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落乱小話(伊→食)

星と内緒話をしよう(伊作→食満)

 

伊作が忍たま長屋の屋根に登ると、寝転がっている留三郎を発見した。


「あ、いたいた。留三郎ー、なかなか帰ってこないから心配し・・・・。」


近寄りながら言いかけた言葉が、中途半端に止まる。
伊作が見たのは、かすかに寝息を立てて眠っている同室者の姿であった。


「珍しいなぁ、留三郎がこんなところで寝ちゃうなんて・・・・・。」


通りで部屋に帰ってこない訳だ、と内心で呟く。

普段、伊作はあまり長屋の屋根には登らない。
何故なら、足を滑らせて落ちそうになったり、屋根が抜けて足がはまりそうになったりと不運に見舞われるからだ。
だが、今日は同室の留三郎が日が落ちてからも帰ってこない為、心配になって探しに来たのである。

用具委員の後輩達に「知らないか」と訊いてみれば、どうやら屋根の修理に行ったらしい。
なので、こうやって来てみたのだが、まさか眠ってしまっていたとは。


「留さーん、こんな処で寝てると風邪引くよー。」


そうやって声をかけても、どうやら熟睡中らしく反応がない。
昨日今日と授業では実技訓練だったし、その上用具委員長として学園内の物を直しに回っていたので、疲れが溜まっていたのだろう。
彼が布団の中以外でここまで本格的に寝ているのは滅多にない事だった。

起こすべきかどうか迷いながら辺りを見回していると、その伊作の目にふと空が映った。
先程まで留三郎ばかり探していて気付かなかったが、今日は空に雲が一つもない。
月も星達も、隠れる事なく美しく輝きを放っていた。


「この景色眺めてたら、寝ちゃったのかな・・・・。」


呟きつつ、転ばないように極力注意して留三郎の隣に腰を下ろす。


「・・・・・もう少し・・・・このままでも、いいかな・・・・。」


幸い、今は夏に入ろうとする春の終わり。
後少しくらい外にいても、風邪は引かないだろう。

留三郎が目を覚まして、自分が隣に座っていたら一体どんな顔をするだろうか。
「もっと早く起こしてくれよ。」、そう言うかもしれないけれど。


「でも、僕は少しだけでも君の隣に多くいたいから。」


彼が起きるまで、星でも眺めていよう。

心の中で呟いて、伊作は小さく微笑んだ。

 


(彼の言葉を聞いていたのは、空に煌めく星々のみ。)

 

 



やっぱ伊作は片想いが書き易いんだよぉぉぉぉ!!と、叫んでみる。
何ででしょうね?自分でもわからん。^q^
ウチのサイト、食伊だとどんどん伊作が乙女になっていく気がしますが、それは気のせいではないと思います。(おい!
食満が屋根で居眠りしてるなんてシチュあったら、私だったらじっくり舐め回すように見つm(殴!
でも、実際屋根の上で寝るって結構難しいと思います。背中痛くなるってアレ!
忍者だから出来ちゃうんです・・・ってのはちょっと違うかなぁ。漫画とかでは結構見ると思うんだけど。
あ、因みに。この後伊作だけ風邪引きます。←お・約・束!ww

 


お題提供元様:空は青かった

落乱小話(食×文)

ぬるい空気を蹴り上げた(食満×文次郎)

 

何だか、苛々する。

目前の相手と遭遇する度、まず真っ先に思う事。

顔か?
違う。

声か?
違う。

性格か?
そんな気もするけど、何か違う。

じゃあ、一体何だっつーんだ。
それが自分でわからないから、余計に苛立ちが募る。

それにしても・・・・睨み付けてくるコイツの眼、凶悪過ぎだろ。
本当に同い年か?十五か?
・・・まあ、目付き云々は俺も他人の事言えねぇし、相手も同じ事思ってんだろう。

そう考えると、尚更ムカつく。

そんな事を思っていた、瞬間。
奴の右腕が、動いた。

それを目にしたとたん、頭で理解するより先にとっさに自分の右腕も動く。
ほぼ無意識に突き出された拳は―――――

バキィ!

という小気味良い音をさせて、相手の右頬を捕らえた。
・・・・が、向こうが繰り出してきた右拳も、俺の左頬に直撃した訳で。
ほんの一瞬意識が飛びかけたものの、互いにグラリと身体をよろめかせただけで何とか踏み止まる。

力は、ほぼ互角。

奴がこれくらいの攻撃で倒れるような柔な男じゃない事は重々承知。
多分、向こうも俺がそうだって事を知っている。
だからこそ、一発殴られたくらいで睨み合いは止めなかった。

殴り合いをしてる最中だってのに、頭の片隅に何となく冷静な自分がいる。
完全に熱くなれない。何でだ?
理由がわからない中途半端な苛立ちが気になって、喧嘩してるのに妙に引っ掛かる。

―――――ああ、腹が立つ。


「・・・・っらぁ!」


考えを振り切るように、相手の顎先に空気ごと蹴りを叩き込む。
けれど、奴は首を曲げて俺の蹴りを回避し、ニヤリとそれはそれは獣のように獰猛に笑った。

瞬間、俺の中の苛立ちがスッと何もなかったかのように消える。
そして、悟った。

ああ、俺は。
奴の、この笑みが見たかったのだ。

気付くと同時、自分の口元にも同じような笑みが浮かんだのがわかった。

 


(笑って、哂って、戦え。)

 




お題に沿っているようで沿わなくなってしまうのは、もうお約束で。^q^
いや、嘘です。ホンットすいませぇぇぇぇん!!
喧嘩ップルっぽい話が書きたかったんです。・・・のはずなのに、どこで間違えたのか!
二人とも不敵に笑いながら殴り合いしてるってどんなwww(自分で書いときながら
とりあえず、二人は何だかんだ心の中では喧嘩を楽しんでるって事です。自分でも気付いてないけど。
傍から見たらきっとおかしい光景に違いない。^^仙様とか絶対笑う。(待て
この後、ついうっかり本気になった二人は殴り合いし過ぎて伊作に怒られるんだと思います。


お題提供元様:空は青かった

落乱小話(仙×文)

唇が切れた(仙蔵×文次郎)



ガタ、と少々乱暴に戸が開く音がして、同室者が入ってきた。
意思が強そうな眉を思い切り寄せる彼・・・もとい、文次郎の様を見て、仙蔵はゆったりと口端を吊り上げる。
その、全て見透かしているような仙蔵の微笑に、文次郎は益々不機嫌そうに顔を顰めた。


「・・・・・・・何だよ。」
「また、留三郎と喧嘩をしてきたのか?」


それは疑問形であったが、答えは聞かずともわかっていた。

文次郎が埃や傷だらけで戻ってくる原因など、二つのみ。
一つは、鍛錬。
だが、その場合はどこかすっきりしたような表情で帰ってくる事の方が多いので、今回は違うだろう。

となると、彼がここまでボロボロになって不機嫌で帰ってくるのは、もう一つの原因である喧嘩しかない。
顔を合わせれば殆んどの確率で口論から取っ組み合いに発展する、は組の用具委員長との喧嘩だ。
どうやら力は互角のようで、毎回同じように怪我をしてきているのだが、それでも懲りないらしい。

仙蔵の確信ある問いに、不貞腐れたように顔を背ける文次郎。


「・・・・うるせぇな、お前にゃ関係ねぇだろ。」


否定をしていないという事は、やはり喧嘩で正解らしい。

彼の性格からして、はっきりとした答えが返ってくるとは元々思っていなかった仙蔵は、クスリと笑う。
それから、読んでいた書物を閉じて机の上に置き、立ち上がる。
部屋の入り口で立ったままの文次郎の前まで歩いてくると、至近距離でまじまじと彼の顔を見つめ、


「文次郎。唇が切れているぞ。」


と言って、自分の下唇を指で示した。


「あ?」


言われた文次郎が、右手で己の下唇に触れようとした。

瞬間。
ペロリ、と。
今まさに触ろうとしていた下唇に、そんな感触。


「!?」


突然の事に文次郎が驚愕して目前を見やれば、先程よりもっと近い位置に、妖艶に笑う仙蔵の顔があった。
目を見開いたまま硬直している文次郎など構わずに、仙蔵が言う。


「これしきの事で呆気に取られるのでは、まだまだ鍛錬が足りんようだな?」


普段ならすぐに怒鳴り返す文次郎も、流石にまだ呆けているようだ。

そんな彼の様子に、今度は不敵な笑みを見せる仙蔵。
文次郎の横を音もなく通り過ぎると、開けたままにしていた戸から廊下へ出る。


「私はこれから委員会だ。お前は、早く保健室へ行って伊作にでも手当てしてもらえ。」


それだけ言い残すと、仙蔵は何事もなかったかのようにスタスタと廊下を歩いて行ってしまった。
静かな足音が遠のいて聞こえなくなった頃、やっと文次郎は我に返る。

先程仙蔵に示された下唇を恐る恐る触り、かすかに痛む事に気付く。
ところどころ怪我をしていたし、喧嘩の後の興奮状態で、こんなところが切れていたなど知らなかった。
仙蔵に言われて、血を舐め取られるまでは―――――。

・・・・・・・・・ちょっと待て。
舐め?舐め、取られ・・・・・・?


「〜〜〜〜っ!?」


そこでやっと先程の感触を思い出したとたん、文次郎の顔が真っ赤に染まる。
それは怒りの為か、はたまた恥ずかしさ故か。

声にならない声で呻いたかと思うと、両手を慄かせて顔を引きつらせ、大声で叫んだ。


「仙蔵ぉぉぉぉぉ!!」


怒りをぶつけるべきその相手は、すでに声の届く範囲にはいなかった。

 


(彼のペースに呑み込まれ。)

 




文仙もイイけど、仙文もイイじゃない!って事で。
何故かここ最近仙文に漲っている自分がいます。何故だ。
というか、照れる文次郎可愛いと思いませんか私だけですかそうですか。
い組書きやすいんだよなぁぁぁ。だからこの二人が多くなるのですね、このサイト。^q^

 

お題提供元様:空は青かった

落乱小話(鉢×雷)

独りよがり(鉢屋×雷蔵)



現在、三郎の前には雷蔵が立っていた。
据えた双眸に怒気を宿して、ただただ静かに佇んでいる。

そんな雷蔵も可愛いなぁ、などと頭の中では暢気な事を考えつつ、三郎はそれを表面に出さない。
顔を借りている目前の雷蔵と同じように、神妙な面持ちで対する。


「・・・・・・何でだい?」


しばし静寂が続いた中で、先に沈黙の壁を破ったのは雷蔵だった。
かすかに震える声は、何かの感情を押し殺しているためか。

雷蔵の呟くような問いかけに、三郎はまるで思い当たる節がないというように訊き返す。


「何が?」


瞬間、雷蔵の背負う怒りのオーラが一気に増幅する。
先程までは抑え込んでいた怒りの感情を露にし、普段は穏やかな目元を鋭く吊り上げて、


「何で、僕を庇ったんだ!」


怒鳴る声は、悲痛を含んだ叫びにも似ていた。
怒りか悲しみか、はたまたその両方か、顔を歪めて今にも泣きそうな表情で。

その眼に映るのは、身体の所々に包帯を巻いた三郎の姿。
白い包帯に赤い血が滲み出しているのが、とても痛々しく見える。
彼がこんな姿になってしまったのは、今日の忍務が原因だった。

今回の忍務は雷蔵の三郎の二人で行うもので、彼らのコンビネーションの甲斐もあって上手くいっていた。
しかし、もうすぐで忍務が完了するという時、一瞬心に隙が出来た。
雷蔵が油断してしまい、敵の襲撃を避け切れなかったのだ。
それに気付いて、彼を庇うべく敵との間に割り込んだのが三郎で。

何とか敵は倒したものの、三郎も攻撃を受けて怪我を負ってしまった。
幸い命に別状はなかったが、それでも怪我をしたのは事実。

雷蔵は、三郎が自分を庇って怪我を負った事が許せないのである。

だが、雷蔵の問いに対し、三郎は笑って答える。


「・・・・・お前が怪我するより、数百倍いい。」


これだけの傷で、お前を守れるのなら構わないと。
同じだけれど、どこか違う顔で、真っすぐな視線でそう告げてくる。

その迷いのない彼の発言と表情に、ぐっと雷蔵の両拳に力が込められた。
血管が浮かび上がるほど強く、手のひらに爪が喰い込むほど強く、握り締められる手。


「そんなの・・・っ!独り善がりだ!」


渇いた喉から飛び出す声は、必死そのもので。
雷蔵の言葉に、ここで初めて三郎の目が大きく見開かれた。
真っすぐだった瞳に、戸惑いの色が混ぜられる。


「僕は・・・・僕を庇ってまで、君に怪我してほしくなんかないんだ!!」


とたん、ふわりと柔らかく抱き締められた。
突然の事に眼を見張る雷蔵は、一体どうしたのかと彼の名を呼ぶ。


「・・・・三、郎・・・・?」


抱き締める腕の力が、強くなる。
そして聞こえてきたのは、どこか弱々しい声音の一言だった。


「・・・・・・・・・ごめん。」


それは、今にも掻き消えそうだったけれど、抱き締められている雷蔵にははっきりと聞こえて。
薄く苦笑すると、同じように三郎を抱き締め返した。




(僕だって、同じくらい君が大切なんだ。)






鉢雷で、初めてちょい長めの小話でした。
最近めっきり三郎が大好きで!何故だろう。きっと某動画様のせいだ。
ホントに何やっててもカッコイイんですよ彼は!!
なのにキャラ掴めないってどういう事!誰か私に文才を下さい。(切実に



お題提供元様:空は青かった

落乱小話(食←伊)

見つけてごらん(食満←伊作)



「留三郎って、案外鈍いよね。」
「・・・・・・は?」


唐突な同室者の発言に、留三郎は思い切り眉根を寄せて素っ頓狂な声を発した。
何を突然、と言わんばかりの訝しげな表情で、まじまじと相手を凝視する。

すると、彼に冒頭の一言を告げた相手・・・伊作は、細く溜め息をついて改めてこう言ってきた。


「戦闘や用具の事にかけては敏感なのに、何でこう・・・自分の事には鈍感かなぁ。」


腕を組んで困ったように呟く伊作に、益々留三郎の顔は渋くなるばかり。
こうも連続で鈍い鈍いと言われれば、誰だって嫌なものだが。
どうやら、それは留三郎も例外ではないらしい。
わずかに苛立った面持ちで、伊作の真意を知るべく訊き返す。


「・・・・おい、伊作。そりゃ一体どういう意味だ?」


問いかける間に、一体自分のどこがそんなに鈍感なのだろうかと考える。
しかし、そう簡単に答えが出てくるはずもない。
それどころか、考えれば考えるほど謎が深まるばかりで。

仕方なく伊作からの返答を待っていると、彼は組んでいた腕を下ろして苦笑した。
その苦笑いが、触れたら一瞬で崩れてしまいそうなほど儚くて、思わず留三郎は面喰らってしまう。


「っ?伊、作・・・・?」


不安気に名を呼ぶと、伊作はこれだけ答えてくれた。


「・・・・答えは、自分で見つけてごらん。」




(その笑顔は、美しくも儚い桜花と良く似て。)






どーしても、私が書く伊作は片思いになってしまうようです。
いつかラブラブも書きたいのになぁ・・・。如何せん文章力がなぁ・・・。



お題提供元様:空は青かった
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