フォルスタでちょっとした喧嘩ネタ?なお話です。
お互いのことが好きだからこその喧嘩って好きです…←おい
*attention*
フォルスタのお話です。
学パロ(本家Laurentia!)設定でのお話です。
シリアス混じり基本ほのぼのなお話です。
喧嘩ネタ?なお話です。
相手が好きだからこそ、な理由の喧嘩って好きです…←
素直になれない子と素直にあっさり謝って相手をちょっと戸惑わせちゃう子のペアが好きでこんなノリに…(おい)
なんだか中途半端な感じになってしまいましたすみません;;
t相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
長い浅緑色の髪を靡かせて、スターリンは昇降口を出た。
今日は生徒会の仕事も早めに終わって、明るい時間にこうして外に出てこられた。
早くてよかったな、とスターリンは小さく呟く。
いつもならば向かう図書館に、今日は足が向かない。
そのままスターリンは門に向かって歩き出していた。
吹いてくる風は暖かい。
すっかり周囲は春の空気だ。
と、スターリンはぴたりと足を止めた。
そして、少し躊躇うように校舎の方をみた後、小さく溜め息を吐き出す。
「……別に、気になるわけじゃないのだよ」
スターリンは誰にとはなしにそう呟く。
しかし、それは自分自身に言い聞かせようとした言葉。
なにも気にしていない。
帰ろう、このまま帰ろう……
そう思うのだが、スターリンの足は歩んできた道を引き返していく。
そしてたどり着いたのは……図書館。
いつもならば、仕事を終えたスターリンが向かう場所だ。
今日、彼が此処に立ち寄ろうとしなかった理由は、単純……
来る理由がなかったから、だ。
元々スターリンが此処に立ち寄っていた理由は、此処で待っている"彼"がいたから。
しかし、今日は彼は此処にはいないだろうとスターリンは思っていた。
その理由は、簡単だ。
スターリンと彼……フォルが喧嘩をしたためである。
***
喧嘩の原因は下らないものだったと思った。
その前日の帰り際。
図書館にいなかったフォルを探しにスターリンが門の方へ歩いていけば、
フォルが彼の学校の生徒とおぼしき生徒と楽しそうに話していたことが始まりだった。
別に、自分以外の人間と話してほしくないとまではスターリンも言わないが、
こうして自分のいないところで彼が自分以外の人間と親しげに、
楽しげに話しているのをみると少し面白くなくて……
帰り道のフォルへの態度が少し冷たくそっけないものになっていた。
フォルもそれにすぐに気がついたらしい。
そして、その理由にも。
だから、フォルはからかうようにスターリンに問いかけた。
「ヤキモチ妬いてくれたの?」
ねぇ、と微笑みながら言うフォル。
スターリンはそんな彼の問いかけが少し気恥ずかしくて、
素直に認めるのも何となく癪で、そっぽを向きつつ気のない返事を返した。
「別に……お前が誰とどんな話してようが俺が口出しすることはないのだよ」
スターリンはそういって鼻をならした。
フォルはそれを聞いて溜め息を吐き出しつつ、いった。
「まぁ、それはそうだけどさ……」
「お前が誰と話そうが勝手なのだよ……好きにしろ」
スターリンはそういった。
そう言い切らなければ、自分自身のなかで燻った嫉妬心が消えないから。
そう、彼の勝手なんだ。
自分が口出しすることではない。
そう自分に言い聞かせようとして……
しかし、どうやらフォルはそれが気にくわなかったらしい。
怒ったように溜め息を吐き出すと、スターリンをおいて一人で歩き出してしまったのだ。
「わかったよ。なら勝手にする!」
書記長様のバカ!と言い捨てて、
フォルは一人でさっさと歩いて帰っていってしまった。
それ以降、フォルからはなんの連絡もなし。
スターリンから連絡をいれることもないままに、放課後が来ていたのだった。
***
そんな喧嘩から、一日。
たかが一日、されど一日。
いつも一緒にいて、いつもならば一緒に帰っているために、
その"彼"がいないというのは、相当な違和感で。
自分は悪くない、とスターリンは思っていた。
フォルが勝手に拗ねてしまっただけだ、と。
でも内心では彼のことを気にかけていて、
放っておこうと思っても放っておけなくて……
気がつけば、図書館に向かっていた。
いつも彼がいるフロアの、いつも彼がいるスペースは空白のままだった。
「……いる筈、ないのに」
スターリンはそう呟いた。
いつもならば、図書館に移動した時点で一度、連絡がある。
図書館で待ってるよ、という連絡。
それが今日はなかった。
だから、フォルは来ていないのだろうとスターリンも漠然とわかっていた。
フォルは基本的に子供っぽい性格で、
一度へそを曲げてしまうとそれを直すのに時間がかかる。
滅多に喧嘩することはなかったが、一度喧嘩すると長引くことは、
スターリンもよくよく理解していて……
そんなフォルが昨日の今日でけろっとして現れるはずがないか、と思い、
スターリンは苦笑する。
そして鞄を持ち直すと、今度こそ昇降口を出て、帰り道を歩き始めたのだった。
ひとりぼっちの帰り道。
それは随分久しぶりに感じられた。
いつもなら隣を歩くフォルがいる。
それは、生徒会の仕事で遅くなったときでも、バイトの時でも同じだった。
彼は、いつでも必ず待っててくれたから。
そう思うと、なんだか……
酷く、寂しく感じた。
と、そのとき。
びゅうっと風が吹き抜けた。
春一番、というやつだろうか。
その強い風に舞いあげられた砂が目にはいる。
痛い、と小さく悲鳴をあげてスターリンは立ち止まる。
「い、た……っ」
最悪だ、と思いつつスターリンは伊達眼鏡の奥の目をごしごしと擦った。
目に入ったごみをとろうとしてなのか、はたまた……
寂しさで少しだけ潤みそうになった涙腺を抑えるためだったか……
それは、わからなくなりかけていたけれど。
―― そのとき。
「擦ったら駄目だよ」
そんな声と同時に、ふわりと腕を掴まれた。
その手の優しさは、声は、スターリンもよく覚えがあるもので。
驚いて振り向けば、困ったように微笑んでいる亜麻色の髪の少年の姿があって。
「フォル……何で……」
何で、此処に。
なんで、自分の傍に。
だって、怒っていたじゃあないか。どうして……
そんな問いかけは、ひとつとして口から出ず、
スターリンはただただフォルを見つめ返しただけだった。
フォルは小さく微笑んで、そっとスターリンの眼鏡を外す。
あ、と声をあげる彼を制して、"擦ったら駄目だよ"と繰り返す。
そうした後、少し言葉に迷うように視線を伏せてから、呟くようにいった。
「ごめんね、書記長様」
「は……」
唐突な謝罪にスターリンは少し気の抜けた声を漏らす。
フォルはそんな彼を見つめ、すまなそうに言葉を続けた。
「昨日の、こと。
もう知らない、なんて一方的に怒っちゃって、ごめん」
フォルの言葉にスターリンはただ、目を見開いた。
謝られるなんて、正直思っていなかった。
「僕が変な意地を張ったのが悪いんだ。
好きにしろ、って言われたのがちょっぴり悔しく、て?
あんなこといって書記長様放置で帰っちゃって……
すぐにごめんね、っていえば良かったね」
そしたら喧嘩にならなかったね。
今日だって、いつもみたいに一緒に帰れたよね。
ごめんね、とフォルは言う。
自分が悪かったところをすべてあげて、スターリンに詫びる。
スターリンは唇を噛み締めた。
「っ、狡い……のだよ」
こうして、一方的に謝られたのでは……調子が狂う。
それ以前、自分から謝るタイミングがもう、わからない。
本当は、自分も謝りたかった。
勝手にしろ何て嘘だ、と。
ヤキモチを妬いたんだ、と。
でも、先に謝られてしまっては……
今から、そんなことを口に出すのは、気恥ずかしくて出来ない。
だから、狡い。
スターリンはフォルにそういっていた。
フォルはそれを聞いて微笑むと、優しくスターリンの頭を撫でて、言う。
「うん、狡いね……こんな僕のこと、嫌いになった?」
「……そういうのも、狡いのだよ」
スターリンはそういいつつ、フォルを睨んだ。
フォルはそれを聞いてくすりと笑う。
いつも通りの笑顔に、スターリンは少しほっとした顔をした。
―― ごめんね、嘘だよ。 ――
(好きにしていいなんて嘘。
勝手にして、何て嘘だから)
(大好きだよ。だから、勝手にしろって言われて悲しかったんだ。
ごめんね、ごめんね。でも、僕は君が大好きだから……)