シュペーアさんとペルでのお話です。
飴好きペルなのでこういうネタもいけるかな、と…
控えめだけど内心甘えん坊なペルとそれを理解してるシュペーアさんを書きたくて…←
*attention*
シュペーアさんとペルのお話です
ほのぼの?なお話です
風邪ネタなお話です
ペルは体調悪くてもあまり顔に出なさそうなので…
それでも何となく気づくシュペーアさんだったら萌えるなと…(^q^)
ぼーっとしてますが基本ペルは甘えん坊です(笑)
甘えん坊とそれを甘やかす方の絡みの雰囲気好きです
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
冷たい冬が吹き抜ける。
枯葉がひらひらと舞い落ちるその様子。
それを見つめて銀髪の少年、シュペーアは小さく息を吐き出した。
冷たい風の吹く中庭。
そこに立っているのはシュペーアと、長い黒髪の少年……ペル。
シュペーアの仕事も終わって、二人で休憩しようと食堂に向かっている途中。
そこでペルが足を止めたのだ。
シュペーアはそれに合わせて足を止めて外の景色を見ていたのだった。
「大分寒くなってきたねぇ……」
シュペーアはそう呟く。
目を細めた彼は小さく息を吐き出した後、彼はあ、と思い出したようにペルにいった。
「あ、でもペルさんは平気か」
北方出身のペル。
彼はそこまで寒さに弱くないだろう。
それに、そもそもの話ペルはあまり暑さ寒さに敏感な方ではないという。
寒さにも暑さにもそこまで弱くないはずだ。
そんな彼の予想通り、ペルはこっくりと頷いた。
そして、呟くような声でいう。
「ん……寒いのは、嫌いじゃ、ない」
僕がいたところそう、だし。
ペルがそういうと、シュペーアは微笑んだ。
「そっか」
そうだよね、とシュペーアは呟く。
同じように北方出身のスターリンもいっていたけれど、
彼方の地域から来た人間からしてみれば、比較的温暖なイリュジアの気候は暖かいくらいらしい。
ペルにとっても恐らくそうなのだろうな、と思った。
シュペーアがそんなことを思っていれば、ペルが服のポケットから何かを取り出した。
それの包みを開けて、口の中に放り込む。
恐らく、彼がいつも持ち歩いている飴だ。
「お腹すいたの?ちゃんとしたもの食べないと駄目だよ?」
シュペーアはペルにそういう。
放っておけば飴玉ばかりを食べているペル。
それを心配しているのである。
ペルは彼の言葉にこくりと頷いた。
わかっているよ、というように。
それならいいんだけど……そう呟いたシュペーアはあることに気が付いた。
ペルが食べている飴玉。
それがいつもと違っていた。
普段食べているのはいたって普通の飴玉。
けれど今食べているのは……――
「のど飴……?喉痛いの?ペルさん」
シュペーアは少し心配そうに問いかけた。
そう問いかけられて少し驚いたように固まったペルだったが、
すぐに首を振って、ポケットから取り出した飴を彼に差し出す。
「……大丈夫。シュペーアにもあげる」
空気乾燥してるから、とペルは言う。
そうか、というようにシュペーアは頷く。
そして彼が差し出した飴を受け取って、微笑んだ。
「ありがとう」
「……風邪引かないように、ね」
ペルは少し心配そうに言う。
シュペーアが依然倒れたのを気にかけているらしい。
彼はその言葉にふわりと笑って、言った。
「わかったよ。ありがとうね?」
ペルさんも気を付けてね、とシュペーアは言う。
ペルはそれに頷くと彼の手を取って、一緒に歩いていったのだった。
***
そんな次の日。
シュペーアはなかなか訪ねてこないペルを待っていた。
明日も来ていい?と訊ねてきた彼。
今日は一応午後から仕事をこなせばいいと思っていたから、
午前中の間一緒に過ごして一緒に昼食をとればいい……
シュペーアはそう思っていたのだった。
しかし……――
「……来ないなぁ」
シュペーアはそう呟いて溜め息を吐き出す。
そして時計を見た。
まだ、ゆっくりする時間はある。
「行ってみようか」
そう呟くとシュペーアは空間移動術を使った。
向かった先は、ペルの居るはずの場所……
彼らが住んでいる森の奥の屋敷だ。
その屋敷のドアをシュペーアは軽くドアをノックする。
誰かいたら、外に出てくるだろう。
そう思って。
しかし……――
「あれ?誰もいない……?」
返事がない。
オカシイな。
一体ペルは何処にいったのだろうか……
そう思いつつそっとドアノブに手をかける。
ノブは簡単に回った。
あれ、と思いつつシュペーアは一瞬ためらってからドアを開いた。
「お邪魔します……」
そう声をかけながら、シュペーアは中に入る。
薄暗い屋敷の中。
ぐるりとそこを見渡して……はっとしたように大きく眼を見開いた。
「ペルさん!?」
大きく声を上げる。
それは、床に倒れているペルの姿を見つけたからで……
シュペーアはペルに駆け寄り、そしてその華奢な体を抱き上げる。
その感覚でペルは薄く目を開ける。
「……シュペーア……?」
掠れた声で彼はシュペーアを呼ぶ。
シュペーアはそんなペルの頬をいつものように撫でながら、言った。
「ペルさん?!どうした……って酷い熱だよ?!」
触れた肌は熱い。
昨日から確かに体調が優れないのではないかと思っていたけれど……
ペルはゆっくりと首を振る。
「大丈夫……」
「大丈夫じゃないでしょう!」
どう考えても、大丈夫ではない。
どうして自分の周りは無茶苦茶をする人間ばかりなのだろうかと思ってシュペーアは溜め息を吐き出す。
自分たちのトップであるヒトラーといい、仲間であるゲッベルスといい、今目の前に居るこの少年といい……
そう思いつつシュペーアはそっとペルの額を撫でた。
熱がある彼の額にはうっすらと汗が滲んでいて、元々鈍い彼の反応はいつもより尚鈍く感じた。
「……ずっとひとりでいたの?」
シュペーアがそう問いかけるとペルはこくりと頷いた。
そして、呟くように言う。
「……ロシャは、遊びいったし、ノアールと御主人はお仕事……ブランとシャムは、買い物……」
目が覚めたらみんないなくなってた。
自分で何とか出来るだろうと思ったら、倒れていた。
身動きが取れなくてどうしようかと思っていたらちょうどシュペーアが来たらしい。
「それで……
まぁ、いいや……見つけられて良かった。
とりあえず、お城に行こう?」
医者はいる。
薬の処方くらいしてもらえるだろう。
シュペーアはそういったけれど、ペルは渋った。
「シュペーアとこに、いったら……うつる、かも」
「そんなこと気にしなくていいから!」
とにかく行くよ、といってシュペーアはペルを抱き上げる。
抵抗するだけの気力はないのか彼はおとなしい。
「全くもう……」
そう呟くと、シュペーアはペルを抱いたまま、再び空間移動術を使ったのだった。
***
そうして戻ってきた城。
医療棟に向かってペルをジェイドに診せる。
突然の患者にジェイドは驚いていたようだが、すぐに診察をしてくれた。
「熱がすこし高いですが、眠っていればよくなるでしょう」
そういいながら彼は病室のベッドにペルを寝かせた。
シュペーアはそれを聞いてほっとした声を洩らす。
「よかった」
「でも、暫くはゆっくり休まないとダメですからね。
薬はおいておきますし……
たべものは、あとからスープか何かでも持ってきましょう」
それくらいしか食べられないのでしょうし、とジェイドはいう。
シュペーアはそんな彼に軽く頭を下げながら、言った。
「お願いします」
「シュペーアは?仕事あるでしょう」
ジェイドはシュペーアにそう問いかける。
その言葉に少し躊躇ってからシュペーアは小さく頷いた。
「え、えぇ……」
少し躊躇ったのは、ペルを一人で此処に残さなければならないから。
一人では心細いだろう、と。
ジェイドはそんな彼を見てにこりと微笑む。
「やっていらっしゃいな。その間は僕が看ていますから」
大丈夫。
彼を一人にはしないから。
そんなジェイドの言葉にシュペーアはほっとしたように頷く。
「ありがとうございます、ジェイドさん」
ジェイドにそう礼を言うと、シュペーアはベッドに寝ているペルに歩み寄った。
そして優しく彼の額を撫でながら、言う。
「ごめんペルさん、すこしいってくるね」
「……いって、らっしゃい……」
ペルはシュペーアにそういう。
そんな彼に微笑みかけると、シュペーアは部屋を出て行った。
ジェイドはそんな彼の背を見送ると、小さく息を吐き出した。
そしてペルに問いかける。
「……苦しくないですか?」
「だいじょー、ぶ」
こくん、と頷くペル。
それを見てジェイドは目を細めて、言った。
「そう……なら、ゆっくり休みなさいな」
「……ん」
小さく頷くペル。
シュペーアが帰るまでゆっくり眠ろう。
少し心細い、けれど……
そう思いながら彼は目を閉じる。
そして小さく息を吐き出したのだった。
***
それからどれくらいした頃か。
そっと額に触れる、冷たい掌。
それを感じてペルは目を開けた。
「ん……」
ぱち、と瞬いた黒い瞳。
そこに映ったのは銀髪の少年……シュペーアで。
彼はペルにすまなそうに言った。
「あ、ごめんね。起こしちゃったかな……」
「……シュペーア……」
お仕事終わったの?
ペルが問いかけるとシュペーアは小さく頷いた。
そして彼に問いかける。
「大丈夫?」
「……大丈夫……
風邪うつしちゃったら……悪い、から……帰って、良いよ……?」
シュペーアはそんなペルの言葉に目を細める。
そして優しく彼の額を撫でながら、言った。
「僕は大丈夫だよ。
それに……一人だと心細いでしょう?」
ちゃんと気付けなかったお詫び。
そういいながらシュペーアはそっとペルの額を撫でる。
純粋な氷属性魔術を使うシュペーア。
彼の掌は心地よく冷たい。
それを感じながらペルは小さく息を吐き出した。
「ありがと、シュペーア……」
気持ちいい。
嬉しい……
そういいながら彼は目を閉じる。
シュペーアはそんな彼の頭を優しく撫でてやりながら、
"元気になるまでちゃんと傍にいるからね"と微笑んでいたのだった。
―― 控えめな君に… ――
(甘えることが苦手な君だと知っているから。
自分から甘えられるようにしてあげたいんだ)
(本当は心細くて寂しくて辛かったから…
優しく触れてくれてるだけで、すごく安心するんだ…)