あれ俺の出身高校です。
……校舎の新築中にあんな賠償金払えるがかね……?あと訴えられた先生知ってますが、面白いいい先生ですよ。
 
ネタに走ったSS
 
【Sister Days】
 
なあ、聞きたいことがある。己では解決しえない不測の事態に陥った時、どうすればいい?
 
例えば、

Q1.勝てるはずもない相手に野球で挑み、負ければ世界崩壊という時
 
A1.長門にバットのホーミングモードへの属性変更を頼む
 
Q2.美人上級生の麗しいウインクがビームやレーザーの発射合図になった時
 
A2.長門にナノマシンをその上級生に注入してもらう
 
Q3.美少女同級生に放課後鋭利なナイフで命を狙われた時
 
A3.長門にそいつの情報連結を解除してもらう。
 
 
……とまあ、情けないが解答には人類が数百年かけて進化をしたとしても決して越えられない壁を容易くぶち抜いてしまえるほどにハイスペックな宇宙人・長門有希に頼るというのが、最も効率がいいだろう。
 
じゃあそうすりゃいいじゃないか、と思う奴がいるかもしれないが、今俺が直面している事態にはそれは出来ない。長門に迷惑をかけるのは極力避けたいし。というか、その長門が原因だしな。
 
 
さて、現状をお伝えしよう。
 
時はある土曜日、不思議探索の日だ。そして俺は本来もっと寝ていたい所を、体にかかる異常な衝撃のせいで目を覚ましてしまった。
 
ここまでは別にいつもと変わりない。しかし今も俺の上に乗っているダメージ発信源を視認すると、俺は思考を停止させたくなった。さてこれはどういうことだ?
 
「……………」
 
布団1枚隔てただけの距離で、俺の上に長門がうつ伏せに乗りこちらを覗き込んでいる。
 
「………起きて」
 
「      」
 
さて俺はどうしたいのだろう?その答えを出す前に意識をホワイトアウトさせてしまった。次の長門の台詞で。
 
「早く…………お兄ちゃん」
 
 
!?!!!??!?
 
 
 
 
 
「あー有希姉え!あたしがキョン君起こしたかったのに〜!」
 
「……早起きした者勝ち…」
 
「む〜!次はあたしだよ!」
 
「……私も負けない」
 
おい長門。何故お前がナチュラルに俺達兄妹の輪にいる?
 
「キョン君、『ながと』ってだあれ〜?」
 
はあ?というかお前、気分は?そう尋ねようとした時、長門が俺に耳打ちする。
 
「……詳しくは後で。今は私を『有希』と呼ぶこと。ともかく早く起きて。遅刻する」
 
……わかったよ…
 
 
 
 
「いってらっしゃ〜い!キョン君!有希姉え!お土産よろしくぅ〜!」
 
妹に見送られながら俺達は2人乗りで出発する。
 
「長門、一体どういうことなんだこれは?」
 
「……今は時間がない。後で……」
 
そう呟いて、長門は俺に一層強くしがみつく。…そうかい。本当に大問題ならこんなことせずさっさと話すだろうから待ってやるか。
 
 
 
「遅い!どうせキョンが寝坊したんでしょう!妹の有希に恥ずかしくないの!?罰金!」
 
「……お兄ちゃんを虐めないで…」
 
「む……!」
 
やっぱりおかしいハルヒと長門の台詞。聞き流してさっさと飯にしてくじ引きをして組み分けする。俺・長門・古泉の組になり、さっさと出発する。
 
 
適当なベンチに古泉、真ん中に俺、俺にぴったり寄り添う形で並ぶ長門。さて、
 
「長門、古泉。これは一体どういうことなんだ?」
 
「涼宮ハルヒの力」
 
「やっぱりか。どうしてお前に俺の妹になれだなんて望んだんだ?」
 
クスッと笑みを浮かべ…いや、常時笑顔かコイツは。古泉がほざく。
 
「いやはや、本当に仲のいい兄妹みたいでお似合いですよ。いっそずっとそのままでよろしくては?」
 
「よくなくもないがまずは原因を教えろ。どうせわかってんだろ?」
 
俺に寄り添ったり、妹とじゃれあったりする長門は、楽しそうだった。確かに長門に普段から接することが出来る家族が出来るのはいいことだとは思うが、いきなりで納得は出来ん!
 
「そうですね……昨日の放課後、あなたが団活をサボったことが原因です」
 
「はあ?妹が高熱出して心配で早く帰ったのがいけないのかよ?」
 
そう、妹は珍しく昨日朝から高熱を出してしまった。布団から赤い顔を出して弱々しく「はやく…帰ってきてね…?」なんてお願いしてくる妹を見捨てて高確率で実にならない団活を過ごすほど俺は鬼じゃない。昨夜は妹の看病に費やした。にしてはやけに今朝妹がハイテンションだったのはおかしいが。それに大体、
 
「俺はハルヒに何度も休むことを伝えようとしたのに、あいつは俺が話しかけても全然聞いちゃいねえんだ。だからお前に伝言まで頼んだのに、俺が悪い要素がどこにあるんだ?」
 
「まあ、理由が理由ですから涼宮さんは閉鎖空間こそ生みませんでしたよ。しかし、」
 
「あなたが涼宮ハルヒの団活よりも妹を優先した、という事実に今回の件は起因する」
 
古泉の台詞に続けて長門が答える。それで何で長門が俺の妹になるって話になるんだ?
 
「実はですね、涼宮さんがあなたが妹さんの看病に帰る、見舞いはいいと知った後、すぐに帰ってしまったのですよ」
 
で?
 
「確証こそありませんが、彼女はこう望んだと思われます。まず、妹さんには早く元気になるように」
 
それであいつ、さっさと体調を戻したのか。使い道によりゃハルヒの力も便利だな。
 
「しかし、仕方ないとはいえ涼宮さんより妹さんをあなたは優先した。それは涼宮さんにとって喜べることではありませんでした。ここからは涼宮さん風に言いますよ?」
 
嫌な予感がした。
 
「……やっぱりキョンは、妹ちゃんの方が大事なのかな……」
 
「気持ち悪ーーー!!古泉止めろその口調!!」
 
吐き気がした。
 
「キョンの妹になれば…もっと気にかけてもらえるのかな…」
 
「古泉一樹。自重すべき」
 
「長門に同じだ!!」
 
「でもなれるわけないし…妹だとキョンと“禁則事項”出来ないわよね…ただでさえライバル多いのに…」
 
思いっきり殺意が湧いた。殺っていいよな長門?
 
「同意」
 
「…そうだ。キョンには素直な有希って、実はキョンが知らないだけでキョンの生き別れの妹とかだったりして。そうよ、きっとそうよ!それならライバルも減るし有希も一人暮らしなんかしなくていいじゃない!」
 
スイッチON。
 
「おらぁぁぁ!!」
 
「〜ーー〜〜ー〜」
 
「ふぶぅっっ!?」
 
隣の古泉を思いっきり殴る。やたら古泉が吹っ飛んだのは長門が情報操作でもして俺の力を底上げしたんだろう。
 
「ひどいじゃないですか…」
 
生きてるよ。で、どうすりゃいいんだよ結局…
 
「…僕としては、正直このままの方が涼宮さんが安定すると思うので現状維持がいいのですが…」
 
「そんなわけにいくか。そんな簡単にホイホイ血縁関係いじられてたまるか」
 
「方法がないこともない」
 
「相変わらず頼りになるな長門よ、ところでハルヒの力を受けたのに宇宙人のままなのか?」
 
「大規模な改変ではなかったから、思念体に接続して個体情報を維持できるようにしていれば問題なかった」
 
「そりゃよかったよ。長門も俺の妹のままだなんて嫌だろう」
 
「あなたと血縁関係になるのは嫌ではない。しかしこの兄妹という形は素直に喜べるものではない」
 
「?まあいい、方法はどんなのだ?」
 
「少し規模の大きな情報操作が必要、今すぐでは無理。また、古泉一樹に負担がかかることが予想される」
 
「そうか。じゃあ気長に待つか。別に世界の危機じゃないだろうし」
 
「長門さんの言い方ですと、僕の命の危機っぽいですが…」
 
「ハルヒだってお前にいなくなられても嫌だろ、死ぬことはないだろうぜ」
 
「他人事だと思って……」
 
凹んだ古泉を置いて出発しようとした時、長門が俺のベルトを摘み上目遣いでこちらを見てくる。どうした?
 
「……この世界では、暫くあなたと私は兄妹という関係になる。あなたへの私の呼称を考えなければいけない」
 
へ?朝の『お兄ちゃん』で…
 
「あなたがもっと気に入る呼称があるかもしれない。次から選んで」
 
長門は小さく息を吸うと、
 
「お兄ちゃん。お兄さん。兄ちゃん。兄さん。兄貴。キョン。キョン君。キョン兄い。キョンお兄ちゃん。キョンお兄さん。キョン兄ちゃん。キョン兄さん。お兄様。兄様。キョンお兄様。キョン兄様。兄上。兄上様。にーにー。キョンにーにー」
 
 
「………………………………………………………………………………………………あー、じゃあ…『お兄ちゃん』で……」
 
※これ以降のは上の候補の好きなもので脳内補完よろしくです(くたばーれ)
 
「わかった。よろしく、お兄ちゃん」
 
言えねえ……今挙げられた候補の呼び方で長門に呼ばれたシチュエーションを想像して悶えたなんて言えねえぇぇぇぇ!!
 
 
 
 
 
 
 
解決法の情報操作には3日ほどかかるらしく、それまで俺は長門との兄妹関係を続けることになった。長門から頼まれたことで、
 
・なるべくハルヒより長門を優先すること
・「生き別れの兄妹」という設定を活かすため、俺に甘えさせてほしいのと、それに嫌な顔をしないでほしいこと
 
があった。特に後者は長門のエラーも効率良く削除されるらしいので、俺も喜んで受け入れた。俺に甘えることで長門が楽になるってんなら本望だしな。
 
「それは僕には死亡フラグなんですが……」
 
がんばーれ↓
orz←古泉
 
 
ここで、どうでもいいだろうがハルヒが与えた長門の設定を…
 
長門と俺は双子として産まれたが(元の設定が同い年だから)、ウチの親に2人育てるだけの余裕がまだなくやむなく長門を親戚に育ててもらうことになったものの、その親戚と疎遠になり連絡がつかなくなり事実上生き別れてしまった。長門はその親戚の、勉学第一の教育方針のもと育てられ、成績こそ文武両道に優れたものの人付き合いにとても疎く、育ての親も厳しく他人に心を開けなくなり、読書ばかりの日々に浸っていた。ある日ふとしたキッカケで俺の存在を知り、もしかしたら自分を受け入れてくれるかもしれないと親の反対を圧して北高へ来た。文芸部で趣味の読書に浸りつつ俺を探そうとしたら涼宮ハルヒに誘われたSOS団で俺と出逢う。団活で徐々に他人に心を開けるようになり、何かと自分を気にかけてくれる俺に惹かれる。そして1年が過ぎたあたりで実はその俺こそ探していた兄であることが判明し、今まで圧し留めていた感情を吐き出すように俺にすがり、これまで以上に2人は近づく。そしてとうとう本当の親と再会しこれまでのことを水に流して幸せになるべく真の家族の元に戻る←今ここ。
 
……的を得てるんだかアホらしいんだか……
 
 
 
 
集合場所まで長門と俺は手を繋いだ。妹という設定とはいえ長門は長門なので、滅多にないシチュに少し顔が赤くなった。照れてるの?と長門が尋ねてくる。まあ…可愛い女の子と手を繋ぐなんてまずないからな…少し浮き足立ってるっつーか…嬉しさもあるというか…
 
「あなたは、喜んでいる?」
 
……まあ、な……
 
「なら、今だけでなくても構わない。私も望んでいる」
 
…………っ!!
 
 
 
「キョン!何有希と手ぇ繋いでんのよ!」
 
集合場所で早速ハルヒになじられる俺。別にいいだろ?なg…有希から言ってきたことだし俺に拒否する理由がないんだ。
 
「ぐっ……このシスキョン!」
 
誰がうまいこと言えと。つーか嘘はどこにもない。
 
「私達は何も悪くない。お兄ちゃんを悪く言わないで」
 
俺の陰に隠れるような体勢で長門が言う。うわ可愛っ。
 
「ぐぎぎぎぎ………!」
 
ハルヒの不機嫌レベルが上がってる。古泉の顔の蒼さも比例してる。朝比奈さんの慌てふためき度は二乗って感じ。
 
「さっさと行くわよ馬鹿キョン!」
 
そう言ったハルヒが踵を返す前に、
 
「お兄ちゃん、行こ……?」
 
そう俺の手を控えめに引っ張る長門に言語では表せない何かが湧き上がりハルヒになじられた後遺症がぶっ飛んだ。俺に妹属性はないはずだが…長門、狙ってやってないか?なんて問う前に俺は長門に従ってついていくしかなかった…
 
勿論ハルヒがさらに不機嫌になったのは言うまでもない。
 
 
結局この日は今度は2人になった午後に長門に
 
「お兄ちゃん、ここ行こ」
「お兄ちゃん、これ食べたい」
「美味しい、お兄ちゃん」
 
…とまあ精神攻撃を食らい続けた。いや全然むしろ嬉しい意味でだが。
 
『お兄ちゃん』という呼称以外にも以前の長門と違う点はいくつもあったが、演技くささはみられなかった。案外長門が誰かに素で甘えるとしたらこんな感じなのだろうか。もしかしたらあいつはあいつでこの状況を楽しんでいるのかもしれないな、なんて身勝手に期待している俺がいた。
 
ちなみにこの夜、
 
「一緒にお風呂入ろ?」
「一緒に寝よ?」
 
なんて追い討ちを食らったのは秘密だ。その役目は元祖妹に譲ったぞ、勘違いするな!羨ましくなんて…ないん…だからな…
 
 
 
翌朝、またしても長門にボディプレスを食らって目を覚ました。『長門』にされているというアレがテンションを上げなくもないが体の苦しさがそれを邪魔した。
 
 
家族揃って朝飯を食べ、俺はベッドにまた寝っ転がる。長門と妹も2人でのほほんとしている。すると俺の携帯が鳴り、ハルヒからと知り出る。
 
「キョン!今から駅前に1人で来なさい!不思議探索するわよ!」
 
俺がもしもしと言う前に大音量でハルヒが叫ぶ。
 
おい、と俺が反論を始める前に
 
「ダメ。今日は兄妹3人で水入らずの外出をする」
 
と長門が言って電話を切ってしまった。……初めて聞いたが俺に反論の余地はないだろう…「やったー♪」と叫んでるお姫様がいるからな。
 
 
 
 
周りの視線が痛い…当然か。老若男女に愛されている森のオバケのアニメ映画に出てくる主人公親子のように曲芸乗りしてるんだからな…
 
「あ る こー!あ る こー!私は元気〜♪」
 
歌うな!余計目立つ!お前本当に小6か!?
 
 
 
で、特筆すべきことは特になかった。長門と俺が妹を挟んで3人で手を繋ぎながら歩いたり、ファーストフード店のファミリーセットの付属品に妹が喜んだりしただけだ。
 
強いて言うなら妹のはしゃぎっぷりに向けている長門の目が本当に優しく、その表情に俺が釘付けになったことくらいだ。
 
 
 
 
翌朝、最終日。登校時の2人乗りや手繋ぎで長門はいっそう強く寄り添ってくる。
 
「今日が最後だから……それまでは、このままで……」
 
勿論いいぞ。微妙に目的を見失っている俺がいた。
 
 
長門と別れた後。
 
「このシスコン野郎!兄妹でイチャイチャしながら登校してくんな!」
 
黙れ谷口。家族は大事にするもんだ。
 
「……今日で、最後なんですよね……?」
 
「うぉわあぁぁあぁ!!?」
 
だっ誰だ!?俺の後ろに…って古泉!?お前実は超能力者兼幽霊だったのか!?透けて見えるくらいに存在感ねえぞ!!
 
「……あれから神人戦が頻発しまして……辛い時辛いと言えたらいいのにな、僕達は強がって笑う弱虫d」
 
ブレイブはマズい。キャラまで壊れそうだ。いっそ休めよ。今度飯でも奢ってやる…
 
 
その日の授業はいつも通り過ぎた。ハルヒがずっと俯いていたのが怖い。
 
昼食は長門と部室で食っていたが、最後の甘えといわんばかりにすり寄ってくる長門は反則一発レッドカード退場レベルで可愛かった。今日の団活で再改変を行うらしく、俺は少々ドアの外で待機(ハルヒにバレないように)してほしいと言われた。後、話を合わすようにと。
 
 
 
放課後、長門に言われた通りハルヒを先に部室に行かせ、長門と共に部室の前まで来ると長門を先に入れ、待機モードに入る。ちなみに他の2人はいない方がいいらしい。
 
どんな方法だ?聞き耳を立てておく。
 
 
 
『遅くなった』
 
『本当よ!他の3人は!?』
 
『彼らのことより、まずあなたに伝えておきたいことがある』
 
『え、何?』
 
『私とお兄ちゃんは、結婚することになった』
 
『……………は?』
 
………………は?
 
『有希、まさかあんたが冗談を言うなんて夢にも思わなかったわ。バカキョンのせいね、連れてきなさい。煉獄くらいに送ってあげるから。一応言っとくけど有希、兄妹は絶対結婚出来ないわよ。倫理的にも遺伝子的にも問題があるから』
 
『冗談ではない。それに問題もなくなった。これを見て』
 
『え、新聞?何々…え"!?』
 
※まかり間違っても↓を信用してはいけません※
 
『遺伝子学の権威の研究の結果、兄妹もしくは姉弟が子供を産んでも何ら問題はないと判明した。そして私のように実の兄弟に恋愛感情を抱く者も少なからずおり、そんな人々の救済措置のため兄弟間で結婚が出来るよう法律が改正された』
 
……もしかして、3日かかる情報操作ってそれか……?
 
『え……ええぇぇぇえ!!?』
 
『涼宮ハルヒ、あなたには感謝している。あなたのおかげで私はお兄ちゃんに逢えた。ありがとう。今から永久の愛を誓う』
 
そう言うと長門は出てきて俺の腕をとり部室の中に入れる。
 
「キョ、キョン!有希の言ったことって本当なの!?」
 
んなわけあるか!!と叫びたくなる心を圧し留め、頷く。長門に話を合わせないと……
 
「じゃあ、いくよ…お兄ちゃん」
 
その言い方はかなり背徳的だぞおい。言い方つーか行為そのものもあれだが……
 
俺に抱きつき、長門が顔を近付けてくる。そしてあと数ミリというとこまできたとき、
 
 
「だっ…ダメーーーー!!!」
 
 
ハルヒが叫んだ瞬間、意識がホワイトアウトした。
 
 
 
 
目が覚めると、さっきと何も変わらない文芸部室だった。長門が俺を介抱してくれている。ハルヒは団長席でうんうん唸っていた。元に戻ったのか?
 

「そう。『何もなかった』ことになっている。今までのことは涼宮ハルヒは悪夢だと考えているだろう」
 
「そうか……ん、待てよ?ハルヒの力が働いたのになんでお前はともかく俺も覚えてるんだ?俺まで覚えてるのは、理由はわからんがハルヒには好ましくないんじゃ……」
 
「私があなたへの涼宮ハルヒの力の介入を妨害した」
 
「何でそんなことを…?いや、責めるつもりはないが」
 
俺がそう問うと、長門は僅かに顔を下に向け、答えた。
 
「……私は、この3日間をとても好ましいものだと感じた。この記憶をあなたが失う場合をシミュレートすると、エラーが発生すると結果が出た」
 
「……あなたには、覚えていてほしいと……原因は不明だが、そう思った」
 
「…………!!」
 
俺は開いた口が塞がらなかったぜ。『思い出を共有したいという欲望』なんて最高に人間らしいものを長門が手に入れたことに。
 
長門の頭を撫でてやる。笑みが隠せない。
 
「ありがとうよ。俺も忘れたくなかったんだ。あんな楽しそうな長門は滅多に見れんからな」
 
長門はやっぱり無表情でされるがままだ。
 
「でな、妹じゃなくてもいいからさ、これからももっと甘えてくれ。俺に出来ることは大したことないが、お前の気晴らしになるならいくらでも付き合ってやるよ」
 
 
 
「…………ありがとう……」
 
任せろ。
 
 
 
その後、俺達は『団長に悪夢を見せた』罰を受けたが、俺1人に不思議探索の罰金が課せられるだけだった。
 
ところで長門、お前俺と血縁関係になるのは嫌じゃないが兄妹ってのはあまり喜べないって言ってたけど、あれどういう意味だ?俺の姉ならよかったのか?それとも娘か母親?
 
「……どれも違う」
 
じゃあ何だ?
 
 
 
 
 
 
 
 
「………………嫁」
 
………………え"?
 


 
長い……長編つーか分けた方がよかったにゃ〜orz
 
大学の自治会の後輩が『長門は俺の嫁』とか言いよった。だっまーれ↓
 
 
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