メイアンとレーシー、そしてレーシーと西さんの絡みなお話です。
本当は後半部の新コラボ二人のやり取りを書きたかったのですが長くなったのでとりあえず、前半を…←
思わぬ事態に動揺する美人さんっていいですよね(^q^)←おい
*attention*
メイアンとレーシー、レーシーと西さんのお話です
シリアスなお話です
メイアンもあれでいて結構危険な仕事をしている人なので…
レーシーは基本的に致命的どじっ子←おい
そしてレーシーと西さんの絡みも書いてみたかったのです…(^q^)
思わぬ事態に思わず動揺しちゃう美人な西さんだったら素敵だな、と…
こうして動揺するくらいにはメイアンのことを思ってくれていたらな、という妄想←おい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
ざくざくと木の葉を踏む音。
それが響く静かな森の奥……
そこを歩いていくのは、二つの影。
歩幅の広い大きな影……メイアンを追う、小さい影、レーシー。
上官の隣にならんだレーシーはにこりと笑って、メイアンにいった。
「魔獣調査の仕事は久しぶりですよねぇ、メイアン局長」
こうして外に出てくる仕事は研究仕事、調査が多い彼らには珍しい。
そうして外に出られたのが嬉しかったようで、レーシーはにこにこと笑っている。
メイアンは彼の言葉に微笑んで頷いた。
「そうね……最近は大分平和だったから」
室内での仕事も少なかったしね、と彼は言う。
最近は彼ら……王国警察の人間が動かなければならないような仕事は少なくて、
比較的平和な日々が続いていたのである。
「魔獣調査機関は今回関わらないのですか?」
レーシーは遅れないように歩きながらメイアンに問いかける。
普段は魔獣の調査は専門の機関が行っている。
それなのに今回は自分達でやるのかと彼は問うているのだ。
メイアンは彼の言葉に小さく頷く。
そして少し表情を険しくしながら、言った。
「今回は少し危険な魔獣だからね。
戦うことも考えられると言うことで、私たちが駆り出されたのよ」
魔獣調査機関の人間は、基本的に戦闘に慣れていない。
そういった人間が魔獣の討伐に関わるのは危険だと言うことで、
そういった場合に彼ら……科学・魔獣調査班が動くのだ。
「なるほど……そうだったですか」
レーシーは納得なのです、といって頷く。
彼らしい反応をするレーシーを見て微笑んだメイアンはすぐにはっとした顔をした。
感じたのは、殺気だ。
何処だ?
そう思うのと茂みから同時にバキッと木の枝が折れる音が聞こえた。
「っ、レーシー伏せて!」
メイアンは鋭い声での指示と同時にレーシーの小さな体を地面に伏せさせた。
唐突な彼の行動にレーシーは驚きの表情を浮かべる。
魔獣の影が二人のいた高さを抉っていく。
メイアンはすぐに体を起こして、レーシーに問いかけた。
「怪我はない!?」
「だっ、大丈夫なのです……っ」
レーシーもすぐに起き上がって頷く。
彼の様子を見てメイアンはほっと息を吐き出した。
「良かった……」
そして彼は険しい表情出前を見た。
そこには大きな虎のような魔獣。
ぐるる、と唸りをあげる魔獣の目はぎらぎらと光って見える。
レーシーはその様子に思わず息を飲んだ。
「これは思ったより厄介ね……
報告より大きいじゃない……っ」
メイアンはそう呟いて唇を噛んだ。
最初に聞いていた報告と違う。
あの報告より、魔獣の西須が大きい。
「成長、したのかもしれないのです……
或いは、この前の目撃情報の魔獣の親かも……」
レーシーがその可能性をあげる。
メイアンは舌打ちをして呟いた。
「この前の報告の時のは、子供……
だとしたら、これは大分まずいわね」
此方の方が気が立っているはず。
それに何より、一頭を討伐したところでまだ他がいると言うことだ。
「騎士団に討伐依頼を出すべきかしら」
魔獣の攻撃を躱しながら、メイアンは言う。
その言葉にレーシーも同意した。
「ですね……っ」
これは、危険だ。
この間の報告の魔獣でさえ狂暴で危なかったと報告が入っているのに……
「レーシー、一時撤退よ、私たちじゃあ手に……っ」
手に負えない。
メイアンはそういってレーシーの方を見て……目を見開いた。
「っ、バカ……!」
白衣の裾に引っ掛かったのか転んでいるレーシー。
瞳を大きく見開いている。
魔獣がそれを見て、ニヤリと笑った気がした。
―― 殺される
レーシーはぎゅっと目を閉じた。
体を起こすだけの時間はない。
攻撃を躱せるだけの俊敏さも、攻撃を防ぎきるだけの防御術も、彼にはない。
せめて痛みがなければ良いな。
もし無理なら、せめて短い苦しみのうちに……
そう思うが、一向に痛みも衝撃も、ない。
おかしい。
そう思うのと同時に、誰かに抱き締められた。
驚いて目を開ければ目に飛び込んできたのは、白衣の男性。
自分を庇うように抱き抱えるそれが自分の上官であると気付くのに、
さして時間はかからなかった。
それに驚く間もなく、彼は空間移動術を使った。
魔獣を残し、彼らは何処かに移動する。
どさりと二人が落ちたのは、見慣れた城の中庭。
メイアンも咄嗟といえどもある程度見知った場所に移動しようとしたらしい。
ただ……
レーシーはすぐに気がついた。
自分を抱き寄せていたメイアンの腕がするりとほどけていったことに。
レーシーは驚いて、そちらを見た。
そして大きく目を見開く。
「……!メイアン、局長……っ」
彼は、地面に崩れ落ちていた。
浅く呼吸をする彼の白衣は一部、赤黒く染まっている。
それが、彼の腹部を貫いたような傷から流れる血液によるものだと、すぐに気がついた。
レーシーの悲鳴じみた声にメイアンは目を開けた。
そして、苦笑を浮かべつつ彼は言う。
「は……ぁ……何、してるのよ……
白衣に、引っ掛かるなんて……」
貴方らしいけれど。
メイアンはそういって笑う。
その笑みは何処か無理をしたようなそれで、レーシーは顔を歪めた。
「局長……」
彼は小さく掠れた声でメイアンを呼んだ。
それにメイアンは答えようとしたようだが……すぐに苦しげに顔を歪めた。
「ぅ……ちょっと、痛い……わね……」
小さく呻くと、彼は完全に意識を失う。
苦しげに歪んだ顔の肌色は青白く、かなりマズい状況であることは明らかで。
「メイアン局長……?
し、しっかりしてくださいです……っ!」
レーシーは必死に上官に呼び掛ける。
それでも、メイアンが応えることはなかった……――
***
―― ディアロ城、騎士の棟。
その一室で、黒髪の騎士……西は一人、本を読んでいた。
いつもならば部屋に来る長い金髪の男性が、今日は姿を見せない。
仕事、だろうか。
西はぼんやりとそんなことを考えた。
いつのまにかページを捲る手が止まっている。
その度に視線が向くのはドアの方だった。
気配を、探る。
彼は、来ていないのだろうか、と。
しかし一向にその気配は感じない。
今日は来ないのだろうか。
この間、迷惑でないと告げたのだけれど……
そんなことを考えた西はゆっくりと首を振った。
まるで、彼が来るのを心待にしているみたいではないか、と。
けれど、その実……
楽しみにしている、のは事実で。
否定、しない。
それを直接メイアンに言うことは到底できそうにないけれど……――
と、そのとき。
「ん……何か、騒がしいな……」
西はそんなことに気がついた。
なんだか、外が騒がしい。
賑やかなのが常のこの騎士の棟だがいつもの騒がしさとは何だか雰囲気が違う。
西はとりあえず、廊下に出てみた。
そして周囲を見渡し、音がする方を探る。
「医療棟の方……?」
やたら騒がしいのは医療棟の方だ。
何かあったのだろうか。
そう思いつつ、彼はそちらに足を向けた。
次第に大きくなる騒ぎ。
しかしそれを誰かが散らしたのか、ふっと静かになる。
その静けさが、却って不気味だった。
と、そのとき。
「!これ、血……だよな」
西は足元に残る赤い点に気がついた。
赤と言うには既に変色して黒ずんでいる、それ。
間違いなく……これは、血液だ。
医療棟なのだから、といってしまえばそれまでだが、
常に清潔に保つよう心がけているであろう此処に血痕が残っているのは妙だ。
さっきの騒ぎになにか関係があるのだろうか。
西は何かに誘われるように医療棟の中を歩いていった。
その、道中。
彼は見たことのある顔を見つけて、足を止めた。
「あ……お前、たしかメイアンの……」
そこにいたのは柔らかい金髪の少年……
彼の姿は見たことがある。
彼……メイアンの研究室にいた助手だ。
「レーシー、なのです……西さん」
こんにちは。
そう挨拶するレーシーの顔色は優れない。
泣いていたのか、目が腫れている。
「何でお前が此処に?何かあったのか……?」
何となく、嫌な予感はしていた。
けれど聞かずにはいられなくて、西は彼に問いかけていた。
「ぅ……」
彼の問いかけと同時にレーシーの瞳に涙が溢れる。
そんな彼を見て、西は焦った顔をした。
「な、何で泣いてるんだよ……」
自分が泣かせたような気がしてなんだか嫌だ。
そう思いつつ慌てて言えば、レーシーはごしごしと目を拭いながら、言った。
「うぅ……だって、僕の所為でメイアン局長が……っ」
そういってレーシーは本格的に泣き出した。
彼の言葉に西は凍りつく。
「!メイアンが……メイアンが、どうしたんだよ?!」
ただ事でないことは、西にもわかって。
彼はレーシーに詰め寄り、事情を訊ねた。
そして、聞く。
彼と一緒に魔獣調査にいったこと。
予想以上に大きく強い魔獣で撤退しようとしたこと。
その際自分が転び、メイアンがそれを庇ってくれたこと。
その末……彼が、大怪我を負って、意識不明だと言うこと。
「な……」
思わず、絶句した。
仕事があるから部屋に来ないのだろうとは思っていたけれど、
まさか……まさか、こんなことになっているとは想像も出来なくて。
そして彼は泣きじゃくるレーシーの頭に一度手をおいた後、
冷静な声で、今彼が何処にいるのかを訊ねた。
そしてその部屋に、急ぎ足で向かったのだった。
―― Accident ――
(こんな仕事をしているんだ。
これくらいの事故、あって当然と思うのに…)
(どうして俺はこんなにも動揺している?
その言葉を聞かされたときに胸に抱いた想いは、何?)