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番外編 ある隊員達の日常

これはある隊員達の日常を切り取ったもの。時系列は本編から数ヶ月後のどこか。



case1.悪気はないんだが


いちかは小柄でフレンドリーな性格なせいか、よく動物に例えられている。本人はナチュラルにボディータッチをしてしまうようなやつだ。
いつの頃からか、寂しすぎて馴染みの仲間限定で抱きつき癖という迷惑な癖がついた。それもダッシュで突っ込んでくる。犬かよ!

ダッシュでタックルしてくるのは毎回ではないが、休憩所と司令室は色んな意味でデンジャラス。


・御堂和希の場合


ある日、御堂は休憩所へ。


そこに待ち構えたかのようにいちかがダッシュして飛び込んできた。

「御堂たいちょー!」
いちか、満面の笑み。
「ぎゃあああああ!!アメフトかーっ!!」
御堂、ギリギリでかわす。


・紀柳院鼎の場合

ある日、休憩所へ彼女が入ったと同時にいちかがダッシュで抱きつ…タックルしてきた。いちかは何かがあったのか泣きながら。


「きりゅさーん!会いたかったよおお!!」
鼎は冷静にタックルを指2本で止めた。周りの隊員達は驚く。

あの時任のアメフトばりのタックルを止めた!?


鼎はいちかの頭をなでなでする。彼女はいちかの扱いに慣れていた。
「いちいちタックルしてくるな。話をしろ、聞いてやるから。いちか…お前は猪か!」

司令補佐がツッコミをいれるなんて…レアだ。…と周りの隊員達は思ったとか思わないとか。


・宇崎幾馬の場合

ある日、司令室にひとりでいた宇崎室長(司令)。扉が開く。なんとなく嫌な予感が…。
そこにはいちかの姿が。なんかよくわかんないけど、めっちゃ目ぇキラキラしてるよーっ!


「しつちょー!たまにはあたしの話を聞いてくれーっ!!」
「ぶふぉっ!!」

宇崎、避けきれずに突き飛ばされた。いちかは闘牛の牛かっ!!意外とパワーあるし!侮っていた…恐ろしい子…。


「いちか、頼むからタックルするの…やめて…。みぞおちにヒットした…」
宇崎は痛みに悶えてる。

「室長、すいませんです」


絶対、反省してないだろ。こいつ。



case2.ゼルフェノア広報班


特務機関ゼルフェノアには広報班なるものも存在する。主に隊員募集のポスター制作をしたり、ゼルフェノアの活動内容を伝える役目を担っているのだが…この班のチーフも癖が強い。


ある日。広報班チーフ・峯崎は一眼レフを持って館内をうろうろ。
御堂は姿を見かけるなり、察した。


――隊員募集ポスター制作の時期が来たかーっ!!
峯崎のやつめっちゃ狙ってる、狙ってるよ!!
あいつの餌食になったら終わり…。喰うか喰われるか…。


御堂は汗だらだら。峯崎の怖さを知っているからだ。

彼は一眼レフを持つとキャラが豹変する。


峯崎は館内をずっとうろついてはポスターのモデルを探しては、フラれの繰り返し。彼はついに司令室に入ってしまう。


「どうも!広報班の峯崎と言います。あの…隊員募集ポスターのモデルに紀柳院司令補佐…なって頂けないでしょうか?」
峯崎、ごますりモード。


御堂は物陰からこの様子をチラ見。鼎は即答。


「断る。他を当たれ」

峯崎、大ショック。わかりやすいリアクションしてる…。

「私がモデルになったところで組織のイメージ向上にはならないだろうが!
広報班の峯崎と言ったな…私は『仮面』だと言うのを忘れているのか?ふざけるなよ?」


鼎の圧がものすごい。峯崎は圧にびくびくしている。

…これが紀柳院「司令補佐」…!この人、怒らせたらめちゃくちゃ怖い…!
仮面のせいもあるのだろうか。とにかく怖い…!

峯崎は怖じけづいて退散した。


それからしばらくして。隊員募集ポスターのサンプルがいくつか完成。
峯崎は隊員達にデザインを選ばせるらしい。

ボードに張り出されたポスターのサンプルはかなり癖の強いものばかり。
御堂といちかは突っ込んだ。

「これは選挙ポスターかよ!場違いすぎんぞ広報班!遊ぶなーっ!!」
「たいちょー、このサンプル某映画のパロディっすよ?構図まんまっす」

「峯崎呼んでこい。これ全部ボツだ。あいつらは真面目に作ってない!」

司令の宇崎まで突っ込んでる有り様。


なんだかんだひと悶着あって、広報班制作の隊員募集ポスターは爽やかなイメージの自衛隊や海保にありそうなデザインに落ち着いた。
写真モデルは人気タレントを起用。クリエイターに依頼した、アニメ絵バージョンのポスターもある。


御堂達は呟いた。

「これ、毎年ひと悶着あるんだよなー…広報班のポスター騒動。結局爽やか路線になるんだけどよ。もはや組織の風物詩」
「峯崎さん、一眼持つとパパラッチみたいで怖すぎるっす」
いちか、びくびくしている。どうやらいちかも追われたらしい。

「今回は鼎にがっつり言われて猛省したみてーだぞ。鼎を怒らせるとめちゃくちゃこえーから…」
「峯崎さん、きりゅさんの地雷踏んじゃったかなぁ…」

「明らかに踏んでるだろ、あれは」



case3.桐谷さんの過去と紅茶


組織の休憩所でよく見られるのが、桐谷が紅茶を優雅に淹れている光景。
桐谷はいつもマイペースに休憩所の隣の給湯室で紅茶を淹れてるのだが、紅茶に対するこだわりが強いのか?


「きりやん、紅茶好きだよね。アフタヌーンティーとか飲んでそう」
「アフタヌーンじゃなくても飲んでますから」

桐谷といると場が和む。いちかは話を聞いているうちに桐谷が組織に入る前はバスの運転手だったと知る。

観光バスの運転手だった。


「き、きりやん意外すぎる…!」
「え?私なんて経歴が異色の中でもまだまだな方ですよ」

元バスの運転手よか異色の経歴の隊員いるの!?ここ…。


「元看護師は意外と多いですし。元教師や元自衛隊もちらほらいます。変わったところだと元動物園の飼育員もいますねぇ〜」


どんな組織だ、ゼルフェノア!?
変なもん引き寄せてない!?気のせい!?


「時任さんみたいにヒーローに憧れて入った人もいますから、浮いてないですよ」
「きりやん、ヌン活しないの?」

桐谷はかなり遠慮がちに返した。
「紅茶は好きですが、そこまでやろうとは思わないですよ…ははは」
「じゃあそのスコーンはなんなんなんじゃ!?」


桐谷はたまにスコーンを手作りしては、おやつにと持参している。食いしん坊のいちかにはお見通しだったらしい。

「た、食べます?1個あげますよ」
「やったー!!」


…餌付けかな。

ワクチン行ってきた

話題:ただいま
ワクチン4回目に行ってきました。帰りにドラストで飲むゼリーとポカリを買う。
昨日買い忘れたんですよね、飲むゼリーとポカリ…。

コロナワクチン打つ前日あたりにはだいたい買うのに。


ワクチンの副反応がまた出るかもしれんからなぁ…。

副反応、毎回のように出ているだけにオミワクも出るかもわからん。



経過観察で自分にしかわからないくらいの、ものすごーく小さな手の震えがちょっとあったんだよ。
2回目か3回目の時もそれ、あったんですよ。自分にしかわからないレベルの手の震え。

その時手の血色が悪かったのだが、今はなんともない。



今日はいいけど、問題は明日だよ…。
副反応がどう出るか。前回はだるさに加えて微熱&寒気コンボだったからなぁ…。

内心、ワクチン4回目は渋々打ちましたが、5回目は正直もういいって感じ。
明らかにコロナワクチンはおかしいだろうて…。回数異常に多すぎやしませんか。


特別編 Zerufenoa The First(6)

翌日の午前中。鼎は本部に連絡していた。

「特殊請負人?聞いたことないぞ、それ…。お前達は今日帰るんだろ?
鼎、ゼノク医療チームと特殊請負人の憐鶴(れんかく)には深入りするな。いいから帰ってきなさい。わかったね?」

宇崎は子供に言い聞かせるようにして、鼎との通話を切った。


「特殊請負人」、本部や支部にはない存在だな…。この名称は表向きのものかもしれない。
特殊請負人の実態がわからないが、鼎のやつは深入りしそうでヒヤヒヤする…。



午後。そろそろ帰ろうかという時間帯、鼎は私服姿の憐鶴を見かけたような気がした。出口へ向かっている。

明るい時間帯は地下にいるはずでは…?それに世話役らしき人もいない。
1人ですたすたと歩いていくようだ。どういうことだ?


あの包帯姿で一体どこへ?


鼎は窓からその様子を見ている。駐車場には組織の車両。憐鶴はその車に乗り込んだ。


「きりゅさん、どうしたの?さっきからぼーっとして」
いちかが声を掛けてきた。


「憐鶴のやつ…何かしら裏がありそうだ。桐谷、いるか?」
「さっきからずっといましたよ。どうしましたか?」

「あの車を追うぞ」
鼎はしれっと対象の車を示した。組織の車両だが黒いハイエース。通常の組織車両とは色が違う。

「きりゅさん、なんか危なくない?深入りしちゃダメだよ!」
いちかも制止しようと必死。
「憐鶴は『特殊請負人』の任務に行くのかもしれないな」
「やっぱり追うんですか!?」


桐谷も制止しようとするも、結局3人は憐鶴が乗った車を追うことに。時間帯は午後、夕方近くだった。



憐鶴が乗った車両では運転手の津山・憐鶴の世話役の姫島・憐鶴の協力者の苗代と赤羽が。
憐鶴は顔から首まで包帯姿だが、姫島は憐鶴用に仮面を用意していた。それは鼎と同じようなタイプの白いベネチアンマスク。目元は保護用レンズで覆われているタイプだ。


「苗代・赤羽は例の場所へ着いたら先に行って欲しいんです。
ターゲットは人間態ですからね。私は後で入ります。対怪人装備は積みましたよね?ナイフや鉈とか」

「憐鶴〜、『特殊請負人』ってうわべだけなんだな。これじゃあ執行人だわな、俺達」
赤羽がぼやいた。
「執行するのは私だけでいい」

「怪人の残党狩りで最も過酷な任務をあんたがやるとはね〜。顔が見えないからこそ、出来るんだろうけどよ」
苗代もぼやいている。



「きりゅさん、あの車…東京に向かってるよ…」
「そのまま追ってくれ」



本部。宇崎は嫌な予感がしたらしい。

「室長、鼎達まだ帰ってこないのか?」
御堂が聞いてきた。
「全然連絡来ないし、深入りするなとは鼎に釘刺したけど…」
「深入り?」
「ゼノク医療チームと特殊請負人のことだよ。特殊請負人は初耳だが、ゼノクにしか存在ない。
実態も謎に包まれている」

「あいつは深入りしやすいからな…」



ゼノク・司令室。西澤はいつもと何かが違うことに気づいた。蔦沼に聞いてみる。


「長官、泉…館内にいませんよね?どこかへ行きました?」
「任務だよ」
「…に、任務?長官、『特殊請負人』って一体なんなんですか?なぜ泉だけ請け負っているんですか?」

「泉だけではないよ。彼女には協力者もいる。『請負人』は過酷だからね。
依頼人から怪人を倒して欲しいと依頼が来るの。表には出てこない極悪非道な怪人だよ。ターゲットの怪人は人間態がほとんど。壮絶な任務だから協力者が必要なんだよ。あと、顔を知られてはならないから泉を抜擢したわけ」


協力者?ターゲットが人間態?


「それって執行人じゃないですか…。怪人専門の」

「そういう人もいるな…。怪人専門の執行人だって。依頼人はその怪人により、ひどい目に遭った人間ばかり。
依頼するのもわかる…。泉はサイトの管理人でもあるんだよ。組織公認だが、ある個人サイトを運営している」


闇の執行人か…。



憐鶴達を乗せた車はある廃ビルへ到着。この時間帯になると暗くなっていた。
先に苗代と赤羽が廃ビルの中へ。その後、仮面を着けた憐鶴がゆっくりとビルの中へ。

少しして、鼎達も廃ビルに到着。鼎といちかは急いで降りる。
「きりゅさん行くの!?やめた方がいいよ!」


鼎は制止を振り切り、廃ビルの中へ。ビルの上から何やら音が聞こえる。
彼女は慎重に階段を登っていく。



廃ビルでは赤羽と苗代がターゲットの怪人人間態を捕らえ、手慣れた様子で拘束。人間態は若い女性。
そこに憐鶴が姿を現した。


憐鶴はボイスチェンジャーで声を変えて接近。

「その縄は怪人には有効なものですよ。怪人態になるか、人間態のまま詫びるか…。あなたは倒しませんが…。そうですね…その綺麗な顔、ズタズタにでもしましょうか」
憐鶴はナイフを取り出すと、そのターゲットな人間態にナイフを突きつける。


「憐鶴やめろ!!」

鼎が飛び込んできた。苗代と赤羽は暴れる鼎を止めにかかる。男性2人の力には及ばず、鼎は行く末を見るしかなかった。


憐鶴はなんてことをしてるんだ…!
辺りにはターゲットの女性の悲鳴とナイフが刺さる音が聞こえる。



協力者の2人はこう説明。


「憐鶴さんは組織公認の『怪人専門の執行人』なんだ。依頼に応じて怪人を駆逐している。駆逐のやり方は依頼にもよるが」
「あれは怪人だったのか…?それにしても酷いことをする…」


「いたんですか。紀柳院さん」

鼎は声の方向を見た。そこには怪人の返り血を浴びた憐鶴の姿が。
憐鶴は仮面を外し、見慣れた包帯姿に。


憐鶴は冷たい言い方をした。声は元に戻してある。

「深入りしなければ良かったのに」



憐鶴はすたすたと行ってしまった。苗代と赤羽も後を追う。

鼎はひとり、残された。
ターゲットの怪人人間態の顔はナイフでズタズタにされている。


これでは闇の執行人ではないか…!



憐鶴は鼎以上に警戒心が強く、姫島の前以外では素顔になることがない。
憐鶴は移動中の車内で姫島に包帯を取り替えて貰っていた。髪の毛で隠れてほとんど見えないが、素顔が少しだけ見える。


「私、紀柳院さんに嫌われたでしょうね…。汚れ仕事してるから致し方ないんですけど…。これは私にしか出来ないから…」



鼎は深入りしすぎたことにより、後悔した。
憐鶴の裏の顔があんなことになってたなんて…。

憐鶴もしばらくの間、外出して任務が出来ない状態になってしまう。
請負人、もとい執行人は汚れ仕事ゆえ、ハイリスクだからメンタルもかなり削れるらしい。



姫島は憐鶴の部屋から出た。


しばらく彼女は無理かもしれないわね…。やはり彼女は人前に出ると、エネルギーをかなり消費するようだ…。



「蔦沼長官、『特殊請負人』について答えて頂きたい。なぜ憐鶴にあんなことをさせる!?あれでは『闇の怪人専門執行人』にしか見えない!」

鼎はモニター越しの蔦沼に問いただした。


「あれは彼女から申し出があった。『この姿でも支障がなく何かやれることはないのですか』と。なんでもいいから、やらせてくれと」
「『抜擢された』は嘘だったのか…」

「憐鶴は助かって以降、人が変わってしまった。任務中、言い方が冷たかっただろう。あれが彼女の本質だ」
「だからといってなんであんな過酷なことを…」


「紀柳院、深入りしたらいけないこともあるんだよ」



憐鶴の協力者、苗代と赤羽は普段はゼノク周辺に住んでいる。一般市民を装った特殊な隊員。


「おい、苗代」
「なんだ?」

「あの紀柳院って女…司令補佐だって最近知ったぞ」

「マジ?憐鶴さんと同等じゃないですか。肩書きだけなら。
…あ、でも憐鶴さんは司令補佐と呼ばれるの、毛嫌いしているからな〜」
「憐鶴さんは警戒心めちゃくちゃ強いっすからね〜。素顔、見たことないな。あの包帯姿はさすがに今は見慣れたが、最初はショッキングだったぞ」

「インパクトが強烈だからな…。なんなんだあのミイラ女って、思ったよ」
「だが蓋を開けてみたら実力者って…。わからねぇよな、この組織。
そんでもって『闇の執行人』になってしまうとか…憐鶴さんは闇が深すぎるよ…」

「それ、言っちゃダメなやつだから」



ゼノク・地下。憐鶴は機器をずっといじってる。


次の依頼人は…怪人の撃破か。前回よりもハードな依頼が来ましたね。
相手の人間態は医者というのもなかなか…。被害者は多いな…。





…第2シーズン(仮)へ続くか?


無題


話題:おはようございます。
昨日の拍手14個ありがとうございます。今日はワクチン4回目です。あー行くのだるっ。


ラテ欄見たら今週もアニアカ全編水木一郎かよ…。聴かないわ。
自分、そんなに水木のアニキ好きじゃなかったのねと…。何週も同じ特集やれば飽きるだろうて…。



大病院占拠、3話の予告爆破がかなり安っぽいCGだなーとは思ったが。一部の鬼の正体が明らかになるのね。
大病院占拠はダメドラマとして割り切った方が良さそうね。鬼の謎が多いから、ツッコミどころ満載でも観てしまうんだろうな…。



昨夜はオオカミ少年→かりそめ→金ロー観てから寝た。
オオカミ少年のドラマNG、ふふっってなったわ。ドラマのNG集流す番組、オオカミ少年くらい?ドラマNG集の回だけオオカミ少年は観ようかね〜。


金ロー、パイレーツオブカリビアン2、今更ながらに観たことがなかった。3も観てない。
こりゃ来週も金ロー観るな…。どう終わるんだ。
1は円盤持ってるんだが…。パイレーツオブカリビアンシリーズって単発でも面白いし、全然観れるからいいんだけど。



ポケモン遅れ放送観てたら次回はタケシ登場って懐かしいんだが。ポケモン最終章、原点回帰してる?
かなり初代を意識してるよなーと思った。


特別編 Zerufenoa The First(5)

午後14時過ぎ。鼎一行はゼノクへ到着。いちかは久々の兄との再会にテンションが上がってる。

「早く入りましょうよ〜。ねぇ〜」
「いちか、はしゃぐな。入ったらひとまず自由時間だが、今日は泊まりになるぞ」
「…へ?泊まり?」

いちかはポカーンとしてる。
「憐鶴(れんかく)と会う時間が21時だ。その時間帯なら本館は人がほとんどいなうから、あちらには都合がいいらしい…」


21時!?遅くない!?


「今回は憐鶴の都合に合わせているんだ。仕方ないだろう」
「そ、そうだよね…」


3人はゼノク館内へ。そこにはいちかの兄・眞(まこと)がいた。

「兄貴ーっ!」
いちかは思わずダッシュし、兄に抱きついた。
「いちかは相変わらずだなぁ。あ、皆さんお久しぶりです」

眞は軽く礼をした。しばらくの間は自由なのでいちかと眞は東館へ。残された鼎と桐谷は本館に留まることに。


「鼎さん、どうします?時間…有り余ってますよ?夕食までまだ3時間以上ありますよ?」
「二階堂達のところへ行こうか」


2人は時間潰しにゼノク隊員がいる場所へ。そこでゼノク隊員から様々な話を聞いた。

「二階堂達は加賀屋敷達について何も知らないのか?」
「ゼノク医療チームは私達は特に何も聞いてないですね。ゼノクを拠点にしていることしかわからないです」

情報が少なすぎる…。隊員ですらわからないとは…。



やがて約束の時間が来る。

待ち合わせ場所は本館・ラウンジ。ラウンジは時間帯が遅いせいか誰もいなかった。そこに姫島と共に憐鶴がゆっくりと合流。

鼎は憐鶴の姿をまじまじと見た。確かに顔から首まで包帯に覆われている。それはまるでミイラのよう。
完全に包帯で顔を覆われているため、わからない。


姫島は憐鶴を誘導しながら、鼎と対面になるように椅子に座らせた。
「姫島さん、終わったら呼びますね」
「では私は一旦退きます」

姫島はラウンジを出た。


鼎は姫島について聞いてみる。

「いきなりだが、あの姫島という女性は何者だ?」
「私の世話役です。見ての通り、私は極度に狭い視界でガイド役が必要でして…。こんな姿じゃ仕方ないですよね…」

憐鶴はかなり遠慮がちに話している。


「憐鶴…加賀屋敷の治療を受けたのか?それで私に会いたいと?」
「はい。蔦沼長官から聞きました。『紀柳院鼎も加賀屋敷の手術を受けた』と。そして彼女はゼルフェノアにいると」

「憐鶴、その包帯…外せないのか……」
「生還こそはしましたが、後遺症は残っていまして…常にこの姿ですから…。もしかしたら一生このまま…」


憐鶴はずっとうつむいている。鼎は自分に似ているな…と感じた。
憐鶴は顔を上げる。人前に出るのが億劫なのか、怯えているようにも見える。

憐鶴の顔は包帯で見えないため、仕草などで察するしかない。


「憐鶴は…怖いのか?人前に出るのが」
「怖い…です…」

消え入りそうなくらい、小さな声だった。
「憐鶴は加賀屋敷達について何かわからないか?調べているが長官でさえも教えてくれない。『踏み込んではいけない領域』だと言われたよ」
「私も詳しく教えて貰えませんでした」


空振りか…。


鼎は席を立つと憐鶴の側に来た。
「ずっと1人だったんだろ…?ゼノクの地下、案内してくれないか。憐鶴はどこに住んでいるんだ?」
「すいません。姫島さんを呼ばないと…」


憐鶴は器用に何か端末を操作。するとほどなくして姫島がやってきた。

「姫島さん、紀柳院さんを私の部屋に案内してもいいでしょうか。時間も時間ですし、空き部屋に泊めてもいいでしょうか…?」
「構いませんが…隠し通路のことを口外しないで下されば」


隠し通路?



ゼノク・地下。憐鶴・姫島・鼎の3人は隠し通路へ繋がる壁へ。


「ここから先は私の居場所となります。こんな時間に案内してしまい、すいません…」
「別に謝らなくても…」

憐鶴は壁を押すと壁がゆっくりと動いた。スライド式の隠し扉的なものだ。
隠し通路は薄暗い。


「この通路、薄暗いな…こんな感じなのか?」
「…はい」

殺風景な隠し通路。なぜか隠し通路はシェルターのように頑丈だと気づく。
ここが館内図にはない場所…。

しばらく進むと部屋にたどり着いた。姫島が扉を開ける。
「どうぞ中へお入り下さい。中は綺麗ですから」


憐鶴に通された部屋は意外と広かった。地下だとわからないくらいに快適な空間が出来ている。


彼女はある部屋を案内した。

「ここで私は人前に出なくてもいいような任務を遂行しています」

そこにはPCを始めとする機器が並んでいた。


「やっぱり隊員だったのか…!だがその制服、ゼノク隊員のものではないな。どういうことだ?」
「それは…私がゼルフェノア特殊請負人をしているからです。司令補佐と同等となっていますね。だから制服が白いのです。
私は表には出られないがゆえに、この位置に就きました。表に出られないのを逆手に取ったんです。…というか抜擢されました」


特殊請負人?聞いたことがない名称だ…。


「鼎さん、戸惑っていますよね。特殊請負人は顔を知られては出来ないんですよ。リスクが大きすぎますから」
「だからお前に白羽の矢が立ったのか。常に包帯姿ならまずわからない。
世話役の姫島くらいなのか?素顔を知っているのは……」
「まぁ、そうなりますね。姫島さんだけです。実質」


鼎はこの憐鶴の世話役・姫島がゼノク医療チームの1人であることを知らない。


鼎は時間を見た。22時半過ぎてるな…。

「時間も遅いですし、泊まってはどうでしょうか?
空き部屋には客用のベッドもありますし。私の寝室は離れていますから」
「憐鶴…食事、どうしてるんだ?その姿ではかなり不便だろうに」

「…あ、そこは大丈夫です。人前では食事出来ませんけどね…。ちょっと手間がかかるので…」


憐鶴を見ていると、仮面生活に不慣れだった頃の自分を思い出す。
顔から首まで包帯姿なのに、健気というか…必死というか。それにしても「特殊請負人」が気になった。


憐鶴はこう言った。

「寝る前に簡単な任務終わらせてから私は寝ますね」
「時間帯は関係ないのか?」

「夜は稀ですが、深夜に任務を遂行したこともあります。任務時にはこのバイザーを着けるんですよ。
モニターの画面が見やすいようにするために」

それはサングラスのような専用のもの。それを着けて任務遂行しているという。


「なぜ、憐鶴が人前に出られないのかわかったが、ゼノク医療チームに関してはわからないままだったな…」


鼎は客用の部屋へと消えた。憐鶴は淡々と機器を操作している。そこに姫島がそーっとやってきた。


姫島は小声。

「憐鶴さん、ヒヤヒヤしましたよ。私達のことを明かすのではないかと思っていましたから」
憐鶴も小声になる。
「そんなわけないでしょう。長官の取り引きで成立しているんですから、医療チームのことは私にも守秘義務があります」


憐鶴は口が固いらしい。彼女も司令補佐同等なせいか、責任感は強いらしいが鼎とは方向が少し違う。


鼎はどこか落ち着かないようだった。地下に1人って…。
成り行きでそうなってしまったから、仕方ないのだが…。それにしても憐鶴は任務モードになると冷たい話し方に変わるようだ。



特殊請負人とは一体?
顔を知られてはいけないとは?ゼノクの謎、解けそうにないな…。

特殊請負人とはどういうものなのかだけは知りたいが。



鼎はもやもやしながらもなんとか眠りについた。





特別編 (6)に続いちゃった…。


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