珍しく、敵サイドのお話。
第五十一章&五十五章のシャム視点。
この二人は仲良しだったらいいなぁ…っていう妄想が生んだもの。
最後のペルの笑顔が書きたかっただけなのかもしれない。
基本的に、救いがほしい、星蘭です。
そして、三日間もベッドで寝てた所為で物を書きたくてしょうがないようです。
では、追記からどうぞー!!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
珍しく、敵サイドのお話。
第五十一章&五十五章のシャム視点。
この二人は仲良しだったらいいなぁ…っていう妄想が生んだもの。
最後のペルの笑顔が書きたかっただけなのかもしれない。
基本的に、救いがほしい、星蘭です。
そして、三日間もベッドで寝てた所為で物を書きたくてしょうがないようです。
では、追記からどうぞー!!
Side Siam
―― 俺たちは、負けたんだ。
冷静に、判断できたのはそれ。
白衣の騎士の茨に縛られて、俺たちは動きを封じられた。
少しずつ奪われていく、魔力。
俺たちの前には、倒れたまま動かない、その騎士。
ペルの呪いで先に力尽きたんだろうな。
でも、魔術は解けない。
きっと、アイツの……"仲間"を思う、力故……なんだろうな。
最後まで笑ってやがった。
……大した、奴だと思うよ。
「なぁ、ペル……」
隣で、俺と同じように縛られているペルに、声をかけた。
ペルは顔だけ俺の方に向けて"何?"と訊ねる。
「……俺たち、死ぬのかな」
「……さぁね」
そっけない返事。ペルらしい、そう思って、俺は笑った。
"死ぬ"というのとは、ちょっと違うのかもしれない。
俺たちはすでに"死んだ"存在だから。
御主人(マスター)に肉体(からだ)を与えられただけの、魂だから。
所詮、"操り人形(マリオネット)"だから。
消える、のかなぁ。
身体さえ、残らないのかな。
そう思うと、寂しい……よなぁ。
なんて。
ちょっと、センチメンタルになってみたりして。
「……シャム」
「何?」
珍しく、ペルから俺に声をかけてきた。
俺が首をかしげると……
「僕、シャムと一緒に"仕事"出来て……」
―― 楽しかった、よ。
思わず、目を見開いた。
まさか、ペルの口からそんな言葉を聞くとは思ってなかったから。
相変わらずの無表情だったけど、少し照れたような声で、言った。
「……僕らがしたことが"正しい"か"間違っている"か、別として……」
「……そう、だな」
今になれば、疑問なんだ。
俺たちが、"影猫"がしてきたことは、正しかったのかな、って。
いくつもの村を、街を、襲った。
家族の、友人の、仲間の絆を切り裂いた。
"絆"を切り裂くことが、"正しい"とは、思えなくて。
さっき戦った騎士たちを見てたら、なおさらそう思って。
「……ねぇ、シャム」
「何」
「シャムは、楽しかった?」
ペルの漆黒の瞳が、俺をとらえる。
光の灯らない、瞳。
ノアールも、ロシャも、ブランも、
"ペルが考えてることはわからない"って、よく言ってたけど、俺は違う。
こいつが思うことは、何でもわかる。
笑うことも、泣くことも、怒ることは……あったか。
でも、こいつが思ってることは、わかるよ。
今は、単純に……
―― 寂しい、のか?
「……あぁ」
小さく、頷いた。
楽しかった。楽しかったよ、ペルと一緒に仕事が出来て。
ロシャと一緒に馬鹿やって、ブランをからかって、ノアールに叱られて。
……楽しかった。
"仕事"として、やってきたことが、間違っていたとしても。
***
「……シャム」
「ん……?」
「歌、聴こえる……?」
歌。ペルに言われて、気づいた。
聴こえてくる、声。
静かで、綺麗で、優しい、歌声。
何処の国の言葉なのかも、わからない。
でも、凄く綺麗な歌声……
誰だろう。誰の、歌だろう……?
そう思っているうちに、体が少しずつ、軽くなった。
これが"死"なのか、と。そう思った……
覚悟、した。
―― でも。
消える、直前。
「シャム」
「何だよ」
「……まだ、間に合う、かな……」
何が?
訊ねようとするのと同時に、俺も、気づいた。
まだ、息がある。
目の前で倒れている、白衣の騎士。
"間に合う"というのは……そういうことだな、ペル。
俺は、小さく頷いた。
ペルは、彼に手を向ける。
―― 呪い、解いてあげる。
そう、言いながら。
揺らぐ翡翠の瞳が、俺たちを見据えた……――
***
俺たちのしたことは、間違いだったかもしれない。
もう、したことは消せない。
でも、だけど。
たった一つ、その罪を消せるなら。
今犯そうとしていた、その罪を消そう?
ほんの少しでいい。
"正しい道"に、戻ろう。
***
「……ペル」
「何」
「……ありがとう」
俺の言葉に、ペルは一瞬目を見開いて……
「……ありがと、シャム」
その時に初めて、見た。
ペルの、笑顔。
明るくて、優しくて、温かい、笑顔。
"最期"に、良いもの見た気がする。
大切な、パートナーの笑顔。
きっと、他の誰も、見たことない。
もう一度、伝えたかった。
―― ありがとう。
俺と一緒に戦ってくれてありがとう。
(僕と、一緒に戦ってくれてありがとう)
一緒にいてくれて、ありがとう。
(僕に笑いかけてくれて、ありがとう)
"憎悪"しか知らなかった俺に、"仲間"を教えてくれて、ありがとう。
("虚無"だった僕に、"温かさ"をおしえてくれて、ありがとう)
俺は、アイツに微笑み返した。
―― Thank you and …… ――
(サヨナラ。またいつか……逢えたらいいな)
性 別 | 女性 |
年 齢 | 29 |
誕生日 | 7月27日 |
地 域 | 静岡県 |
系 統 | おとなしめ系 |
職 業 | サービス |
血液型 | AB型 |