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たまたま目にした看板の『マーガレット』の文字が

『マッガーレ↓』に見えた俺はくたばればいいと思う。
 
短編小ネタとしてシリーズ化しそうな世界崩壊フラグネタ?時系列は知らん(それ文書きとして最悪)
 
気持ち戸惑(PS2)くらい積極的な長門さん。
 
【意外とありそうで怖い世界崩壊フラグ・2】
 
さて、突然だが今の状況を説明しようか。
 
放課後の部室、今は俺を含め4人いる。もし俺の他3名が宇宙人・未来人・超能力者であったなら、俺は儚く短くも心落ち着く一時を過ごせただろう。超能力者も出来ればその時はお呼びでないが。
 
悲しい哉、この場には宇宙人・超能力者はいるが、もう1人が麗しき未来人ではなく、見た目はいいが中身が全く読めない女神である。
 
超能力者はどこか呆れのこもったニヤケ面で、女神はマジで爆発2秒前の怒り顔で俺を見ている。宇宙人は相変わらずの無表情だが、俺のみにわかる程度に頬が紅い。そして……
 
 
何故かメイド服っぽいのを着ている。それも未来人が着ているいつものではなく、黒を基調とした白とのコントラストが映えているものを、だ。そうだな、メイドさんよりもお姫様の肩書きが似合いそうだ。うん、可愛いぞ。思わず撫でたくなるな。
 
 
しかし、今の俺には無理だ。なんせ、
 
 
 
椅子に縛られているからな。縄跳びか何かでそりゃもうしっかりとグルグル巻きに。しかも頭が痛い、ガンガンする。下手すりゃ血も出て腫れてんじゃないか?
 
 
まあ、ここに至った経緯を説明すると、こんな感じだ。
 
 
放課後になり、ハルヒがさっさと教室を出る。

何やかんやで遅れて後を追う。

途中朝比奈さんに遭遇し、部活に出られない旨を聞く。

朝比奈さんがいないことに油断し、ノックをしないまま部室に入る。

なんとハルヒが長門を着せ替え人形にしていた。朝比奈さんの時みたいに2人ともキャーキャー言わなかったから気付かなかった。

上半身・下半身ともに下着姿の長門に面食らい、硬直してしまう。下着の色?そんなの言いふらすわけあるか。長門にもプライバシーがあるし俺にだってなけなしのデリカシーってもんがある。脳内から記憶が消え去るには1、2年じゃ足らんだろうが……

ハルヒに気付かれ、高速ジャンピング回し蹴りを側頭部に食らいさらに壁に激突して頭を打ち気を失う。

目を覚ましたら縛られていた。
 
 
「つー…頭いてえ……」
 
「やっと起きたわね、このバカエロキョン!!」
 
「あー、お前が怒ってるわけも拘束されてる理由もわかってるから、怒鳴らんでくれ。頭に響く」
 
「この期に及んであんたに人権があるとでも思ってるわけ?有希の純潔を奪っといて我が身可愛さの発言が許されるわけないでしょ!!」
 
そりゃそうだ。長門のあられもない姿を事故とはいえ目に焼き付けちまったんだからな。もし谷口だったりしたら俺はヤツを五体満足で生かしちゃおかんだろう。
 
っと、そうだ。肝心の長門に謝罪がまだだった。
 
 
「長門、すまなかった。まさかお前が着替えてるとは思わんかったから、ノックもしなくて、その……見ちまって悪かった。本当にごめん」
 
ヤバい、言っててさっきの光景がフラッシュバックした。硬直こそしたが健全な男子である俺にとってさっきの長門は破壊力がありすぎる。
 
「……………」
 
長門はやっぱり無言無表情だった。しかし、ほんの数ナノメートル首が縦に振られる。
 
自称長門表情観察検定1級である俺の自惚れが間違っていなければ、長門は『気にしなくていい』と言っているようだった。
 
 
本人に許されてホッと……出来なかった。長門が俺を許してくれてることを理解できるのは今の長門の小さな小さな首肯を判別出来る者だけであり、少なくとも今この場にいる人間の中でそれは俺だけである。
 
まして、普段から自分本位で動いていてなおかつ今は頭に血を上らせているこの破壊神に長門の首肯を見抜くことは無理だろう。
 
 
「さて、このバカキョン!有希だって簡単にあんたを許すわけないでしょ!あんたにはこれから罰を与えるわ!あんたは今日から一週間SOS団雑用係から格下げして団員専属の奴隷よ!あたし達の命令に絶対服従!」
 
俺を指差して断罪するハルヒ。その命令の中に俺の社会的地位をどん底まで突き落とすようなもんがなきゃまだいいが。
 
「あんたの反省態度によるわ」
 
「おいちょっと待て。長門に償う意味で従うのは当然だし、朝比奈さんに命令されれば喜んで服従しよう。お前にだって日頃から俺の反論意志が通ったことなどないから大して変わらんだろうが、古泉にだけは従いたくないね。何故に俺が野郎の奴隷なんぞにならなきゃいけない」
 
「冷たいですね…そんなに信用ないんですか?」
 
ねえよ。
 
「あんたが平団員で古泉君は副団長だからよ!あんた元々古泉君より地位が低いんだから、たまにはそれらしく振る舞いなさい!」
 
やだよ。
 
「反論は却下!!」
 
だろうな。
 
「じゃあまず最初の命令は…」
 
「待て待てハルヒ!お前の判決とやらが覆らないのはもうわかってるが、まず俺に被害を受けた長門が最初に命令するのが筋ってもんだろ?元々長門に俺が迷惑かけたのがことの始まりなんだからな」
 
「む……それもそうね。じゃあ有希!最初にキョンに命令しなさい!あんたいっつも大人しいからもしかしたらストレスとか溜めてない?キョンを使って発散するといいわ!サンドバックとかどう?」
 
長門に本気で殴られたり蹴られたり…あ、蹴られたことはあるな…そんなことされたら俺の命は子供に踏み潰されたアリのように儚く消えるだろう。長門はそんなことはしないと信じたいが……ストレスを限界まで溜めたら世界ごと改変しちまうやつだからな……
 
 
……いや、世界を改変されたくないからそれを防ぐために命令に従おう、なんて考えは不誠実だ。長門だってしたくて暴走したんじゃないんだ。
 
本当にいいの?というかのような表情の長門に、俺は言う。
 
「長門、お前も俺やハルヒに振り回されてストレスが溜まってるだろ?せっかくのいい機会だ、俺に出来ることならやってやるから思う存分吐き出しちまえ」
 
まあ命に関わったり社会的生命を貶めるようなのは嫌だけどな、と苦笑混じりに付け加える。
 
「ちょっと!?あんたはともかくあたしまで有希のストレスの原因ってどういうことよ!?」
 
その無自覚なところとかな。とは言わないでスルーしておく。
 
 
 
「…………わかった…最初の命令……」
 
逡巡していたのか、10秒ほど経って長門が口を開いた。何だ?
 
「…これから一週間…」
 
「おう」
 
「『従いたくないのであれば、私以外の3人の命令に従ってはいけない』」
 
場の空気が凍った。
 
…………
 
…………
 
…………おい、長門?
 
「何」
 
いや、それって罰とは言わないんじゃないか?むしろ救済措置だろ。いや俺からすりゃ3人分減るのは助かるが。
 
「そうよ有希!何言ってるの!?あなた裸見られたのよ!?こいつにはどぎつい罰を与えるべきよ!」
 
「彼ならば気にしない。気にしていないから罰を与えるつもりもなかった。しかし命令が可能だとあなた達が言うので、私がしたいと思った命令を彼にしただけ」
 
何か問題が?とでも言いたげな瞳で首を傾げる。2°くらい。問題大ありだろ。特に最初の一言。
 
「有希!?あんたもっと自分を大事にしなさい!!」
 
ハルヒの台詞を華麗にスルーし、長門が俺に手を伸ばす。
 
 
頭にひどく懐かしい感覚。長門が俺を撫でていた。
 
「………大丈夫?」
 
「えと、…何が?」
 
「頭。先ほど涼宮ハルヒに攻撃を受けた箇所と壁に当たった箇所」
 
「ん…ああ、長門が撫でてくれてるおかげで痛みも引いてきたよ、ありがとな」
 
人間は体の痛む場所を反射的に手で押さえる。それが縛られて出来なかったので正直助かった。どこで知ったかは知らないが、長門にインチキ無しでこういう治療…とは違うが、されるのも悪くない。縛られてなきゃ撫で返してやれるのに。
 
 
などと考えていたら、長門が腕を引っ込め、わずか数秒で俺を縛っていたロープ…どこにあったんだこんなの…をほどいてくれた。
 
「あなたが縛られている必要は皆無。次の命令。頭を撫でてほしい」
 
『命令』なのに『ほしい』か。お安いご用だ、こんくらい。頭を撫でてやる。表情はあまり変わらないが、気持ちいいんだろうか?
 
「わりと」
 
そりゃよかった。
 
「有希!こいつはノックっていう最低限のマナーも忘れて部屋に入ってあんたの裸を見た外道よ!?少しは乙女心を大事にしなさいよ!?」
 
なおも食いつくハルヒ。泣きそうなのは気のせいか?ていうか外道て……
 
「彼がノックをするのはマナーというよりも、朝比奈みくるが着替えをしているかどうかの確認としての意味合いが強い。彼女がいないことを知っていればノックを行わないということは十分予想できた。それにもかかわらず私達は施錠をせずに着替えを始めた。彼1人の過失とは言えない」
 
貴重な長門のマシンガントーク。威力はショットガンだ。何言ってんだ俺。
 
「それに、あなたは先ほどノックは最低限のマナーと言っていたが、私の記憶においてあなたがこの部屋の扉をノックしたことは1度たりともない」
 
「…あ……ぁぅ…」
 
「ノックを行ったかどうかを、あなたがとやかく言うのは不自然」
 
そこまで言ってから、俺にまた命令を出す。
 
「立って」
 
言われるまま立ち上がると、暖かくて柔らかい感触に体が包まれる………!?
 
「長門!?どうした!?」
 
俺に抱きついてきた。
 
「…命令。抱きしめてほしい……お願い」
 
ちょ……それはマズくないですか長門さん!?何か外野2人が石化してますよ!?
 
「……命令」
 
くあーもう!そんな上目遣いで必死(俺にのみわかる程度)に言われたら断れないだろ!?
 
両腕を長門の背中に回す。変なところを触らないよう全意識を集中させる。
 
「………暖かい……」
 
非常に小さくそう呟いた長門。ああ、俺も暖かいぞ。冷や汗ですぐ相殺されそうだがな。
 
……これはこれでいいのかもしれん。人の温もりってのはこの国の普通の人間ならば赤子の頃から知っているはずだもんな。俺の勝手な想像だが、情報生命体でありながら人間に近付きつつある長門だ、母親や父親とかの温もりにでも飢えてるんだろう。
 
 
 
2、3分ほど経ち俺から腕をほどいた長門は
 
「……今日はこれでいい」
 
そう呟き、元の自分の席で読書を始めた。心なしか表情も緩んでいる。長門。
 
「?」
 
「もっと甘えていいからな?」
 
「…………」
 
目の錯覚かと疑うくらい小さくだが、頷いた。
 
 
 
それから一週間、長門の命令という名の甘えは続いた。ハルヒにさせられる命令に比べれば肉体的にも精神的にもずっと楽だ。古泉は3、4日目あたりから見なくなったが。ハルヒも自分が言い出したことなのに不機嫌のようだし。
 
長門の命令はこんなのだ。長門の隣に座ったり、膝枕をして頭を撫でてやったり膝に長門を座らせたり。他にも「カレー屋に連れていって」って言われたから晩飯を奢らされるのかと思ったら、「払わなくていい」と割り勘にしてくれたり。
 
日常生活で気を許せる相手が欲しかったんだろうな。俺も長門といると、なんとなく妹といるような優しい気持ちになる。慈愛に満ちた、そんな感じ。
 
 
最後の日、後数分で俺の(待遇が良すぎる)奴隷命令が解除される。ちなみに長門は俺の膝の上、俺の腕は長門のシートベルト状態。
 
ハルヒは俺と目が合うと、物凄い形相で睨んでくる。なんでも長門に何故俺に罰を与えないのかと聞いたら、「彼にわがままを聞いてもらっても、それにより彼が不快になっては私の本望ではない」と真顔で答えられた、らしい。そんなに長門が自分より俺に懐くのが嫌なのかよ。
 
だが、こんな時にまで俺に気を遣う長門に苦笑しながらも、嬉しく思う。もしかしたら、あの世界改変はこいつの究極のわがままだったのかもな。あれには流石に応えられなかったが、こんくらいのことならいつでもしてやる。
 
 
「時間よ!キョン!有希から離れなさい!」
 
何故か怒りの中に嬉々とした感情を滲ませたハルヒが叫ぶ。もったいないような何かよくわからん喪失感と共に長門を膝から降ろすと、長門と目が合った。
 
「………………」
 
 
………ハルヒから見ればいつもの無表情だろう、本人にとってもいつも通りのつもりだろう。だが俺にはわかる。
 
大切な玩具を取り上げられた……例えが悪いな、まるで家族同然だったペットと別れなければならなくなった幼い子供のような切なげで哀しい表情だった。
 
そんな表情はしてほしくない……この一週間で長門に対して芽生えていた愛しさが、俺にこんなことを口走らせた。
 
 
「あー、長門。そんな顔するなよ。なんならもう少し延長するか?」
 
「…………!」
 
微妙ーーーーに目を見開く。
 
「ちょっとキョン!あんたの奴隷期間はもう終わったの!それより団長命令!あたしにー…」
 
ハルヒが命令を下すより速く、
 
「……………」
 
小さく小さく頷いた長門が俺に抱き付いた。
 
今度は俺の意志で抱きしめる。
 
 
「俺から離れることでお前が辛いってんなら、一緒にいてやるよ。俺の意志でな」
 
長門の耳元で囁く。
 
か細い声で、
 
「………ありがとう……」
 
長門の声が聞こえた。
 
 
数秒後、長門が切り出す。 
 
「………最後の命令。でも、聞きたくなければあなたは聞かなくてもいい」
 
「何だ?」
 
「………私を、あなたのものにして………」
 
ちょっと表現があれだぞ、言いたいことはわかったが。まあ、答えはもう決めてるがな。
 
「いいぜ。付き合ってくれるか、長門?」
 
「………………」
 
ほんの少し大きく、頷いた。
 
 
瞬間、世界が揺らいだ。
 
……ハルヒがいたことをすっかり失念していた……
 
 


 
あるあ………ねーよ!!
 
あれ、甘いのかギャグなのかシリアスなのかわかんなくなった。(本末転倒)
 
色んな意味で間違った品orz
 
 
.

拍手返信

>世界崩壊フラグの〜の方
 
中と外を入れ替えたポジションでの話………
 
 
そのネタいただき☆(帰れ!)
 
今別のネタで書いてるんで、完成( も し )したら是非( 出 来 た ら )書かせてもらいますww
 
拍手ありがとうございました!
 
 
.

やっちまったぜ性転換

Web拍手にてSSを。
 
従来の長門+キョンの超短会話文と、確かニコニコ発祥性転換バージョン長門有希(ユウキ)×キョン子を一本。
 
よかったら見てやってください。そして感想をくださいorz
 
 
………改行多くなって読みづらくてごめんなさいorz
 
………黒歴史orz
 
 
.

拍手返信

>うまいっすね。話の構成が〜の方
 
ありがとうございます!
長編ですか……もしかしたら近いうちにスタートするかもですw
 
拍手ありがとうございました!
 
.

SPEEDの『White Love』が

長門→キョンソングに思えて仕方ないこの頃。腐女子の後輩と『ツンデレよりもクーデレの方がいい』と意気投合。
 
別にハルヒと長門の意味ではないが。
 
本当に小ネタSS……のつもりが数日かかったorz
 
【意外とありそうで怖い世界崩壊フラグ】
 
放課後掃除当番の仕事を終えて、もはや条件反射と言っても過言ではなさそうなくらい当たり前のように部室に向かう。
 
今日は最後かな〜などとどうでもいいことを考えていると、部室の扉の前に突っ立っているイケメン超能力者が視界に入る。どうした?入らないのか?
 
「ああどうも。それがですね、ここに来てノックしようとしたら涼宮さんの、『古泉君とバカキョンがいないから、女同士の話をしましょ!』という声が聞こえまして」
 
そりゃ入れないな。何について話すんだろうな?
 
「恐らく、貴方と僕がいないのが都合のいいことであるなら、異性についての会話でしょう」
 
あのハルヒがか?恋愛を一種の精神病だとか言うやつが『ズバリ、みくるちゃんと有希!あんた達好きな人とかいる!?』
 
……あったよ。そんなこと話題に出すなぞ谷口と同レベかい。それとも何か?東中学出身者は皆そっち系の話を振るのが好きなのか?
 
「いやはや、やっぱりですか」
 
「おいおい、こんな会話立ち聞きするのはマズくないか?明らかに会話が終わってから入るのは不自然だろ」
 
「そうですが、かといって外で長い時間を潰すというのも、涼宮さんからすれば疑われる要素になりうると思いますよ」
 
まあ確かにハルヒは、こいつらはともかく俺には執拗に遅い理由を問うだろうからな…
 
「それに……興味はありませんか?あの涼宮さんをはじめ、未来人とはいえ学校一と言っても過言ではない美しさを持つ朝比奈さん、そして情報生命体である長門さんが、果たして誰か異性に恋心もしくはそれに近い好意を持っているのかいないのか、もし持っているのならその対象は誰か?」
 
「う……そりゃ、まあ……興味がないと言えば嘘になるな…」
 
あのハルヒに好きな人がいるかどうかもそうだし、未来にいずれ帰らなければいけないから、この時代の人間との恋愛を禁止されているという朝比奈さんに、もしそういう対象がいて、それで苦しんでいるというのなら力になりたいし、人間のように誰かを好きになるという感情を長門が手に入れているのかは滅茶苦茶知りたい。
 
……ははっ…何だかんだ言って俺も谷口と同レベか……
 
「別に落ち込むことでもないと思いますよ?むしろ一般的な思春期の高校生ならば、こういったことに興味を持たない方がおかしいのでは?」
 
そういうもんかね?
 
「ええ。適当に入るタイミングをとれば大丈夫です。もし追及されれば僕が言い出しっぺだと名乗りますよ」
 
「ふーん……信用していいんだな?」
 
「ええ(これで涼宮さんが彼への好意を僅かにでも漏らしてくれれば、2人の距離が近付いていくでしょうし)」
 
古泉の含み笑いに嫌な予感がしたが、俺達は女子陣の会話を聴くことにした。
 
 
 
 
『ふぇ!?好きな人…ですかぁ〜?』
 
『そうよ〜みくるちゃん!有希もほら、本ばっかり読んでないでお話しましょうよ!』
 
微妙にヒドくねえかハルヒ。長門なら本を読みながらでも会話に参加くらい出来るだろうに。
 
『……………』
 
バタン、と大きな音がする。長門が本を閉じたのだろう。
 
『……あなたの言う『好きな人』というのは、自分が好意を抱いている対象ということ?』
 
『そそ、それって鶴屋さんとかみたいなお友達とかも入れてですか〜!?』
 
『ふっふ〜ん!甘いわよみくるちゃん!愛は愛でも友愛じゃなくて恋愛の愛よ!男共はいないんだし、カミングアウトしちゃいなさい!ほら!』
 
『ふえ〜〜〜!?』
 
『………………』
 
朝比奈さんは予想通りの反応。長門はやっぱりだんまりだ。でも気のせいか?普通に俺達に気付いてんじゃないのか?
 
『ほらほら!白状しなさいみくるちゃん!』
 
『だっ、ダメですぅ〜!言えませ〜ん!『禁則事項』ですぅ〜!』
 
 
「…………古泉」
 
「何でしょう?」
 
「今の朝比奈さんの反応…俺の気のせいか知らんが、『好きな人はいるけど言えない』ってニュアンスに聞こえるんだが…いないんならいないって言うと思うんだが…」
 
「………かもですね……」
 
朝比奈さんのハートを射止めた男か……とりあえず会えたら殴っとこうか……
 
 
『もう!面白くないわね〜』
 
『ふえぇ〜……』
 
『じゃあ有希は?誰か好きな人いないの?クラスとかにカッコいい男子とかいるんじゃない?まあ有希はとっても優秀だから、あたしの眼鏡にかなう男じゃなきゃダメだけどね!』
 
長門の気持ちはスルーかい。俺も同感だが。
 
『……………』
 
『ほら有希!言っちゃいなさいよ!』
 
『まずはあなたのことを聞きたい』
 
『えっ!?』
 
 
「おい、切り返されただけで何をテンパっとんだハルヒの奴。自分が振った話題なんだから自分が聞かれることもあるだろうに」
 
「何ででしょうね〜(長門さん、GJ!)」
 
 
『えっあっあたしは…!』
 
『こういう話題は、まず話題を切り出した者が初めに言うものだと考えている』
 
『そ、そうですよ〜涼宮さんもいるんじゃないんですか〜?キョン君とか〜?』
 
そこでどうして俺の名前が出るんですか朝比奈さん?
 
『はあ!?な、何言ってんのよみくるちゃん!誰があんな奴を!!』
 
 
「っ!(そこでツンは要らないですよ涼宮さん!!)」
 
「ふ〜ん、わかりきったことだがああハッキリ言われると少し傷つくな…」
 
「!!(これは、自覚はないが脈ありですか!?イケる!!デレてください!!)」
 
古泉、何ハラハラしとんだ?
 
 
『ほらほら〜涼宮さ〜ん♪』
 
『う、うるさいうるさい!今はあたしのことはいいの!有希、まずあんたよ!』
 
 
「ちっ!」
 
「!?(こ、古泉が舌打ち!?古泉の奴、ハルヒの恋愛事情がそんなに気になるのか!?まさか古泉、お前ハルヒのことが…?)」
 
 
『……………』
 
『ほら!そこで都合よくだんまりなんて許さないわよ!白状しちゃいなさい!』
 
『………絶対?』
 
『そうよ!好きな人がいるならいる!いないならいない!ハッキリ言いなさい!』
 
ヤケだなハルヒ……
 
『…………いる』
 
『『え!?』』
 
な、何ですとー!?
 
『私が関わった人物において、あなたが知りたいような感情を抱いている対象がいる。その者は確かに私にとって、どんなものにも、何にも代え難い特別な存在』
 
 
……お父さん嬉しいよ長門。人間らしくなって……などとアホみたいなことはおいといて、その対象は誰だ!?もしヘタな奴ならぶっ飛ばしてやる!!
 
「……何を興奮しているのですか?」
 
「スマン、取り乱した。なんつーか、大切に育てていた娘が嫁に行くときの親父の心境にシンクロしちまった」
 
「………そうですか…(嫌な予感がしますよ……)」
 
 
『ゆ、有希!誰よそれ!?教えなさい気になるから!いや待って、例えばそいつと世界を天秤にかけるとしたらどっちをとるの!?』
 
何をワケのわからんことを。俺もそうだがハルヒも相当テンパってんな……
 
 
『…………私はその者の意志を最大限尊重する。しかし、もし許されるのならば世界を犠牲にしてでもその者といたい』
 
!?
 
『そ、そうなの……有希って大人しく見えて意外と熱いとこあるんだ……で、誰なのよそいつは!?』
 
『『     』』
 
 
「!!!??」
 
長門!?どうしてそこで俺の名前が!?古泉、お前どうしてそんな引きつった顔してんだ!?
 
 
『ふぇぇ!!?』
 
『え、みくるちゃん!?知ってるのそいつ!?……いったいどこの誰かしら……』
 
お前の目の前の席にいるよ!!
 
『ねえ有希、そいつクラスが一緒なの?部活とかは?図書館での読書仲間?』
 
読書仲間じゃないがお前と同じクラスでお前の部下第1号だよ!長門に告られた嬉しさと恥ずかしさとハルヒに忘れ去られたショックがいい感じに均衡を保ってる……
 
『同学年だがクラスは5組』
 
『え?そんな名前の奴いたかしら…』
 
『正式な部活には所属していないが、非公式の同好会にいる』
 
『へぇ、何て同好会?』
 
『SOS団』
 
バキィッ
 
 
 
擬音化するならそんな感じに空気が凍り付いた。
 
 
 
たっぷり1分後、時が動き出した。
 
『……有希?』
 
『何?』
 
『そいつって、SOS団団員の1人なの?』
 
『そう』
 
『……まさか、あだ名は『キョン』とかだったりする?』
 
『そう』
 
『『『……………』』』
 
「「…………………」」
 
『だ、ダメよ!!』
 
『何が?』
 
『何がって……あ、アレよ!有希にはキョンなんかじゃ全っっ然釣り合わないわ!例えるなら龍とミジンコよ!勿論有希が龍よ!?』
 
うわひでえ!!
 
『あなたが私達をどう例えようと勝手だが、少なくとも私は彼をそんな風には思わない』
 
『ぐっ……ででででも、有希にはもっといい人がいるわ!!』
 
『誰?』
 
『そ、そうね……ほ、ほら!古泉君とか!イケメンだし気は利くし色んな方面に顔が広いじゃない!』
 
『確かに古泉一樹は一般的な高校生男子においても高い水準で整った顔をしているが、それと比較しても彼の顔が相当悪いとは言えない。また、彼も私をよく気にかけてくれる』
 
『うっ……で、でもキョンはいっつもみくるちゃんとかのコスプレにだらしなく鼻の下伸ばしてるエロい男よ!古泉君はそんなことない紳士よ!』
 
『朝比奈みくるを万人受けするマスコットキャラクターとして連れてきたのはあなた。それに彼が好意ある視線を向けたとしても、彼が思春期なるものを迎えた高校生男子ならばむしろ当然の行為と言える。ただ、朝比奈みくるにばかり目を向けていることが少々不満であるのは同意する。私は彼にもっと見てほしい。それに、一見では彼ほどではないが、古泉一樹も朝比奈みくるの姿に精神の保養を図っている』
 
 
 
「「………………」」
 
「………………古泉」
 
「………何ですか?」
 
「お前も……男だったんだな……」
 
「…………否定はしませんよ……」
 
 
微妙に古泉とわかり合えた気がする……
 
 
 
『と、とにかくダメよ!!あんなバカでアホでマヌケで変態で役立たずでダメダメな男、やめなさい!!』
 
 
そんな評価を下す相手を傍においとく意味がわからない。
 
「……本気、ですか?いや、本気でわからないんでしょうね……」
 
 
『それはあなたの評価に過ぎない。私には私の彼に対する評価がある』
 
『そ、それでも!!100人に聞いたら120人がキョンより古泉君がいいって言うわ!!』
 
『20人増える意味が理解できない。でも、1つわかった』
 
『え?』
 
『あなたが言うところの大多数の人間、並びにあなたは、彼よりも古泉一樹に高い評価をおくということ』
 
まあ、そりゃそうか。
 
『そ、そうよ!!』
 
『それはすなわち、』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『あなたは少なくとも、彼ではなく古泉一樹に好意を寄せているものと理解した』
 
『………………え?』
 
 
確かに、そういうことだろう。
 
 
 
突然、扉が開く。
 
「「!?」」
 
「…………」
 
長門だった。
 
「………!!」
 
ハルヒは完全に固まってる。
 
「………聞いてた?」
 
う、す、すまん……どんな話をしてるか気になってな……
 
「いい。罰ゲーム1つで」
 
な、何を!?
 
長門は俺の袖をつまみ……じゃなく、腕を絡めてくる。
 
「これから、図書館に付いてきてもらう。それと、返事がほしい」
 
へ?
 
「私は直接ではないが、あなたに告白ともいえる行為をした。……あなたは、私は嫌……?」
 
「………そんなことは、絶対にない。むしろ、お前は俺なんかでいいのか……?」
 
「あなたがいい」
 
「………そうか。色々至らねえけど、よろしく…」
 
「………こちらこそ…」
 
長門の顔は、ほんの一滴赤い絵の具を垂らしたように朱に染まる。……可愛いな。
 
 
「ちょ、ちょっとキョン!!」
 
くそ、いい雰囲気だったのに!何だ?

 
「あ、あんたが有希に釣り合うわけないじゃない!」
 
「別にいいだろ。俺は長門が嫌いじゃないし長門も俺がいいって言ってくれてるんだからさ。それと、話を立ち聞きしたのは謝る。古泉に言われてな」
 
「何ですって!?」
 
「う……(そこで僕に振りますか!?)」
 
「ああまあ、古泉を責めないでやってくれ。コイツはお前が誰が好きかって話の時、気が気じゃなかったみたいだぜ。お前も古泉に高い好印象があるんだから、付き合えばいいんじゃないか。結構お似合いだと思うぞ」
 
「「な゛………」」
 
2人一緒に固まる。朝比奈さんもいるから3人か。
 
ん?腕に痛みが。
 
「……………」
 
長門が俺の腕を軽くつねってジト目で俺を見ている。すまん長門、早く行こうか。図書館が閉まっちまう。
 
「そう。でも待って。少し屈んで」
 
「?」
 
長門に言われた通り、膝を軽く折って長門と目線を合わす。
 
「……………」
 
長門に頭をホールドされる。そして……
 
俺が目を閉じる暇もなく、目を閉じた長門の唇が俺の唇に重なった。
 
 
「「「………………!!」」」
 
きっかり5秒ほど、誰も動けなかった。
 
 
 
「………ぷは……」
 
………甘かった……長門…?
 
「………浮気防止薬。早く行こう」
 
長門は腕をまた絡め、俺を引っ張る。焦り気味な歩調から、照れてるのか。
 
可愛い奴め、笑みが止まらんじゃないか。
 
「わかったわかった。それじゃ早く行こうか、お姫様」
 
 
 
俺達は腕を絡めたまま、図書館まで向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「「「……………………」」」
 
「あ、あの〜……涼宮さん?」
 
「………………………………」
 
「………あ、携帯が…………」
 
「…………滅びろこんな世界」
 
 


 
あれ、何か甘くなった。
 
 
……誰か黒長門orピュア長門サイドで書いてくれないかな(自分で書け!!) 
 
黒長門に悶え始めた俺はもうダメか……
 
 
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