本日はシュタウフェンベルクさん(クラウスさん)のお兄様、
ベルトルトさんとアレクサンダーさんのお誕生日、と言うことで…
ブラコンな双子さん&ワルキューレコンビのお二人での誕生日小説を書いてきてしまいました!
色々すみません、なノリですみません…!←
*attention*
ベルトルトさん&アレクサンダーさん&ワルキューレコンビのお話です。
双子のお兄様たちのお誕生日小説です。
ほのぼのなお話です。
お誕生日のお祝いをする弟にめろめろなお兄様たちのお話を書きたくて…←
ワルキューレコンビのお二人もお兄様たちも大好きです!(おい)
お誕生日おめでとうございますお二方!
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
―― とある春の日の、静かな執務室。
ただただ部屋に響くのは紙の上をペンが走る音のみ。
黒いインクで文字を刻んでいた黒髪隻眼の青年は一度ペンを止めた。
そして、自分が書いていた書面に視線を走らせる。
どうにか満足いくものであることが分かった所で、彼……シュタウフェンベルクは溜息を吐き出した。
「ふぅ……」
少し固まった体を伸ばす。固まっていた体がぱきぱきと音を立てる。
疲れ、というほどの疲れではないが、片腕しかない彼にとって、ずっとその腕で書類にペンを走らせているのもなかなか重労働。
ともあれ、終わらせなければならない書類は終わった。
もう一度小さく息を吐き出すと、シュタウフェンベルクは壁掛けのカレンダーに視線を投げた。
そしてペンをペン立てに挿し直して、彼は立ち上がる。
その時に気が付いたように同じ部屋で作業をしていた少年が振り向いた。
金髪の少年……ヘフテン。
彼は自分の上官の方を見て、小さく首を傾げた。
「あ、大佐。何処へ?」
「ん……ちょっと、な」
少し言葉を濁す彼にヘフテンは怪訝そうな顔をする。
軍議は入っていないはず。
任務に彼ひとりで行くことは稀であるし、その場合は必ず副官であるヘフテンにも声をかける。
でも、それ以外に一体何処に行くというのだろう……?
そんな表情を浮かべる彼を見て、シュタウフェンベルクは言った。
「……兄のところに行こうと思って。
今、此処に来ていると聞いているから。多分この時間なら食堂辺りにいるだろう……」
そんな彼の返答にヘフテンは一瞬いっそう怪訝そうな顔をした。
しかしすぐに何かに気が付いたような表情を浮かべる。
「?……あぁ、なるほど」
ヘフテンも先程シュタウフェンベルクがしていたようにカレンダーに視線を投げ、それから小さく笑った。
シュタウフェンベルク……ファーストネームクラウスには二人の兄がいる。
その兄たちは弟であるクラウスを溺愛している。
そんな兄たちの溺愛ぶりに少し辟易しているというか……恥ずかしがっている。
だから、そんな兄たちにクラウスが自分から会いに行こうとするのは珍しいな、とヘフテンは思ったのだけれど、その理由はすぐに理解できた。
なるほどなるほど、と頷いたヘフテンだったが……
そののち、少し困ったような、迷ったような表情を浮かべた。
「えと……僕は……」
どうしたらいいでしょう、という顔をする。
彼が何をしに行くつもりなのかはわかった。
その場合……自分はついて良いのだろうか?
邪魔にはならないだろうか?
そんな想いを彼が抱いていることはクラウスもすぐに気が付いたのだろう。
小さく息を吐くと、彼はヘフテンに言った。
「一緒に来てくれ。彼奴らが暴走した時にストッパーがいないと、困る」
若干暴走しがちな兄たち。
今まで兄弟として生きてきたのだ。
一緒に居る時間は短いとはいえ、兄弟……彼らの性格、性質はよく分かっているクラウス。
そのあたりの心配はやはりしているらしい。
クラウスの言葉に小さく苦笑したのち、ヘフテンは頷いて"了解です、大佐"と返事をした。
***
そうして、クラウスとヘフテンは二人で食堂に向かった。
昼時を過ぎた食堂は少し人が捌けていた。
その中をぐるりと見渡せば、クラウスに瓜二つの黒髪の青年たちの姿を見つける。
クラウスはその姿を見つけると小さく息を吐いて、彼ら……兄であるベルトルトとアレクサンダーの方へ歩み寄った。
すると、二人は気が付いたように顔を上げて、クラウスを見る。
そして、驚いたように目を丸くして、声を上げた。
「お、クラウス!ヘフテン!」
「元気にしてた?二人とも」
よぉ!と元気に手をあげるアレクサンダーと、微笑みかけるベルトルト。
ヘフテンは微笑んで、"お久しぶりです"と二人に挨拶をした。
そんな双子の兄たちと副官の様子を見て、クラウスはいう。
「久しぶりだな」
確かにここ最近はあまり顔を合わせていなかったな、とクラウスは思う。
「もっと頻繁に訪ねてきたいんだけど流石に俺たちも仕事あるからな」
「そうそう」
もう少し頻繁に会いたいんだけどなー、と言って笑い合う兄二人。
それを見て、クラウスは溜息を吐き出す。
相変わらずだな、この人たちは。そんな思いを滲ませて。
「……はぁ」
そんなクラウスの様子を見て、ヘフテンは何所かおかしそうに笑った。
いつもは冷静沈着でしっかり者のクラウス。
しかし、兄の前でだと少しだけ幼くなっているように見える。
振り回されている、というのが正解だろうか。
そんな彼の様子を見ているのが、何だか面白おかしく感じるのだ。
しかしクラウスとしては面白がられても困る。
迷惑、というほど迷惑なわけではないけれど……
少し、過保護で愛が重たい兄たちに頭を痛めているのは事実で。
と、その時。
暫しクラウスを愛しげに見つめていたベルトルトは"でも"と声をあげた。
「珍しいね。クラウスが自分から僕たちを探しに来てくれるの」
「そうそう、俺も思ってた。
部屋にいるとは聞いてたから俺たち一息ついたらお前の部屋に行こうと思ってたんだ」
普段は自分から来てくれないだろう?と双子はいう。
クラウスはそれを聞くと、少し視線を彷徨わせた。
何を言うべきか……と、いうように視線を逃がしたのち……クラウスはぼそり、と呟くように言った。
「……誕生日」
「え?」
「へ?」
ベルトルトとアレクサンダーは小さく呟いたクラウスの声に、首を傾げる。
戸惑ったように視線を伏せるクラウス。
それを見ると、ヘフテンは小さく笑って、軽くクラウスの肩を小突いた。
それに少し眉を寄せると、クラウスは一つ咳払いをして、言った。
「誕生日……だろう。今日、兄さんたちの……誕生日」
だから、といって、クラウスはぷいっとそっぽを向いた。
―― そう。
今日は、クラウスの兄たち……アレクサンダーとベルトルトの誕生日なのである。
クラウスが仕事を終えて自分から兄たちを探しに赴いたのは、その祝いの言葉を言いに行くため。
ちょうどこうして自分たちのいる場所に彼らが訪ねてきてくれているのだし……と。
ただ、もともとあまり口が上手い方ではないため、照れて上手く言葉が出てこなかったらしい。
弟からの不意打ちな祝いの言葉に暫し固まっていた兄二人だったが……
「うぁ……?!」
不意にクラウスの悲鳴があがる。
その原因はただ一つ、兄二人がぎゅっと抱き付いてきたからだ。
ベルトルトとアレクサンダーはわしゃわしゃっと自分たちより年下の弟の頭を撫でまわす。
「もう、ほんっとうに可愛い奴だなー!」
「それでわざわざこうして来てくれたのかぁ!ありがとう!」
本当に可愛い奴めー!と弟の頭を撫でまわす二人。
クラウスは暫しされるがままになっていたが……やがて辛抱ならなくなったのか、顔を真っ赤にして叫んだ。
「っ、わかった、わかった、から……離れろ馬鹿兄二人!」
「あはは、相変わらずですねぇ……」
「ヘフテン!見てないで助けろっ!」
ストッパーになってくれと呼んだんだろうが!とクラウスはちゃっかり逃げて笑っている副官に言う。
しかし、ヘフテンはくっくっと笑いながら手を振った。
「無理ですよー、兄弟水入らず邪魔するわけにもいきませんし」
そういって、ヘフテンは悪戯っぽく笑う。
大好きな上官が自分以外に遊ばれている、くっつかれているというのは幾ら相手が兄とはいえ面白くないが、
しかしそれ以上に……兄たちに抱き付かれて焦っているクラウスの表情が何だかかわいらしくて、もう少し見ていたくなったのである。
クラウスもそんな彼の心理は見てとれたのだろう。
笑っているヘフテンを見て恨みがましげな顔をした。
しかし、兄たちは弟からの誕生日祝いの言葉がよほどうれしかったのか、未だ笑顔のままだ。
「逃げなくてもいいだろうクラウス!」
「兄ちゃんたちへの誕生日プレゼントだと思ってさ!」
上機嫌にそういう双子。クラウスは彼らの笑顔を見て、もう一つ溜息。
しかし嫌がっているというよりは呆れているような彼の表情を見て、ヘフテンは小さく笑って、"相変わらず仲良しですね、大佐"と言ってやったのだった。
―― Dear my brothers ――
(少し愛情が重たい兄たちだけれどそれでも確かに、大切な家族だから…
もう少し、手加減はしてくれたら非常にありがたいのだけれど)
(嬉しそうに笑うお兄さんたちと、照れくさそうにしている大佐と。
仕事中に見るのとは少し違う貴方の表情が、僕も好きなのですよ)