一年ぐらいつけてませんが、夢日記というものをつけていました。
明晰夢が当初の目的だったんですけど、私の見る夢は他人よりも変らしくて、純粋に楽しみながら日記をつけていましたね。
本当は夢日記公開したいですけどリアルで交流ある人とか近所がよく出てくるので。
夢ってのは自分の脳の中で起こってるのに自分でどうこう出来ないのがメディアを見ているみたいで不思議です。
いつも途中で切れちゃったりして、最後どうなったのかを知りたくても誰も続きを知らないし、二度と見ることが出来ない。
続きは自分で考えるしかないので、気に入った夢は創作の糧になったりしています、自分の場合。
その中で好きな夢を一つ。
2008年11月09日の夢。
この夢の雰囲気とかダークな部分が好きなのでなにか作品という形にして残したいです。
ちなみに私の視点は少女よりの傍観者といったところ。
夢ですが一応創作カテゴリにしました。
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少女は薄暗い喫茶店に入る。
寂れていて、人気がないそこに、少女以外の客が一組いた。
男達が五人座っている。
年は十代〜二十代、格好は様々。
ただ、彼らは全員美しかった。
少女は彼らのことが気になり、彼らの様子が見聞き出来る席を選ぶ。
彼らの仲の良さや妖しい雰囲気から、同性愛者の集団だろうかと思う。
不思議と嫌悪感はなく、酔いしれるような酩酊感がした。
少女は彼らのリーダー格である青年に愛された。
黒髪に精悍でいて艶めかしい青年には牙があった。
少女は彼らの正体に薄々感づきながらも、彼らの住む洋館に住むこととなる。
彼らがそれを少女に知られたくない様子だったので、少女はあえて知らないふりをした。
彼らが牙は木製の偽物なんだと言ったときには逆に間抜けに映ったが、少女はそれを信じたふりをした。
少女と青年は恋人同士だったので、寝室も一緒だった。
夜は大抵出掛ける彼らに少女は不満だったが、気分を変えようと自室の掃除をし始める。
館には少女の他に一人だけ居残っていることに少女は気付いた。
短い黒髪を、天頂部分だけモヒカン風味にした、ジャラジャラとアクセサリー類を着けながらも不思議と素行の悪さはない青年。
少女は彼と話をしたことはなかったが、その鋭い視線からあまり好かれていない印象を持っていた。
少女はコート類を片付け、部屋を綺麗にすると、疲れて寝てしまった。
少女の携帯にはスパムメールがその時から秒単位で受信されていた。
彼らがいつ帰ったのかは知らないが、少女は青年に布団を整えられて眠った。
季節は冬。雪が降る夜。
少女はいつものように彼らを見送りに門扉まで出た。
モヒカン青年は依然として居残っている。
全員の姿が見えなくなったあと、少女は青年に何で皆と行かないのかと尋ねた。
青年は嘲るように少女を見、俺は人間だからな。と応えた。お前も人間じゃないのか、と。
少女は、私は彼を愛しているから、と言った。
青年は、自分は人間の代表としてここに留まっていると言った。人間の王なのだと。
少女が呆然としている間に、青年は寒さから逃げるように館の中に入った。
商店街の温かい人々の顔が少女に向く。
少女の近所の人々で、少女の顔見知りだ。皆善良な者だと少女は知っていた。
ある日、商店街主催の催し物があるという。
少女は青年に断って商店街へ出掛けた。
福引きが出来たりする、年に数回ある見慣れた光景。
少女は商店街の知人の男に、大食い大会に出てみないかと声を掛けられる。
小柄な少女が食べることに向いていないと見るも明らかだったが、少女は強制的に参加することに。
苦しくて苦しくて、少女は手を止めた。すると商店街の善良な人々が、笑顔で彼女の口に食べ物を詰め込んでくる。
いつしか少女は人間の形でなくなっていた。球体に口が付いたものが数個。
早く全部食べなさい。
これを食べたら離してあげるから。
早く早く早く。
善良な人々はそれでも少女に食べることを止めさせず、少女だったものの口に詰め込む。
口が数個に増えたわけで、少女の苦しさは増すばかり。
体の至る所から異物をねじ込まれる感覚が気持ち悪い。
そうして少女はどうにか完食した。
善良な人々は善良な笑みをいつまでも顔に張り付かせていた。
彼らは食卓を囲んでいた。
筆頭は黒髪の精悍で艶めかしい青年。
横には長髪で白髪の中性的な雰囲気の青年。
まだ幼さの抜けきらない愛らしい少年。
ガラの悪い、しかし見目の整った青年。
人間だといった、モヒカンを模した髪型の青年。
彼らは妖しい笑みを携え、葡萄酒を飲む。モヒカン青年のみはあまり気の進まぬ表情をしているが、彼らは彼のことを気にもしない。
いい娘を手に入れた。
わが同族にするのか?
お前の趣味はわからんな。
私の趣味ではない。彼女はなるべくしてなるのだ。
彼らは口々にそう言い、黒髪の青年を見た。
少女が寝ている。顔は青白く、首筋には二つの穴。
これで彼女は私たちの仲間だ。
一旦放そう。
記憶を消したな?
彼女にもう一度機会を与えよう。
首尾は整っているな?
そうして少女は次の日目覚め、喫茶店で彼らに出逢う。
仕組まれた出逢いだとは知らずに。