SoleMorteの敵さん二人(依存姉弟)のお話です。
前回に増してダーク(というか流血描写有り)なので、ご注意。
ジェノがものっそい怖い。
そしてそれに何もツッコみいれないカルネもある意味怖い。
けど、彼らはそういう子なのです。
というわけで、大丈夫な方は、追記からどうぞー!!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
SoleMorteの敵さん二人(依存姉弟)のお話です。
前回に増してダーク(というか流血描写有り)なので、ご注意。
ジェノがものっそい怖い。
そしてそれに何もツッコみいれないカルネもある意味怖い。
けど、彼らはそういう子なのです。
というわけで、大丈夫な方は、追記からどうぞー!!
"おかしい"と"歪んでいる"と、人は僕らのことを言う。
だけど、お香椎とは思いませんか?
僕たちを"歪めた"のは、貴方たちの方じゃないのですか……?
***
Side ジェノ
僕とカルネはとある家にいた。
白い壁、柔らかい光がともる、暖かな家。
綺麗に手入れされた庭には、白と赤の薔薇が植えられていて、
家の中には高価そうな家具。
穏やかな時間が流れる空間。
きっと人間はその家を"理想"と呼ぶのだろう。
でも僕らにとっては、安っぽい"幻想"にしか、思えない。
「た、助けて……っ」
僕たちを見て、恐れ戦いた顔をする男を、僕は見下ろした。
ついさっきまで、僕たちと一緒に笑っていた、男。
僕とカルネは"計画"のために、この家によく遊びに来ていた。
可愛い子供を演じて、二人を喜ばせて。
ほんの束の間でも、"本当の子供"のように、ふるまってやった。
「貴方たちが子どもだったら嬉しいわ」
なんていう女に無邪気な笑顔を向けて、
「だったら、また遊びに来てもいいですか?」
って問うて。
子供らしく振舞って、甘えて見せた。
それもすべて、"この計画"のため。
……僕たちは、貴方たちのような
"大人らしい大人"が大嫌いなのですよ。
みっともなく泣く男。
僕は笑って、そいつにナイフを向ける。
逃げられないように、カルネが男の足の腱を切った。
男の痛みに呻く声と煩い甲高い悲鳴に、思わず顔を顰める。
「煩いですよ。少し黙っててくれませんか」
悲鳴を上げた女の方を見て、僕は言う。
僕の視線を見て、女は口をつぐんだ。
青い顔をして、僕がナイフを向けた男と僕を交互に見る。
「逃げようとか無駄なこと考えないでくださいね?いろいろ面倒なので」
僕が言うと、こくこく、と頷く女。
素直なところだけは、褒めてあげましょう。
カルネはくすり、と笑って僕の隣に立った。
「じぇの、つよ、いね?」
すごいすごい、と甘えた声で言うカルネ。
愛おしい姉を抱きしめて、僕は笑う。
「僕は強いよ。カルネを守るためなら、なんだってできる」
そう、僕はカルネのためならなんだってしてみせる。
カルネを傷つける奴には容赦しないし、
カルネを守るためならなんだってする。死んだっていい。
でも、僕がいなくなったら、カルネが悲しむ。
僕は、ずっとずっとカルネの傍にいるんだ。
ずっとずっと、一緒に……
「―― ……だ」
不意に、聞こえた声。
カルネが、目を見開く。
その様子を見ていた男が小さく呟いた言葉を、僕も聞き逃さなかった。
「今、なんて言いました……?」
静かな声で問うと、男は狂ったように叫んだ。
「お前たちはおかしい!化け物だっ!」
おかしい。
化け物。
狂っている。
異常だ。
男は叫ぶ。何度も何度も。
その度、カルネが悲しそうに顔を俯かせていく。
「そ、そうよ……!どうして、ジェノ君……
貴方はいつも、すごくいい子だったじゃないの」
女が震える声で言う。
僕は小さく笑って、言ってやった。
「"理想の息子"だったでしょう?」
「!」
「貴方方が望んだ、"頭が良くて気立てのよい子供"それが、僕だったのでしょう?」
すべて演技。
彼らが望むものを与えた。
その見返りは、貴方たちの命です。
そういって、小さく笑って僕は男に向かってナイフを振り上げた。
と、その時。
「か、カルネちゃんの、所為でしょう?」
ぴたり、と動きを止める。
女は、何を勘違いしているのか、声高に言った。
「そうよね?そうでしょう!
いつも口がきけないお姉さんのお世話が大変で、
ストレスがたまっててこんな悪ふざけしてるだけでしょう?そうよね!」
僕は黙ったまま、女のほうに視線を向けた。
期待に満ちた目で僕を見る、女。
"そうです"と、僕が答えるとでも思っているのですか。
刹那、僕はそいつの首をナイフで切り裂いた。
ぱっと鮮血が舞って、白い壁を汚す。
男が悲鳴のような叫び声のような、獣じみた声を上げた。
「…………口を開くなら、もう少しまともなことを言ってくれませんかね」
そうしたら、あと五分は生きられたでしょうに。
「悪ふざけ、だと思ってただけ幸せですね。僕らは至って真剣ですよ」
失敗したな、と小さく呟く。
もう少し、苦しませてやればよかった。
僕を、カルネを、こんなに傷つけたのに。
あっけなく死なせてしまったことを、後悔した。
おそらく死んだであろう女の傍に跪いて、その胸をもう一度刺す。
もう一度、なんてもんじゃない。
何度も、何度も何度も何度も。
それくらい、僕は怒っている。
男の方に、視線を向けた。
「奥様の僕らに対する侮辱、貴方に償ってもらいましょうか」
冷たい冷たい僕の声に、慄いた顔をする男。
俯いているカルネが、僕の手を握る。
「……大丈夫だよ、カルネ」
そっと笑みを向けてから、僕は男のネクタイを引っ張って、顔を近づけた。
ヒッと息をのむ、彼に言う。
「僕らが狂っていると、先ほど仰いましたよね?」
黙り込んだ男を睨み付け、きつい口調で"仰いましたよね?"と問えば、
壊れた人形のごとく何度もうなずく、男。
僕は小さく息をついて、問いかける。
「何を根拠に、狂っている、と?」
「ひ、人殺し……っ」
震える声で紡がれた言葉は、それ。
"人殺し"
僕は笑って、答える。
「あぁ、そうですね……確かにそうかもしれません。
僕はたった今、貴方の奥様を殺しましたから」
「そ、それが、狂っている、と言っているんだ!!
私たちが君たちにどれだけ……!」
ヒステリックに叫ぶ男。
あぁ、うるさくて堪らない。
「どれだけ尽くしてあげたか、ですか?」
冷やかに、訊ねる。
何度も食事をごちそうになった。
家に泊めてもらったこともある。
でも、それは僕らが頼んだことじゃない。
「恩着せがましい……」
僕は、ナイフを振り下ろした。
何処に刺したか、何かわからない。
そのまま、先ほどの女の言葉で増幅された憎悪を、ぶつける。
「僕たちは狂ってなんかいない……!
カルネはおかしくなんかない!!
カルネと一緒にいることは苦痛なんかじゃない!ストレスなんかじゃない!
僕は、僕はカルネが好きだから傍にいるんだ!
貴方たちに何がわかる?!
何年も、何年も存在を隠され、"存在を消された"カルネや、
その現実を知った僕の気持ちが、どうしてわかるというのですか!?
……僕らが歪んでいるというのなら……っ」
―― 歪めたのは、アンタたち大人だ……ッ!!
***
はぁ、荒く息を吐いた時。
そっと、僕の手を誰かが握る。
優しい、暖かい手。
無論、それは僕の愛しい姉弟。
「じぇの、も、いいよ?おわ、り」
「うん。終わりだね」
物言わぬ屍と化したそれを一瞥して、僕は立ち上がった。
真っ白だった壁は赤黒く染まり、僕の手や服も、汚れていた。
カルネはハンカチを出して、僕の頬にとんだそれをぬぐってくれようとする。
それをとどめて、僕は微笑んだ。
「いいよ、カルネ。汚れてしまうから」
「でも」
「いいんだ。カルネを汚したくない。
さ、火をつけて逃げよう。
この人たちは煩かったから、急に静かになったら誰か来るかも」
そうなったら厄介だ。
そう思って、僕たちは"幸福の象徴"に火を放つ。
液体燃料をかけたそれは、潔く燃える。
僕らがいた痕跡も、綺麗に消える。
そうでなくとも、問題ない。
僕たちは毎日のように此処に遊びに来ていたのだから。
明日の朝、此処に来て泣きの演技の一つでもすれば、それでいい。
僕たちは"子供"だから。
"子供らしい子供"を演じてしまえば、警察の目は、僕らを見ない。
「どうしてこんなことに?……なんて、ね」
泣き声で明日の予行練習をすれば、隣でくすくすと笑うカルネ。
「じぇの、じょー、ず」
「そう?ありがとう」
僕たちは燃え盛る家と、集まってくる野次馬たちから隠れながら、
自分たちの家に戻った……
***
シャワーを浴びて、汚くなった体を流す。
流れる水は、赤黒い。
丁寧に体を洗って、汚い血を洗い流した。
鏡に映るのは、カルネとおそろいの綺麗な金色の髪、オリーブ色の瞳。
僕たちは、誰が見ても姉弟だとわかるほど、そっくりだという。
その言葉が、純粋に嬉しかった。
シャワーを終えて、服を着る。
リビングに戻ると、可愛い声が迎えてくれた。
「おかー……り、じぇの」
先にシャワーを浴びてリビングで休んでいたカルネが
ニコリと笑顔を向けてくれる。
ただいま、と返してカルネの隣に行けば、
ぎゅっと優しく抱きしめてくれるカルネ。
あぁ、愛おしい。
すべてが浄化される気がする。
あの、"狂った大人"の汚い血で穢れた身体も、心も。
「……カルネ、僕はカルネが大好きだよ」
唐突に僕が言えば、カルネは不思議そうな顔をして、首をかしげた。
カルネの腕をほどいて、正面から彼女を見つめて、言う。
「さっきの、アイツの言葉……気にすること、ないからね?」
「!」
「僕は、カルネの傍にいたいから、カルネと一緒にいるんだ」
そう、それは真実。
カルネが疑ってるとは微塵も思わないけれど、
さっきすごく悲しそうな顔をしていたのは事実だから。
カルネだって、きにしてるんだ。
自分が上手く話せないこと。
僕がその度通訳しているから、
もしかしたら迷惑かも、なんて思ってるかもしれない。
全然そんなことないのにね。
僕だけでいい。
カルネが言っていることを一回で理解してあげられるのは。
僕は真正面からカルネを抱きしめて、囁く。
「カルネ、大好き」
「……かるね、も。じぇの、だーい、すき」
照れ臭そうに言うカルネ。
あぁ、可愛い。愛おしい。
ギュッと手を握り合って、微笑みあう。
この時間が、僕にとっては一番の幸せ。
―― まるで鎖のような…… ――
(他人(ヒト)はそれを、"依存"と呼んだ)
性 別 | 女性 |
年 齢 | 29 |
誕生日 | 7月27日 |
地 域 | 静岡県 |
系 統 | おとなしめ系 |
職 業 | サービス |
血液型 | AB型 |