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バカな…2ヶ月…だと…!?

おかしい……今回のSSは書き始めたのが5月の頭だったはずだ……!!
 
某ニコ動画でキーワード『祐一 キョン』で検索した『祐一なキョン』シリーズがツボでした☆特に孤島症候群ネタ(笑)
 
ハ「開けてよ有希!私達はSOS団の仲間でしょ!?」
 
→ハルヒ&長門押し問答
 
→長門の頑固っぷりにハルヒうなだれる
 
→キョンが扉の前に立つ
 
キ「長門……」
 
キ「結婚しよ『ガチャ(長門、ドアオープン)』……早いな(汗)」
 
 
 
……いい仕事してくれたぜ、杉田さんよ……ww
 
 
アルバイト始めました。塾の講師。けれども月給が2万越えねえ……orz
 
そんなわけで、長編前にリハビリ兼ねて短編SS。↑のネタに使われた、キョンの異作品同声優体Y・A氏とキョンはどっちが散財激しいがやろ?
 
 
【早朝の逢瀬】
 
金は天下の回り物。誰がそんなことを言い始めたのかは興味一辺倒もなく知らないが、なかなかに的を得た言葉だと思う。幾ら貯えを持ったとしても金は世の中を巡らない限り景気を良くしてくれなどしない。
 
いつか見たどっかのテレビ局調べのリポートによると、最近の若者はお金を手に入れても、まずは貯金に走る傾向があるのだとか。それがこの国のほとんどの若者に当てはまるとするのなら、経済状況がそれほどに裕福でも貧しくもない一般家庭の男子学生の中では、俺は金を天下に回している方だと言えるだろう。何せ、ほぼ必ずといっていいほど週に1度は学生5人分の食事代を一身に背負うのだ。それも忌々しいことに、俺自身は先程述べた通り財産は貯えるタイプでありたいというのにだ。
 
つまり、何が言いたいのかというと、
 
「金がない……」
 
そういうことである。俺は今、自宅の部屋にて預金通帳とにらめっこ中だ。週1のペースで綺麗に減っていく残高を見ていては、もう溜め息をつかざるを得ない。畜生、ハルヒの奴め、うざったいルール作りやがって。金は天下の回り物だが俺の財産はSOS団の回し物じゃねえんだぞ!
 
……仕方ない、いくらまだ高校生とはいえ、『友人付き合いで金欠だから小遣いくれ』だなんて親にせびる駄目人間なことはしたくない。せめて収支の赤字を減らすためにも、バイトするか……
 
リビングに降りて、我が家の権力者に相談することにした。
 
「なぁ母さん」
 
親父じゃないのは仕様だ。
 
「ん、何?」
 
「バイトしようと思うんだけど……」
 
「了承」
 
早っ!?
 
 
 
明日にはバイトの求人誌を入手しようと考えながら、部屋に戻る。そうだ、バイトといえば古泉の野郎に相談するのもいいかもしれん。メールしてみるか。
 
『バイトしようと思うんだが、いい案はないか?』
 
『貴方のSOS団員としての活動時間が減れば世界の危機ですが?』
 
返信早いな。つーか話飛躍しすぎじゃねえか。
 
『金がねえんだよ、おいそれと親にたかりたくねえんだ』
 
『機関から幾らでも出しますよ? 貴方の役割を考えればそれくらいの報酬は正当なものでしょう』
 
『俺は真っ当に生きたいんだよ』
 
『仕方ありませんね、では……』
 
 
 
 
 
「はぁっ、はぁ……あー畜生、眠い!」
 
俺は今、凄まじい眠気と戦いながら自転車で走っている。
 
あの後、古泉のアドバイスで決めたアルバイトは新聞配達だった。古泉曰わくこれなら放課後のSOS団の活動に支障がなく、機関の手助けで夕刊紙の配達免除でも変わらない給料が貰えるとのこと。
 
そんなわけで俺は朝の街を暗い内から疾走する羽目になった。ちなみに、ハルヒやクラスの連中には秘密にするつもりである。当然、俺が金を稼いでるなどとハルヒにバレれば今以上の出費を要求されかねないからだ。
 
自転車であるので、そう遠くまでは行かない。しかし、課せられたルートを走っていた時ふと気付いた。
 
……ああ、ここら辺、長門のマンションの近くか。
 
しかもルートを確認すると、マンションの住人の内の何人かも新聞をとっている。だが、長門の分はないようだ。まあ不思議ではないが。色んな意味で必要なさそうだし。
 
マンションの各部屋のポストに新聞を放り込んだ後、俺は次の場所に向かった。
 
 
 
学校にて早起きにより強制発生する眠気との格闘法を模索しつつハルヒにバレないように過ごすこと数日。いつものように自転車を走らせて新聞を配っていると、
 
「……ん?」
 
長門のマンションの出入り口の前に誰か立っていた。エントランスの薄暗い光に照らされてはいるものの、逆光でよく見えない。
 
よく近付いて見てみると、
 
「………………」
 
……長門だった。相変わらずの無表情な顔、まだ朝っぱらにもかかわらず制服姿。とりあえず挨拶するとしよう。
 
「よう長門、おはよう。今日はどうしたんだ?」
 
「………………」
 
微動だにしない。俺をジッと見つめてくるだけ。どうしたんだ、どっか行くのか?
 
「…………(フル)」
 
出掛けるわけではないらしい。ところで、反応はもう少し大きくした方がいいと思うぞ。まあいい、出掛けないのならどうして着替えてここにいるんだ?
 
「…………あなたが、」
 
ん、俺?
 
「ここ数日、あなたが普段のあなたの平均的な起床時間よりも数時間早く覚醒し、ここまで来ることは認知していた。しかし私に用事を持ち掛けるでもなくここを去っているので少々気になった」
 
あー、そうか。……長門なら大丈夫そうだな。
 
「………?」
 
首を傾げる長門に俺はこのアルバイトについての動機と内容を語り、あと最悪ハルヒにだけは隠してもらうよう告げた。長門は数ミリ頷き、
 
「……わかった。涼宮ハルヒには知らせない」
 
と約束してくれた。頼んだぜ。
 
「いい」
 
ああ。悪かったな、勘違いさせて。俺がここに来る時はいつもお前に厄介事を持ち込んでたからな、わざわざ起こしちまった。つーわけで、俺はしばらく朝はここまで来ることになるけど、気にしないでいつも通りの生活をしてくれて構わないぜ。
 
「問題ない」
 
ありがとよ。新聞をノルマ通りポストに入れた後、長門に一声かけて俺はマンションを後にした。
 
 
 
翌日、
 
「……………」
 
「……………」
 
昨日とほぼ同時刻、同じ服装、同じ無表情で同じ場所に長門は立っていた。
 
「……まぁ、なんだ、長門、おはよう」
 
「……………(コク)」
 
小さく小さく頷く長門。どうした、どっか行くのか?
 
「…………(フル)」
 
やっぱりか。俺は昨日言った通りバイト中だ、厄介事じゃないぞ?
 
「わかっている」
 
……そうか。じゃあ俺はまだ配達あるから。また学校でな。
 
「…………(コク)」
 
こんなよくわからないやり取りをし、俺はその場を後にした。
 
 
 
しかし、この次の日もその次の日も、毎日長門は同じ場所に立っていて、その度に俺達は同じような会話を繰り返した。別に飽きたとか鬱陶しいなどと言いたいわけでは全くもってないのだが、意図がわからない。
 
逢瀬を繰り返すこと数日、意を決して(意を決するようなことでもないが)俺は長門に尋ねることにした。
 
 
「おはよう、長門」
 
「…………(コク)」
 
相変わらずの小さな首肯。新聞をポストに入れながら尋ねる。
 
「あのさ、長門。どうして毎日こんな早朝からここに立ってるんだ?」
 
「………迷惑だった?」
 
傍目から見れば単なる疑問のような返事。俺から見ればわかるが、ほんの少しだけ不安そうな表情。思わず苦笑する。
 
「そんなわけないだろう、仲間だろうが俺達は。仲間と朝に会えることの何が迷惑だっていうんだ?」
 
まあ、古泉みたく話をするだけなのに無駄に顔を近付けてくるようなことは勘弁だが。
 
「……そう……」
 
ああ、だから気にするな。
 
「わかった」
 
おう。で、結局何のために起きてるんだ?
 
「…………秘密」
 
少しばかりの沈黙の後、はぐらかす長門。どことなくいつぞやの『禁則事項』ジョークの雰囲気に似ていた。だから、追及する必要性はないだろう、そう思った。
 
「そうか。何をしたいのかは知らんが、体に気を付けろよ?」
 
「(コクン)…………また、」
 
「ん?」
 
「また、学校で」
 
「……ああ、またな」
 
長門からこの台詞を聞くのは、バイト始めてから……初めてじゃないか? 少しだけ驚きながらも、俺は胸が温かくなるのを感じ、顔を緩ませながら返事を返した。
 
その場を後にし、じきに入るであろう給料の額やその(SOS団関連以外での)使い道などを考えながら、俺は残りの新聞の配達を続けた。
 
――たまには長門あたりに本でも買ってみるかな――
 
 
 
 
 
ここ数日、彼は学校の大多数の生徒よりも早く起床し、1人でこの町を走っている。その間、彼と顔を合わせる者はほぼ皆無。つまり、彼が家族以外で1日の最初に顔を合わせるのは……私。
 
その事実に気付いた時――胸が少しだけ温かくなり、顔も僅かながら緩んだのがわかった。理由こそよくわからないが、これは有機生命体でいうところの『嬉しい』という感情だろう。
 
少しだけ、涼宮ハルヒに対する優越感。彼女こそ彼に最も近い存在。けれど――この早朝の時間だけは、譲らない。
 
明日こそは、私の方から『おはよう』を言ってみよう。彼にそう言われた時の私が嬉しいように、彼にとってもそれは嬉しいことなのだと願いながら――
 
 


 
おまけ?
 
「よう長門、今日も早いな」
 
「(コクン)………疲れている?」
 
「ん、まあ流石に早起きを続けるのは辛いさ。それに合わせた睡眠時間をとれるとは限らないからな」
 
「そう……これ、使用する?」
 
「? 何だそりゃ?」
 
「栄養剤」
 
「……何とかビタンD?」
 
「……強力」
 
終わり
 
おまけの栄養剤は「アレ」です。さあ、次は長編かな?
 
 
……教育実習怖いよ―……
 

.

日付的にはある意味間違ってるでしょうが

いい夫婦の日ですね。俺には2次元にも3次元にも嫁なんていませんが。
 
え?長門?
 
長門はキョンの嫁だっつの!
 
というわけでいい夫婦の日SS
 
……長編早ようやれorz
 
 
【家族】
 
「おかーさーん、朝だよー」
 
「んむぅ………?」
 
私は体にかかる重みによって目を覚ました。ぼやけた頭と目で、枕元に置いている時計を確認する。
 
……8時54分。迂闊。
 
「おかーさん、お寝ぼうさんだー」
 
未だに私の上に乗りながら、薄くはあるけれどはっきりとした笑顔で私を見てくるのは、私の娘。今年で5才。
 
「……おはよう」
 
「うん、おはよう」
 
起き上がり、布団を畳んでいると、娘が向かった台所から声が聞こえてくる。
 
「お、お母さん起きたか?」
 
「うん。呼んだけどおかーさん起きなかったから、上に乗ったら起きた」
 
……呼ばれていたのに起きられなかったとは、迂闊。
 
「お前なぁ、お母さんも疲れてんだから、そんな起こし方しちゃいけません」
 
「えー? だっておとーさんも昔はー」
 
「アイツに教えられたことはしなくていいの!」
 
……夫の言う『アイツ』は、恐らく夫の妹さんのことだろう。彼女も小さい頃はよく夫に飛び乗って夫を起こしていたという。私達が結婚してからも、彼女はよくここへ来て娘の遊び相手をしてくれる。彼女も私にとってとても大事な人の1人。
 
2人のいる台所へと顔を出す。
 
「……おはよう」
 
私が声をかけると、甘い匂いをたてる朝食であろうホットケーキを焼きながら、
 
「ああ、おはよう有希」
 
夫が笑顔で私を迎えてくれた。
 
 
 
「どうだ、美味いか?」
 
「うん」
 
「とても」
 
「そうか」
 
3人で夫の焼いたホットケーキを食べる。夫は意外にも(と言うと失礼だが)料理の腕が平均的な男性のそれと比較するとやや高く、簡単な料理ならば時折作ってくれる。
 
「でも、黒いとこはおいしくないよー」
 
「そうか、じゃあいらないんだな」
 
そう言って、娘のホットケーキを容器ごと彼女の手に届かないように奪う。
 
「あっ、ダメ……!」
 
「ちゃんと食べるか?」
 
「うん。シロップかけるもん」
 
「はい、じゃあほら」
 
戻されたホットケーキにシロップを表面いっぱいまでかけ、娘が幸せそうに頬張る。
 
「おかわりまだ作れるからな、欲しかったら言うんだぞ」
 
「うん」
 
娘の、夫と同じ色をしたショートカットを優しく撫でながら、優しい表情で夫が言う。娘も気持ちよさそう。
 
そんな2人のやりとりを見ていると、私の頬も自然と緩んでいた……
 
 
 
 
夫が娘を胡座の上に乗せながら2人で子供向けのテレビを見ている間、私は寝坊のお詫びとして、夫の反対を圧して朝食の皿を洗う。
 
今日は休日、私達3人が1日中過ごせる日。といっても、3人共積極的ではない方だから外出をすることはあまりない。
 
それでも、愛する家族と同じ時間・空間を共有出来ることは、今の私にとってこの上ない幸せだった……
 
 
夫と出逢った当初は、私がこれほど幸福な人生を歩むことが出来るようになるなんて思ってもみなかった。通俗的に言えば、親に敷かれたレールの上を歩むような人生だったから。
 
自分の意志で生きているという実感など湧いていなかったし、眺めているはずの世界はどこか色褪せていた。そんな生を最期の時まで過ごし続けるものだと思っていた。
 
 
でも……それは夫と出逢ったことで劇的に変化した。
 
世界に色が塗られ、私に幾つもの心を与えてくれた。私が信頼を裏切るようにどうしようもなく暴走した時でさえも、私を責めることなく、暖かい両手で私を包み許してくれた。その時私がどれほど救われたと感じたか、あの人は知らないだろう。たまにデリカシーのない言動で落胆させられたこともあったけど、そんなところもひっくるめて私は夫に惹かれた。
 
 
いつしか、叶うことのない夢物語を私は描いていた。どんなに望んでも、叶うことはないと思っていた。
 
けれど、その夢は叶ってしまった。私がまたその想いに押し潰されそうになった時、それを伝えたら、私を守ってくれると約束してくれた。本当に嬉しかった。生きてきた記憶の中で初めて、笑顔を浮かべられ、同時に涙を流すほどに。
 
それから交際が始まり、私にさらに広い世界を教えてくれた。私が苦しまずに済むよう私の能力にも頼ることを抑え、私を導こうと努力もしてくれた。
 
そして……私にプロポーズをしてくれた。私の世界そのものと言っても過言ではない彼の想いを、どうして断ることが出来ようか。私は彼を迎え入れた。
 
 
子供も生まれ、健やかに育っている。私に似て本が好きで感情をあまり表に出せないけれど、誰よりも私の表情を読むのに長けた夫には簡単にわかるそう。勿論私にもわかる。最近は年下が欲しいと言うから、夫とまた頑張ることを視野に入れなければいけない。あ、また顔が緩む。
 
夫は昔から言っていた『安定した職』として公務員になり、家族サービスを欠かさない。いい夫。実を言うと私がもっと稼げる仕事に就くことが出来たが、夫に『今まで俺の比じゃない苦労をかけたんだ、お前が気張ることはないさ。それに、今の方が稼ぎはともかく家族で過ごせるからいいと俺は思う』と言われ、喜んで従った。でも、気遣ってもらえるのは嬉しいけれど、やはり夫にばかり負担はかけられない。夫の苦しみは私の苦しみでもあるから、私は夫を支えたい。
 
 
 
 
洗濯等の仕事を一通りこなし、昼食にする。昼食は高校時代より夫と共に試行錯誤を重ねた共同カレー。娘にも大評判。
 
「美味しい?」
 
「うん。すごく美味しい」
 
「メチャ美味いよ。心なしかいつにもまして美味い気がする。何かしたか?」
 
「特別なことは何もしてない。でも、あなたが言うのだったらそれはきっと真実。美味しくなっていると思う」
 
「フフッ、だよな。有希が作ったもんだ、美味いに決まってるさ」
 
「…………そう……」
 
また、頬が緩む。
 
 
 
 
昼食の片付けをしてリビングに戻ると、夫の腕枕で娘がお昼寝をしていた。夫も眠っている。
 
本音を言うと今日の買い出しは3人で行きたかったのだが、仕事疲れが溜まっていたであろう夫や幸せそうに眠る娘を見ていると、暖かな気持ちになる。
 
 
………今晩の食事の分の材料はまだあるし、干した洗濯物も乾くまで時間がかかるはず。3人での買い出しは今日でなくても出来るだろうし……何より、穏やかな寝顔の2人を見ると、起こそうだなんて気も失せた。
 
 
私は娘の反対側、やはり夫に腕枕をしてもらう形で横になる。暖かくて惚けてしまいそう……彼に思わず抱きついてしまった。しかし腕を引っ込めようなどとは微塵も思わない。
 
 
 
 
 
「     、    ……愛している……大好き……」
 
2人の規則正しい寝息と、夫から直に伝わる温もりに包まれながら2人の名を呟き、私の意識はこれ以上ない幸せという海の中に、沈んでいった……
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「という夢を見た」
 
「「「「………………」」」」
 
時は放課後の文芸部室。ハルヒの『宇宙人の電波って実は人間の夢の中に来るんじゃないかしら!』とのお達しで、各自最近見た夢の発表をすることになったのだが……
 
1番『夢』に無縁そうなこの宇宙人は俺の心配をよそに正反対のベクトルでぶっ飛んだ答えを語ってくれた。
 
……ヤバい、顔の火照りが治まらん。
 
「………残念……」
 
「何だと!?」
 
長門が俯きながら小さく呟いた言葉に思いっきり動揺する。そ、それは……どういう意味なんだ……?
 
「そ、そうよね! よかったわね有希、夢で! キョンなんかと結婚なんてしちゃったら人生大損よ!」
 
お前は俺を何だと思ってんだ。やたらと嬉しそうに言うハルヒに軽く毒づく。心の中でな。もし長門が今ハルヒが言ったような意味で『残念』だと言ったのなら、俺は3日ほど精神的に死ぬだろう。
 
「違う。夢の中の私は幸せだった。夢が夢であったことが残念だと言っている」
 
長門の言葉にまたもや全員が固まる。………………マジで?
 
「もし夢の中のようにあなたと過ごせれば、私にとってこれ以上の幸福はない」
 
………あー、それは愛の告白と受け取ってもいいのか………?
 
俺の問に小さく小さく長門は頷いた。
 
「夢の中の私が語ったあなたへの想いは、今の私のそれとまったく同じ。私という個体は、あなたをこれ以上はないほどに大事だと感じている」
 
……マジの………マジ…?
 
「信じて」
 
…………ああ、ありがとう……
 
 
 
こうして、めでたくカップル誕生に
 
「こらーーーーーー!!!」
 
なるわけなかった。勘弁してくれ……
 
 


 
あれ、日付オーバー。というかいつの間にか『意外と〜』シリーズっぽくなっちまったorz
 
まあいいや。
 
 
.

↓の続き(短編SSの後編)

妹によく「このロリコン!」となじられます。どこがと聞いたら「長門好きなくせに!」と言われました(妹も長門好きだけど)
 
とりあえず、長門好き=ロリコンが正しいとかはおいといて、
 
ハルヒの1番好きなCPが谷キョンだとかほざく腐女子にとやかく言われたくない。
 
 
【生徒会と古泉の陰謀? 後編】
 
前編
 
キョンside
 
さて、どうしたもんか……俺の交友録に付き合ってる2人組なんざ知らないし、書きようがない。
 
クラスを見渡していると、阪中に目が留まる。ん? 目が合った……何か顔赤いが熱でもあるのか? とりあえず片手で謝り目を離す。阪中か……これは『お似合いの2人組』とは書いてるが、別に人に限らんでもいいだろ、俺は白紙さえ避けられればいい……
 
よし、『阪中とルソー』っと。
 
後1組……確かだいぶ昔に古泉と長門はお似合いだなとか言ったが……何だか気に入らんな、やめだ。そうだな、喜緑さんと会長も仲は悪くはないらしい。あの2人にするか。……会長の名前なんざ知らんが……
 
『生徒会長と喜緑さん』っと…
 
それはそうと、回答時間に入ってからやたら視線を感じるのは気のせいか?
 
 
ハルヒside
 
まったく、キョンの口車に乗せられて答える形になっちゃったけど、何か皆真剣ね……さっきから変に視線を感じるし。
 
さて、どう答えようかしら…む、キョンのやつ何阪中さん見てんのよ! 阪中さんも何顔赤らめてんのよ! ……キョンは別に他意がなかったみたい。けど罰ゲームね…
 
それにしても…あたし誰が誰と付き合ってるとかなんて興味なかったし……知らないのよね。仕方ない、SOS団で考えるか……
 
キョンとみくるちゃん…キョンのニヤケ面が腹立つから却下。古泉君とみくるちゃん……悪くはないわね。有希と古泉君も…って、あの2人が仲いいのは映画の話だけね。有希ってキョンにだけは心を早くから開いてたみたいだけど…キョンもまんざらじゃないみたいだけど……っ!!
 
ダメダメ、あんないい子達がキョンなんかに引っ付かれたら可哀想だわ。やっぱあのバカキョンはあたしが面倒見てやんないと……自演ってバカみたいね……でも匿名投票だし、いっか。
 
『涼宮ハルヒとキョン』っと…他はもういいわ。
 
ああ、集計が発表される前に生徒会に乗り込んでやるわ。
 
 
阪中side
 
妙な企画なのね…でも面白そうだからやるのね。
 
やっぱりキョン君と涼宮さんかなぁ。ふと2人の方に目をやると……キョン君と目が合っちゃったのね…何か照れるのね……キョン君は謝ってるけど、悪い気はしてないのね……
 
どうしよう、涼宮さんとキョン君がお似合いって書いちゃったけど、変にムカムカするのね……
 
悶々としてる内に時間が終わっちゃった。思わず『キョン君と阪中』なんて書いちゃったのね……何やってんだろ私……
 
 
谷口side
 
何かわけのわからん企画だな。まあいい、公表されなかったAランク美少女は俺が落とす!
 
お似合いの2人ね……やっぱ涼宮とキョンだろ。つーかキョン以上に涼宮と付き合えるやつはいねえ、しっかり繋いどけ! 後はそうだな……あのAランク越えの朝比奈さんや長門有希は……キョン、殺す。2人は渡さねえ! 少なくとも朝比奈さんは俺がもらってやる!
 
『谷口と朝比奈みくる』っと…
 
 
そう言や、長門有希はキョンに押し倒されてからどう思ってんだろうな……後キョンが時々昼休みに弁当持って出掛けてんのはどこ行ってんだ?
 
 
国木田side
 
何だろうこの企画。面白そうだからいいけど。
 
お似合いの2人か……キョンって色んな女の子に好かれてるよね。いつか修羅場るかな。是非見てみたいよ。そうだね……
 
『キョンと涼宮さん』
『キョンと佐々木さん』
『キョンと長門さん』
 
……かな。他にもキョンはフラグ立ててるみたいだけど、とりあえずこの3人だね。
 
女の子による1人の男子の争奪戦なんて、生で見れるもんじゃないよ。これを見るチャンスは滅多に無いし、楽しませてもらおうか。
 
 
長門side
 
何なのであろうか、このアンケートは。一週間前、古泉一樹が生徒会室に入った際に喜緑江美里による情報封鎖が行われ、会話を探ることが不可能だった。
 
あの後喜緑江美里を問い詰めても、明確な返答はなかった。どうやらこれがあの生徒会と古泉一樹が共謀したものであると考えられるが……人間の感情に疎い我々には回答し辛い。
 
「長門さん、どうしたの?」
 
隣席のクラスメートが話しかけてきた。私1人ではこれの内容の把握が困難、力を借りることにする。
 
「……何を以て『お似合い』と判断するのかわからない」
 
「そうなんだ……そうだね、お互い支え合ってるとか、気持ちが繋がってるとか、息が合ってるとかかなぁ」
 
「……申し訳ないが、やはりよくわからない。出来れば、例を挙げてほしい」
 
「う〜ん…よく長門さんをお昼に誘う彼…キョン君だっけ? 彼と長門さんは私はお似合いだと思うな」
 
……エラー発生。私と? 彼が?
 
「………………それは、いい意味で……?」
 
「え、うん? よくあの黄色いカチューシャの人と一緒にいるの見るけど、彼、あんまり楽しそうには見えないよ」
 
……それは表面的。彼は涼宮ハルヒと共に活動するのを内心楽しんでいる。だからこそ……あの世界を捨て、この世界を選択した……エラー発生。
 
「でも、長門さんの前じゃ彼、優しい顔してるもの。それに何だか、あの人は長門さんのことよくわかってる気がする」
 
……それは事実…エラー発生。
 
「ね、長門さんと彼はお似合いよ! 書いちゃえばいいよ!」
 
「……そう……」
 
最後に私に笑顔を向けると、そのクラスメートは自分の作業に戻った……
 
記入欄に彼女の言う通り『長門有希、(キョンの本名)』と記入する。先ほどからエラーが発生している……それに名を付けるならば……『照れ』『嬉しさ』だと考えられる……悪くは、なかった。
 
彼女の説によると、両者間に支え合いがある2人が該当するらしい。ならば、涼宮ハルヒの提案に乗り気ではないことが多い彼より、役割とはいえ適切にサポートする古泉一樹の方が『お似合い』だと言えるはず。
 
もう1つ、私は『涼宮ハルヒ、古泉一樹』と書き込んだ。
 
……それはそうと、私が会話を始めていた時に向き始めた私への視線と、それに込められた意味は何だったのだろう……?
 
 
古泉side
 
さて、予定通りですね。僕が書き込むのは勿論『涼宮ハルヒ、(キョンの本名)』です。これ以外に書くべきことはありません。なんとなく周りを見渡すことにします……?
 
何でしょう……?教室のクラスメートの視線が時折こちらに向きます。しかもどこか楽しげで……
 
とりあえず、放っておきましょう。
 
 
……彼らの視線の意味を知ったのはまた後日……
 
 
みくるside
 
ふぇー、これは何を書けばいいんでしょう……? お似合いの2人ですか……やっぱり涼宮さんとキョン君かなぁ。でもキョン君、長門さんにも優しいですし、私にも優しくしてくれてますし……
 
あれぇぇ……? 頭がこんがらがっちゃいましたよぅぅ……お似合いって何ですかぁぁ……?
 
 
私が回答時間の終了を告げられて正気を取り戻した時、用紙には
 
『涼宮さんとキョン君』
『涼宮さんと長門さん』
『キョン君と私』
 
なんていうカオス状態になってました……
 
 
鶴屋side
 
あははっ! おんもしろいアンケートだねっ! 生徒会がこんなのをする理由がわからないにょろよ! でもバッチリ答えるっさ!
 
そうだね、やっぱキョン君とハルにゃんかな! あたしみたいなキャラの人以外にハルにゃんについていける人なんてめがっさ少ないっさ!
 
でもキョン君、みくるや有希っこにも他の人以上に鋭いさね! 女の子泣かせになっていつか女の子に刺されたりしなきゃいいにょろよっ!
 
あたしは楽しい気持ちを抑えないまま用紙に
 
『キョン君にハルにゃん』
『キョン君にみくる』
『キョン君に有希っこ』
 
って書き込んださっ! もしかしたら集計する人が誰かわかんないんじゃないかな、ってことに気付いたのは休み時間に回収箱に用紙を放り込んだ後だったよ!
 
ま、楽しそうだったからオッケーっさ!
 
 
 
 
 
後日、再び生徒会室。
 
「……古泉」
 
「……はい……」
 
「この結果は何だ?」
 
「……予想外です……」
 
「ああ、だろうな。お前の目論見通り、集計してみればあの男と涼宮に投じた奴が最も多かった。だがな……」
 
「はい……」
 
「集計して僅か1桁の得票数の差であの男と文芸部部長が2位になるとは何事だ? しかもお前と涼宮という票も少なくなかったぞ。これじゃ集計結果の公表など危険過ぎる」
 
「あらあら……♪」
 
「しかも何だ、お前とあの男に入れた奴。『涼宮に振り回される2人には愛が芽生えているのよ!』だと……」
 
「無視してください!」
 
「他にも主にあなたのクラスの人から、『涼宮に忠実な犬』との意見も見られます」
 
「………流してください……」
 
「涼宮さんと長門さんの票が拮抗した理由が、涼宮さんには5組の大半の方と他のクラスの一部、長門さんには6組の大半の方と、何故か上級生の方々が投票したせいです」
 
「……彼女らと彼は誰に入れたんですか?」
 
「はい。涼宮さんは自分と彼、長門さんは自分と彼、それとあなたと涼宮さんですね。『鍵』は……えーと、阪中さんとルソー、……まあ♪ 会長と私に投票してますね」
 
「………何だってまた……」
 
「いえ、得票数が1位であるだけならまだよかったんですが……問題はコメントですね……」
 
「ああ……」
 
彼らは知らなかった。いや、3人の内1人は知っていたかもしれないが。
 
この場に快速に突入しようとする1人の少女の存在を。
 
 
 
「こらー!!」
 
「「ッ!?」」
 
「あら、涼宮さん。いらっしゃい」
 
「まあね、あんたらの悪事を暴きに来てやったわ! 悪事の源、アンケートの集計結果を出しなさい!」
 
「す、涼宮さん……」
 
「ああ古泉君。別にあなたを追及するつもりはないわ。…ん、これね……何々……」
 
((………終わったな……))
 
「ふーん、あたしとキョンが1位か……やっぱキョンの面倒見るのはあたしね……!?」
 
『涼宮は君に任せたよキョン』
『せいぜいあの暴君を鎮めてくれたまえ』
『ご愁傷様』
 
「………ふ、ふーん…大きなお世話よ! …で、2位は……キョンと有希!? あのエロキョン、やっぱ有希に変な下心が……ッッ!?」
 
『休日図書館で勉強してる時、よく2人で来てるのを見ます』
『図書館で彼が眠っている隣にピッタリくっ付いて座る彼女が可愛い』
『時々彼が2人分の弁当を持ってお昼に誘ってるのが印象深いです。長門さんが素直に対応してるのが珍しくて』
『有希ちゃん! 涼宮さんに負けるなー!』
 
 
 
「……………ふーん………へぇー………!!」
 
「……バイト…行ってきます」
 
「……ご苦労…」
 
「逝ってらっしゃい、ですね。目論見はどうやら外れたみたいですね?」
 
「キョーーーーーーン!!!」
 
キョンという少年がシメられ世界が大きく揺らいだことはまた別の話である。
 
 
 
 
おまけ。
 
古泉達の最初の会合の日。
 
キョンと長門の帰り道。
 
「長門、古泉は休みだったが何かあるのか?」
 
「古泉一樹は現在、生徒会室にいる」
 
「……何やってんだ?」
 
「わからない。恐らく喜緑江美里によってあの部屋は情報封鎖されている。中の様子を探ることが出来ない」
 
「そうか…なら仕方ないな。………ん?」
 
「……………」
 
「どうした、袖を引っ張ったりして」
 
「………また、」
 
「?」
 
「また、彼らに文芸部が攻撃されるのだろうか……」
 
「……ああ、かもしれんな」
 
「……不愉快だった。あの場所は私にとって安らげる場所の1つ。それを失うのは、嫌」
 
「そうか……なら俺も、一緒に守れるように頑張ってやるよ」
 
「………そう……ありがとう……」
 
「どういたしまして……って、長門!? いきなり抱きついてきてどうした!?」
 
「! ………今のは誤作動。………ごめんなさい……」
 
「い、いや。謝らなくていい、驚いただけだ。ほら、な?(ナデナデ)」
 
「………(コク)」
 
「じゃあ帰るか。ほら、行こうぜ」
 
「……そう……」
 
実は仲良くなってた。この光景を偶々ある北高生に目撃されて軽く噂が広がり、この2人の得票数が伸びたのはまた別の話である。
 


 
短編SS最長。
 
バザーっていいよね(いきなり何だ)
 
 
.

酒が飲めないのに(短編SSの前編)

打ち上げの飲み会に3200円も出すのはもったいないですよね……母親は『大人の付き合いやきしゃーない』言いますが……
 
俺の酒の弱さはヤバい。ビール1合でもう受け付けん。酎ハイさえジョッキ半分保たんorz
 
 
ネタSS。これまでの短編SSの設定が所々入るかもしれません。
 
【生徒会と古泉の陰謀? 前編】
 
放課後、多くの生徒が帰宅または部活に励んでいるであろう時間帯。殆どの生徒にとっては学校生活において無縁であろう部屋で、生徒会長である男子生徒とその書記である実は宇宙人の女子生徒、そして彼らとは表面上敵対関係にある団体の、裏で繋がりがある副団長が顔を合わせていた。
 
 
「で、古泉。話とは何だ?」
 
生徒会長が眼鏡を直しながら話を開始する。
 
「勿論、涼宮さんと『彼』についての話ですよ。あ、ご心配なく。今日の団活はきちんと休みをいただいていますから」
 
古泉と呼ばれた少年が、普段と変わらぬ笑みで答える。
 
「それは別に構わん。またあの女が退屈したというのか? 言っとくが、また文芸部関連のネタでそっちに脅しをかけるのはゴメンだぞ。そこの書記のお仲間の文芸部部長に睨まれるのは嫌だからな」
 
かつて文芸部の部誌作りの問題の時、この部屋で普段から感情の意思表示を殆どしない少女に紛れもなく冷徹に『睨まれた』ことを思い浮かべながら吐き捨てる。
 
「あらあら、いくら長門さんとはいえ、あの時のあのような反応は普通の人間と変わらないと思いますが?」
 
書記である少女―喜緑江美里―がにこやかに話す。それを流して古泉が続ける。
 
「いえ、今回は違います。涼宮さんの退屈しのぎにもなるといえばなるでしょうが、それは最終的な目的ではありません」
 
「どういうことだ?」
 
「ご存知の通り、僕ら『機関』の意見では、涼宮さんと『彼』が添い遂げた場合、大きな波があるにしろ涼宮さんの力は収束に向かうとされてます。しかし、涼宮さんも『彼』も、お互い素直じゃありませんし、『彼』に至っては自分の気持ちにさえ気付いていないようです」
 
「ふむ……で、そんな状況で俺達に何の話があると?」
 
「はい。そこでですね……………………というのをお願いしたいんですよ」
 
古泉の話を聞いた生徒会長が眉をひそめる。2人の会話を見守っていた喜緑も、若干表情を曇らせた。
 
「確かに……それは不可能ではないが、一体何の意味があるんだ?」
 
「先ほど述べた通り、特に彼は自分と涼宮さんが傍目から見ても『いい関係』であると自覚していません。そこで、このイベントで彼らに自分達が『周りからもそう見える』と自覚してもらい、互いを意識してもらえれば、と思いまして」
 
「うまくいくのか?」
 
「ええ、この学校で涼宮さんを良くも悪くも知らない人はあまりいませんし、いつも彼女の側にいる彼のことを知っている人も多いでしょう」
 
「うーむ……いいだろう。教師陣と掛け合ってみよう」
 
「ありがとうございます。『機関』の方でもサポートします」
 
「ああ。その代わり、わかってるだろうな?」
 
「勿論。評定の方は任せてください」
 
「よし。では喜緑君、悪いが準備の方を手伝ってくれるか?」
 
男2人が交渉を終え、生徒会長が喜緑に話しかける。しかし返ってきたのはやや予想外なものだった。
 
「仰せのままに…と言いたいところですが、穏健派とはいえ観察対象に影響を与えて、しかもその能力消失の礎とすることには賛成しかねますね」
 
『困った』ような表情で言う。それに古泉が反応する。
 
「ですが、このまま涼宮さんに彼関連で不満が溜まって世界崩壊されては、思念体としてもいいことではないでしょう?」
 
「勿論です。しかし思念体は最近、観察対象を涼宮さんと涼宮さん以外にまた1人追加しまして、この計画で彼女と『鍵』が進展した場合、彼女の能力消失の他にも懸念事項が生まれるかもしれないのですよ」
 
「初耳ですね。誰ですか、その新しい観察対象というのは?」
 
「我々の同胞である長門さんです」
 
「あの文芸部部長か?」
 
「長門さんが、どうしてです?」
 
「『鍵』から聞いてませんか? 先の12月に起きた世界改変事件のことを。犯人は長門さんだったのですが、その原因が現在の我々には解析不可能なエラーの蓄積です」
 
「で、それが何なんですか?」
 
「そのエラーの原因の一部がですね、どうやら『鍵』に起因するみたいなんです。彼女曰わく彼を遠くに感じた時、不愉快なエラーが生まれ、彼を近くに感じた時、そんな不愉快なエラーが消滅する代わりに、暖かなエラーが生まれる、と」
 
「……それはそれは……」
 
「つまりあれか? 君の仲間であるあの文芸部部長も、あの男にほの字だというわけか」
 
「はい。我々は人間の『感情』について完全な理解は出来てませんが、長門さんが抱えるそのエラーは、観察対象が『鍵』に対して持つそれと同じものだと考えています」
 
「なるほど……だからもしあの女と男がくっついたら、そっちの方がまたエラーとやらで暴走を起こすかもしれない、と言いたいんだな?」
 
「ええ」
 
「しかし、涼宮さんに世界を丸ごと崩壊もしくは改変されるよりはマシなのでは?」
 
「確かに長門さんの力では、観察対象から力を奪ったとしても完全な形で世界改変は行えません。しかし、『現在の自分』の情報をすべて書き換えられて全く別の人生を送ることになるのは、あなたはいいのですか?」
 
「む……」
 
「涼宮にしろ文芸部部長にしろ、『今の自分』が丸ごと消されてしまうかもしれない、か。どっちもゴメンだ」
 
「確かに……ですが、その抑止力として貴女がいるのでしょう?」
 
「まあ、そうですね」 
 
「でしたら、もしもの時はお願いします。長門さんにもし暴走されても抑止力に他のTFEIが存在しますが、涼宮さんに暴走されては止めることが出来る者はほぼ皆無でしょうから」
 
「そうですか…わかりました。協力しましょう」
 
「ありがとうございます。では会長、準備の方を」
 
「ああ、わかったよ」
 
こうして3者が納得する形で、妙な計画がスタートするのであった。
 
 
 
 
 
ここからは俺、本名『(禁則事項)』が語ろう……って何だ禁則事項って!! いい加減俺の名前を出せ!
 
この一週間古泉の動向が怪しかったが、問い詰めてもはぐらかすばかり。「少なくとも大きな騒動で迷惑をかけることはありませんよ」とは言っていたが、ぶっちゃけ信用ならない。
 
まったく……ただでさえハルヒがどんな奇想天外な暴走をかますかハラハラしてるのに、余計な心労を増やさないでもらいたいな……これが朝比奈さんや長門だったらもう少し広い心で受け入れてやるが。
 
なんてことを考えながら登校し、玄関に到着すると何やら見慣れない物が目に入る。普通の教室にあるような机が靴箱にくっつく形で置かれ、上に箱のような物がある。
 
え〜何々……?
 
 
 
『生徒会アンケート』
 
……古泉のヤツ、こんなもんを企んでたのか……? 内容は我々生徒会がもっと生徒諸君と近付きたいだのといった堅苦しい挨拶に始まり、提出は休み時間校内各所に設置した回収箱に入れてくれ…か。で、アンケートは何についてだ…?
 
 
 
………何だこれ?
 
 
『あなたが知る校内でお似合いだと思う2人組またはカップルと、その2人がお似合いだと思った理由を教えてください』?
 
 
………完全にプライバシー侵害じゃないかこれ。しかも何だ、その2人に許可を貰えれば3位まで発表するだと? おまけにこのアンケートは生徒全員が提出するべきだとか……
 
面倒だしフケちまおうかとも思ったが、生徒会には長門ともタメを張れそうな……いや、立場を考えるともしかすると長門以上にハイスペックな宇宙人の喜緑さんがいるからな……あの人もこれに関わってるとしたら、俺が逃げることは出来ないだろう。
 
しかし、少なくとも俺がやるべきなのは、他の生徒と同じように適当にアンケートに答えて出すことだけだ。
 
ハルヒのワガママに振り回されてついていく……引っ張られることと比べりゃこんくらい楽だぜ……
 
 
何て答えようか考えながら俺は、教室に向けて歩を進めることにした。
 
 
 
教室に到着し、席に着く。早速ハルヒに話しかけられる。
 
「おはよ、キョン。これどう思う?」
 
ハルヒの机上にもアンケート用紙がある。てっきりガン無視すると思っていたが、そういうこともなかったらしい。
 
「どうもこうも、書いている通りだろ。多感な高校生が皆興味を持ちそうなことをリサーチして、誰もが距離を取りがちな生徒会と生徒の溝を埋めたいんじゃないか?」
 
まあハルヒが納得するわけないのもわかってるが。
 
「甘いわね! 仲睦まじい2人の痴態を暴いて曝して社会的地位を突き落とそうって腹なのよ絶対! 生徒を代表する生徒会がこんな腹黒い暴挙に出るなんて信じられないわ!」
 
興奮している様子。しかしあの文芸部の部誌問題でSOS団の存続危機に晒された時のような憤怒の様子はない。
 
「おいおい、公表するのはちゃんと2人の許可を取った後だって書いてるだろ。2人が許したのなら問題はないさ。2人のプライバシーを侵害したくなけりゃ白紙で出せばいい」
 
「そうだけど!」
 
「落ち着け。そんなにこのアンケートが気になるなら、古泉に聞けよ」
 
「古泉君がどうしたのよ?」
 
「ああ、古泉はあの生徒会長と友人関係……でもないが、個人的に繋がりがあるらしい。勿論SOS団副団長としてあいつらと戦う時はこっち側だが」
 
「ふーん……」
 
「まあ、生徒会の余興だとでも思って、適当に出しとけ。少なくともSOS団に攻撃するつもりの企画じゃないだろう」
 
「わかったわよ、精々回収率の悪さに泣けばいいわ」
 
…………ん? 何かおかしくないか……? まあいいや、ハルヒが問題を起こさないで済むんならな。
 
 
 
ちょうど朝のホームルームに回答時間をくれるらしい、俺は何て答えようか考えながら、周りを眺めるのだった……
 
 
後編


  
 
酒は飲まなくても酔ってテンション上げられます。
 
 
.

大学祭の燃え尽き症候群

最近何もやる気が起きません。
 
 
こっからは小ネタっぽく消費。
 
【意外とありそうで怖い世界崩壊フラグ・3】
 
 
俺が宿題という学生の敵との戦闘のために夜眠る時間を削り、さらに午後には体育で無意味にハッスルしたせいでクタクタになりながら部室に向かう。
 
「うーす…」
 
「…………」
 
やはり長門はそこにいた。
 
「早いな」
 
「(コク)………疲労」
 
「ん…俺か? ああ、今日はちょっとな……」
 
俺は自分の席に座り一息つく。……ん?
 
「…………」
 
長門が俺を見つめてくる。どうしたんだ?
 
「疲労回復用ナノマシン、使用する?」
 
と、気遣ってくれてるのか。お前も変わったな……でも、もうじきハルヒが来るだろう、噛みついてる所を見られたら流石にマズい。気持ちだけでもいただくよ、ありがとな。
 
「そう……」
 
ん…しょげてるな…じゃあ長門、団活が終わるまで俺を寝させてくれ。ハルヒが騒いでも起きないようにとか。頼めるか?
 
「………わかった」
 
ありがとよ。礼に今日は帰りにカレー屋で奢ってやる。
 
「…………(コク)」
 
ああ…それじゃおやすみ……
 
 
 
私との会話が終了すると、彼は机に伏して間もなく睡眠状態に入る。彼が覚醒しないよう周囲の音声が彼に届かぬよう情報操作。
 
しかし涼宮ハルヒが彼に呼び掛けた際彼が目覚めない状況をシミュレートすると、85%を超える確率で彼の肉体に物理的衝撃を与えることで彼の覚醒を図るとの結果。それを未然に防ぐ手段を検討……彼の隣に席を移すことにする。
 
 
「お待たせー!」
 
涼宮ハルヒが朝比奈みくると古泉一樹を従えて入室。扉の損傷が激しい、あまり衝撃を与えないでもらいたい。
 
「よし、全員集合…ってキョン!これから神聖な団活が始まるっていうのに寝るな!」
 
涼宮ハルヒが睡眠状態の彼を確認し、声を荒げる。当然彼が起きる様子はない。
 
「もう……」
 
今この時点で彼を覚醒させることは諦めたよう、パソコンの席に座りインターネットを開始した模様。朝比奈みくるは着替えることを諦め、制服姿のまま給仕活動を開始する。古泉一樹はボードゲームを取り出し1人でプレイを開始した。
 
特筆するべき事項はなく、特に問題も発生しないため、第三者が彼に肉体的衝撃を与えるのを阻止することを最優先事項に記録、読書に集中することにする。
 
彼がカレーを奢ってくれるということに正体不明のエラーが発生、だが悪いものではなさそう、放置することにする。
 
 
30分経過。
 
「ねえキョン」
 
「……………」
 
「……………」
 
 
50分経過
 
「ねえキョン!」
 
「……………」
 
「起きなさいってば!」
 
「……………」
 
「もう!」
 
 
1時間5分経過。
 
「キョーンー!」
 
「……………」
 
「すみません、起きてください」
 
古泉一樹が彼に呼び掛けを開始する。問題ない。
 
「……………」
 
 
1時間23分経過。
 
「起きなさい、キョン!!」
 
「起きてください」
 
涼宮ハルヒの精神的不快指数が上昇、閉鎖空間の発生に届くレベル。古泉一樹に若干の焦燥が表れる。
 
古泉一樹が彼に接近、肉体的衝撃により彼の覚醒を図るものと推測。阻止すべきと判断。
 
「古泉一樹」
 
「? どうかしましたか、長門さん?」
 
「彼は普段より強めの疲労を訴えていた。起こすべきではない」
 
「ですが……」
 
「有希! 今日はSOS団の活動におけるある発表があるの! いつまでも寝させちゃダメよ!」
 
予想通り涼宮ハルヒは彼が睡眠状態にあることを好まない。しかし彼女の望みと彼の望みは相反するもの、自己判断……彼の望みを優先させることに決定。
 
「彼は暫くの休息を所望していた。それを無理に覚醒させたとしても、あなたの提案に快くは賛同しないと思われる」
 
「有希! キョンはSOS団団員その1にして雑用係なの! 神聖なるSOS団団長のあたしに従うべきなのよ!」
 
彼を所有物のように扱う彼女に若干の嫌悪感が発生、それを悟られないように会話を続ける。
 
「あなたがこのSOS団を率いる団長であると自負しているのならばなおさら、適当に団員を労うべき。過去の歴史を紐解いても部下を冷遇して大成した指導者はいない。彼は団員であり、雑用であったとしても奴隷ではない」
 
何故彼のことになるとこんなにも饒舌になるのだろう、検証の必要がある。
 
涼宮ハルヒは若干不快度を下げ引き下がる。
 
「……わかったわよ。たまには休ませてやんないと、倒れられても困るからね……」
 
席に戻りインターネットを再開する涼宮ハルヒ。「やけにキョンの肩を持つわね、有希…」との独り言が聞こえたが、本人は聞こえていないつもりなのだろう、無視することにする。
 
その後各自、先程までと同じ行為を続行することにした模様。
 
 
 
 
『人間はさあ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』って言うよね。これ、どう思う?』
 
『あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る』
 
『うん、それ無理』
 
『じゃあ死んで』
 
 
 
またこの夢か……いや、夢だとわかっていても『この時』味わった死への恐怖は消えちゃいないが……
 
夢っていうのは個人の願望や記憶を映し出すという。俺にとってのこの記憶は一生忘れられないもんだ。生まれて初めて命の危機をリアルに味わい、現実離れした世界に足を踏み入れてしまったことを実感させられたんだからな。今でも夢に見る。
 
長門が来て朝倉と対峙するのも記憶通り、俺が情けなく床に張り付いているのも記憶通り。朝倉が槍や触手で長門を貫くのも記憶通り、そして朝倉が笑顔で消えていくのも記憶通り……
 
 
その後……眼鏡の再構成を忘れた長門の、眼鏡をしていない姿に思わず、こんなキザったらしい台詞を吐くのも記憶通りだった……
 
 
 
 
 
団活終了まで後10分程という時、数分前から私に視線を向け何かを思考していた涼宮ハルヒが私に声をかけてきた。
 
「ねえ有希、有希って確か眼鏡かけてたわよね?」
 
真実なので頷く。彼女にもわかるよう普段より大きく。
 
「どうして眼鏡やめたの? 今更だけど気になってね」
 
以前のように黙っていてもよかったが、あの時よりも彼女はこの質問に興味があるよう。今日これ以上彼女の意思に背くのは彼女の精神に悪影響を及ぼすと判断、回答することにする。
 
涼宮ハルヒの望むキャラクターに必要だとして準備していた眼鏡。朝倉涼子との戦闘後、再構成を迂闊にも忘れたが、それ以降も再構成を行わなかった理由は、やはり彼。
 
「……眼鏡をしていない方が可愛いと言われたから」
 
「へえ、あたしは読書キャラには必須だと思うけどねー」
 
それはあった方が可愛いのにと言いたいのだろうか?
 
「あと、何のことかはわからないが、眼鏡属性がないらしい」
 
そう告げると、目を見開く涼宮ハルヒ。何故だろう、若干不快のようだ。
 
「ふ〜ん…妙なことを言うヤツね……そんなヤツのために眼鏡やめたの?」
 
彼に好印象を抱いてもらえるのならそれでいいと思った。だから外した。頷く。
 
「へー……誰よそれ?」
 
彼に、と答える前に、
 
「う、ん……」
 
彼が呻く。睡眠が浅くなった状態のよう。私と涼宮ハルヒが彼の方を向く。
 
「やっと起きるの、キョン!」
 
私への興味が薄れたようで、彼を起こしにかかる。もう起こしてもいいだろう、情報操作を解こうとした時、
 
 
彼の私に対する言葉の中でも、何故か重要な位置付けをした言葉が彼の口から発せられた……
 
 
 
 
 
 
「……してないほうが可愛いと思うぞ。俺には眼鏡属性ないし……何でもない、ただの妄言だ……」
 
 
その言葉を確認した全員―私を含め―が一時的に硬直した。他の3人はわからないが、エラーが発生しそれに対処するのに2秒を要した。
 
丁度下校のチャイムが鳴る、私は情報操作を解き彼を揺すって覚醒させた……
 
 
 
 
 
 
何かに体を揺すられ、目を覚ます。長門が俺の隣にいたようだ、時間を確認すると丁度下校時刻。律儀に俺の頼みを聞いてくれたらしい。
 
「ん…こんな時間か…ありがとよ長門」
 
「いい」
 
「んじゃ、行くか」
 
長門が帰り支度を始め、それを待っていると、
 
「こ、このエロキョン!」
 
いきなりハルヒになじられた。何がだ?
 
「この変態! 有希に夢の中で何したのよ!」
 
崩れ落ちた長門を支えただけだが……いやそれより、
 
「長門、俺何か寝言でも言ったか?」
 
「あなたはこう言った。『してないほうが可愛いと思うぞ。俺には眼鏡属性ないし……何でもない、ただの妄言だ』」
 
……なんてこった、あの歯の浮くような台詞がだだ漏れかよ…
 
「う…なんつーか、すまん……気に障ったか…?」
 
「いい。あの時も今も、悪い気などしていない……むしろ、いい……」
 
…そうか。らしいぞ、ハルヒ。いくら何でも夢の中の言動にまで責任は持てん。
 
「ぐ……」
 
苦虫を噛んだような顔をするハルヒ。長門本人がこう言ってるのに許してくれないのは何故なんだ?
 
「…………」
 
ん? 長門が俺の制服の裾を掴む……催促している。
 
「ああ悪い長門。早く行くか」
 
俺と長門の2人で出ようとすると、
 
「キョ、キョン! 有希! あんた達どこに行くの!?」
 
「? 長門にちょっと世話になったからその礼にカレー屋で奢ろうと思っただけだが?」
 
「はあ!? じゃ、じゃああんたを今日1日団活で休ませてあげた代償に、あたしにも奢りなさい!」
 
何故に。俺は本心から言う。
 
「生憎、今俺の懐は2人分も奢る程の余裕はない。諦めろ」
 
「じゃああんたは食べなきゃいいでしょ!」
 
「馬鹿言うな。大体誰のせいで俺の財布の中身が寂しくなってると思ってるんだ」
 
「あたしのせいだって言うの!?」
 
「……不思議探索で遅刻者には食事代の罰金なんつールールを作ったのお前だろ? それだけならまだいいが、俺はお前より遅い時はあっても遅刻は1度たりともしていない。……俺の財布は打出の小槌じゃねーんだよ」
 
俺の一言で押し黙るハルヒ。ん? 長門がくいっと引っ張ってくる。
 
「………早く」
 
「そうだな、行こうぜ長門。俺から言い出しといてなんだが、お前にとって満足させられる量は無理だからな?」
 
「構わない」
 
この律儀さを見習ってほしいもんだ……俺は早くカレーが食べたくて仕方ないのか、急ぎ歩調で俺を引っ張る長門についていき、カレー屋を目指した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「……………………へーぇ…」
 


 
うわ、何か嫌な話(コラ)
 
これだけ古泉とみくるが空気なのも珍しい……?
 
長編……長門はもう少し後です、ちょっと積極的にします(黙れや)
 
 
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