*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋8』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第8章です⇒
story.24:『追及』
翌日の朝、高層マンションの最上階の部屋に一本の電話が鳴る。
電話の相手は、兎の仮面の女・雪見こと、加藤智秋からだった。
昨晩の槐ゲームの結果と、水嶋からの伝言だけを伝えると、彼女はいそいそと電話を切った。
伊藤:「……………。」
通話が終わった後、犬の仮面の男・アートロもとい、伊藤諒紀は黙り込んだ。
水嶋からの伝言の内容を聞いた辺りから、伊藤は上の空だった。
『もう二度と大切な人は還って来ないのに、どうして憎い奴を殺す気になる?
そいつは何も誰も、還してくれないんだぞ。』
水嶋からの伝言は、胸に鋭い針のように突き刺さる。
伊藤:「"何も"、か……」
確かに、そうなのだ。
こちらがどんなに恨み辛みを口にし、行動に移しても、復讐の相手は何も還してなどくれないし、還って来ない。
水嶋は過去に大事な人を亡くしているからこそ、そうゆう考えに至ったのかもしれない。
彼は、刑事だから。
『もう二度と、戻れないようになってもらうために!』
正式な裁判で、重い判決を下されて、反省したとしても、過去に犯した過ちから逃げ出さないため。
だから、水嶋は悪い奴らを捕まえる。刑事として。
伊藤:「けど、それはこちらも同じだ…」
確かに、世の中では逮捕されて裁判を受けて死刑を言い渡される人間がいる。
長い時間を掛けて、遺族の願いを受けて、犠牲になった人の思いを託されて…。
だが、本当にそれで満足なのか。
一度は、自分の手で始末したいと思った人間を他人の手に託すなんて。
しかも死刑はいつ実行されるか分からない。
その人によっては、5年も10年も刑務所の中で生き続けるのに。
実際、伊藤が憎む相手は10年……いや、20年以上は刑務所の中で生かされている。
伊藤:(我慢の限界…)
いくら待ってもそのような報告が一向に来ないのだ。
伊藤:(早くこの世からいなくなってくれたら、この複雑な気持ちから解放されるかもしれない…)
あっちゃんこと、遠山敦敏という大切な幼なじみとも今度こそ前を向いて接することが出来るはず。
自分の今の地位も、守られる。
伊藤:(俺は、伊藤諒紀…。
財務省頭取と、専業主婦の母を持つ幸せな息子……)
伊藤はそう改めて自分の現在の居場所を再確認してから、遠山と第5の槐・西原悠一が待つリビングへ向かって行った。
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朝のニュース番組で、第8の槐・矢神拓斗と八条大夢が逮捕されたことが公表された。
2人とも名前は公表されなかったが、再びマインドコントロールで記憶喪失になったことが告げられた。
男性:「えー……もう1人はまだ小学生なのか?」
女性:「マインドコントロール……怖いわ……。早く解決しないかしら、この事件……」
旅館の巨大ロビーに設置されていた巨大テレビを観ながら、宿泊客がそう口にする。
チェックアウトを済ませて旅館から出ようとしていた刑事・姫井はそんなニュースについ見いってしまった。
また、間に合わなかった…。
しかも今回は小学生が槐だったとメディアが伝えている。
姫井:「急ごう…」
早く地元へ帰って、捜査本部へ戻らないと。
姫井は、いそいそと旅館の外へ出た。
途中、土産物屋の店主に引き止められてハッと思い出したように土産を買ってから駅へ向かう。
本当なら土産を買って帰る予定ではなかったが、初日に土産を買うと、店主と約束をしたから。
姫井:「しばらく私のおやつだわ……」
とか言いながら、電車を待っている最中、姫井は昨夜の双子の姉妹・若月里沙と葉隠真紀の話を思い出した。
水嶋との過去の話。
亡くなった阿岐名葉月の話。
上司の石塚紀章のこと。
そして、槐事件のこと------------。
姫井:(信じたくないけど…)
聞いた以上、確かめなければならない。
本当に双子の話が事実なら、追及して然るべき場所へ出さなければならない。
例え、誰かが傷付く結果となろうとも…。
姫井は複雑な思いを抱えながら、やって来た電車に乗り込んだのだった。
------------To be Continued...