赤髪金髪コラボのお話です。
無意識のうちに寂しがったりしている美人さんの様子を書くのが好きです…←
*attention*
赤髪金髪コラボのお話です。
シリアス?切ない雰囲気のお話です。
アネットはたまに城を離れた任務に赴くことがあるので…
いつも一緒にいる分一緒にいられないことが寂しくなってたりしたらいいな、と…←
無意識に寂しがっている美人さんの表情が好きです(こら)
アネットは基本理性脆い方なのでわざと離れようとするかもしれませんが
結局は傍にいたがる子です←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
とある、静かな夜……
長い金髪の少年は一人、暗い自室に戻ってきた。
誰もいない、誰も訪ねてこない、静かな部屋……
その部屋の窓辺に彼……ハイドリヒは立った。
春の夜の静けさが包む夜空。
点々と散った星。
冬の間は美しく輝いていた星も、春の空気のなかだと、
頼りない弱々しい光を放っているように見える。
朧気な光。
何処か頼りないその星を見ていると、何とはなしに不安になってくる……
そう思って、ハイドリヒはカーテンを閉めた。
そのまま、ベッドに座り、ドアの方へ視線を向ける。
今日も、そのドアは開きそうにない。
これで何日目かわからない静かな部屋。
そのドアを開けてくる人の姿もない。
いつも訪ねてくる彼……アネットは、現在不在。
炎豹の遠征任務に出ているために城を離れているのだった。
危険な任務ではないから、と安心させようとするように微笑んでいた彼だったが……
恋人であるハイドリヒに心配するなという方が無理がある。
けれど、ハイドリヒは心配している様子は周囲に見せなかった。
当人であるアネットにも。
無茶苦茶をしないで無事に帰ってきなさいとだけいった。
その言葉にアネットはお前らしいよ、と笑っていた。
それから始まった、数日の一人きりの生活。
一人の空間には慣れていた筈だった。
一人で食事をとるのも。
でも……
いつのまにか、それが嫌だと感じるようになっていた。
ひとりぼっちのこの空間が嫌だ、と。
ハイドリヒは一度ベッドから離れて、テーブルの上にあるグラスを傾けた。
なかに入っていた液体が喉の奥に流れ込む。
甘く、喉を焼くようなアルコールの匂いに少し噎せそうだった。
そのグラスをおきながらハイドリヒはもう一度ドアの方へ顔を向ける。
やはり開かないドア。
それを見て、彼は表情を歪めた。
寂しい。
心細い?
"誰かに"傍にいてほしいのではない。
"彼"に傍にいてほしい……――
そう思いながら、ハイドリヒはベッドに体を倒した。
冷たいベッドに体を横たえて、ぎゅっと布団を握りしめる。
一人きりのこの部屋……この空間に耐えるように。
アルコールの滲んだ吐息に混ぜて、"彼"の名前を呼ぶ。
無論、その声に答える声はなかった。
***
それから少しした頃……
ハイドリヒの部屋のドアがゆっくりと開いた。
足音を殺してそっとハイドリヒのベッドに近寄る影……
それは赤髪の少年、アネットで。
彼はついさっき遠征を終えてこの城に戻ってきたところだった。
一刻も早く恋人の顔が見たくて、こうして訪ねてきたのだけれど……
すでにハイドリヒはベッドに入っていた。
さすがに真夜中、もう眠っていることはアネットも想像くらいはしていた。
でも、せめて寝顔だけでも見たくて、こうして彼に歩み寄っていたのである。
ハイドリヒのベッドサイドに立つと、アネットは彼の顔を覗き込んだ。
寝入っている、ハイドリヒ。
長い金髪がベッドの上に波を描いている。
ラインハルト、とアネットはハイドリヒを呼んだ。
彼は少し疲れたようにベッドに沈んでいる。
眠っているのだが……あまり穏やかな寝顔とは言えない。
アネットはそっとそんな彼の頭を撫でた。
気配に敏い彼だが、触れているのがアネットだからか、
はたまたよほど疲れているのか、目を醒ます様子はない。
アネットはそれを見てそっと、微笑んだ。
久しぶりに任務を終えて帰ってきたのだ。
本当は話したかった。
起きていてくれたら、一緒にいたかった。
抱きつきたかった。
でも……疲れているのは知っているから。
彼の任務が、きついものであることは知っているから……
「おやすみ、ラインハルト」
そういって、そっと頬に口付けるに止める。
それ以上触れて彼を起こすのは忍びないし、何より自分が耐えられなくなる。
叩き起こすようなことはしたくないが、こうして触れていたら、
傍にいたら、そうしてしまうかもしれないから……――
そのまま離れようとした。
部屋にかえって、明日の朝また来よう、そう思って。
―― しかし。
離れようとしていたアネットは緩く、服の裾を掴まれた。
ハイドリヒが目を開けて、アネットを見上げている。
アネットは驚いたようにまばたきをして、"ラインハルト?"と呼んだ。
ハイドリヒはぎゅ、とアネットの服を掴んだまま、震える声で呟いた。
「いかないで……」
その言葉にアネットはさらに目を見開いた。
ガーネットの瞳に映る、ハイドリヒの顔。
心細げな、寂しげな、表情。
それを見て、アネットは少し瞳を揺るがせる。
その頼りなさげな表情が、何処か扇情的で……
胸を埋めた愛しさと劣情を堪えようとする意味も込めて、
アネットはおどけたようにハイドリヒに問いかけた。
「寂しかった?ラインハルト」
そんなアネットの言葉に、ハイドリヒは一度眉を寄せる。
あぁ、怒らせたかな……
アネットがそう思うと同時、ハイドリヒは溜め息を吐いて、いった。
「……寂しくない、はずがないでしょう」
恨みがましげな声で、ハイドリヒは呟いた。
その言葉にアネットは小さく息を飲む。
少し屈んで、ハイドリヒと視線をあわせた。
そして、気づく。
微かに香る、アルコールの匂い。
あぁ、酒を飲んでいたのか……そう思う。
それは、寂しさ故?
そう訊ねるのを堪えて、アネットは微笑んで言った。
「……そっか。ごめんな、遅くなって」
そういいながら、アネットはそっとハイドリヒの体を抱き寄せた。
優しく優しく、その背中を、頭を撫でる。
ハイドリヒはアネットの背中に腕を回して、小さく震えた。
おかえりなさい、と呟く声にアネットはただいま、と答える。
「……大丈夫。
傍に居るよ、ラインハルト……だから、安心して……」
大丈夫だよ、と何度も呟く声。
それに安心したように、ハイドリヒの体から力が抜ける。
アネットは暫しその体を抱き締めたまま、背中を擦っていた。
彼の口からこぼれる吐息が寝息に変わると、アネットはふぅと息を吐き出した。
そして、そっとハイドリヒの華奢な体をベッドに倒す。
布団をかけながら、優しくその額を、頬を撫でた。
「普段も、これくらい素直でいてくれてたらな……」
ぼそり、とアネットはそう呟いた。
そしてふっと笑う。
「それは無理か……ラインハルトだもんな」
いつも一人が当たり前で、一人でも強く生きてきて、
だからこそ周囲に頼る方法を知らない。
それ故に甘える方法何て知るはずがないか、とアネットも知っている。
「大丈夫、大丈夫……」
ちゃんと甘えさせてあげるから、とアネットは言う。
その声に応じるようにハイドリヒはそっと、アネットの手を握っていた。
―― 無意識の思い。 ――
(無意識に呟く、いかないで。
その切ない声に、細いお前の手をただ握り返す)
(大丈夫だよ、傍にいるよ。
そう伝えるだけでお前が安心できるなら幾らでもそうするから)