西さんとメイアン、及びメイアンのお姉さんシャルロットのお話です。
いかんせんシャルの独壇場というか…
すみません西さん←
*attention*
西さんとメイアン、シャルロットのお話です
ほのぼのなお話です
どっちかといえばギャグかも
主にシャルロットの所為です
気が早くて暴走気味なお姉さん
紳士で王子様でカッコイイ西さんを書きたかった←
メイアンも流石にタジタジです
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
「西ー、今少し時間あるかしら?」
自室で本をめくっていた西にそう声をかけてきたのは彼の恋人であるメイアン。
少し申し訳無さそうな、やや不安そうにも見える表情。
それを見て少し不思議そうな顔をしつつ、西は首を傾げた。
「別に急ぎの用事はないし時間ならあるけど……何だ?」
「うん……ちょっと一緒に来てくれる?」
そう言ってメイアンは微笑む。
西はやや怪訝そうな顔をしながらも立ち上がった。
そしてメイアンに訊ねる。
「別に構わないけど……何だ?」
仕事という風ではない。
かと言って遊びに行くという風でもない。
一体、なんだろう?
そう思って西は問うが、メイアンは曖昧な表情を浮かべる。
しまいには"ついてくればわかるわ"とだけ言って、歩き出してしまった。
「ちょっと……なんだよ?」
「別に危ないことじゃないわよ、安心し……
や、ある意味危ないのかしら……」
そうぼそぼそと呟くメイアン。
西はえ、と声を漏らす。
「危ないって……」
「あ、どこかに行くわけじゃないの。
少し会わせたいというか、西に会いたがってる人が居て……」
そんなメイアンの言葉に西はきょとんとした顔をした。
会わせたい人?
自分に?
ましてや相手が自分に会いたいと?
「なんだよそれ……誰か皇御国から来てるのか?」
そんな西の問いかけにメイアンは首を振る。
仕事じゃなくて私的な用事よ、と彼はいう。
「誰だよ?」
「私の姉よ」
やっと明確に目的を示したメイアンに、西は嗚呼なるほど、と頷く。
それから怪訝そうな顔をした。
「自分の姉に会わせるだけなのに何でそんな気まずそうなんだよ?」
さっきからのメイアンの様子は何だかおかしい。
変に気を使っているというか、心配しているというか……
まるで西に自分の姉を会わせるのを躊躇っているような……
何か理由でもあるのかと、西は問いかける。
メイアンはその言葉に少し困ったような顔をした。
そして、ふっと息を吐き出しつついう。
「うーん……いや、ね……
姉さんから届いてた手紙のテンション的に一抹の不安が……
あ、ついたわ、此処ね」
何だか気になる言葉を吐いた後、メイアンは足を止める。
いつの間にか二人は応接室に到着していた。
西は少し緊張した表情を浮かべる。
幼い頃に母親と引き剥がされ、兄弟も男ばかりだった西にとって、
女性と接する機会は決して多くはなくて、少々緊張したりもする。
ましてや、相手は恋人の身内だ。
そんな西の様子に気づくと、メイアンはふっと笑った。
そして軽く西の頭を撫でて、いう。
「身構えなくても大丈夫よ。
ほぼ私にそっくりというか、私が姉さんに似たというか……」
「それは確かに、そんなに緊張することないかもな」
そう軽口を叩くと西は少し笑う。
その表情に目を細めると、メイアンは軽くドアをノックして、開けた。
西は彼に続いて部屋に入ろうとした……が。
メイアンが部屋にはいらない。
何をしているのかと言おうと思ったが、すぐに状況を理解した。
「めーちゃん久しぶり!」
部屋の中から飛んできた女性がメイアンにしっかり抱きついているのである。
お陰でメイアンはドアの前に立ち往生。
西も必然そのまま、という訳だった。
「久しぶりね、シャル姉さん」
そう言ってメイアンは微笑む。
どうやら"めーちゃん"というのは、メイアンの呼び名らしい。
何だかいよいよ女性のようだなと思いつつ西は苦笑した。
「で、シャル姉さん……少し離れてくれないと西を紹介できないんだけど」
「あ、ごめんごめん」
ちょっとはしゃぎ過ぎちゃった。
そんな声と同時にメイアンから離れる誰かの気配。
メイアンは室内に入り、西もそれに続いた。
室内に居たのは確かにメイアンによく似た女性だった。
綺麗な金髪。
鮮やかな緑色の瞳。
ただ、おしとやかに見えるメイアンと違っているのは、
女性……メイアンの姉だというその女性はずいぶんと活発そうな容姿だ。
金の髪もショートカットに揃えていて、服装もラフなTシャツにホットパンツという格好。
上品な貴族のお嬢様たちとは明らかに違う風貌だった。
その点は少し予想と違っていて、西は驚く。
「西、紹介するわね。
こちら、私の姉さん……シャルロッテ・コンチェル。
で、姉さん、この人が私の大事な人、西竹一よ。
皇御国の子だって事は前に話したわよね?」
メイアンの紹介の後、西は少し緊張気味にシャルロットという名らしい女性に歩み寄った。
そして跪いて彼女の手を取る。
その手の甲に軽くキスを落としつつ、彼は言った。
「はじめまして、私は……」
「きゃー!話に聞いてた以上にかっこ良くて素敵!
本当に王子様みたいだわ!!」
西が改めて自己紹介をしようとした刹那上がったそんな声。
西は思わず驚いて固まった。
見れば、メイアンの姉……シャルロットは目をきらきらさせて西を見ている。
そしてぎゅっと西の手を握って、笑った。
「はじめまして!
私はシャルロッテ・コンチェル。
シャルって呼んでちょうだいね?」
「え、あ、いえ、そんな、訳には……」
西はややしどろもどろだ。
しかし女性をあだ名呼びするわけにはいかないと丁重に断る。
するとシャルロットはむぅっとむくれた。
「固いこと言わないの!
めーちゃんの恋人って事は私の弟も同じでしょう?」
彼女の発言に思わずフリーズする西。
メイアンの方を見れば、"ある程度の事は話してあるのよ"とやや済まなそうにいう。
ある程度、というのは……
「あれ?そうだったよね?
めーちゃんの恋人さんで王子様だよね」
「っ!?」
前者はいい。
後者まで言われると思っていなかった。
西は少し視線を彷徨わせる。
メイアンも"ほんとに姉さんは……"と頭を抱えている。
そんな男性陣は他所に、シャルロットは盛り上がっている様子。
興味津々に西を見つめて、矢継ぎ早に質問した。
「ねぇねぇ西君、だっけ?
貴方はどうしてめーちゃんが気に入ったの?
出会いは?きっかけは?どこまでいってるの?
めーちゃんこんな口調だし見た目だし性格だけどいいの?
乗馬が得意って本当?
素敵ねぇ……ほんっと王子様みたい……
いいなぁ、私もこんな王子様がほしいよめーちゃん!」
「姉さん、西が驚いてるから一度離れて頂戴」
そう言いながらメイアンは西からシャルロットを引き剥がす。
ケチー、と呟きつつシャルロットは少しおとなしくなる。
西はほっと息を吐き出した。
女性には紳士的に、というのがポリシーではあるが、
あそこまで怒涛の勢いで来られると少し困る。
「申し訳ありません……少し、驚いて」
「いいのよー!
寧ろ初で可愛い!私もう一人くらい弟が欲しかったのよ」
こんなに早くかなって幸せだわぁ、と声を上げるシャルロット。
そして彼女は再び爆弾投下を始める。
「ね、ね、西君?
タキシードがいい?それともワフク?がいいのかしら?
めーちゃんこれでも一応綺麗な顔してるし線も細いからウェディングドレスもいけるし……」
「え、え……」
「姉さん話が飛躍しすぎ!」
もう!と声を上げるメイアン。
西は少し頬を赤くして固まっている。
「写真撮影は任せてね!私これでも写真家なのよ!」
そう言いながらすちゃっとカメラを構えるシャルロット。
西は彼女の笑顔にただまばたきを繰り返す。
「ね、私が姉さんに会わせるの躊躇った理由、わかったでしょ?」
ごめんなさいね、とメイアンは少し済まなそうに詫びる。
いや大丈夫、と言いつつ西は相変わらず一人暴走しているシャルロットを見て、苦笑を漏らしたのだった。
―― His Sister ――
(大切な恋人の、お姉さん。
ずいぶん子供っぽくて明るい人、だな)
(でも確かにどことなく彼に通じるものがある?
…彼はここまで賑やかではないと思う、けれど)