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放置しすぎた……(長編その6)

この更新ペースはどうにかならんもんかね?(黙れ)
 
教育実習も終わり、そろそろ大学生活も山を……越えれそうにないかな……
 
もはや誰も待っていないであろう長編。せめて長門は出したいぜ……
 
【ミスティッククエスト・6】
 
ボスの体が崩れ落ち、まさに骨の山となる。もう動き出しやしないだろうなという心配をよそに、ボスの体は一瞬で風化し塵となって消えていった。
 
完全にボスが消えたのを確認すると、俺は力が抜けて膝を付いた。
 
「はぁっ……やっと終わったぁ……」
 
死ぬかと思った。マジで。朝倉涼子に襲われた時以来かもしれん、ベヒーモスと戦った時よりも精神的にも肉体的にも堪えた。
 
「はぁっ……お疲れ様です」
 
忍者ルックの古泉が近付いてくる。お前、さっきのは何だったんだよ?
 
俺がもっと問い詰めようとすると、古泉は人差し指を立てて口の前に置き、『静かに』のポーズをとる。何だ?
 
「いえいえ、これからちょっとしたスペクタクルが始まりますから」
 
気に入ってんのか、その台詞? 俺は正直嫌なイメージしかないんだが。
 
そんなことを言ってると、突然頭上が光り出した。何だ? スポットライトか?
 
アホなことを考えてると、上空の何もない空間に黄色い水晶体が現れた。浴びたことなどありはしないが、どんな舞台であびるスポットライトなどよりも、俺達を日々照らす太陽よりも、美しく優しい光を伴って。
 
正直、心を奪われていた。気が付いた時には、ゲームのデフォ設定なのか体力が完全回復していた。
 
「これが、クリスタルか……」
 
思わず呟く。
 
「そんなことよりこれ見てくださいよ、お宝ですよー」
 
お前は空気を壊すな!! せっかく人が雰囲気に酔ってんのに!! つかお前がスペクタクル見ろっつったんだろ!!
 
ヌケヌケとニヤニヤ顔でノコノコやってきた元超能力者の忍者野郎に手刀を入れた。キレイに喉に入って崩れ落ちた。
 
「あ痛たた……でも、素晴らしい1シーンだったでしょう? ゲームで見た時、幼心に感動しましたよ」
 
まぁ、それは認める。それで、人の余韻をぶっ壊してまで見せたい宝って何だ?
 
「これです!」
 
自信満々に古泉が右腕をかざす。非常にゴツゴツした機械っぽい物に、5本の指……爪っぽい物が生えている。子供向けの特撮でレンジャーとかライダーが使いそうな武器だ。カッコイイと言えばそうかもしれない。
 
「『青竜の爪』です。攻撃力も追加効果も文句なしの逸品ですよ!」
 
嬉しそうだなあ、古泉。よこせ!
 
「嫌です。流石にゲームバランス崩れますから」
 
ちっ、楽にしたいのに。俺の嘆息をよそに、古泉は爪の自慢を続けている。最大の特徴は、爪の部分を10メートル近くワイヤーに繋いだまま飛ばせることが可能で、何かに引っ掛ければ楽に移動が出来ることらしい。わかりやすい例を出すなら、ハイラルの勇者に必須の武器フックショットだ。
 
「じゃあ、ここでの目的は達成したし、宝も見つかっただろ? そろそろ帰ろうぜ」
 
俺がそう切り出すと古泉は、肝心な物を忘れてました、と慌てて宝箱の山に戻る。青竜の爪がよほどお気に召したらしく、気が高揚して冷静さを欠いているようだ。子供の心を取り戻し趣味に走った古泉一樹、(嘲)笑っていいかな?
 
戻ってきた古泉の手には一振りの剣が握られていた。新しい武器か?
 
「違います。これは『冥府の剣』といって、次の世界への鍵となるアイテムです」
 
そんな重要なもん忘れんなよ!
 
何はともあれ、これでようやくこの地方での役割は終わった。次はどんな災難が待ち受けているのだろうか、もう考えるのも面倒である。俺達はボスの部屋を後にし、ひとまずフォレスタへと向かうのであった。
 
 
 
 
 
「あ、そうだ。バトルポイント攻略していきませんか? 経験値を貯めればレベルも上がりますし魔法やアイテム、お金も貰えてお得ですよー」

だからそんな重要なことは先に言えっつってんだろこの野郎!!
 
 
 
TO BE CONTINUED…


 
古泉が若干誰てめえ状態。むしろ俺が誰てめえ状態。
 
長編or短編どちらが需要あるんでしょうかね(責任持て)

この前ぬこを抱きながら寝たら(長編その5)

夢の中にもぬこが出てきました……よっぽど癒やしに飢えとんだなぁ、俺。
 
ボス戦です? ちなみにアニメを主に遵守してます。
 
 
【ミスティッククエスト・5】
 
俺はこのダンジョンのボスであるフレームサウルスを前に、かつてハルヒが生んだSOS団のシンボル的エンブレムによって覚醒したカマドウマを思い出していた。
 
あー、あのカマドウマとでかさはタメ張るなーコイツ。あの虫はどーやって倒したっけー?
 
そうそう思い出したー、古泉が本来の10分の1の攻撃力ながらエネルギー弾をぶん投げて威嚇してー、その後長門が斥力場を作ってバリア&アタックでトドメを差したんだっけー。
 
さて、あの時と今と、戦力を比較してみよー。
 
俺。前はただついてっただけの役立たず。で、今は剣・斧・爆弾に回復魔法と攻撃魔法持ち。やる気はともかく戦力にはなってるはずー。
 
よかったなー、スゲーぞ俺ー。さらに今は以前役立たずだった俺にくっ付いてた朝比奈さんもいなーい。よしよし。
 
で、だ。
 
俺が戦力になり、朝比奈さんが抜けた分上がったパーティの戦力ってのはさ、
 
 
 
古泉が変身もエネルギー弾も使えなくなり、手裏剣くらいしか武器がなくなったこと、そして何より、長門がこの場に存在さえしてないことによって必然的に下がった戦力のさ、
 
 
 
穴埋めって出来てるのかなー?
 
 
 
「出来てるかぁぁ!!」
 
「グォォォォォォ!!」
 
ボスが叫びながら地面を叩く。大地が震え、足をとられる。そこへ俺めがけてボスが殴りかかってくる。
 
「うおぉぉ!?」
 
殴られる寸前に盾を構えられたお陰で、ダメージは小さい。しかし鈍い音と同時に吹っ飛ばされる。
 
「づっ!」
 
砂地がクッションになった。危ねえ……
 
「大丈夫ですか!?」
 
ボスと距離を置き、古泉と合流する。おい、どうすりゃ倒せるんだよ!
 
「すみません……ゲームじゃ単に攻撃を積み重ねるだけで済むんですが、流石に自分が戦うとなると……」
 
だろうな、プレイヤーに操作されるキャラクターって、こんなスリルを味わってたんだな……RPGがトラウマになりそうだ。
 
なんてどうでもいいことを考えてる間に、ボスがこちらへのっそりと歩き距離を詰めてくる。
 
ところで恐竜モノの映画では、人間が逃げ惑う後ろを猛スピードで恐竜が追いかけてくるシーンをよく見るが、あれは実は物理的にありえないらしい。というのも、今目前にいるような化石から本来の恐竜の姿を考えた際、その恐竜の足では自分自身の体重を支えきれず、立ち上がって歩くことは出来ても走ることは出来ないそうなのだ。
 
こんなファンタジーワールドでそんな物理法則が通用するのかとも思うが、実際向こうはこちらに走ってくる様子はない。代わりに歩幅が大きい分こっちに来るのは速いからあまり慰めにはならないが。
 
 
「どうすりゃいい?」
 
「どうやら、神人と違い自重を無視している、ということはなさそうですね……でしたら、まず足元から崩すのがいいでしょう。その後はやはり背骨、そして頭と砕くのがベストかと」
 
簡単に言うな、近付くだけで命懸けだろ。そう言うと古泉は、いつになく真剣な眼差しで。
 
「殺らなければ、殺られます」
 
まともな神経をした少女なら8割方落とせそうな面。あーはいはい、わかったよ。
 
「では、僕が撹乱しますから、足元から切り崩す役目をお願いします」
 
そう告げ、古泉はボスに向かって直進、その後ボスの周囲を駆け巡り、時折手裏剣を飛ばしてダメージを与える。
 
俺はボスに近付くタイミングを計るため集中していた、のだが……
 
「ふんもっふ!」
 
古泉が手裏剣を投げる。
 
「ふーんもっふ!!」
 
手裏剣を投げる。
 
「ふーんもっふぅ!!!」
 
手裏剣を投げる……っっ!!
 
「古泉ー!! せめて黙っててくれ!!」
 
「ええ!?」
 
100年の恋も冷めそうな古泉の叫び声に、しているそばから集中を削がれる。
 
 
それでも何とかボスの足元に近付き、斧を(人間じゃないが)人体急所の1つ、弁慶の泣き所に思いっきり振り抜く。
 
化石だから本来の肉が付いてないとはいえ、相当な負荷がこの巨体を支える足にはかかっているはずだ、金属音と共に足にヒビが入る。そこに爆弾を置きボスから離れる。
 
数秒後、爆音とボスの悲鳴と共に、ボスが片足を失い跪く。しかし戦意は全く無くしていないようで、俺の方を睨んでくる。
 
古泉が戻ってくる。
 
「やりましたね、これでボスの機動力を封じられたはずです。後は僕が後ろから攻撃しますから、あなたはタイミングを見計らって魔法や攻撃を叩き込んでください」
 
言われなくてもそのつもりだ。
 
「では!」
 
そしてまた、古泉が後ろをとり手裏剣を飛ばし始める。
 
「グァァァ!」
 
ボスが体を捻り古泉を殴ろうと腕を出す。古泉が器用に攻撃を避け、空振りした隙を狙い近付く。
 
「くたばれっ!」
 
顔面を狙い爆弾を放る。しかしボスが頭を動かしたせいで当たらない。
 
爆音。
 
ボスにトドメにこそならなかったが、肋骨数本と片腕を吹っ飛ばした。
 
「オノレェェェェ!!」
 
残った片腕で叩き潰しにくる。瞬間的な本能か、俺は伏せて地に手をつき
 
「『クエイク』!!」
 
叫んだ。
 
轟音と共に地面が大きく揺れ、ボスがバランスを崩す。
 
少なからずダメージを与えられていた。直に倒せるはず、そう確信した。
 
 
 
それが間違っていた。
 
 
 
俺が最後の攻撃を仕掛けようと、古泉と共にボス目掛けて駆ける。
 
ボスはこちらを一睨みすると、自身の周囲に散乱している骨を拾い、こちらに投げてきた。
 
全力でブレーキをかけ、直撃こそ免れたものの、投げられた骨が目の前に落ちたその刹那、
 
 
 
爆音と共に俺達は吹っ飛ばされていた。
 
「ぐあっ!!」
 
「うぐっ…!」
 
地面に叩きつけられた瞬間、激痛と共に意識が飛びかけた。
 
「つつつ……」
 
何とか起き上がろうとする。
 
体は幸いまだ動く。しかしあんな攻撃をしてくる以上、迂闊には近付けない。
 
「ごほっ……すみません、流石に敵の攻撃パターンまでは、覚えてませんでした……」
 
古泉が力無く立ち上がる。気にすんな、それよりもお前…流石にボロボロじゃねーか?
 
「ええ…正直キツいです…」
 
……俺達、まさか死にはしないだろうな……?
 
「涼宮さんです、流石に理不尽に命を落とすようなことまでは望んでいないでしょうが……」
 
俺もそう思ってるさ。だが一応死にかけたことがある身として言わせてもらう。
 
「……重傷ってのも相当キツいんだぞ……」
 
「……笑えませんね」
 
最早誰に言ってんだか……
 
「古泉、とりあえずまずは回復しとこう。体があまり動かん」
 
「そうですね、お願いします」
 
古泉にケアルをかける。古泉から脂汗が引いた。
 
「ふぅ……助かりましたよ」
 
「…あのさ古泉、万が一俺達が2人共……戦えなくなったらどうなるんだ?」
 
「確か、セーブしたところからやり直しですね」
 
「……セーブってどうやるんだよ……」
 
「それか、戦闘の一切をリセットして戦い直しになります」
 
はあ?
 
「つまり、戦闘に入る前の状態にこちらと向こうのコンディションが戻ります。いえ、時間そのものが戻りますね」
 
……つまり、死ぬことはないんだな?
 
「戦闘で勝たない限り、死に続けるとも言えますがね」
 
嫌な言い方をするな! 延々と苦しむなんざゴメンだ!
 
 
 
思えば、こんな会話をし続けるよりも、さっさと俺は俺を回復させるべきだった。
 
 
ボスが俺めがけ、その凶悪な腕を伸ばしていた。
 
俺はその攻撃に、完全に体が固まってしまった。
 
混乱の最中、俺は全く回らない頭で、意識していたのかどうかもわからないが、唱えていた。
 
 
 
 
 
『ケアル』と……
 
 
 
敵キャラに回復魔法をかけるとは、なんて馬鹿なことをしちまったんだ……俺がそう考えることが出来たのは、
 
 
 
 
 
ボスが腕を引っ込め、苦しんでいる時だった。
 
 
 
我に帰り、最優先に自身を回復する。
 
「あいつ……なんでケアルが効いてんだ?」
 
古泉に思わず目をやる。
 
「………まさか…!」
 
目を見開き、愕然としていた。どうした!?
 
「……恐らく、ヤツを倒せます。僕がヤツを潰しますから、サポートしてください」
 
真剣な瞳。……OK、やっちまえよ。どうせ負けてもやり直しなんだろ? やる気はないがな。とっとと終わらせてくれ。
 
「はい。行きますよ!」
 
古泉が駆ける。ボスの……ボーンブーメランとでも呼ぼうか……をギリギリでかわし続け、ボスの眼前で大きく跳躍する。
 
そのジャンプが、オリンピック選手が馬鹿らしく見える程のもんだったということを頭の隅から追いやり、飛び上がって体の自由が効かないであろう古泉へのボスの迎撃を防ぐため、
 
もう一度、地震を放つ。
 
揺れと轟音。
 
「グァァァァァ!!」
 
ボスが悲鳴をあげる。古泉を叩き落とそうとしたであろう腕は、届かなかった。
 
 
「終わりです!」
 
古泉がボスの頭に乗り上げ、ボスの額に手をやり
 
「『レイズ』!!」
 
叫んだ瞬間、
 
 
 
 
 
「ギャアァァァァァ………」
 
断末魔の叫びと共に、ボスの体が崩壊した。
 
 
TO BE CONTINUED…


 
実際戦わされるRPGのキャラってどう思ってんだろうね?(知るか)
 
 
.

嬉しいがか哀しいがか判断がつけづらいこと(長編その4)

チャリで片道1時間かかる大学の1限目に間に合うために頑張ったのに、着いてから休講を知らされること。(昨日起きた悲劇)
 
……眠い……
 
 
 
【ミスティッククエスト・4】
 
こんなただでさえよくわからん世界で、よりにもよって古泉との2人旅だ。面白味も華もあったもんじゃない、真面目に語る気もないからさっさといこう。
 
「で、だ。古泉」
 
「何でしょう?」
 
「この世界はハルヒが創ったんだろう?」
 
「そうです」
 
「じゃあなんであいつが主役じゃないんだ? あいつなら『あたしは超勇者ハルヒよ、ひれ伏しなさい!』とか言いそうなもんなのに」
 
「涼宮さんには会ったんですか?」
 
「ん? ああ。何か雲に乗って飛んだり、ダークキングを倒せだのクリスタルを解放しろだの言ってきたな」
 
「……………………」
 
「何だよ考え込んで」
 
「ああすみません。あくまで何となくですが、涼宮さんが世界改変した意図が理解できそうな気がしたので」
 
「何だと? どうしてだ?」
 
「あくまで仮説ですがね、解答はこの世界が元に戻ったらお教えしましょう。勿論、あなたが自分で気付いてくれればそれに越したことはないんですが。ヒントを申し上げますと、あなたと涼宮さん自身のこの世界での役割、それと昨日学校であったこと…ですね」
 
「昨日? ……そういや、昨日は保護者面談か何かがあってほとんどの部活は帰らされたが、俺達には関係なかったろう? 途中でハルヒが飛び出していったくらいだが」
 
「そこはまあ、自分でお考えください」
 
「俺なんかの頭じゃわからねえよ、知ってんのなら教えろ」
 
「……とりあえず、そこは今無理に知らなくても大丈夫でしょうから、まずは『化石の迷宮』に行きましょう。そこで『地』のクリスタルを解放すればこの地方は大丈夫です」
 
「はぐらかしやがって……ん? 朝比奈さんはアバウトにしかこの世界のことを知らなかったのに、お前はどうしてそこまで知ってるんだ? この地方とかハルヒの役割とか…」
 
「え? ああ、我々が完全には記憶を改竄されてないのは知ってますよね?」
 
「ああ」
 
「それとあなたは、この世界をゲームのようだと思いませんか?」
 
「そうだな。剣だの魔法だのモンスターだの、ファンタジーすぎるだろ」
 
「実はですね、恥ずかしながら僕は幼い頃からゲームが好きでして、色々遊んだものです。そのプレイしたテレビゲームの中に、この世界に酷似した世界観のゲームがあったんですよ。もしそのゲームを涼宮さんがプレイしたことがあったとして、その世界観を無意識の内に反映させているとしたら……というわけです」
 
「つまりあれか? お前はそのゲームをプレイしたことがあるからストーリーの流れを知っていて、記憶を改竄されずに済んだからやるべきことがわかっていると」
 
「そういうことです」
 
「なら、この先の…『化石の迷宮』とやらでどんなことが起きるかも大体わかるんだな? ボスモンスターはどんなんだ、いるんだろ?」
 
「そうですけど……言わないでおきましょう。特にボスのことを知れば…あなたのことですからやる気を失うでしょう」
 
「そんなヤツなのかよ……」
 
「まあまあ、こんなことは滅多に経験できませんから、楽しむつもりでいきましょう」
 
「それ無理」
 
あの元殺人未遂委員長の台詞を思わず借りてしまったが……
 
結果から言えば、古泉の言った通り……俺は先にボスのことを知ってれば、絶対やる気を失っただろう、そしてこんな戦闘を後何回やればいいのか…憂鬱になった…
 
これより、『化石の迷宮』攻略編である。やれやれ……
 
 
 
「ここです」
 
古泉と共に北へ歩き、砂漠の中頃に妙な……大きな獣の頭の骨みたいな外観の、遺跡っつーのか? に到着する。ああ、ハルヒの気配りか甘い設定のゲームだからかは知らんが、砂漠でも直射日光にはそれほど威力はなかった。鎧を着ていても重いと言や重いがそんなに不快ではない。……あまり慰めにはならないが。
 
中に入ると……おーおー、モンスターがうようよいる。恐竜みたいなヤツにでっかいカエル……気色悪い。それにありゃ、ミミズか? 結構グロい。
 
「確か…あれは『バジリスク』に『ポイズントード』、『サンドウォーム』でしたか……カエルの毒さえ気を付ければ、2人なら問題ないでしょう」
 
忠告ありがとう。というかなんで砂漠にバジリスクがいるんだ、水の上を走ることで有名なジャングルの動物だろ。ハルヒか?
 
「いえ、元々のゲームの仕様です。いきましょう」
 
そう言うと、古泉は素速く動いてモンスター共を撹乱し、相手の隙をついて手裏剣を投げつける。ヤツらが弱ったところを見計らい、俺が斧(剣よりは威力がありそう)でトドメを差していく。
 
反撃もあるにはあるが、まだ問題はない。
 
 
「あなたもやりますね、結構動けてますよ」
 
「放浪の戦士とかいうキャラにされたからだろ、本来の俺だったら腰抜かして終わってるぜ。お前は何か楽しんでないか?」
 
苦笑する古泉。
 
「いえいえ、いつも超能力で戦うのがあの巨大な神人ですから、いつもとは違うスタイルで戦える新鮮さと、神人ほどには命の危機を感じないおかげです」
 
……ご苦労さん…
 
 
古泉の『風魔手裏剣』は当然ながら消耗品なので、使い切ると素手で戦わざるを得なくなるらしいが、例の木箱にストックされているらしい。まあどうでもいい。
 
途中で宝箱があったから、開けてみると盾が入っていた。『ミスリルの盾』だ。使い方はよく知らんが……
 
 
それから少し先に進むと、行き止まりに突き当たった。ヒビの入った壁の向こうから何やら音は聞こえるが、破る手段がない。
 
「……これじゃ先に進めねえな…」
 
「ここは僕に任せてください」
 
自信ありげな古泉。何をするんだ?
 
「壁を吹っ飛ばします」
 
そう言い、壁の前に何か丸いもんを置くと、俺を引っ張りながらそれから離れる。
 
「おい、どうし……」
 
ドンッ!!
 
文字通りの爆音。爆煙が晴れる頃には、見事に風穴の開いた元壁の通路が視認できた。というか、
 
「爆弾あるなら先に言え!」
 
「まあまあ、お買い得ですよ? 今なら火薬50個で30ゴールドです」
 
「金取るんかい!」
 
「お気に召しませんでしたか…でしたら大サービス、なんと火薬50個15ゴールド!」
 
「………………」
 
「…………そんな睨まないでください、タダにしますから………」
 
「だってストーリーですから……」とか言ってる古泉を半ば引きずる形で先に進む。
 
 
 
こっから先、モンスターがより強力になってやがった。
 
見てて頭が痛くなるような笑いをしてくるガイコツ剣士、俺がかつて倒したヤツらをコピーしたような『ベヒーモス』似の『ゴーゴン』やまんま『ミノタウロス』の『ミノタウロゾンビ』……
 
少々ダメージも溜まってきたので、『ケアル』をかけてみる。
 
「どうするんだ、魔法って」
 
「流石に魔法の使い方までは…とりあえず念じてみては如何です?」
 
「そうだな……」
 
『ケアル』………
 
念じていると、体が光に少し包まれる。と同時に体の痛みが若干引く。成功したようだ。
 
「よかったですね。僕にもお願いします」
 
「別にいいが、お前はケアル使えないのか?」
 
「ええ、僕はあなたが戦闘中に気を失った時のための、復活魔法『レイズ』しか与えられていないので。一応ケアルと同じようには使えますが、もったいないと思いまして……使用回数制限もありますし…」
 
回数制限!?
 
「ええ、このゲームはそれぞれキャラのレベルによって魔法に使用回数の制限があります。回数の回復は先ほど木箱に入っていた『魔法の木の実』で行えますが、出来る限りアイテムで代用すべきです」
 
「じゃあポーション使え」
 
「ひどっ!?」
 
素で驚く古泉。仕方ないのでケアルをかけてやる。2人で先を急いだ。
 
 
 
 
「ここか?」
 
火薬でまた新たに壁を破り道を作る。その先に入ると、宝箱が1つあるだけだった。
 
「いえ……ここはただの小部屋のようです。さっきの分かれ道を別の方に曲がればよかったみたいですね」
 
「そうかよ……じゃあ宝箱の中身だけ貰っとくか」
 
宝箱を開く。
 
【『クエイク』を手に入れた!】
 
……またこのオチかよ。しかし直接攻撃しか使えなかった俺には、敵に近付かずに攻撃できる魔法はありがたい。
 
……チキンと呼びたければ呼べばいい。
 
 
 
 
「そろそろボスの場所です、覚悟してください」
 
分かれ道に戻り、別の方向に少し進んだ後、古泉が若干深刻そうな顔で言うが……それ使い道おかしくね? 気を引き締めろじゃないか?
 
少々深呼吸して、最後の部屋に辿り着く。
 
そしてそこにいたのは……
 
 
 
「……おい古泉」
 
「何でしょう?」
 
「お前の言う通りだったな。こんなのがボスだって知ってたら俺はこんな所へ来ない」
 
「でしょう?」
 
「……帰っていいかなぁ、俺」
 
「……流石にこれは不可避のイベントですよ」
 
「……やっぱ、行くしかないのか?」
 
「はい」
 
「…………やれやれ……」
 
地下の最深部の広間で俺達を待ち受けていたソイツは、
 
 
「グヘヘェ…オレは『地』のクリスタルの力を手に入れた。お前らごときに倒せるものか!」
 
やかましく叫ぶ。マジでこんなの相手にしなきゃいけねーのかよ……
 
ソイツは『フレームサウルス』という、
 
 
 
 
 
 
北高の校舎ほどもある、でかくて血のように紅い体をした、ティラノサウルスのような恐竜の化石だった。
 
 
TO BE CONTINUED…


 
最近朝起きれんなりましたorz
 
大学祭の総括の作成めんどくさい……orz
 
 
.

今まで書いていたSSでの喜緑さんの名前が(長編その3)

『江美里』ではなく『絵美里』になってました。
 
 
……創作家失格だよ……ファンの方、原作の方、そして何より喜緑さん、心から謝罪します。
 
誤字脱字ありましたら随時通報してくださいorz
 
 
【ミスティッククエスト・3】
 
俺と朝比奈さんは森にやってきた。ここでは何をすればいいんですか?
 
「あ、はい。この森の出口に突然生えた、モンスターさんの木っていうのがあるんです」
 
「じゃあ、そこら辺にいる魔物に適当に相手しつつ、その木を切り倒せばいいんですね?」
 
「はい、きっとそうです!」
 
「では行きましょうか。もし魔物が出てきたら、命に代えてもお守りしますよ?」
 
「え、あ、ありがとうございます! でも、今は私もこの斧がありますから、頑張って戦います!」
 
力強く語る朝比奈さん。そうですか、じゃあお互い命にだけは気をつけて戦いましょう。
 
「はい!」
 
 
 
道を阻む枯れ木は朝比奈さんが斧で薙ぎ払い、襲ってくる小鬼やスライムを俺は剣(後で知ったことでどうでもいいが『ミスリルソード』というらしい)で、朝比奈さんは斧(『トマホーク』だそうだ)で倒す。一応ゲームの序盤という扱いだからか、それほど苦戦はしない。
 
 
……華麗に斧を振るう朝比奈さんに、戦闘中ドジっ娘属性が表れないでよかった。ただ、魔物から男として朝比奈さんを庇って戦いたいと思ったが……武器の攻撃力、防具の力とかの戦力的に、俺と朝比奈さんには大差がなく俺が『漢』を見せることは出来なかった……
 
 
途中、妙な木箱がある。開けてみると、薬品のようなものが入った小瓶が入っていた。
 
「何ですか、これ」
 
「えーっとぉ、この赤い方のが『ポーション』で、体力の回復が出来ます。緑のは『ヒールポーション』といって、毒や麻痺を治すものですね」
 
「へぇ、詳しいんですね」
 
「森に生きる人や旅をしてる人の基本、だそうです」
 
「……『わかってしまうのだからしょうがない』ってやつですか?」
 
「ええ……でも今まで私、何も知らないままでずっとキョン君を困らせてたから、少しは役に立てて嬉しいです」
 
とても嬉しそうな顔で言う朝比奈さん。そんな笑顔に俺はいつも救われていますよ。
 
「あとこの木箱ですが、森の妖精さんが中身をこっそり入れてくれているらしいです。しばらく経ったらまた道具が貰えますよ」
 
「アリですかそれ?」
 
「ふふっ…だって、涼宮さんですから」
 
「物凄く納得です」
 
2人で苦笑した後、森の奥に進む。
 
 
 
枯れ木の中に、1本だけ妙な感じのする木があった。凶々しいような。
 
「この木です! この木のせいで村の人は困ってるんです。私が斧で斬りますね」
 
そう言って朝比奈さんは、その木に思いきり斧を叩き付けた。
 
 
刹那。
 
 
「ウヒャヒャヒャヒャ!」
 
「「 !! 」」
 
2本足で立ち、斧を持った牛の化け物が現れ、
 
「ウリャアッ!!」
 
「えっ!? きゃあ!」
 
朝比奈さんに粉みたいなものを投げつけた。それを吸った朝比奈さんがよろける。
 
「朝比奈さん!」
 
「うっ…毒、のようです…でも、まだ大丈夫です!」
 
「この牛野郎! 許さん!!」
 
 
戦闘が始まった。この牛…『ミノタウロス』だそうだが、んなこたぁーどうでもいい。俺の朝比奈さんに狼藉を働いたんだ、問答無用で極刑だ!
 
この森にいたゴブリンやスライムなんかとはレベルが違う。パワーも凄い。
 
しかし、あの殺人未遂犯委員長のナイフをかわした俺には、俺が攻撃を仕掛けた時に返されるわずかな反撃しか当たらない。俺が避けようとすれば奴の攻撃はギリギリで避けられる。
 
奴が斧を振り上げた瞬間間合いを詰め、斧の直撃を横に飛びギリッギリで避けると、機動力を奪うためまず奴の下半身に刃を立てる。奴が悲鳴とともにバランスを崩し、よろけたところに朝比奈さんが斧での一撃を奴の腹に入れる。
 
「終わりだ!」
 
俺が叫び、うずくまった奴の頭に剣を振り下ろす。
 
脳天をかち割ってやった。奴が絶命し倒れる。
 
 
「ふ……っ!!」
 
俺が一息つく前に、朝比奈さんが倒れそうになり受け止める。
 
「あ、キョン君…だい、丈夫です……」
 
「嘘をつかないでください!」
 
俺が朝比奈さんを横にしようとしていると、
 
「大丈夫!?」
 
朝比奈さん(大)が現れた。すみません……俺は2人の朝比奈さんに謝る。
 
「キョン君、気にしないで」
 
朝比奈さん(大)は俺に優しい笑みを向ける。規定事項だから気にするなってことだろうか。だとしたら俺は朝比奈さん(大)も過去に苦しめたことになる……自分が嫌になった。
 
「この子は私が連れて帰って休ませるから安心して? この毒は森を抜けた北にある、『砂漠の祠』にある『エリクサー』を使えばよくなるから、それをお願い、ね?」
 
ウインクをしながら俺に言う朝比奈さん(大)。……わかりました。超特急で行ってきます。
 
「あと、これも持っていって。役に立つと思うわ」
 
そして、朝比奈さんの斧を譲ってくれた。朝比奈さん(大)は朝比奈さんを支えながら去っていく。
 
俺は落ち込むより先に朝比奈さんを救うことを考え、森をダッシュで抜けていった……
 
 
 
 
 
「ここか…」
 
森と砂漠の境界線あたりに、何故か洞窟がある。
 
奥に進むと、行き止まりの場所に宝箱があった。これかと思い開いてみると
 
「!?」
 
空っぽだった。
 
ふざけんなよ…なんて思っていると、
 
 
 
「おやおや、どうかしたんですか?」
 
癒やしのレベルにおいて朝比奈さんの対極に位置する超能力者野郎の声が聞こえた。
 
「古泉!」
 
後ろを見ると、
 
「どうも、お久しぶりです」
 
古泉がいた。妙な兜と黒装束をまとった忍者ルックで。どうでもいいがやっぱりあの腹が立つニヤケ面で。
 
「ああ、エリクサーですね、9000ゴールドで売りますよ?」
 
「おまっ、金取んの!?」
 
「ええ、これはとても凄い貴重品ですから。それにこの世界での僕のキャラクターは『さすらいのトレジャーハンター』ですから、商売柄、ね?」
 
「お前俺の小遣いいくらか知ってんのかよ!? そんなにあるわけねえよ! というか毒で苦しんでるの朝比奈さんだぞ!」
 
頭が痛くなってきた。
 
「でもですね、ゲームのストーリー上、このエリクサーを使うのはここの北にある『化石の迷宮』をクリアした後ですから……」
 
知るかこの野郎。とにかく1に朝比奈さん、2に朝比奈さん、そしてとにかく朝比奈さんだ!
 
ストーリーがぁぁぁだのと嘆く古泉を引きずって俺はフォレスタに戻った。
 
 
 
 
「あら、早かったですね」
 
フォレスタの朝比奈さん宅で、俺は古泉からエリクサーを分捕って朝比奈さん(大)に渡した。朝比奈さんはベッドで眠っている。
 
「うーん……『地』のクリスタルを解放してからでもよかったんだけど……」
 
古泉と同じことを言う。いえいえ、こんなワケのわからん世界のストーリーよりも朝比奈さんの毒を取り除くのが最優先事項です。もし朝比奈さんと同じ立場にハルヒや長門がいても同じですよ。古泉や谷口だったりしたらわかりませんが。
 
「うふふっ…ありがとうございます」
 
最高級レストランの最高級料理よりもなお価値のある笑顔の朝比奈さん(大)。今隣にいる奴の笑顔なんかの数百倍は需要があるぜ。これに匹敵するのは長門の微笑みくらいしかない。
 
「でも、一応ストーリーですから、あまり反故にしないでください、ね?」
 
「わかってますよ。いくぞ、古泉。どうせお前も戦士なんだろ? さっさとこんな世界終わらせるぞ」
 
「はあ……」
 
 
こうして思いっきりストーリーをねじ曲げた後、俺は古泉を新たなパートナーとして(超不本意だが)引きずっていった。
 
 
TO BE CONTINUED…


 
思いっきりノリだけで話が進むゲームのはずなのに主人公の性格がキョンと正反対なせいで半端にシリアスになるorz
 
補足説明。
古泉一樹のポジションのキャラクター
 
『ロック』
 
さすらいのトレジャーハンターとして旅をしている変わった風貌をした青年。武器は『風魔手裏剣』を自在に操る。ちょくちょく主人公の前に現れ役立つ物をくれたり、ただ現れただけで何もしなかったりすることもある。
 
他のFFシリーズに出てくるロックとは何の関係もない。
 
 
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アニメのEDのハレ晴レダンスでキョンがチラチラ長門を見ている件について(長編その2)

ニコニコでハレ晴レダンス練習用の動画で、キャラをアップにしてるとキョンが長門の方をチラチラ見てるのがわかるんですよww
 
そうだよね、複雑な踊りしてるとちゃんと踊れてるか不安でつい周りの人見るよねー☆
 
『何アンタカメラの画面の向こうの人よりも有希の方ばっか見てんのよー!!』
 
『や、やめろって!ちゃんと踊れてるか不安だったんだよ!』
 
バレたら絶対こうなるw
 
 
登場人物の台詞はうろ覚えですサーセンww(黙れ)
 
【ミスティッククエスト・2】
 
俺はとりあえず道なりに歩き、麓の森に着いた。おーおー、見事に森が枯れてやがる。何があったんだ?しかも枯れ木の向こうには魔物もいるみたいだ。ん?
 
「…………」
 
ハルヒがいる。やっぱり雲の上にあぐらをかいて。ったく、あの空飛ぶ雲がありゃ楽なのに。おい、何やってんだ?
 
「! 来るのが遅い!」
 
へいへい。
 
「『地』のクリスタルの輝きを取り戻すのよ! いい? わかったわね!」
 
それだけ話すとハルヒはまたもすっ飛んでいった。俺の反論も聞けよ……
 
 
 
まあ聞いてもらえるわけもなく歩を進めることにしていると、見覚えのない爺さんが地面に腰を下ろしている。さしずめ名前のない老人Aってか。
 
「どうされました?」
 
「おぉ、お若いの……ワシぁ村に帰りたいんじゃがの、そこの岩が邪魔でな…足止めをくろうておるんじゃ」
 
見ると、確かに老人がよじ登る分には難しいであろう岩が木々の間に鎮座していた。行きはどうしたんですか、とは言わないでおく。
 
「悪いが、その岩をどけてくれんか……?」
 
人1人が通れるくらいになるまで岩を押す。少し重いが、何とかなった。
 
「おぉ…ありがとうよ。そうじゃ、この先にある村にいる、ミクルという娘に、こいつを渡してくれんか? あと、お礼に村のウチの裏口から入った所にある宝箱の中をやろう……」
 
そう言って老人は、俺に枯れ枝を渡してきた。こんなもん使えんのか?と思うより先に、非常に聞き覚えのある名前に俺は反応した。
 
この先の村に朝比奈さんがいる……
 
爺さんへのお礼もそこそこに、俺は村に向かって走り出した。
 
 
 
 
村にたどり着くと、巨大樹に穴を空けて住むスペースを確保したような家が数件点在していた。あと、道行く人々が……皆老人だった。若い人が見当たらない。
 
すれ違った婆さんに話を聞いてみた。
 
「あの、この村には若い人はいないんですか?」
 
すると婆さんは勢いよく返してきた。
 
「違うのね! 『化石の迷宮』にある『地』のクリスタルをモンスターが奪っちゃったせいで、この辺の森も、人も、みんな精気を吸い取られちゃったのね! 私本当は女の子なのね!」
 
そう言い、自称少女婆さんは去っていった。さっきの森が枯れてたのはそのせいか。いや、それより……まさか朝比奈さんまで老人化してないだろうな……朝比奈さんのあのダイナマイトナイスバディがしわがれていたら……ッッ!!
 
俺は悪魔よりもなお恐ろしい想像を頭から振り払い、適当に家をノックする。
 
「はぁ〜い」
 
一軒目で当たりのようだった。俺が前の世界で幾度も聞き、精神の安定を図っていたエンジェルボイスが聞こえてきた。
 
俺は扉を開く。
 
「どなたS…あっ、キョン君!」
 
俺を視認すると、とても眩しい笑顔で俺を迎えてくれた。でも俺には反応できなかった。
 
「キョン君、無事でよかったぁ〜……」
 
はい、俺は無事です。朝比奈さんこそ無事でよかったです。それはいいとして、あの人は誰ですか?
 
いや、朝比奈さんと一緒にこの家にいたその人の『正体』自体は知ってるが。
 
「え? あの人ですか? よくわかりませんが、この世界での私の『母』に相当する人みたいです。あの人もこの世界の異常について何か知ってるみたいですが、詳しいことはわかりません……」
 
わかりました。じゃあTPDDはどうですか?
 
「ごめんなさい、多分涼宮さんの力で強制的にロックを掛けられてます……今回、未来人としての力は貸せません……」
 
大丈夫ですよ。元の世界の記憶があるだけでもよかったです。俯く朝比奈さんを俺は適当にフォローする。あの、すみませんがあの人と2人で話をさせてもらっていいですか?
 
「? 知ってる人ですか?」
 
ええ、少し。奥の部屋を借りますね?
 
「わかりました〜」
 
 
俺は朝比奈さんの『母』ポジションの人の手を引き奥の部屋に入る。さて、話を聞かせてもらえますか?
 
「ええ、話せることは」
 
朝比奈さんと一緒にいた人、それは変装のつもりなのか黒のグラサンを装備し、ポニーテールがとても艶めかしい朝比奈さん(大)だった。
 
 
 
「あの、この世界はハルヒが創ったんですか?」
 
「そうです」
 
「どうしたら元に戻るんですか?」
 
「詳しいことは禁則事項ですけど、キョン君はこの世界をどう思う?」
 
「そうですね……まるでゲームみたいな話の展開です」
 
「じゃあ、最終的にやるべきことはわかりますよね?」
 
「うーん……ゲームをクリアする、ですか?」
 
俺がそう答えると、朝比奈さん(大)は微笑んでウインクをくれた。お美しいぃぃぃ! と叫びたいぜ。
 
「ところで、」
 
「はい?」
 
「どうしてハルヒが創った世界に、ハルヒの知らない貴女がいるんですか?」
 
問うと、朝比奈さん(大)は困った笑みで答えた。
 
「えーっと、私は昔…あ、キョン君にとっては今、この世界改変に巻き込まれました」
 
あの朝比奈さんですね?
 
「はい。その時の世界改変の様子を観察するために過去に戻ったら……」
 
自分も巻き込まれたと?
 
「そういうことです」
 
妹のように『テヘッ』と悪戯っぽく笑う朝比奈さん(大)。可愛すぎる。是非俺と沿い遂げてください。
 
なんて言えるわけはなく、俺は俺の(言っとくが『俺の時代の』、という意味であって深い意味はない)朝比奈さんのもとに戻り、枯れ枝を見せた。
 
「ええ〜〜?森がこんなになっちゃってるんですか〜?」
 
あれ、わかるんですか?
 
「あ、はい。改変によって沢山の人…この場合涼宮さんも含めて記憶が改竄されてますけど、多分涼宮さんに近い人は記憶が改竄されることなく、必要な情報を予め与えられているようです」
 
さっぱりわかりませんが…やるべきことは大体わかってるんですか?
 
「はい!」
 
朝比奈さんは自信ありげに答える。
 
「どうやらこの森の異常を正すことが、今の私達の使命のようです。私には『木と話せる』っていう特殊能力が与えられていますし…とりあえず、出発しましょう!」
 
そう言って朝比奈さんは壁に引っかけてあった……斧を手に取った。
 
あの〜、朝比奈さん? 貴女は斧で戦うんですか?
 
「えっ? あっ、キョ、キョン君! 気にしないでくださ〜い!」
 
朝比奈さんは恥ずかしさを隠せず慌てる。そんな姿も可愛いが……斧を振り回して戦う朝比奈さんを想像したら……ちょっと冷めた……
 
 
 
出発際、朝比奈さん(大)に呼び止められ、
 
「行方不明になってるウチの(という設定の)人をよろしくね〜」
 
お達しを受けた。ウチの人?
 
「あ、はい。私のお父さんという設定の人がいて、その人は今、旅に出たまま行方不明という設定なんです」
 
誰ですか、それ。
 
「え〜っとぉ…確か、岡部っていう人だったと思いますが…」
 
あいつかぁぁぁぁぁぁ!!!
 
 
気を取り直して家を出る。
 
「あ、そうだ朝比奈さん。さっきの枯れ枝をくれたお爺さんの家わかりますか?裏口から入った所にある宝をくれるそうですが…」
 
「え? あ、そのお爺さんなら知ってます。こっちですよ」
 
案内された家の裏に回り込む。
 
裏口から入ると、確かに倉庫っぽい部屋の中に宝箱があった。
 
「これですか?」
 
「そうみたいですね」
 
宝箱を開ける。
 
【『ケアル』を手に入れた!】
 
 
「「………………」」
 
「朝比奈さん、これって……」
 
「えーと、確か回復魔法ですよ…ね……」
 
「……突っ込んでも…いいですか?」
 
「………どうぞ…」
 
 
 
宝箱を開けたら魔法が使えるようになるってどういう理屈なんだぁぁぁぁ!?
 
 
『理屈なんて関係ないわ! だって魔法よ!?』
 
 
ハルヒがあの不敵な笑みを浮かべてそう言ってるような気がした……
 
 
もう一度気を取り直し、俺達は今度こそ出発した……
 
 
TO BE CONTINUED…


 
補足説明。
朝比奈みくるのポジションのキャラクター
 
『カレン』
 
森の外れ?の村『フォレスタ』に住む名前の通り可憐な女の子。華奢な体つきだが斧を振り回して戦う力強い面も。魔法も割と使える。
 
………これなんてレナ(ひぐらし)?
 
 
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