ワルキューレコンビ&赤髪金髪コラボのお話です。
ある意味で此処のコンビ二つは似ているなと思いまして…
そしてうっかり日付変わっちゃいましたが六月四日だったので、です←おい
*attention*
ワルキューレコンビ&赤髪金髪コラボのお話です
ほのぼの時々少しシリアス目なお話です
色々書きたいネタ詰め込んじゃいました…←
大佐殿を慕うヘフテンさんとライニさんが大好きなアネットは似てるな、と…
大事な人の姿が見えなくて不安になる子とそれを宥めるペアを書きたくて…!
その日の意味を知って不安になってるアネットを宥めるライニさんも書きたかったのです←おい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
穏やかな日の光が降り注ぐ、中庭に続く廊下。
そこに佇んでいるのは、艶やかな黒髪の少年。
仕事を終えて、一休みしていた彼……シュタウフェンベルクは小さく溜め息を吐き出す。
ついさっきまで自分の部屋で書類の仕事を自分の副官と一緒にこなしていた。
一つの部屋で二つの机。
それを使って書類仕事をこなすのは、彼らの日課ともいえる。
文字を書くのには別段不自由がないシュタウフェンベルクだが、
書類を束ねたり纏めたりするのは、片手だけだと少々辛いものがある。
そういうときに、近くで仕事をしていたヘフテンが助けるのが、定石だった。
そうして今日も仕事をしていたのだけれど……
今日の気候は心地よかった。
降り注ぐ陽射しは柔らかく、窓から吹き込む風は涼しく。
だいぶ雨が増えてきたここ数日だが、それでも今日は暑すぎず寒すぎずという日和で……――
どうやら、日頃の仕事の疲れも溜まっていたらしい副官……
ヘフテンは、机に突っ伏したまま、居眠りをしていた。
その様を見て、シュタウフェンベルクは起こすことなく、
彼の肩にそっと毛布だけ掛けて、廊下に出てきた。
ずっとそうして書類にペンを走らせていたから少々疲れたし、
少し食堂に行って飲み物でも飲んで来ようと思ったのだ。
この時間帯ならば昼食時間からも外れているからさして混んではいないだろうし、
さっと飲んで帰れば、ヘフテンが目を覚ます前に帰ることが出来るだろう。
何より、ヒトの気配がない方がゆっくり眠れるはずだ。
シュタウフェンベルクとしても、多忙なヘフテンのことを気遣っていた。
自分の手伝いもこなしてくれる、優しくて明るい、でも少しだけ抜けている大事な副官……――
軍人としての仕事は勿論、自分の日常生活のサポートもする彼は、他人より少し負担が多いはず。
ああしてゆっくり休めているのなら、少しの居眠りくらい許容だ。
今は急ぎの仕事もないのだし……
そう思いつつ、シュタウフェンベルクが視線を中庭の方へ向けつつ歩いていた、その時。
「あ……っ」
「うわ?!」
勢いよく走ってきた誰かが、そのままの勢いでぶつかってきた。
シュタウフェンベルクは驚いて思わずのけぞる。
そのまま倒れそうになったが、ぶつかってきた張本人が慌てたようにその体を支えたために、
どうにかそれは免れた。
自分より少し背が低い、鮮やかな赤髪の少年。
彼は自分がぶつかった相手を見て、大きく目を見開いている。
そしてはっとしたような顔をすると、慌てて頭を下げた。
「あっ、シュタウフェンベルクさんっ!すんません……っ」
ぶつかってきたのは炎豹の騎士、アネット。
何やら妙に急いでいるというか、慌てている様子で……
別に怪我をしたわけでもないシュタウフェンベルクは彼に首を振って何ともないことを示しつつ、
彼に問いかけた。
「どうか、したのか?」
急いでいるようだが、とシュタウフェンベルクが問いかけると、
アネットは幾度かガーネットの瞳を瞬かせた。
そして、自分が急いでいた理由を思い出したようにはっとした顔をすると、
シュタウフェンベルクの左腕を掴んで、問いかける。
「ラインハルト見てませんか?!」
ラインハルト。
それは、彼の"恋人"の名前だ。
二人とも城に居る間は、ずっと一緒に居るといっても過言ではない。
任務の内容も所属する部隊も、もっというのであれば所属する騎士団さえ違う彼らだが、
シュタウフェンベルクの傍にいつもヘフテンがいるように、
アネットが探している彼……ハイドリヒの傍には、いつもアネットの姿があった。
人懐っこくハイドリヒに絡みに行ったり抱き付いたり、
誰が居ても気にした様子なく抱き付いたりするその様は何処か子犬っぽく、
なんとなくヘフテンと被るところがあると、シュタウフェンベルクは密かに感じていた。
……もっとも、現在彼が"子犬"とたとえた目の前の赤髪の彼は、
シュタウフェンベルクより年上なのだけれど。
とはいえ、何やら相当慌てている様子。
その理由はわからないけれど……
とりあえず、彼の問いかけに答えた。
「え、いや……見て、いないが」
ハイドリヒの姿は見ていない。
そもそも自分はたった今部屋から出てきたところだし……
シュタウフェンベルクがそう告げれば、アネットは少しだけ落胆したような顔をした。
「そっか……ありがとっす!」
何処行っちゃったんだろ、と呟きながら再び走り出すアネットの背中を、
シュタウフェンベルクは見送った。
大きな声で彼の名前を呼びながら、走っていく彼……
それを見つめつつ、彼は眼帯におおわれていない右眼を細める。
理由は不明だが、ああして一人の人間の姿を探し回る様。
それに、自分の副官の姿が重なって見えた。
彼も良く、ああして大声で自分のことを呼びながら探し回る。
ほんの少し部屋を空けただけでも。
ここ数日は、より一層その傾向も強かった。
まぁ、仕方がないといえば仕方がない。
ここ最近ヘフテンと離れている間にシュタウフェンベルクがややこしい事態に巻き込まれることが多々ありすぎて、
ヘフテンとしても心配なのだろう。
極力自分の傍に居ようとするし、傍に居るから守らせてほしいといった旨のことも良く言われる。
自分も騎士なのだから守られるだけの立場じゃないと返すが……
彼はその度少しむくれた顔をして、"そういう問題じゃないんです!"といっていた。
彼の言わんとする意味は、なんとなく理解している。
照れ臭いから、それを口にすることはなかったのだけれど……――
と、その時だった。
「大佐ー!」
不意に後ろから聞こえた声。
それに驚いてシュタウフェンベルクが振り向くと同時。
後ろから勢いよく誰かが抱き付いてきた。
自分より幾分低い位置にある頭。
腰あたりに抱き付いているのは、ほかでもない……
ついさっき、自分が想像していた、自分の副官で。
彼はシュタウフェンベルクと目があうと、少し怒ったような声で、言った。
「此処に居たんですか大佐っ!」
「わ……ヘフテン……っ」
どうしてそんなに怒っているんだ。
自分はまだ部屋を空けてからさして時間もたっていない。
てっきり、まだ彼は眠り続けていることだろうと思っていたのだけれど……
思ったより早く目が覚めたらしい。
腰のあたりに抱き付いたままむくれた顔をしているヘフテンに、
シュタウフェンベルクが何か言おうとした、その刹那……
彼はそのまま、シュタウフェンベルクに抱き付いた。
「びっくりしました!お部屋にもいないし……
一体何処に行ってしまったのだろうと……」
呟く様な声。
心底ほっとしたというような声。
その声色に、シュタウフェンベルクは口を噤む。
また自分が一人でいなくなった。
また何か厄介事に巻き込まれてはいないかと不安になったのだろう。
そうして、ああも必死に自分を探してくれていた……
それは、シュタウフェンベルクにも理解出来て。
「……済まない。お前が寝ていたから、その間に何か飲んで来ようと思って」
「僕も起こしてくれればよかったじゃありませんか!
というか、僕まだ仕事中なのに居眠りしちゃって……」
それがそもそも悪いんですけど、と呟きつつヘフテンは俯く。
シュタウフェンベルクはそんな彼を見つめて目を細めると、
小さく息を吐き出して、そっと彼の頭を撫でた。
陽の光を反射して煌めく、短い金髪。
それを撫でつけてやれば、ヘフテンは少しだけ驚いたように顔を上げる。
シュタウフェンベルクは彼を見つめつつ、言った。
「気持ちよさそうに眠っていたから、起こすのに忍びなかったんだ……
おいて行って、すまなかった。一緒に、休憩……に、しないか?」
あまり自分からそうして誘うことがないためか、
シュタウフェンベルクは何処か照れたような声色だ。
別にデートの誘いでもあるまいし、と自分で思ってぱっと顔が赤くなる。
ヘフテンはそんな彼を見つめて嬉しそうに頷くと、
ぎゅっとシュタウフェンベルクに抱き付いた。
「はい、休憩にしましょう!」
嬉しそうに笑うヘフテン。それを見つめて、シュタウフェンベルクはふっと微笑んだのだった。
***
―― 一方。
その間も、アネットは相変わらず自分の恋人の姿を探していた。
彼がこうして彼……ハイドリヒを探すのはいつものことなのだが、
今日はいつもよりも少し……必死に探していた。
というのも……
今日という日が、今日という日だから。
彼のオリジナル時代の話を、カナリスから聞いていた。
六月四日……その日が、何を意味しているのか。
それを知ってしまったから、たまらない不安が胸を占めて、
彼と一緒に居たいと強く思っていた。
しかし、そういう時に限って見つからないハイドリヒ……
一層、不安が募る。
「何処、いっちゃった、んだろ……」
はぁ、はぁ、と荒く息を吐きながらアネットは小さく呟く。
泣き出しそうに、なった。
彼は一体どこにいってしまったのだろう?
任務?
危ない目に遭ってはいないだろうか……
それだけが、不安で……
あと少し探して見当たらなかったら外まで探しに行こう。
そう思った、その時。
通りかかったドアが開いた。
そこから出てきた人物に、アネットはぶつかりかけて、慌てて後ろに仰け反った。
「わ……っ」
「え……っ」
仰け反った拍子に、アネットは後ろに転んだ。
それを見てか、ぶつかった相手が慌てて手を伸ばす。
「大丈夫ですか……ってアネット、さん?」
聞こえたその声に、アネットは顔を上げる。
その声は聴きなれた彼……ハイドリヒのもので。
アネットは驚いたように目を見開いた後、慌てて立ち上がった。
そして、そのままの勢いでハイドリヒに抱き付く。
ハイドリヒはその衝撃に驚きの声を上げた。
「わ……っ?!」
いきなりどうしたんですか、と声を上げるハイドリヒ。
そんな彼をアネットはぎゅっと抱きしめる。
そして、呟く様な声で、彼は言った。
「ラインハルト!何処行ってたのかと思ったぞ……」
そう呟くアネットの声。
それを聞いて、ハイドリヒはきょとんとした顔をした。
そして、呟くように、アネットに言った。
「何処行ったも何も、ヒムラー長官の所へ行っていたんですよ……
任務報告、まだでしたから」
そう。
ハイドリヒは今までずっと、ヒムラーの部屋に居たのだ。
任務の報告をするために。
アネットが彼の姿を見つけられなかったのももっともな話。
アネットは流石に、彼の仕事関連の上官の部屋にまでいってはいなかったから。
アネットは彼の言葉を聞いて幾度か瞬きをした。
そして、ほっと息を吐き出す。
そのまま、ぎゅっと彼に抱き付いたまま、呟く様な声で言った。
「……良かった」
その声色は酷くほっとしたようなもの。
それを聞いて、ハイドリヒは青い瞳を瞬かせる。
そして、呆れたように溜め息を吐き出しつつ、言った。
「……何をそんなにほっとした顔をしているんですか」
アネットは彼の言葉にゆっくりと首を振る。
そして、小さく呟く様な声のままに、言った。
「何でもない……でも、何処探してもいなかったから、その……」
心配になった。
不安になった。
アネットは静かな声でそういった。
ハイドリヒは弱弱しい彼の声色から、彼が"何を心配していたか"を理解した。
そして、小さく溜め息を吐き出す。
ハイドリヒは自分を抱きしめるアネットの背にそっと腕を回して、静かな声で言ってやった。
「……大丈夫ですよ」
―― 貴方の前からこのままいなくなったりはしませんから。
別に確証はない。
寧ろ、その逆……自分がいついなくなるかという不安の方を抱いているけれど……
大丈夫だといってやれば、アネットが安心することは良く知っていたから。
案の定、彼はハイドリヒのその言葉にほっとしたように息を吐き出す。
そんな彼の背に腕を回したまま、ハイドリヒは静かに目を閉じた。
こんな場所で抱きしめられているというのは恥ずかしいけれど……
―― 今日くらいは、我慢してあげましょうかね……
そう思いつつ、ハイドリヒは小さく息を吐き出したのだった。
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2014-6-5 00:02