ワルキューレコンビのお話です。
お二人でほのぼのお話してるところを書きたくて…
ヘフテンさん、可愛いです←結局それ
*attention*
ワルキューレコンビのお二人のお話です。
ほのぼのなお話です
ちょろっとお医者様コンビも出てきます
「Worry and…?」の続き的なお話です。
大切な相手だからこそ心配する大佐殿と
大切な相手だからこそ役に立ちたいと思うヘフテンさんを書きたくて…←
何処かうぶな大佐殿も無邪気なわんこ属性なヘフテンさんが可愛いです…♪
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
爽やかな朝日が窓から射し込む。
そんな廊下を歩いていくのは、金髪の少年。
自分の上官の部屋の前に足を止めると、軽く服を整えて、ドアをノックする。
最初から返事がないことは想像していたが、案の定。
部屋の中から返事がない。ヘフテンはやれやれ、と苦笑しつつドアを開けた。
しまったままのカーテン。
膨らんだベッド。
そこに丸くなって眠っている、黒髪の上官……
朝に弱い彼がそう早く起きてくるはずがないことは、
ほかでもないヘフテンが良く知っている。
ヘフテンはくすりと笑うと、未だ眠っている彼……
シュタウフェンベルクのほうへと歩み寄った。
ベッドで眠る彼の顔を覗き込んで、ヘフテンは目を細める。
威厳ある、勇ましい騎士であるシュタウフェンベルクだが、寝顔は幼く、あどけない。
こうして彼を起こしに来るたびに見ている顔なのだが、
見ていて飽きないな、と思う。
それほど愛しく、可愛いと思うからなのだが……
そんなことをいったら彼はまた拗ねた顔をするだろう。
拗ねたというか、恥ずかしそうというか。
そう思いつつ、ヘフテンは軽くシュタウフェンベルクの頬を突いた。
小さく身じろぎしたが、目を開ける様子はない。
どこまでやったら起きるだろう、と思いつつ、ヘフテンは小さく笑みを浮かべた。
そして、彼が寝ているベッドの上に座る。
ぎしっとベッドが軋むが、それでもやはりシュタウフェンベルクは目を覚まさない。
ヘフテンはふぅっと息を吐き出すと、
彼の身体にのしかかりつつ、少し強めに肩を叩いて、いった。
「大佐ー、起きてください朝ですよー!」
「ん、んぅ……」
シュタウフェンベルクは呻いて、目を開けた。
自分に伸し掛かっている副官、ヘフテンを見て、
まだ寝ぼけたような虚ろな目を瞬かせる。
「ヘフテン……?」
未だ寝ぼけた様子で瞬きをしている彼を見て、ヘフテンは苦笑した。
低血圧なシュタウフェンベルクがしっかり目を覚ますのにはいつも少し時間がかかる。
しかし、ヘフテンは彼がぱっと目を覚ます方法を良く知っている。
ふぅ、と小さく溜め息を吐き出すと、
まだ寝ぼけているシュタウフェンベルクの頬を突きながら、いった。
「起きないとキスしますよ」
そんな彼の言葉に、シュタウフェンベルクは大きく目を見開いた。
どうやら、意識がはっきりしたらしい。
「っ!わ、かった……わかった、起きるから……」
とりあえず退いてくれ!と叫ぶ彼。
驚いたのか、照れたのか、顔が真っ赤になっている。
それを見て、ヘフテンはくすくすと笑った。
そして、シュタウフェンベルクの上から降りる……
フリをして、彼の唇に軽くキスをした。
「っ!?」
驚いたように目を見開く彼。
ヘフテンはそれを見て満足げに笑うと、
シュタウフェンベルクの上から退いて、言った。
「ふふ、おはよーございます、大佐」
に、と悪戯っぽく笑うヘフテン。
シュタウフェンベルクはみるみるうちに顔を真っ赤にする。
ヘフテンは彼を見てぽんとベッドから飛び降りて、
シュタウフェンベルクの制服を取りに向かう。
シュタウフェンベルクは顔を赤くしたままに、そんな副官の背中を見送った。
「っ!キスはどのみちするんじゃないか……」
ぼそり、とシュタウフェンベルクは呟く。
起きないとキスするといったくせに、という彼の声を聞いて、ヘフテンは目を細める。
そしてベッドの上に体を起こしたシュタウフェンベルクに向かって首を傾げた。
「何か仰いましたか、大佐?」
「な、何でもない……っ!」
下手なことをいったらまたキスされそうだ、と思って、
シュタウフェンベルクはヘフテンに返す。
ヘフテンは"何だ残念"と笑いながら、彼の着替えを手伝い始めた。
片腕を失っている彼がひとりで着替えをするのはなかなか骨が折れる作業。
以前ヘフテンと喧嘩になった時には手袋をはめるのにも苦労したほどだ。
一人で支度を終わらせようとおもったら仕事に取り掛かるのが午後になりかねない。
ヘフテンのおかげで少しは目が覚めた様子のシュタウフェンベルクは、
ややむくれたような顔をしつつ、
ヘフテンに手伝ってもらいながら着替えを進めたのだった。
***
そうして支度を終えるとヘフテンとシュタウフェンベルクは、
任務のために部屋を出ていった。
長い廊下。
行き交う騎士たち。
それに挨拶を返しつつ、二人は歩いていく。
爽やかな初夏の風が廊下を吹き抜けていく。
ここ最近はそんなに目立った魔獣の出没もないため、
二人とも部屋で書類整理の仕事がメインになっていた。
と、その時。何かを思い出したかのように、
シュタウフェンベルクは隣を歩いている副官のほうを見て、言った。
「というかヘフテン、もう大丈夫なのか、その、傷は……」
彼がいう傷、とはこの間の任務の時にヘフテンが負ったもの。
割と深い傷だったらしく、暫くは病室に入院させられていた。
その傷を負ったときすぐ傍にいたシュタウフェンベルクも当然彼を心配していた。
今はもう至って平然としているため一瞬忘れかけていたが、
彼はまだ病み上がりというか、怪我が治りたてだった。
外に出る魔獣討伐の任務を入れていない理由の一つも、それだ。
そう思って、シュタウフェンベルクは彼に大丈夫かと問いかけたのである。
ヘフテンはそんな彼の言葉に一瞬きょとんとして、瞬きをした。
そして、にこっと笑って、彼にいう。
「え?あぁ、この前のですか。
もう平気ですよ!ご心配お掛けしました!」
ぺこりっと頭を下げるヘフテン。
その笑顔に無理をした様子はない。
シュタウフェンベルクはそんな彼の言葉にほっとしたような顔をする。
そして、軽くヘフテンの頭を撫でながら、言った。
「あまり無理はするなよ」
「わかってますって!
ジェイドさんにももう大丈夫だって言われて……っ!」
ぺし、と頭を何かで軽く叩かれて、ヘフテンは口をつぐんだ。
そこに立っていたのは、艶やかな緑髪の魔術医とその補佐をしている黒髪の天使。
緑髪の彼の手には黒いクリップボード。
どうやら、カルテを留めるためのクリップボードで頭を叩かれたらしい。
痛くはなかったが驚いて、ヘフテンはぱちくりと目を瞬かせつつ、
その犯人を見つめた。緑髪の彼……
ジェイドは呆れたように溜め息を吐き出しつつ、ヘフテンにいった。
「あまり無茶をすることだけはやめろ、といったのはお忘れですかね?」
確かに大丈夫だとは言いましたけど、とジェイドはヘフテンに言う。
放っておいたら……
基、シュタウフェンベルクのためならば無理をしそうな彼だから、釘をさすために。
ヘフテンはそんな彼の言葉に顔を顰めて呟いた。
「あぅ……ジェイドさん」
無理はしません、とヘフテンはいう。
そんな彼を見て満足そうに頷くと、
ジェイドはシュタウフェンベルクのほうを向いて、言った。
「くれぐれもヘフテンが無茶をしないように、
見張っていてあげてくださいね、シュタウフェンベルク」
「ああ、勿論だ」
言われずとも、とシュタウフェンベルクは思う。
一応大丈夫だとは言っていたが、それにしても、無理はさせたくない。
この間のような目に遭わせるのは、まっぴらだ。
きっぱりしたシュタウフェンベルクの返事を聞いて、ジェイドは翡翠の瞳を細めた。
「ふふ、頼もしいですね」
「本当ですね」
彼の隣にいた黒髪に緑の瞳の天使、メンゲレもくすくすと笑いながら、頷く。
ヘフテンはそんな上官の言葉に嬉しそうに笑いながら、
"ありがとうございます、大佐"と礼を言った。
心配させてしまったのは申し訳なかったけれど、
彼がここまで自分を心配してくれている、
思っていてくれていることは純粋に嬉しい。
だからこそ、彼をむやみに心配させないようにしよう、とも思ったけれど。
ジェイドはメンゲレのほうを向くと、微笑んでいった。
「では、僕たちも行きましょうか。
今日は講義の日ですしね……お手伝い頼みます、メンゲレ」
「はい、ジェイドさん!」
微笑んでジェイドに頷くメンゲレ。
彼らもまた、良き上司と部下であることが、
ヘフテンとシュタウフェンベルクの目にも明らかだった。
では、と軽く会釈をして離れていく彼らを見送ってから、
ヘフテンはシュタウフェンベルクのほうを見て、にっこりと笑いつつ、言った。
「今日は書類整理でしたよね、大佐」
「あぁ、討伐しなければならないような魔獣もそういないようだしな……」
まだヘフテンに無理をさせたくもないし、とシュタウフェンベルクは心の中で思う。
ヘフテンは彼の言葉を聞いて小さく頷くと、言った。
「早めに終わったら、少し出かけませんか?」
書類整理ならば頑張れば早めに片付く。
そうしたら一緒に出掛けないかと、ヘフテンは誘った。
シュタウフェンベルクはそんな彼の言葉に少し考えてから、こくりと頷いた。
ヘフテンが怪我をしてから暫くは城から出かけることもなかったし、
久しぶりに二人でゆっくり出かけるのも良いかな、と思って。
ヘフテンは彼の返答に、ぱぁっと顔を輝かせる。
「わぁ、ありがとうございます大佐!」
頑張るぞー!と俄然張りきった様子を見せるヘフテン。
こうして彼が張り切っているときこそやたら失敗する彼だからこそ、
ミスをしないように気を付けててやらないといけないな、と思いつつ、
シュタウフェンベルクはふっと息を吐き出したのだった。
―― 大切な… ――
(私にとって大切な彼だから無理はしてほしくなくて。
明るく笑うお前の顔を見て、ほっとしたんだ)
(尊敬し、敬愛する僕の大佐。
貴方の役に立つためならば精一杯頑張りますよ!)
2014-5-8 19:37