ワルキューレコンビでのお話です。
「涙と苛立ちと…」の続き的なノリで…
こういうほのぼのなお話も良いなと思ったのです←おい
*attention*
ワルキューレコンビでのお話です
ほのぼのなお話です
「涙と苛立ちと…」の続き的なお話です
両目覆ってものが見えない状態の大佐殿と
それを支えようとするヘフテンさんとを書きたくて…←
何だかんだでラブラブ(!)なお二人が書きたかったのです…
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
静かな騎士の棟の一室。
そこのドアを軽くノックしてから、金髪の少年は部屋に入った。
きょろっと周囲を見渡して、ベッドの上に目を止める。
その上ですやすやと寝息を立てている黒髪の上官。
昨夜は蒸し暑くて少し寝苦しかったためか、布団がベッドから滑り落ちている。
それを見て、くすりと笑うと金髪の少年……ヘフテンは小さく笑った。
そしてそのまま彼の方へ歩み寄って、優しく肩を揺らす。
「大佐ー、朝ですよー」
寝入ったままのシュタウフェンベルク。
彼の寝起きの悪さはほかでもない、ヘフテンが良く知っている。
現在の彼の状況はといえば、両目を包帯で覆っているという次第。
先日の任務で負った傷がまだ癒えきっていないのだった。
こんな調子だからまだまともな任務に出掛けることも、書類整理さえも出来ないというのが事実。
しかし、だからといって寝坊すると仕事に復帰した時に支障が出る。
そう思ってヘフテンはいつも通りの時間に彼を起こしに来たのだった。
「ん、ヘフテン……」
聞こえた、シュタウフェンベルクの声。
それを聞いてヘフテンは小さく笑う。
そして、彼が体を起こすのを手伝った。
軽く目を擦りかけたシュタウフェンベルクはその手を止めて、苦笑した。
今の状態ではいつものように目を掻くことも出来ない。
そして彼は小さく肩を竦めて、呟くように言った。
「この状態だと、朝なのか夜なのかわからないから困るな……」
そういいつつ彼はそっと自分の目を覆っている包帯を撫でる。
こうして両目を覆ってしまっているから光を上手く感じ取ることが出来ず、
朝なのか夜なのかわからない。
目が覚めないのも無理はないな、と思う。
ヘフテンはそっとそんな彼の手に自分の手を重ねつつ、言った。
「もう一応外しても問題はないと思うのですけどね……
念のため、とジェイドさんがおっしゃってましたし。
はい、包帯取り替えますよー」
そういうと、ヘフテンは彼の目を覆っている包帯を解いた。
ずっと同じ包帯をつけっぱなしというわけにもいかないから、
こうしてまめに取り替えをしているのだ。
それも、ヘフテンがジェイドから任されている。
する、と包帯を解くと、シュタウフェンベルクが目を開けた。
別に目を傷つけられたわけではない。
目の淵を切ってしまったためにその場所の保護のためにこうして包帯を巻いているだけ。
だから、目が開かないというわけではない。
幾度か瞬く青い瞳。
ずっと覆っていたために暫く焦点が合わなかったようだが、彼はじっとヘフテンの方を見る。
その視線に気が付くとヘフテンは不思議そうに首を傾げた。
「……大佐?」
どうかしましたか?と問いかけるヘフテンの声に、シュタウフェンベルクははっとした。
そして慌てたように首を振る。
「え?あ、いや、なんでもない……」
そう答える彼の頬は微かに赤い。
ヘフテンはまじまじとそんな彼を見つめた後、ニコッと笑った。
何となく、彼の思考回路が読めた。
そしてそれは、彼にとっても嬉しいもので……――
それを察したヘフテンは小さく笑うと、彼に問いかけた。
「……僕の顔じっと見て……どうしたんですか、大佐?」
改めてそう問いかける彼。
シュタウフェンベルクは彼の言葉を聞いて慌てて視線を彷徨わせる。
その後視線を伏せて、シュタウフェンベルクは小さく息を吐き出して、言った。
「う……否、だから……」
小さくぼそぼそと呟く様な声。
ヘフテンはにこにこと笑いながら首を傾げる。
シュタウフェンベルクはそんな彼から少し視線を逸らしつつ、言った。
「こ、ここ最近、お前の顔を満足に見ることもなかったから、その……」
「寂しくなってしまった、とか?」
シュタウフェンベルクに向かって首を傾げて見せるヘフテン。
彼の言葉にシュタウフェンベルクは大きく目を見開き、視線を彷徨わせる。
そして小さく呟くように言った。
「さ、寂しいというか……んん……まぁ、そうだな」
要するにそういうことだ、とシュタウフェンベルクは言う。
その声は相変わらず弱いが、ヘフテンはそれを聞いて少し驚いたように目を見開く。
その瞳を瞬かせると、ヘフテンは小さく呟くように言った。
「大佐が素直だ」
普段は滅多にそんなことを認めようとしないシュタウフェンベルク。
しかし今はすんなりと認めた。
何だかそれに酷く驚いてしまって……
シュタウフェンベルクはそんな彼のリアクションに見る見るうちに顔を赤くする。
そして、半ば怒ったようにヘフテンに言う。
「っ、煩いぞヘフテン!」
「あはは、冗談ですよ。
……でも、もう少しだけ我慢してくださいね」
そういいつつ、ヘフテンは彼の目を包帯で覆っていく。
彼が自分の姿を見ることが出来ない事に不安を覚えているのは理解できるのだけれど、
医療部隊の騎士が完全にOKを出すまではこうしておくのが一番だろうと思うのだ。
そうして綺麗に包帯を巻くと、ヘフテンはにこりと微笑んで、そっと彼の手を握った。
シュタウフェンベルクは少し驚いたように肩を揺らした。
ヘフテンはそんな彼を見て微笑みながら、優しい声で彼の耳元に囁いた。
「見えなくても、代わりにちゃんと触れてますから」
傍に居ることが良く分かるように、とヘフテンは言う。
シュタウフェンベルクは少し驚いたような間をあけた後、少し口元を綻ばせて言った。
「!ありがとう……ヘフテン」
「ふふ、どういたしまして。
……といっても、僕は僕でやらないといけない仕事もあるんですが……どうしましょう」
ヘフテンはそんなことを言いながら少し悩んだような顔をする。
その後パッと顔を輝かせて、言った。
「大佐の左手握ったままでやりましょうか、書類整理」
そっとシュタウフェンベルクの手を握るヘフテン。
そんな彼の手を感じながら、シュタウフェンベルクは苦笑を洩らす。
「やり辛いだろう……大丈夫だから、私は」
大丈夫、大丈夫だ。
だって……――
―― わかっている。
彼はぼそり、とそう呟くように言った。
彼の言葉にヘフテンは驚いたような顔をする。
「え?大佐、今なんて……」
「!……ヘフテンの魔力や気配は、なんとなくだがわかるから……――」
そう。
わかるのだ。
ヘフテンの魔力。
雰囲気。
傍に居れば、それだけでよく分かるのだ。
だから、大丈夫……
シュタウフェンベルクはそういう。
ヘフテンはそんな彼の言葉を聞いて暫し驚いたように瞬きをしていたが、
やがて嬉しそうに表情を綻ばせて、ぎゅっとシュタウフェンベルクの手を握る。
「……ふふ、それならば良かったです。
でも、大佐のお部屋で仕事をしていてもよろしいですか?」
僕も一緒に居たいから。
ヘフテンはシュタウフェンベルクにそういう。
彼の言葉を聞いて、シュタウフェンベルクは小さく頷いた。
「ヘフテンがそれでも良いというのなら……」
「ありがとうございます!
じゃあ、書類取りに行ってきますね!」
そういって、ヘフテンはシュタウフェンベルクの部屋から出て行った。
その気配を感じつつ、シュタウフェンベルクはふっと表情を綻ばせる。
見えなくても、ちゃんと傍に居てくれる彼。
その思いが嬉しくて……――
―― If you cannot… ――
(見えなくても傍にいる。
貴方が僕が傍に居ることを望んでくれるなら…)
(優しく握られる手。笑う声。感じる雰囲気…
それを感じて、安心できるんだ……――)
2014-6-28 19:18