赤髪金髪コラボでのシリアスなお話です。
どうにもこういうシリアスな二人の雰囲気が好きです…
何やら中途半端な感じですみません←おい
*attention*
赤髪金髪コラボでのお話です
シリアスなお話です
アネットは対人間の戦いに慣れていないので…
逆にライニさんはそういった仕事にも慣れている方です
そのギャップはやっぱりどちらにとっても気にかかるところなのではないかな、と…←
でも違いを感じつつも離れられない、でも…みたいな葛藤しているのが好きなのです(こら)
何やら中途半端な雰囲気ですみません…!
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
ぱちぱちと爆ぜる炎。
跳ね上がる周囲の気温。
そこは大きな屋敷の一室。
そこで向かい合う、二人の男。
一方は大柄な大人の男。
もう一人はその男よりやや小柄な大人と呼ぶには少々幼さの残る赤髪の少年……
赤髪の少年、アネットは手に握った武器を開いてに向ける。
そんな彼を見て、男は笑みを浮かべた。
余裕の表情。そして彼はアネットに問いかける。
「こんなところまで追っかけてきたのか」
それを聞いて、アネットはガーネットの瞳を細めた。
そして、低い声で言った。
「当然、だろ……仕事だ」
―― そう。
これは、仕事。
この大きな屋敷に集っていたのは、国内で子供を誘拐し、
外国に売っていたという組織の人間たち。
今アネットが追いつめているのも、その一人だ。
普段はこういった人間相手の任務を行うことが無い炎豹の騎士、アネット。
しかし今日は彼の恋人であるハイドリヒたちも一緒に来ていて、
その仕事の手伝いに来ていたのだった。
大体の人間は彼らに捕えられた。
しかしそのうちで一人が逃げ出したのだ。
それに気が付いたアネットは獣のように飛び出して、相手を追いかけたのだった。
そして追いついた先でこうして、戦闘になったのである。
相手もアネットも炎属性魔術使い。
周囲はあっという間に火の海になった。
おそらく少し離れた部屋で戦っているカルフィナの騎士たちの多くも炎属性魔術使い。
挙句現在の季節は夏。
この暑さのために炎属性魔術の威力は倍増している。
「はー……はぁ……っ」
汗だくになりながら、アネットは剣を握りしめる。
敵が逃げることは封じている。
しかしアネットの体も、魔力も、そろそろ限界だった。
元々アネットは短期決戦型の騎士。
今はかなり長時間、フルパワーで戦っている。
そのために、もう既にかなりバテてしまっているのだった。
そんなアネットを見て、男は笑った。
体も大きい、年も上。
そんな相手の方が体力的に分があるのは当然のことだ。
そして男は大ぶりの剣を振りかざして、アネットに斬りかかる。
「バテバテのガキ一人始末するくらい、俺たちには何ら問題ねぇんだよ」
今までにもあまりにいうことを聞かないガキは始末してきたからな。
男はそういって、アネットを見て笑う。
アネットは彼からしてみれば"標的"である子供と同じなのだろう。
「おとなしくしていりゃ殺しはしねぇよ。
そこそこ可愛らしい顔してるし、戦うことも出来る……
愛玩用には向かないかもしれねぇが、傭兵として使うにゃちょうどいいだろう」
器量は悪くない、戦闘能力は高そうだ、と男は言う。
アネットを見つめる男の眼は、商品を見定める商人の瞳だった。
アネットはそんな相手をガーネットの瞳で見据えた。
そして、吐き捨てるように言う。
「はっ……ふざけんな、売られて堪るか……っ」
お断りだ!といいながら、アネットは再び剣を振りかざして、相手の男に斬りかかった。
捕まって売られるなんてまっぴらごめんだ、と。
そんなアネットを見て目を細めると、男は"それは残念だ"といった。
そして大きな剣を振り回して、アネットの剣をはじく。
「っぐ……っ」
普段相手をしてもらっているアネットの上官、アレクよりも力が強い。
振るい方は単純だが、力はありえないレベルだ。
剣同士がぶつかった瞬間に腕に伝わる痺れ。
びりびりっとしたその感覚に、アネットは思わず手を緩めてしまった。
刹那、アネットの手から彼の魔術剣が離れ、飛んでいく。
鋭い金属音を立てて、彼の剣は遠くはなれた場所の床に刺さった。
アネットははっとした顔をしてそれを取りに行こうとしたが、
それより先に彼の足元が魔術で抉られた。
強い炎属性の魔術。
魔力もほぼ使い果たし、剣を手放したアネットには反撃するすべもない。
辛うじて彼の魔術は躱したものの、アネットはその場に転んだ。
「うぁっ!?」
小さく声を上げてその場に倒れこんだアネットに、男は歩み寄っていく。
そして、鋭く大きな剣を向けた。
「おとなしくしてれば商品にもしたところだが……
こんな気質じゃ危なくて傭兵にも出来ねぇな……此処で始末しておこう」
―― それが騎士団へのせめてもの反撃になるだろう。
自分の仲間たちを捕えた騎士への。
自分の仲間の一部はおそらく殺されただろう。
素直に捕まる人間ばかりではないから。
男はそういいながらアネットに剣を振りかざす。
それを辛うじて躱して転がる、アネット。
大きな剣が地面を抉る。
その威力にアネットはぐっと唇を噛んだ。
そしてそのまま、転がった先にあった自分の剣を引き抜く。
立ち上がって、反撃しようとした。
しかしそれより先……
「っ痛……」
アネットは小さく悲鳴をあげた。
ずきりと足に痛みが走る。
どうやら転んだ時に酷く捻ってしまったらしい。
強い痛みに立ち上がることが出来ない。
どうしようと、アネットは少し動揺する。
男は笑みを浮かべて、アネットに歩み寄った。
アネットはどうにか手に取りなおした剣をその男に向ける。
「おぉ……俺を斬るか?」
首を傾げる男の表情に浮かぶ余裕。
それは、アネットの瞳に揺れる迷いを見て取ったからか。
アネットは、ヒトを相手に戦ったことがほとんどない。
ましてや……
人間相手に命のやり取りなど、したことが無い。
せいぜい相手を怯ませるために怪我をさせる程度だ。
それ故に目に浮かぶ迷いを、男は感じ取ったのだろう。
どうせ目の前に居るこの少年は自分を殺せまい、と。
「さて……喋りにも飽きた。
そろそろお前のお仲間が俺を捕まえに来るだろう。
俺は……逃げたいんでな!」
そういいながら男は思い切り剣を振りかざす。
アネットは剣で応戦しようとしたが、腕が震えて動けない。
戦うことは、出来そうになかった。
この位置から少し動かせば相手の首を、或いは胸を突くことが出来る。
いずれにせよ急所だ。致命傷を負わせることが、下手をすれば……――
そんな思いが、逆にアネットの行動を縛る。
目に映ったのは男の笑み。
アネットはぎゅうっと目を閉じて、衝撃に構えた。
―― 刹那。
響いたのは、銃声。ぴしゃりと頬に飛ぶ、生暖かい液体。それを感じて、アネットはそっと、目を開けた。
そして、驚きに目を見開く。
先程自分に向かって剣を振りかざしていた男が、倒れたところだった。
アネットは剣を落とし、手で頬についた"何か"を拭う。
その手を見てみれば、わかった。
あぁ、これは……血だ。
恐らく、目の前の男の。
地面に俯せに倒れた男の頭からは、血が流れていた。
恐らく、それが……その傷がついた時に、彼の頬に血液が飛んだのだろう。
―― 待て。
では、一体誰が?
自分は、攻撃していない。
出来なかった。
だから、この傷は自分がつけたものではなくて、誰かがつけたもので……
「……アネットさん」
後ろで聞こえた静かな声。
それは、愛しい恋人の声だった。
アネットは気怠い体で振り向く。
そこに立っていたのは、美しい金髪の少年だった。
大好きな、大好きな、恋人。
彼は綺麗な拳銃を男の方へ向けていた。
その銃口からはまだ硝煙が立ち上っていた。
「ラインハルト、が……」
助けてくれたのか?とアネットは彼に問いかける。
ハイドリヒは真っ直ぐに彼の方へ歩み寄った。
倒れている男には目もくれず。
そして黒い手袋を外した。
真っ白い手で、そっとその血を拭った。
「怪我は」
静かな声で、彼は問いかける。
アネットは彼の言葉を聞いてきょとんとしたように瞬きをした。
そんな彼を見つめて、ハイドリヒはもう一度"怪我はありませんか"と問いかける。
「え、あ……大丈夫、だけど……」
「そうですか」
ハイドリヒはそういうと、手袋を嵌め直した。
そしてそのまま、男の死体に目もくれず、元来た道を歩き出す。
アネットはそれを見て、大きく眼を見開いた。
「ラインハルト……?」
いつもと雰囲気が違う。
それを、強く感じた。
撃ち殺した男にはもう、目もくれない。
まるで練習で的を撃っただけ。
その的を片付けないで帰ろうとしているだけ。
そんな風に、見えたのだ。
少し戸惑ったような声でハイドリヒを呼ぶ、アネット。
ハイドリヒはぴたりと足を止めた。
そして、彼の方へ振り向こうとせずに、言った。
「……すみません」
「え……何で、謝るんだよ、ラインハルト……」
お前は俺を助けてくれただけなのに。
アネットはそういう。
ハイドリヒはそんな彼の言葉を聞くと、小さく息を吐き出した。
そして、呟くような声で言う。
「……貴方は見なくても良いものを、見せてしまったから」
人と戦ったことのない貴方の目の前で。
貴方の目の前で人を死なせた。
……自分が、殺した。
ハイドリヒは静かな声でそういった。
そんな彼の表情は無表情のようであり、何か……暗い感情が灯っていた。
―― 重なって見えた。
床に座り込み、剣を握りしめているアネットの姿に、昔の自分の姿が。
……初めて人を殺めた時の姿が。
床に座り込み、追い詰められた姿。
死にたくない。
でも、死を覚悟するしかない。
それを感じた、その時に撮った行動。
それだけが、自分とアネットの違いだった。
銃を握り相手を打ち殺した自分。
殺すことが出来ず剣を下し死を受け入れようとした自分。
―― 嗚呼、やはり違った。
自分と彼は、やはり違った。
そういう、宿命なのかもしれない。
光の中生きる彼と、闇の中生きる自分。
やはり……相容れない存在、なのかもしれない。
先程のアネットの姿を見てハイドリヒはそれを、強く感じたのだった。
そんな彼の悲しげな、苦しげな様子に気が付いたのだろう。
アネットは慌てたように彼を追いかけながら、声をかけた。
「ラインハルト……」
「……足、引きずってますね」
ハイドリヒはアネットを見てそういう。
先程捻ったのを、見とがめたらしい。
「早く帰って、治療しますよ」
ハイドリヒはアネットにそういう。
その声色はそっけない。
何処か突き放したような声色……――
―― 彼の傍に、居るべきではない?
そんな思いが、ハイドリヒの中で渦巻いていた。
人を殺める事だって容易に出来る自分。
どうにもそれが出来ないアネット。
やはり自分たちは……――
どうしても、そう感じてしまう。
歩いていく二人の間は、少しずつ開いていく。
しかしアネットを完全に無視することは出来ず、少しだけ気にかけたように、
速めきることが出来ない、ハイドリヒの足……
その中途半端な空間は、彼らの現在の心の合間のようだった。
―― Chasm ――
(埋められない、埋め切れない、私たちの距離
一緒に居ることは、許されないのだろうか…?)
(俺を置いて歩いていこうとする彼。
でも俺を放置しきることも出来ず迷っている、彼……
どうして?どうして、俺の眼を見てくれないの……?)
2014-7-30 12:05