ワルキューレコンビで獣化ネタなお話です。
ナハトさんの可愛い絵を見ていたらやりたくなってしまいました…すみません←おい
*attention*
ワルキューレコンビでのお話です
ほのぼの?ギャグ?なお話です
獣化ネタなお話です
我が家の悪戯研究者が毎度お世話をおかけします←おい
双方わんちゃんっぽいワルキューレコンビでこういうネタをやらせていただきたくて…!
元々わんこっぽいと思ってたヘフテンさんが獣耳化してるの見て笑う大佐殿と、
そんな大佐殿に絡むヘフテンさん可愛いと思ったのです…←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
いつもならば任務や訓練に出掛ける騎士たちが居なくなるために
少し静かになる時間帯の、騎士の棟。
今日は少し状況が違っていて、廊下にせよ休憩室にせよ、賑やかなまま。
それだけでも十分奇妙な状況なのだが、何よりおかしいことといえば……
廊下を行き交う騎士たちの一部の頭に生えた、動物の耳。
全員というわけではないが、一部の騎士たちの頭には兎だったり猫だったりの耳が生えていて、
ご丁寧に尻尾まで伸びている。
そんなことになった原因は、ほんの数十分前……昼食時の食堂での出来事だった。
***
一番食堂が混む、時間帯。
その時間に"彼ら"……シュタウフェンベルクとヘフテンもいた。
仕事の都合でイリュジアを訪れていた二人。
午前中の仕事が段落して、彼らは食事をとりに食堂にやってきていた。
だいぶ人は多かったのだが、タイミングは良かったらしく、
上手く席につけて、食事をとることが出来ていた。
「大佐、午後は外のパトロールの仕事を手伝ってくれないかと頼まれていましたよね?」
シュタウフェンベルクの副官であるヘフテンはパンを口に運びつつ、そう問いかけた。
此方の国に来ているときには、此処の騎士団の仕事を手伝うこともある彼ら。
暇だったらで良いから、と頼まれていたのである。
シュタウフェンベルクは彼の言葉に小さく頷いた。
午前中の間に書類系の仕事は全てこなした。
だから午後は、休憩がてらヘフテンと一緒に街を回ってみるのも良いかもしれない……
彼はそう思っていた。
パトロールといったって、ほぼ散歩のようなものだから、と頼んできた相手……
雪狼のリーダーはそういっていた。
彼としては、"折角国に来てくれてるんだから買い物がてら散歩してみろ"といったところだったのだろう。
ヘフテンはシュタウフェンベルクの反応を見て、嬉しそうに笑った。
「大佐とゆっくり二人で街中歩きですね」
「そうだな……まぁ、仕事なのだから気は抜くなよ」
シュタウフェンベルクがそういうとヘフテンは人懐っこい笑顔のままで頷いてみせた。
その従順な態度を見て、シュタウフェンベルクはふっと息を吐き出す。
―― まるで犬だな。
シュタウフェンベルクが常々思っていることだった。
ヘフテンは、犬っぽい。
従順な性格や、自分に対する忠誠心。
或いは人懐っこいところ……――
そんなことを思っていた、その時。
ぽんっと何か軽いものが爆ぜたような音が聞こえた。
シュタウフェンベルクはそんな音に驚いて、目を丸くする。
幾度か瞬きをして……その時、気が付いた。
目の前のヘフテンの姿……
正式に言えば、彼の頭の上に伸びている犬の耳。
「へ、ヘフテン……それ、どうしたんだ?」
シュタウフェンベルクの言葉を聞いて、ヘフテンは目を丸くする。
そして自分の頭の上に手を伸ばして、触れる。
そのまま目を丸くした後、シュタウフェンベルクの方を見て……
更に驚いたように目を見開いた。
「ぼ、ぼくもですけど……大佐、大佐もですよ!」
そんな彼の言葉にシュタウフェンベルクは目を丸くして、自分の頭に手を乗せた。
そこに触れた、柔らかな感触……――
それは、おそらくヘフテンの頭の上にあるそれ、
基犬の耳と同じような者だろうということが予想出来て。
「な……何だ、これは?!」
そう声を上げつつシュタウフェンベルクは周囲を見渡した。
そして、周囲の人間たちも皆そんな感じになってしまっていることに気が付いた。
犬、猫、兎、狐……
色々な種類の動物の耳が生えた騎士たちの姿。
それを見てヘフテンもシュタウフェンベルクも目を丸くする。
と、その時。
スピーカーが軽くハウリングする音が聞こえた。
その音に一斉に騎士たちの視線が上がる。
「あ、マイク入ったかな?聞こえてるかな?」
スピーカー越しに聞こえたのは、参謀部隊部隊長、アンバーの声。
それを聞いた食堂内の騎士たちは溜め息を吐き出した。
そんな彼らの様子を見て、ヘフテンたちはきょとんとした顔をした。
いったいどうしたのだろう、というような顔をしている間に、放送にもう一つ声が入る。
「全く貴方という人は……!」
そう入った声は、医療部隊長の声。
何やら訳知り顔で、やっぱりな、と周囲で騎士たちは呟くが、
シュタウフェンベルクたちは一層困惑して周囲を見渡すだけだ。
そうこうしている間にも、スピーカーの奥ではやり取りがなされていた。
「速いところ事情説明して謝りなさいアンバー!」
「わかってるよ、そのために此処に来たんじゃないか……
あー、ごめんね皆聞こえてる?
多分、今みんなの頭とかに動物の特徴が出ちゃってると思うんだけど……
心配しなくて大丈夫だよ、それ僕の魔術だから」
アンバーの声がそう告げる。
シュタウフェンベルクとヘフテンはその言葉に固まった。
「え」
「は?」
魔術?
その所為で、皆こんな姿に?
ついでにいうなら何故此処に居る騎士たちはこんなにも落ち着いているんだ……
落ち着いているというよりは"諦めの色"な気もしたけれど。
そう彼らが困惑してる間に、アンバーが小さく溜め息を吐き出しつつ、言った。
「おっかしいなぁ……視覚化はされないように調整したはずなんだけど」
「調整って……あなたは一体何をしてるんですか!何度も何度も!」
ジェイドの叱り口調が激しくなった。
と、同時。
彼の言葉から何故周囲の騎士たちがこんなに落ち着きはらっているのかを理解した。
あぁ、慣れているのか。
ジェイドの口振り的に、恐らく何度も起きている事故なのだろう。
……どうやら、自分たちは厄介事に巻き込まれてしまったらしい。
シュタウフェンベルクはそう思って溜め息を吐き出した。
「人間に動物の力が備わったらすごいと思わない?一時でもさぁ……
ほら、チーターみたいなスピードで走れたり、
猫みたいに高いとこから落ちても平気だったりしたら便利だろう?」
「それが上手くいかないのは貴方もいい加減にわかってきたでしょうに!」
そんなコントさながらなやり取りが、放送連絡用のスピーカーから流れる。
もうこの城の人間にとっては慣れたことなのか、"そのうち元に戻るだろう"とやや諦めムードだ。
この事態に初めて巻き込まれたシュタウフェンベルクとヘフテンはフリーズ。
すぐに戻るといったって……
こんな恰好では任務にはいけない。
書類仕事はこなせるかもしれないが、生憎今日はそういった仕事もない。
仕方なしに二人そろって、部屋に引き上げてきたのだった。
***
「すぐに戻るだろうと皆は言っていたが……一体いつになったら消えるんだこれは」
シュタウフェンベルクは溜め息を吐き出しつつ、左手で頭の上に生えた犬の耳に触れる。
毛並みの良い立ち耳。
おまけに腰のあたりにはふっさりとした尻尾まである。
食堂に居た騎士たち全員自分と同じような姿になっていたのを思い出して、
やれやれというように、彼はもう一つ溜め息を吐き出した。
動物のバリエーションはあれど、各々兎だの猫だの犬だのと動物の耳と尻尾姿。
あれで騎士団の仕事をこなそうと思ったら……おそらく、国中の笑い者だ。
一瞬それを想像しかけたシュタウフェンベルクはぶるぶると頭を振った。
そんな彼を見てヘフテンは苦笑しつつ、宥めに入る。
「……まぁまぁ大佐、じきに効力は切れるってアンバーさんも言ってましたから!」
大丈夫ですよぉ、と笑って見せるヘフテン。
シュタウフェンベルクはそんな彼の方に視線を移した。
無論、あの時一緒に居たヘフテンの頭の上にも獣の耳がある。
シュタウフェンベルクと違って垂れ耳だが、どうやら彼も犬らしい。
腰から伸びる尻尾も同様。
その姿を見て、彼は思わずため息を洩らした。
「……お前は」
何というか、違和感が皆無だ。
単純に、普段精神的な意味で犬っぽいヘフテンの頭に犬の耳が視覚化されただけというか……
それが羨ましいような、複雑なような。
そう思いつつシュタウフェンベルクは目の前にいる副官を見つめる。
人懐っこい瞳が不思議そうに彼の方を見つめていた。
ヘフテンはちょこりと首を傾げる。
その仕草は、いつもにもまして犬っぽい……
シュタウフェンベルクは思わずふっと笑った。
ヘフテンはそんな彼を見てきょとんとした顔をしている。
「どうかしたんですか、大佐?」
「否……違和感がなさ過ぎておかしくなっていたところだ」
「違和感ないって……」
それ素直に喜べませんよう、とむくれた顔をするヘフテン。
拗ねた顔をした彼の頭を、シュタウフェンベルクはいつものように撫でてやる。
途端笑顔になって尻尾を振りだすのが何とも、彼らしい。
そう思っていると。
不意に何かを思いついたような顔をしたヘフテンは笑みを浮かべ……
ばっと、シュタウフェンベルクにぴょんと抱き付いた。
「わ……っ」
シュタウフェンベルクは驚いたようにそれを抱き留める。
驚いたように見開かれた青い瞳。
それを見つめつつ、ヘフテンはいう。
「へへっ、でも大佐もカッコいいですよ?この耳」
そういいつつ、ヘフテンは悪戯っぽく笑った。
そして、手を伸ばして彼の頭に伸びた犬の耳に触れた。
途端、シュタウフェンベルクはびくりと体を強張らせる。
「っ、馬鹿、やめろヘフテン……っ、くすぐったい……!」
「あ……っ」
驚きとくすぐったさでシュタウフェンベルクが仰け反ったため、少しバランスが崩れた。
シュタウフェンベルクとヘフテンはそのまま床に倒れこむ。
押し倒した形になったまま幾度か瞬きをしたヘフテンはにっと笑った。
「大佐の可愛い反応見れることもわかったし……このままじゃれてみようかな」
「馬鹿なことをいうな……蹴るぞ、ヘフテン」
ヘフテンをしたから睨みつつ、シュタウフェンベルクはいう。
しかし、さっきのヘフテンの行動の所為ですでに顔は真っ赤だ。
ヘフテンはそんな彼を見てくすくすと笑いつつ、言った。
「わー、物騒です大佐……冗談ですよ」
―― これで我慢しておきます。
そういって、ヘフテンは一度だけ軽くシュタウフェンベルクの耳を噛んだ。
子犬がするような、甘噛みを一つ。
小さく声を上げるシュタウフェンベルク。
その声が恥ずかしくてか、彼は抗議の声を上げる。
それを見て満足そうに笑いつつ、ヘフテンは腰から延びたふさふさの尻尾を機嫌よく振っていたのだった。
―― You look like… ――
(言葉通りに"犬の姿"な、彼。
それに違和感がないのが何とも言えなくて
その従順さも人懐っこさも。そして…悪戯っぽいところも?
割と嫌いでないと思う私は……――)
(ちょっとした事故でこんな姿になっちゃったけれど…
少し照れているこんな姿の大佐が見られるのならば
悪くないかな、なんて思ってしまって……――)
2014-6-5 23:28