シモ・ヘイヘさんとライシスのお話です。
愛称呼びをさせてみました←
ちょっとずつでも親しくなってほしくて…(^q^)
*attention*
シモ・ヘイヘさんとライシスのお話です
ほのぼのなお話です
少しずつでも親しくなる二人であればいいなと
ライシスは多分シモ・ヘイヘさんに好意を寄せてるんだよ、と…←
愛称呼びをさせてくれたら萌える(^q^)
季節がら、ちょっと早い桜
少しずつでも親しくなる二人が書きたかった←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
穏やかな風が吹きぬける中庭。
そこに佇む、銀髪の少年の姿。
彼の顔の左半分を隠す仮面。
長い前髪の隙間からちらちら見える青い瞳で、彼は空を見上げていた。
ふう、と息を吐き出す彼。
降り注ぐ暖かい陽射し。
吹き抜ける風にも冷たさはなくなっていて、春の訪れを感じる。
そのぬくもりに、周囲にいる騎士たちは喜んでいる様子だった。
暖かな春を歓迎している。
しかし仮面の彼……シモ・ヘイヘは違う様子。
彼の頬が微かに赤くなっている。
それは、この暖かすぎる気候の所為。
彼の出身地は此処よりずっと寒い。
そのために、この土地は暑いほどなのだった。
室内に戻れば良い、と周囲は言うだろう。
彼はこの城の騎士ではなく、時折銃撃の練習などのために呼ばれているのだけが、
そうして滞在している間は城にいる事を誰かが咎めたりはしないし、
城の中の設備……食堂などを使うのも至って自由なのだけれど……
今、食堂には少々……否、かなり会いたくない人間がいる。
フラグメントである彼。
オリジナルの因果があって、会いたくない人間というのはどうしても存在するのだった。
だから、こうして外で適当に外で時間を潰すことになったのである。
さて、どうしようか。
そんなことをややぼんやりした頭で考えた、その時。
「シモ・ヘイヘさん」
声をかけられた。
シモ・ヘイヘは貌を上げる。
そこには艶やかなピンク色の髪の少年が立っていた。
にこり、微笑んで、彼……ライシスは口を開いた。
「こんにちは」
そう挨拶をする彼。
ぺこ、とシモ・ヘイヘは頭を下げた。
ライシスはふわりと微笑んで、"今から少し出られませんか?"と彼に声をかける。
「少し、みてほしいんです。
撃ち方、大分上手くなったんですよ」
そういう彼。
シモ・ヘイヘはこくり、と頷いた。
別段用事はない。
今日警察の訓練があるとも聞いてはいないけれど、
最近ライシスが自分に声をかけてくるのは事実。
気にすることではない。
ライシスは彼の返答にふわりと笑う。
そして"ありがとうございます"と彼に礼をいったのだった。
***
二人は外に出てきた。
街中からは少し外れた広場のような場所……
そこにきたライシスは拳銃を構えた。
早くに咲いた桜。
それをみて、ライシスは目を細める。
「綺麗ですよね」
そう言って微笑むと、彼はひらひらと舞う花びらに拳銃を向ける。
そして、引き金を引いた。
響く銃声。
舞う花びらを狙う銃弾。
やはりうまく当たらない、と彼は苦笑した。
「この花が見せたくて貴方と来たかったんです。
……ご迷惑ではなかったですか?」
ライシスは少しすまなそうにシモ・ヘイヘにいう。
彼がなにも言わないからいつもこうして連れ出してしまっているけれど、
迷惑に思ってはいないだろうか、と思っているのである。
「ん……平気、今は、わたし、何も、ないから」
辿々しくそう答える彼。
その言葉に、表情に、嘘は感じない。
ライシスはほっとしたように、いった。
「そうですか。
シモ・ヘイヘさんが良いと言うなら良かったです」
そう言って微笑む彼。
その紫の瞳をシモ・ヘイヘはじっと見つめる。
彼の視線に、ライシスは不思議そうに首をかしげた。
「?どうかしましたか?」
なにか?と訊ねる彼に、シモ・ヘイヘは少し戸惑うように視線を伏せる。
それから、呟くような声でいった。
「……シムナ」
「ん?」
聞こえた彼の声。
それを聞いていっそう不思議そうな顔をする。
シモ・ヘイヘは顔をあげてライシスを見つめると、静かな声でいった。
「シムナ、で……いい。
シモ・ヘイヘって、呼びにくい……」
そういう彼。
彼の言葉に、ライシスは少し驚いた顔をした。
シムナ。
それは、彼の呼び名、だろうか?
そう思いながら、ライシスは顔を綻ばせる。
「そう、ですか……愛称、ですかね?
なら、そう呼ばせてもらいますね。
シムナさ……いえ、シムナ」
そう呼ぶ彼。
シモ・ヘイヘはゆっくり瞬きをする。
ライシスはそんな彼を見つめながら、いった。
「愛称で呼ぶなら、さん付けは何かおかしいですよね」
そう言ってくすくすと笑うライシス。
そんな彼を見つめ、シモ・ヘイヘはいった。
「呼びやすいように、呼んで……」
「ふふ、ありがとうございます」
シモ・ヘイヘの言葉にライシスは穏やかな表情を浮かべる。
とても嬉しそうな表情。
嬉しかった。
彼が、あだ名で呼んでいいと言ってくれたことが。
なぜ、嬉しいと思ったのか。
それは、心の奥では、わかっている。
気に、かかっている。
傍に居て、話していて、楽しいと思う。
表情に乏しいとはいえ時折変化する表情が可愛らしいと思う。
こうして傍で話していたいと、そう思った。
今まで、誰かに抱いたことがない、感情。
……この感情がなんと言うものか。
それを言葉に出すことは、できないけれど……
と、シモ・ヘイヘがじっと見つめているのに気づいた。
なんですか?とライシスが首をかしげると、彼はいった。
「ライシス……は、仕事、いい、の?」
こうして此処にいるけど、とシモ・ヘイヘはいう。
ライシスは彼の言葉に小さく笑って、答えた。
「射撃の訓練は仕事の一環ですよ。
ま……こじつけかもしれませんけど」
そういいつつ肩を竦めた。
そして拳銃を構え直して、首をかしげた。
「教えてくれますか?」
「ん……」
こくり、と頷くシモ・ヘイヘ。
彼も拳銃を構える。
ひらひらと舞い散る桜の花びら。
それに狙いを定めて、引き金を引く。
彼が撃ち出した銃弾は綺麗に花びらを撃ち抜いた。
それをみて、ライシスはほぅと息を漏らす。
そして目を細めながら、いった。
「相変わらず、すごいですね。
私には真似できませんよ……
極力近づけるように、頑張りますがね」
そういって、ライシスは笑う。
シモ・ヘイヘはそんな彼をじっと見つめた。
ライシスは首をかしげ、彼に訊ねる。
「……?どうかしました?」
そんな問いかけの声に、シモ・ヘイヘは目を伏せた。
そして暫し言葉に悩む顔をした後、口を開いた。
「……ライシス、は……
わたしと、居て……楽しい、の……?」
そう問いかける彼。
それを聞いて、ライシスはゆっくり瞬きをした。
「え?」
どう言うことですか?と問い返す彼の声にシモ・ヘイヘはまた少し口を閉じる。
そして、呟くようにいった。
「……楽しい、のかな、と。
わたし、話すの、あまり、ないのに……」
そういう彼。
話し上手ではない自分。
そんな自分と話していて楽しいのか、と疑問に思う。
ライシスが最初の射撃訓練の時に声をかけてきたのがそもそも驚きだった。
自分と話していて楽しいのか。
自分に会いに来て楽しいのか。
そう、シモ・ヘイヘは訊ねる。
ライシスはそれを聞いてふっと笑う。
そして、頷きながら言った。
「楽しいですよ。
貴方と、話ができて」
だからこうして会いに来ているんです。
そういうライシスに、シモ・ヘイヘは少しだけ、驚いたような顔をする。
それから目を伏せつつ、言った。
「そう……」
そうなんだ、と彼は思う。
彼が楽しいと思って自分のところに来てくれているのだとしたら……
それは、良かった、と思う。
「今度また、お礼させてください。
何かの、形で」
ライシスはそういった。
シモ・ヘイヘは首を振り、彼に言う。
「お礼、別に、いい……
別に、何かしたわけでも、ないし……」
お礼なんてしてもらえるほどのことはしていない、と言いたげな彼。
ライシスはその青い瞳を見つめて目を細めながら、言った。
「でも、こうして会って話してもらえるの、嬉しいですよ」
「そう……」
そうなんだ、と呟くシモ・ヘイヘ。
そんな彼に頷いて見せながら、ライシスは"またこうして一緒に出掛けましょうね"といったのだった。
―― Enjoy? ――
(楽しいですよ、貴方と一緒に居ることが出来て。
こうして一緒に居ることが、少しでも言葉を交わすことが幸せだと思うんです)
(あまり話は、出来ない、のに。
それでも、あの人が良いというなら…)