赤髪金髪コラボでほのぼのなお話を…
シリアス続いたのでほのぼのもいいかな、と思ったら…
何だろうこの変に甘い空気(ぇ)
*attention*
赤髪金髪コラボのSSです
ほのぼの?甘めなお話です
アネットは思ったことをそのまま答えます
ちょっとアネットがアホっぽくて恥ずかしいやつ(いつもか)
照れて言葉紡げなくなってるライニさんを書きたかったのです←こら
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
穏やかな風が吹き込む、自室。
床に座ったままに金色の剣をそっとクロスで拭う金髪の少年。
と、彼は一瞬手を止めた。
そして、"またか"と心のなかで呟く。
ハイドリヒはもう一度自分の作業を再開しつつ、
静かにドアを開けてするり、と忍び込んできた"つもり"らしい赤髪の少年にいう。
「ばれてますよ、アネットさん」
「うわ、またダメかー」
「……何度やっても無駄ですよ」
ハイドリヒは一度振り向いて彼を見つつ呆れたようにそういい、自分の作業に戻る。
最近のアネットのブームなのか、
ハイドリヒが今のようにドアに背を向けて座っていると、
後ろから忍び寄ってきて抱きつこうとする。
無論、そんな気配に気づけないようでは騎士など務まらない。
アネットとの距離が詰まり切る前にハイドリヒは"バレてる"と彼に告げる。
そのたびにアネットはむくれつつ結局は抱きついてくるのだった。
そう、いつも結局抱きつかれるのだ。
いつもは読書をしていたり書類の確認をしていたりだから良いのだが、
今はマズい。
ハイドリヒが手にしているのは武器である。
下手に動けばどちらかが怪我をしかねない。
「こ、こら、離れなさい!」
ハイドリヒは焦った顔をしてそう叫ぶ。
アネットは一瞬きょとんとしたが、すぐに状況に気づいて少し腕を緩めた。
「剣の手入れしてたのか。悪い」
「まったく……相手の状況確認してからにしなさい」
ハイドリヒは呆れた声で叱りつつ、ほとんど手入れが終わっている剣を片付けた。
あくまで時間潰しにやっていただけなので、さして集中もしていなかった。
彼が来た段階で大概のことには集中出来なくなる。
それを見て、アネットはもう一度抱きついてくる。
ハイドリヒが驚いて声をあげると、アネットはにかっと笑って、いった。
「状況確認した。もう危なくないだろ?」
「……本当に、貴方という人は……」
そう呟く彼の白い頬は赤くなっている。
"離しなさい"というが、その声が本気の拒絶でないことがわかっているため、
アネットはハイドリヒに抱きついたまま離そうとはしなかった。
そうして暫しハイドリヒに抱きついていたアネットだが……
ふと、思い付いたように呟いた。
「本当に、不思議だよな」
アネットはそういってハイドリヒの体を離す。
ハイドリヒは彼の行動と言動に怪訝そうな顔をしつつ、
"何がですか?"と問いかけた。
アネットは彼の艶やかな金髪を撫で付けながら、穏やかに微笑んだ。
そのまま、思っていたことを口に出す。
「ラインハルトと、こうして一緒にいること」
その言葉にハイドリヒは少し青の目を見開いた。
彼が言わんとしていることは、理解できる。
確かに、不思議だ。
「始め、敵として出会ってさ、敵として剣ぶつけ合って……
今は、こうやって一緒にいる。俺にとってラインハルトは一番大事な人だよ。
それって、なんか不思議じゃね?」
そういうアネットに、ハイドリヒは少し目を伏せた。
確かに、そう思う。
不思議な、話だ。
「……何で、アネットさんは私に近づいたのですか」
ハイドリヒはアネットにそう問いかけた。
近づかれる理由がない、と。
アネットのいう通り、最初は敵として出会った彼ら。
こうして親しくなった理由は一重に、近づいてきたアネットにあるだろう。
そう思いつつハイドリヒがそういうと、アネットはキョトンとして答えた。
「前にも言わなかったっけ?
ラインハルトが味方としてこの国来るようになってから、
俺のペンダント壊したこと謝ってくれたことあったろ?
あん時に、いい奴だなぁって」
「……それだけで、此処までします?」
ハイドリヒにしては珍しく、深追いして聞いた。
―― 純粋に疑問だった。
アネットに好意を抱かれたことも、彼とこういう仲になったことも、
不安も不服もないけれど……
普通に考えたら、
"一度敵として剣を交えた、それだけの関わり"だったにも関わらず、
ああも熱心に声をかけるようなことはないだろう。
けれど、思い返すにあの頃からアネットは執拗にハイドリヒに絡んできていた。
ハイドリヒの問いかけにアネットは少し悩むように口をつぐむ。
そして、それからぽつぽつと語った。
「はじめは、たぶん……好奇心だったと思うよ。
ラインハルトが綺麗な人だなってのはずっと思ってたし、
剣術が凄い強かったのは覚えてる。
お前が全然表情変えない奴だな、とも思ってて……
ラインハルトが表情変えるところを見たい、って思ったのがたぶん一番最初。
でも、そんだけじゃないなっていつのまにか思っ……痛!?何で叩くんだよ!?」
べし、と軽く頭を叩かれてアネットはハイドリヒを見る。
ハイドリヒは未だアネットの腕のなかにいる形なので、
体を捻ってアネットを軽く叩いたのだ。
アネットはハイドリヒの顔を覗き込んだ。
彼の顔はすっかり真っ赤になっていた。
自分から聞いたこととはいえ、こうも詳細に色々語られては……
気恥ずかしいにもほどがある。
「もういいです、わかりましたから!」
「な、何で怒るんだよー」
ラインハルトが聞いたんだろー?とアネットは不服そうな顔である。
ハイドリヒはといえば顔を赤くしてアネットの腕から逃れようともがいていたが、
アネットの"怒っている"という言葉は一応否定した。
「お、怒ってるわけでは……!」
怒っているわけではない。
でも、気恥ずかしいのだ。
真っ向から"好きになった頃"の話をされるなんて。
アネットはそんなハイドリヒのリアクションに唇を尖らせつつ、
"じゃさ"と口を開いた。
「……じゃあ、ラインハルトは何時から俺のこと好きだったんだ?」
「え?」
思わぬカウンターにハイドリヒは一瞬固まった。
アネットはハイドリヒを抱く腕に力を込めつつ、
"答えるまで離さない"等と宣言して見せる。
ハイドリヒは碧の瞳を揺るがせた。
何時から、何時から?
それは、ハイドリヒ自身も曖昧なのだ。
アネットが自分に近寄るようになった頃は、
確か邪魔だとか面倒だとか……そう、思っていた気がする。
否、それも予防線だったとすれば……ますますわからない。
言葉を紡げずにいるハイドリヒを見て、アネットは笑った。
「あ、珍しくラインハルトが焦ってる」
「う、煩いですよ……」
焦っているのが見抜かれて悔しいやら、気恥ずかしいやらで、
ハイドリヒは覗き込んでくるアネットから逃れようと顔を背ける。
アネットはそんなハイドリヒの様子に目を細めつつ、いった。
「ラインハルトの照れてる顔も、俺好きだなー」
かわいい、といいつつアネットはハイドリヒの頬を軽くつついた。
照れている、怒っている、寂しそう……
そう的確に言い当ててくるアネットに驚いてもいた。
あまり表情に出しているつもりはなかったから。
アネットがハイドリヒの表情変化に敏感なのか、
それともハイドリヒがアネットの前だと少し無防備なのか……或いはその両方か。
「とにかく……!いいから、離してください!」
「嫌だね。ラインハルトが俺のこといつから好きだったかいうまで離さないー」
アネットは悪戯っぽくそういいながら、ハイドリヒを抱き締める。
ハイドリヒは白い頬を真っ赤に染めて口をつぐむ。
どうやって逃れようか考えつつも、
アネットの腕のなかが居心地よいと感じるのが、なんだか少し悔しかった。
―― When? ――
(いつから?そんなことが問題ですか?
狡いと思えどそういえば彼はおとなしく腕をほどいて)
(確かに関係ないかもしれないな、といって笑った。
あぁ、こういうところは出会った頃から変わらないですね)