赤髪金髪コラボのお話です。
ボーカロイドの「モザイクロール」がライニさんにはまるな、という話をしていて…
思わず、こうして書いてしまいました…←
*attention*
赤髪金髪コラボのお話です(BL注意です)
シリアス&深夜テンションなお話です。
「モザイクロール」のイメージで書いてしまいました…
↑ですが、原曲の素敵さを生かしきれないですすみません…←
二重人格なライニさんを書いてみたくて…
泣きながら拳銃を突きつける美人さんって萌えるな、と思いまして…(おい)
アネットはライニさんに関してだけは泣き虫だと思います(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
明りの消えた、騎士の棟の部屋。
鍵をかけたその部屋の、ベッド……
大の男が二人で寝るには狭いそのベッドの上、身体を重ねていた。
組み敷かれているのは美しい金髪の少年。
赤髪の少年の大きな手に肌を撫でられて、びくりと体を震わせる彼……ハイドリヒ。
背が反って、彼は自分に触れる彼の広い背中に腕を回した。
「は……っぁ、あ……」
甘く喘ぐ、高い声。
ハイドリヒがベッドの上で身を捩る度、
白いシーツの上でさらさらと揺れる金糸のような髪が揺れる。
赤髪の少年……アネットはそんな彼の身体を抱き、
白い肌に口づけながら、切なげな顔をしていた。
任務を終えて彼の部屋に来たアネットは、不意にハイドリヒに押し倒された。
そして誘うかのように肌に触れられて、驚いた。
暫くは困惑で動けなかったアネットだったが、すぐに彼の誘いに乗って、体勢をひっくり返したのだった。
こうして触れるのは、初めてではない。
しかし、こうして触れている"彼"は、
いつもアネットが抱きしめたりキスをしている"彼"と少し違う。
ただ、触れられることを望む。
身体に触れる温もりを、望む彼。
この行為に意味などない。
愛情などない。
……少なくとも、ハイドリヒはそれを求めているわけではない。
アネットはそれを感じて、切なく思っていた。
ハイドリヒが元々不安定な精神状態で、
時折こうして"普段と違う彼"が姿を見せることは知っていたけれど、
そうして"違う彼"と体を重ねることは、どうにも好きになれなかった。
傍にいたのが自分だったから。
だから、そうして誘ったんだろう?
そう、訊ねたくなる。
でも、訊ねたらあっさり頷かれてしまうことが予想出来て、
そんな返事を聞きたくなくて、アネットは問いかけることも出来ず、
かといって綺麗な潤んだ青い瞳で見つめながらの誘いを断れるほど、
アネットの理性も強くはなく……
結局こうして妥協したような形で、中途な行為を続ける……
「ラインハルト……っ」
名を呼べど、彼は答えない。
ただただ甘い甘い嬌声を洩らして、アネットが与える悦楽に酔って、喘ぐだけ……
夢中に悦楽を貪るハイドリヒ。
しかし、この愛撫が、逢瀬が終わったら、"彼"の中でのアネットの価値は、0になる。
彼がアネットに対し抱くのは、愛情ではなく、欲情。
その中に喘ぐ、美しい金髪の少年……――
そんな彼に触れながら、アネットは顔を顰めて、呟くようにいった。
「……っ、好き、だよ……」
アネットは荒くなった呼吸の合間に、そう囁いた。
好き。大好きだ。
……愛してる。
アネットは、そう呟く。
何度も、何度も……
そんな彼の声にも、ハイドリヒは応えない。
甘えるような声で、"私も……"と呟いたのは聞こえたが……
それが、自分に対するちゃんとした情を灯していないことくらい、
アネットだって理解していた。
それが、辛かった。悲しかった。
切なかった……
視界がぼやけて、滲んだ。
それでも、良い。
別に、愛なんてなくても……
自分にそう言い聞かせようとするも切なくて、
アネットは静かに涙を零していたのだった……――
***
朝になった。
射し込む、朝日。
カーテンを揺らす、朝風……
ハイドリヒはふ、と目を覚ました。
青い瞳が、幾度か瞬く。
ハイドリヒは隣で眠っている赤髪の少年を見た。
寝息を立てている、赤髪の少年……アネット。
彼の頬には、薄く涙の痕が残っていた。
薄い記憶に、残っている。
自分を抱きながら切なげな顔をしていた、アネットのこと。
「……アネット、さん」
ハイドリヒは小さな声で、彼の名前を紡いだ。
アネットは目を覚まさない。
ハイドリヒはそっと、そんな彼の穂に触れた。
やはり少し湿っている彼の頬。
それに触れて、再び彼の名を紡ぐ……
その度、切なくなった。
"自分"は、彼を愛しているのだろうか。
自分の……少なくとも今の自分の彼に対する感情は、
"愛情"で、あっているのだろうか……そう、不安にさえなった。
好きでいるつもりだ。
アネットのことは。
でも……今の自分はともかく、"彼"は……
アネットのことを、愛してなどいないことに気が付いている。
ハイドリヒはアネットを起こさないように気を付けながら、ベッドから降りた。
そして、鏡の前に、立つ。
若干肌蹴たままのワイシャツの隙間から覗く白い肌に浮かぶ、鮮やかな赤い痣……
過剰なまでにつけられたそれにアネットの思いを、感じた。
薄く残る記憶。
その中にアネットの苦しげな声での囁きを、感じた。
―― 好き、だよ……
自分が応えないと知りながら、そう囁いた彼の切なげな声。
悲しげな表情……
ハイドリヒは鏡に手をついた。
その鏡の奥に揺れる"もう一人の自分"の影に、ハイドリヒは唇を噛みしめた。
洗面台の傍に置いてあった拳銃を手に取る。
それを、自分の胸に突き付けた。
ひやりとした銃身……
その銃口を突き付けたまま、ハイドリヒは拳銃の撃鉄に指をかけた。
……その時。
「……何してんだよ、ラインハルト!」
聞こえた声に、ハイドリヒはびくりと肩を
跳ねさせた。
手が震えて、握ってた拳銃が落ちた。
アネットはベッドから飛び降りて、ハイドリヒに駆け寄る。
ハイドリヒはすばやく拳銃を拾い上げて、アネットのほうへ向けた。
アネットが驚いた顔をして、その場に固まる。
その表情を見てハイドリヒは少し怯んだけれど……
今は、傍にきてほしくなかった。
苦しくなるから。
切なくなるから……――
ハイドリヒは拳銃をアネットに向けたまま、俯いた。
そして、震える声で呟く。
「何で、止めたんですか」
「は?」
ハイドリヒの言葉に、アネットは困惑した声を上げた。
止めた?
……ハイドリヒが、拳銃を自分に向けていたことをか。
アネットは顔を顰めて、彼にいう。
「当たり前だろ!何馬鹿なこと……」
「殺したっていいじゃないですか……」
ハイドリヒはアネットの言葉をさえぎって、そういう。
彼の静かな声色に、アネットは思わず固まった。無音の、空間。
ハイドリヒは小さく息を吸い込んで、言った。
「貴方は、私のこと……"私"の、こと……」
―― 好きになんてなれないでしょう?
ハイドリヒはそういう。
そんな彼の声色は何処か自嘲めいたもの。
貴方の身体を、温もりだけを求める自分なんて、好きになれないだろう。
貴方が嫌う自分なんて、生きている意味はないから……――
死んでしまえば良いと思った。
殺してくれ、なんて望まない。
自分が……自分自身が、殺してしまえば良いか。
ハイドリヒは、そういった。
アネットは彼の言葉に顔を歪めて、ぎゅっとハイドリヒを抱きしめる。
ハイドリヒは彼に離させようとするように、もがいた。
しかしアネットは決して離すことなく、彼をしっかりと抱きしめていた。
そのまま、ゆっくりと首を振って、アネットはいう。
「駄目だよ」
「何で、ですか……だって」
私が、死にたいと望んでいるのに。
ハイドリヒはそう呟こうとするが、
そんな彼の言葉を紡がせまいとするように、アネットは彼の唇を塞ぐ。
ハイドリヒが甘い声を洩らすと、アネットは唇を解放して、呟く様な声でいった。
「……俺が、嫌だもん」
お前がいなくなるの、とアネットは呟く。
お前が死にたいと望んでも、俺が嫌なんだ。
そんなこと、させたくない。
ハイドリヒは彼の言葉を聞いて、顔を歪める。
「だ、って……私は、嫌なんです……っ貴方に、嫌われるのが……っ」
貴方に嫌われるくらいならば、死んだ方が良い。
貴方に好いてもらえない自分なんて、いなくなってしまえば良い……
ハイドリヒは涙の滲んだ声で、そう呟く。
出来る、ことなら。
自分の内面にいる、彼が好いてはくれないであろう"自分"を殺したい。
でも、それだけを消すことがかなわないのなら……
いっその、こと。
そう思うのだ。
アネットはそんな彼の身体を抱きしめたまま、きっぱりといった。
「俺は、ラインハルトのこと好きだよ……愛してる」
今なら、迷わずにいえた。
今の彼は、ちゃんと自分を思ってくれているから。
……"そうでない彼"も、ちゃんと愛せると思えた。
だって、どちらも自分にとって大切な、愛しい愛しい"彼"だから。
アネットは身体を震わせているハイドリヒに、言う。
「ラインハルトが、俺のこと好きでいてくれるなら、俺はそれでいいんだよ」
俺はお前を嫌いになんてならないから。
そういうアネット。
アネットの言葉に顔を歪めつつ、ハイドリヒは彼の胸に顔を埋める。
こうして縋ることは、手放したくないと我儘をいって、彼にしがみついてもがくことは、
果たして、"愛だ"といってよいのか、わからないまま……――
―― Is this the "True love"…? ――
(それが本当の"愛情"といっていいのかも分からない
殺したって良いでしょう。こんな、私なんて…)
(俺が好きになれない自分なんて死んでしまえば良い。お前はそういったけれど…
気づいてたか、ラインハルト?お前の手が、ずっと俺の服を掴んでいたことに…)
2014-5-8 22:57