赤髪金髪コラボのSSです。
「暖かな、腕に…」の続き的な感じで。
ちょっと甘めな雰囲気になりました←おい
*attention*
赤髪金髪コラボのSSです
「暖かな、腕に…」の続き的なSSです
ほのぼの?甘めです(ぇ)
ライニさんにベッタリなアネットとそれをなにげに受け入れるライニさん、的な←
謎のテンションに流れかけました(ぇ)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
「流石に、退屈ですね……」
小さく呟くのは、金髪の少年。
白いベッドの上に座ったままの彼の長い金髪が風に揺れる。
その髪を軽く押さえて、少年は溜め息を吐いた。
ベッドに座ったまま、彼……ハイドリヒは外を眺めていた。
そとに広がるのは、秋晴れの青空。
ハイドリヒの瞳の色のような美しい青の空には、
薄く刷毛で引いたような雲が流れている。
手元には本があるが、その本もとっくに読み終わってしまって、
完全に手持ち無沙汰である。
基本的に、自分の体が体であるため、
普通の医者にかかることは少なく、ちょっとした傷ならば、
弟であるジークフリートに手当てしてもらっているのだが、
今回の傷……任務中に負った傷は深く、
尚且つ抵抗力が弱まっていたところで肺炎にかかったため、
ディアロ城の医療棟……草鹿の病室に入院する羽目に陥っていた。
傷を負ってから暫くは意識も失っていたし、
肺炎を起こしていたために咳も止まらなかった。
しかし日が経つにつれて回復もした。
もう体はさして辛くもないし、傷も大分塞がってきているため、
せめて書類仕事くらいは、と先刻までデスクに向かっていたのだが、
診察に来たジェイドに叱られ、止められたのだった。
とはいえ、書類仕事もしてはならないとなると、することはない。
読書をしたりもしたが、すぐに本は読み終わってしまったし、
おとなしく寝ているだけというのは性に合わない。
―― と、その時。
ばたばたばたっと駆けてくる足音が聞こえた。
ハイドリヒはそれを感じて、フッと息を吐く。
元々気配には鋭い彼だ。
遠くから近づいてくる足音にもすぐに気づいた。
それも、駆け寄ってくる足音の主もすぐに理解出来る。
それが病室の前に止まり、勢いよくドアが開いた。
はねた赤い髪が揺れる。
「ラインハルト!」
「……アネットさん」
部屋に飛び込んできた赤髪の少年は、
いつも通りの明るい笑顔を浮かべて、ハイドリヒに駆け寄ってきた。
ハイドリヒは普通の人間がみる限りわからない程度に表情を緩めた。
退屈していたことも勿論あるが……
彼が此処に来てくれるのは、純粋に嬉しいのだ。
アネットはハイドリヒに歩み寄ると、ベッドに座っている彼を抱き寄せた。
優しく金髪を撫で付けながら、微笑む。
「やっと会いに来れた」
「やっとって……昨日も来たでしょう」
「でもちょっとだけだもん!
あんまり長くいるとジェイド様にしかられる……
ラインハルトがゆっくり休めないだろ、って」
そういって笑う、アネット。
ハイドリヒはアネットの手を受けながら、わざと少しそっけなくいった。
「アネットさん、任務はちゃんと行っていますか?」
「いってるよー、ちゃんと。
ラインハルトのところには、終わってから来てる!」
アネットはハイドリヒの言葉に頬を膨らませた。
ハイドリヒがそう訊ねるのももっともなこと。
ハイドリヒが目を覚ましてから数日は、
任務に行きもせずハイドリヒの部屋に止まっていた。
それをアレクに咎められ、叱り飛ばされていたのをハイドリヒも見ている。
傍にいてくれるのは嬉しいが、
そうして彼が叱り飛ばされるのを見ていて、良い気はしない。
何より、アネットたち炎豹の騎士が食らう罰則は書類でもなく謹慎でもなく、
統率官であるアレクの拳骨だ。
毎度毎度殴られているアネットをみるのは、ハイドリヒだって嫌である。
「それならば良いのですが」
ハイドリヒは溜め息を吐いて、アネットに抱き締められたままでいた。
アネットは力を抜いたハイドリヒを見て、笑う。
「もう体は平気か?」
「えぇ……もう熱もないですし、咳も大分おさまりましたから。
問題があるとすればすることもなくて大分時間をもて余していますね」
「あはは、ラインハルトらしいや。
でも……今はちゃんと休んどかなきゃ駄目だぞ。
死にかけたのは事実だからな」
アネットはそういいながらハイドリヒの頬を撫でる。
そのまま軽く唇にキスをした。
唐突な彼の行動に、ハイドリヒは青の瞳を見開く。
そしてはっとしたようにまばたきをすると、軽くアネットの体を押した。
「っ、やめ、なさい……」
「何で?」
アネットはきょとんとして首をかしげる。
何が悪いんだ?と言いたげな表情はまるで子供のようだ。
「いつ、他人がくるともわからないのに……」
ハイドリヒは羞恥で頬を赤くしながら、いった。
アネットは悪戯っぽく笑いながら、もう一度ハイドリヒにキスをした。
「だって、ラインハルトが退院できるまで待ってる何て無理だよ。
早く退院してほしいけど、ラインハルトに無理もしてほしくないし……
だから、ここでするしかないだろ?」
悪びれもせずそういうアネットに、
ハイドリヒは頬を赤くしたままで軽く体を捩った。
羞恥故の行動だとわかっているため、アネットは腕を緩めない。
「……早く、元気になれよな。
出掛けていいって言われたら、一緒に街に遊びにいこうぜ?」
「……っ、仕事も重なっている、のですから……」
こうして休んでいる間に仕事は溜まる一方だ。
部下が片付けられる仕事は彼らがなんとかしてくれていると思うが、
そうでないものはハイドリヒがなんとかせざるを得ない。
ハイドリヒがそういうと、アネットは少し迷う顔をする。
そして、フッと笑うと言葉を続けた。
「それが終わってからでいいから。そしたら、出掛けようぜ。
何処いきたい?何処いく?」
アネットはねだるようにそういった。
ハイドリヒを抱き締めて、キスを繰り返す。
まるで、ハイドリヒが眠っていて近くにいられなかった時間を埋めるように。
ハイドリヒも暫くそんな彼に身をゆだねていた。
暖かい腕は、優しいキスは、心地よい安堵をくれる。
ただ、流石にいつまでもそうしている訳にはいかない。
何よりもうすぐ、定期往診の時間だ。
ハイドリヒは軽くアネットの胸を叩いて、いった。
「……っ、そろそろ……離れて、ください。
ジェイドさんが、いらっしゃいますから」
「あ、もうそんな時間?」
アネットはハイドリヒを抱き締めたまま、時計をみる。
そして残念そうに眉を下げた。
ハイドリヒの艶やかな髪を撫で付けつつ、いう。
「……またあとでくる」
「……ちゃんと、自分のすることは終わってからにしてくださいね」
ハイドリヒはそっけなく、しかし彼を思いやりながらいう。
アネットはそんな彼の言葉を聞いて嬉しそうに笑った。
―― 時を埋めるように… ――
(一緒にいられなかった時間を埋めるように
こうしてお前に触れていたいんだ)
(優しい腕と、暖かい体。
甘い口づけと声に満たされていく心)