルクを睨みつけながら、言った。
「一つ言っておきますが、ペルさんは人間ですよ?
猫じゃありません!」
きっぱりとそういわれて、シュタウフェンベルクは幾度も驚いたように目を瞬かせる。
それから"そういえばそう、か"などと声を漏らす。
そんな彼を見て、クヴィルンハイムは額に手を当て、溜息を吐き出した。
「はぁ……」
まったくこの子は。
そう呟いた後、クヴィルンハイムはやや呆れたような表情を浮かべた。
そして視線をシュタウフェンベルクの方へ向けて、言う。
「確かこの前もそうでしたよね?
バレンタインの時でしたっけ……」
時々、抜けた発言……言うならば天然発言をするシュタウフェンベルク。
いつも傍にいる友人であるクヴィルンハイムは、そんな彼を、彼の言動や行動をよく知っているのだった。
それはさっきのこともそうなのだが……
今からほぼひと月前のバレンタインの時も、シュタウフェンベルクはそんな発言をしていたのである。
「あー……」
シュタウフェンベルクにも、覚えがあった。
だから、小さく声を漏らす。
クヴィルンハイムはそんな彼を見ながら、言った。
「バレンタインにヘフテン中尉にチョコレートをあげるのかと聞いたら、貴方というヒトは……」
思い出す、あの時のこと。
バレンタインの時、クヴィルンハイムの問いかけに、彼は言ったのだ。
「"ヘフテンにチョコは渡せない、犬にチョコはあげたらだめだと提督が言っていた"なんて……」
「メルツ!」
もうそれは忘れてくれ!とクヴィルンハイムに言うシュタウフェンベルク。
思い返すに相当恥ずかしかったようで彼の頬は真っ赤に染まっていた。
「だって、ヘフテンが普段本当に犬みたいだから……」
目を伏せながらそう呟くシュタウフェンベルク。
彼の発言に、クヴィルンハイムは幾度か瞬きをする。
そして、溜息まじりに、言った。
「それは私も認めますけども……」
それは、事実だ。
彼の言う通り、シュタウフェンベルクの副官……ヘフテンは犬っぽい。
それは、クヴィルンハイムも認める、事実で……
と、その時。
「何がですか?」
ひょい、とあらわれる金髪の少年。
タイミングが良く部屋にやってきた彼……ヘフテン。
そんな彼を見て、シュタウフェンベルクはタイミングの良さに驚いて目を見開く。
「あ、ヘフテン」
声を上げるシュタウフェンベルク。
ヘフテンはぱっと笑顔を浮かべて、シュタウフェンベルクに書類の束を差し出した。
「大佐!終わりましたよこの書類!」
その笑顔。
……頭に犬の耳が、見える気がする。
ついでに、ばさばさと振られているしっぽも。
「……犬」
思わずそう呟くシュタウフェンベルク。
ヘフテンはそんな彼の言葉を聞いてきょとんとした顔をする。
何でもないですよ、と誤魔化すクヴィルンハイムの影から、ひょいと少年が姿を現した。
「クラウス兄さん……」
彼を呼ぶ、長い黒髪の少年……ペル。
彼はシュタウフェンベルクの腕をぎゅ、と握ると、少し怯えたような表情で言った。
「外すごい声する……」
そう呟くペル。
そんな怯えた表情を浮かべる彼。
それを見つめながら、シュタウフェンベルクは小さく笑う。
「あぁ、猫だから……大丈夫だ」
心配することはない、という彼。
その言葉に、ペルは少し驚いたような顔をして、言った。
「猫……なの?何だ……」
びっくりした、と呟くペル。
早起きして損したよ、といわんばかりの彼は、くぁあと欠伸をした。
その様は、まさしく……
「……猫、ですね」
クヴィルンハイムはそう呟く。
シュタウフェンベルクもこくり、と頷いた。
そんな二人を見て、ペルとヘフテンはきょとんとした顔をする。
「?大佐?」
「……二人とも、何?」
きょとんとした顔をする彼ら。
シュタウフェンベルクはそんな二人を見て、言った。
「いや、何でもない……何でもないんだ」
ちょっと、うん……
そう声を漏らすシュタウフェンベルク。
クヴィルンハイムもこくこくっと頷く。
「?なんなんだろ……」
ペルは不思議そうな顔をする。
ヘフテンも"さぁ?"と声を漏らした。
まるで子犬と子猫。
そんな二人を見てからシュタウフェンベルクとクヴィルンハイムは顔を見合わせて、小さく笑ったのだった。
―― Puppy and Kitty ――
(まるで子犬のような私の副官。
嬉しそうな笑顔や私のところに駆け寄ってくる彼の様子はまるで子犬のようで)
(まるで子猫のような彼の弟。
ちょっとしたしぐさや甘え方はまるで子猫のそれで)