部下の(中略)コラボで共闘ネタ?な感じです。
対照的なこのコンビも書いてて楽しいです…!
*attention*
部下の(中略)コラボのSSです
時々ちょぴりシリアスちっく?なほぼほのぼのです←
血とかそういうものが苦手なハイニさんと平然としてるルカ
魔術特技性格など正反対な二人を書いてみたくて…
今までパートナーを持ってなかったルカは一緒に戦ってくれる相手がいるのが嬉しいようです
とりあえずラストのあの子の発言は…ごめんなさい←おい
ルカの慰め方は強引です
相変わらずに妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
葉を落とした始めた木々の隙間から溢れいる日の光。
そのしたで、二人の騎士が魔獣と戦っていた。
魔術が発動する光と、剣が太陽光を反射して瞬く光とが交差する。
低い唸りをあげる魔獣たちは自分たちを討伐に来た騎士たちを睨み、
鋭い爪で、牙で、攻撃を仕掛けてくる。
そんな攻撃から相棒を守るは、赤紫の髪の少年。
彼自身も大きな槍を携えてはいるが、それはあまり戦闘には使わず、
主に魔術で隣で戦う自分のパートナーのサポートをしている。
その障壁は強固なもので、全力での魔獣の体当たりをも阻む。
対する黒髪の少年は自分の愛剣を抜き、鋭く振るっている。
剣術一本で此処まで上り詰めてきたというだけあってその実力は確かなもの。
飛びかかってきた魔獣を叩ききり、地面に伏せさせていた。
そうして戦う、ルカとヒムラー。
パートナーを組んでからまだ日は浅いが、彼らの息は良くあっている。
元々、得意とするものが正反対であるのもその一翼を担っているだろう。
魔術が得意なヒムラー。
剣術での攻撃が得意なルカ。
彼らの戦闘のバランスはちょうど良く、互いの欠点を庇いつつ戦えているのだった。
しかし、どうしても死角というのは生じるもの。
あげく、魔獣の数はかなり多く、二人とも少しずつ疲弊していた。
ルカが自分の正面から挑んでくる魔獣に集中していた時。
不意打ちで、地面に伏せていた魔獣がルカに飛びかかった。
死にかけた魔獣の力というのは侮れないもので、
ルカが気づくよりも、ヒムラーが障壁を張るよりも早く、
無防備なルカの左腕に噛みついた。
「……ッ!?」
不意な痛みにルカは顔を歪めた。
自分の腕に食い込む鋭い牙。
それを見たヒムラーは大きく青い瞳を見開く。
「ルカさん……っ!」
ヒムラーが悲鳴じみた声をあげた。
ルカは痛みに顔を歪めている。
しかし剣を落とすことはせず、魔獣を切り裂いた。
その勢いは、"白銀の狩人"の名に相応しい。
傷を負っているとは到底思えぬ素早さ。
剣が煌めくのが白銀の光にしか見えなかった。
「ハインリヒ、集中!」
そんなルカの声とどさり、と魔獣が地面に潰れる音でヒムラーははっとした。
そうだ、まだ終わっていない。
ここで倒れたりしたらそれこそ邪魔になってしまう。
ヒムラーはそんな思いで武器を握り直した。
必死に障壁を張り、近寄ってくる魔獣は槍で追い払い、
どうにか二人はすべての魔獣を討伐した。
すべての魔獣がきちんと息絶えていいることを確認して、
剣を下ろしたルカが一息吐いて、ヒムラーの方へ向き直る。
「ハインリヒは、怪我ないか?」
「え、ぇ……僕は、大丈夫です……でも、ルカさ……っ」
慌ててルカに駆け寄ろうとしたヒムラーは足がもつれてその場で転んだ。
先程までの緊張状態と、それが解けた安堵、
そして怪我をしたルカの様子を見なくてはという焦りが混ざってこうなったのだろう。
ルカはそんな彼をみて目を見開くと、慌てて駆け寄る。
両腕で支えにかかろうとしたようだが、
怪我をしている方の腕が痛んだらしく、一瞬顔を歪めた。
それでもすぐにヒムラーに声をかける。
「おい、大丈夫か……」
「僕は、平気ですよ……ごめんなさ……っ」
ごめんなさい、と謝る声は若干震えている。
何故だ、とルカは少し悩んだ。
魔獣は確かに強かったが、そこまで危険という物でもなかった。
怯えるような対象ではないはずなのだけど……
「……あ。これか」
そこでルカはそこで漸くヒムラーが動揺している原因が自分にあることを理解した。
ルカの右腕の袖は流れた血で真っ赤に染まっている。
元々が白い制服だけに流れた血液はやたら目立ってしまう。
元々こういった血だの何だのが苦手なヒムラーにとっては、
恐らくありがたくない事態だっただろう。
ルカはそのことに気付くと"あぁ、悪い"といってヒムラーから離れた。
そして、自力で軽く処置をする。
こういう傷には慣れているらしく手早く傷の確認をすると、小さく笑っていった。
「大丈夫だ、そんなに酷い傷じゃあない」
「うぅ、ごめんなさい……」
俯いているヒムラーの顔色はあまり良くない。
大丈夫か?とルカは訊ねて彼の背を傷を負っていない方の腕で擦った。
そんな彼の心配そうな声色、表情。
また足手まといになってる、と思ってヒムラーは落ち込む。
室内での任務……書類の整理などは得意だし、
召喚術や防御術はかなり得意の部類にはいるが、
こういった戦場で即戦力になるような魔術はあまりつかえない。
剣術、および槍の使いにしても同じことだ。
揚句味方の傷を見て血の気が引くなどあってよいものか、と彼自身で落ち込んでいた。
ヒムラーがこの手の任務が苦手なのは今に始まったことではない。
魔獣にせよ人間にせよこういう惨状を目にするのは、ありがたくない。
ルカもそれがわかっているため、どうしたものかという顔をした。
そして、自由の聞く方の腕でヒムラーの頭を軽く撫でる。
「あー……んな顔すんなよ、ハインリヒ。
お前がいなかったら俺もっと酷い怪我してたかもしれないんだから。
お前がいてくれて助かったよ」
ルカはそういう。
お世辞でも慰めでもない、本音であることは間違いなかった。
魔術が使えないルカは障壁も張れない。
もしヒムラーがいなければ、もう少し酷い傷を負っていただろう。
ルカが本気でそう思ってくれていることは伝わっているはずだが、
ヒムラーは相変わらずに浮かない顔だ。
「でも……」
落ち込んだままのヒムラーを見るとルカは溜め息をひとつ。
そして、ヒムラーの頬を摘まんだ。
「ふぇ……?」
「あんまり凹んだ顔してるとこのままキスすんぞ?」
凄むような声でそういって……ルカはぱっと手を離した。
そしてくくっと笑う。
「間抜け面。ほら、帰るぞ」
「……酷いですよ、いきなり人のこと間抜け面って……!」
ヒムラーはむくれつつ、先に歩きだしたルカを追いかけた。
その表情は先程のルカの行動で少々気が晴れたのか、明るいものになっている。
ルカはそんな彼の表情を見て、笑った。
「そうやって笑っとけ。ハインリヒはそういう表情の方が似合う」
そう思った。
隣で彼が笑っていてくれれば気分も明るくなる。
傷は確かに少々痛むが、それさえも気にならないほどに。
共に任務に赴ける人間がいるのは良いものだな、と改めて思う瞬間だ。
それまで一人で任務に赴くことが多かったるかにとっては、特に。
「……ふふ、ありがとうございます」
自分より少し背の高いルカを見て、ヒムラーは微笑む。
少し照れ臭そうな表情は、ルカが自分を必要とし、
パートナーとして慕ってくれていることが嬉しいからか。
そんな彼の頭を軽く片手で撫でて、ルカは足を進めた。
―― 知らなかった温もり ――
(少し前まで知らなかった。
一緒に任務に赴く相棒がいる暖かさも心強さも)
(苦手なことも多くて迷惑もかけてしまうかもしれないけれど
そうして貴方が必要としてくれるなら共に頑張ろうと思えるのですよ)