赤髪金髪コラボのSSです。
「Do not leave me…」の続き的なノリで…
ラストが謎テンションになりましたすみません←おい
*attention*
赤髪金髪コラボのSS
一応、甘め…後若干深夜テンション(ぇ)
アネットは一回不安になるとこう言う行動をとります
そして何気に独占欲強いアネット(笑)
ライニさんもちょっとそんなあの子を宥めてくれたらいいな、って←こら
何だかんだで思いあってる二人であってほしいという妄想…
謎テンションに流れかけてすみませんでした(おい)
疑い深いアネットでごめんなさいライニさん←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
一人用の狭い、ベッドの上。
そこで逞しい体躯の少年に抱き締められているのは、華奢な金髪の少年。
金髪の彼……ハイドリヒは自分を抱き締めているアネットにいう。
「アネットさん、少し……腕を、緩めてくれませんか」
自分を抱き締めている彼の腕の力は強い。
彼の腕は暖かくて心地よい。
痛いというほどではないし、たしかな優しさを感じもするのだが……
如何せん、ハイドリヒにとっては力が強すぎる。
相手……アネットの体がぴく、と少し反応する。
聞こえてはいるようなのだが……
彼は、腕を緩めるどころか一層腕に力を込めた。
少し間が空いて、彼はいう。
「……嫌だ」
そう答える声は、少し拗ねたような声。
アネットはハイドリヒから離れようとしない。
ハイドリヒはやれやれ、と溜め息を吐いた。
―― ディアロ城に戻ってから、ずっとこの調子だ。
異動でイリュジアを離れることが決まっていたのに、
アネットに引き留められて、ディアロ城経戻ることになったハイドリヒ。
二人で一緒に城に戻れば、当然事情を説明するはめに陥って。
どうにか保護統治領への異動を断る手続きをして、
一度引っ越しのために纏めた荷物も部屋に引き取ってきたけれど、
それからもアネットはハイドリヒから離れなかった。
一緒に食事をとりに食堂へ向かう時も、
ハイドリヒの服の裾をつかんでいたし、
引き取ってきた荷物を片付けようとしても背中から抱きつかれるため、
危なくて動くことが到底出来なかった。
何度"離してください"といっても彼は頷かなかった。
寧ろ、今のように抱き締められる腕の力が強くなるだけで。
お陰でまだ部屋にはあまり多くないとはいえ私物が入った箱が積み重なったままだ。
まぁ明日でもいいか、と諦める結果になったのはほんの三十分ほど前の話だ。
風呂に入る時には流石に離したが、
その間も彼はハイドリヒのベッドに座っていた。
貴方もシャワーを浴びてきたらどうです?とハイドリヒがいえば、
渋々といった様子でバスルームに向かったが、
十分としないうちに出てきて、再びハイドリヒに抱きつく始末。
夜が更けても部屋に戻るつもりはないらしくて、
"ラインハルトと一緒に寝る"といっていた。
駄目か?と少し不安げに見上げてきたガーネットの瞳は、印象的で。
寂しさと不安を灯した瞳はまるで子供のように頼りなくて……
ハイドリヒは駄目と言えずに、そのまま彼を部屋にとどめておいた。
アネットはそんな彼の態度にほっとした顔をして、ずっと彼に抱きついていた。
抱きつくのをやめている間は服なり手なりを掴んでいる。
何処か一ヶ所は必ずハイドリヒに触れている状態だった。
正直、動きづらい。
食堂に向かう時の彼らの様子を、
周りの騎士たちが怪訝そうに見ていたのも知っている。
けれどハイドリヒは無理にアネットを引き剥がそうとはしなかった。
言っても無駄だということがわかっているし、
何より……顔に出さずとも、彼の思いは純粋に嬉しかったから。
そして、至る現在である。
アネットはハイドリヒを腕の中に抱き込んだままで、呟くようにいった。
「……俺、ラインハルトがいなくなってから、この部屋覗いたんだよ」
「……何してるんですか貴方は」
アネットの言葉に呆れたようにハイドリヒはいう。
普通、自分以外の部屋にはそうそう入らない。
例え空き部屋であっても、だ。
アネットは苦笑を漏らしてから、言葉を続けた。
「なんにもなかった。
当たり前だけど……備え付けのベッドと机、本棚……
そんなもの以外、なんにもなかった。
ラインハルトはもういないんだ、って……嫌でも、感じた」
ぎゅ、とハイドリヒに回された腕に力が籠る。
小さく、その腕が震えた。
ハイドリヒは無意識にその腕に自分の手を添える。
アネットはハイドリヒの胸に顔を押し付けながら、いった。
「……もう会えない、って思った。
何度この部屋訪ねてきたってもうラインハルトいないんだな、って」
それが悲しかった、と彼はいう。
現実は覆らなかった、と。
何度部屋を訪ねても、何度ノックなしで扉を開いても、
此処に彼の姿はないのだと自分に言い聞かせながら中庭に出たのだ、と。
「行っちゃったんだな、って思いながら中庭にいたよ、ずっと」
アネットはそこまでいって、一度言葉を切った。
ハイドリヒは"前日にいったでしょう、夕方に発つと"と、そっけなくいう。
無論、わざとだった。
アネットの気持ちはわかっている。
アネットはその言葉に苦笑を浮かべた。
そして小さくうなずいてから、言葉を続ける。
「最初は、我儘言わないで見送ろうと思ったよ。でも……」
無理だったよ、とアネットはいった。
そのときのことを思い出しているのか少し悲しげな顔をしている。
ハイドリヒも、自分が出発してからの大体の彼の行動は知っている。
自分の口から語ろうとしないアネットの代わりに、
何処か訳知り顔だったリナからその事実を聞いた。
自分が出発したあと、彼は一人で中庭に座り込んでいたらしい。
寂しそうにハイドリヒの名前を呼ぶ彼を見ていられなくて、
リナがハイドリヒの後を追うように仕向けたという。
そしてそうした彼女の後押しもあって、
アネットはハイドリヒを追いかけたきたのである。
「それで……もう、私は何処にもいかないといっているのに、何故貴方は私から離れようとしないのですか?」
ハイドリヒはアネットにそう問いかけた。
それが、今の一番の疑問だったから。
アネットはその問いかけに表情を歪める。
そして、消え入りそうな声で答えた。
「……ラインハルト、いなくなっちゃいそうなんだもん。
手を離したら、どっかいっちゃう気がする」
だから離さない、とアネットはいった。
先程からずっと触れているのはそのためらしい。
手を離したらいなくなってしまう気がするから。
それが怖いから、こうして触れているのだ、と。
そういうと、アネットは顔をあげてハイドリヒを見た。
二人の瞳が、絡み合う。
どちらともなく顔を寄せて、口づけた。
最初は浅く、次第に深くしていく。
互いの存在を確かめあうように。
いつもより少し急いた様子のアネットのキス。
ハイドリヒは不器用なアネットのキスに応えてやる。
二人とも呼吸がもたなくなって、やっとのことで唇を離した時には、
双方すっかり息が上がっていた。
アネットは少し潤んだ赤の瞳でハイドリヒを見つめ、いう。
「は、ぁ……ラインハルト……何処にも、行かないで……」
譫言のように彼は繰り返す。
その声には涙が滲んでいた。
いかないで、と。
おいていかないで、と。
「いかない、と……言っている、のに」
何処にもいきませんよ、とハイドリヒは何度もアネットにいった。
事実、どこにも行く気はなかった。
大切だと自分を思ってくれている相手に、
自分が大切に思っている相手に、
あんな泣き出しそうな顔で引き留められて、
それを無視できるほどハイドリヒは非道ではない。
疑い深いですね、とハイドリヒはいう。
何処にもいかないといっているのだから信じてください、と。
アネットは顔を歪めて、"誰のせいだとおもってんだよ"といった。
しっかりとハイドリヒを抱き寄せつつ、彼は息を吐く。
そして、一瞬躊躇う顔をしてから……いった。
「……ラインハルトだからだよ。
ラインハルトじゃなかったら、きっと……
寂しいとは思っても、笑って見送れた……
ラインハルトだったから、見送れなかったんだよ」
アネットはそういいながら、ハイドリヒの首筋にキスをする。
きつく吸い付いて痕を刻む。
深く刻まれた所有の証に、ハイドリヒの口から甘い声が漏れた。
アネットはガーネットの瞳でハイドリヒを見つめる。
先程の長いキスと、アネットに刻まれた所有痕での快楽からか、
彼の美しい青色の瞳は涙で微かに潤んでいた。
美しい。
扇情的。
そんな言葉がよく似合う、愛しい彼の姿……――
―― それを、一番傍で見られるのは俺だって信じていいよな?
アネットはハイドリヒの耳元で、吐息混じりにいった。
「傍にいてほしい。
絶対、どっかいかないで……俺だけの傍に、いてくれなきゃ、嫌だ」
子供っぽい独占欲。
それが愛しいと感じてしまうのは、可笑しいだろうか。
ハイドリヒがそう思っている間に、
アネットは躊躇いつつハイドリヒの服を緩めた。
優しく肌を撫でる、彼の掌。
熱く、大きな掌は不器用で、でも安心できて……熱が煽られる。
「んん……っ」
「こう、いう……甘い声聞けんのも、俺だけでいい……
なぁ、ラインハルト……俺、我儘?」
アネットは悪戯っぽく笑いながら、ハイドリヒに訊ねる。
そうですね、とも答えられなかった。
我儘だ。
自分だけの傍にいろ、なんて。
絶対に離れるな、なんて。
でも、その思いが嬉しいと思った。
そうも自分を思ってくれる人間がいてくれることが。
愛しい。
彼の我儘が、愛おしいとそう思った。
ハイドリヒはただ、"馬鹿……"と呟いてアネットの背中に腕を回す。
それを了承の証ととったようにアネットは笑う。
「ラインハルト、明日休みだよな……?」
「休み、ですよ……何処かの誰かさんの、お陰で」
少し上ずった声で、ハイドリヒはアネットに答える。
アネットの"我儘"で急遽この国に戻ってきてしまったため、
仕事のシフトを組み直すのに少し時間がかかる。
よって、明日は休みの扱いだ。
その返答を聞いて、アネットは笑った。
"それなら、いいよな?"と。
いいよな、の意味をハイドリヒも理解している。
小さく甘い吐息を吐いて、ハイドリヒはアネットの体に身を寄せる。
彼の精一杯の甘えを感じて、アネットは嬉しそうに目を細めた。
―― 我儘Boy ――
(確かに彼は我儘で驚くほどに子供っぽいけれど…
その子供っぽい我儘がいとおしいと感じてしまうから)
(抱き締めながら抱き締められて。
華奢なお前の体を感じて、思う。
―― 嗚呼、手放したくない、って)