長門→キョンソングに思えて仕方ないこの頃。腐女子の後輩と『ツンデレよりもクーデレの方がいい』と意気投合。
別にハルヒと長門の意味ではないが。
本当に小ネタSS……のつもりが数日かかったorz
【意外とありそうで怖い世界崩壊フラグ】
放課後掃除当番の仕事を終えて、もはや条件反射と言っても過言ではなさそうなくらい当たり前のように部室に向かう。
今日は最後かな〜などとどうでもいいことを考えていると、部室の扉の前に突っ立っているイケメン超能力者が視界に入る。どうした?入らないのか?
「ああどうも。それがですね、ここに来てノックしようとしたら涼宮さんの、『古泉君とバカキョンがいないから、女同士の話をしましょ!』という声が聞こえまして」
そりゃ入れないな。何について話すんだろうな?
「恐らく、貴方と僕がいないのが都合のいいことであるなら、異性についての会話でしょう」
あのハルヒがか?恋愛を一種の精神病だとか言うやつが『ズバリ、みくるちゃんと有希!あんた達好きな人とかいる!?』
……あったよ。そんなこと話題に出すなぞ谷口と同レベかい。それとも何か?東中学出身者は皆そっち系の話を振るのが好きなのか?
「いやはや、やっぱりですか」
「おいおい、こんな会話立ち聞きするのはマズくないか?明らかに会話が終わってから入るのは不自然だろ」
「そうですが、かといって外で長い時間を潰すというのも、涼宮さんからすれば疑われる要素になりうると思いますよ」
まあ確かにハルヒは、こいつらはともかく俺には執拗に遅い理由を問うだろうからな…
「それに……興味はありませんか?あの涼宮さんをはじめ、未来人とはいえ学校一と言っても過言ではない美しさを持つ朝比奈さん、そして情報生命体である長門さんが、果たして誰か異性に恋心もしくはそれに近い好意を持っているのかいないのか、もし持っているのならその対象は誰か?」
「う……そりゃ、まあ……興味がないと言えば嘘になるな…」
あのハルヒに好きな人がいるかどうかもそうだし、未来にいずれ帰らなければいけないから、この時代の人間との恋愛を禁止されているという朝比奈さんに、もしそういう対象がいて、それで苦しんでいるというのなら力になりたいし、人間のように誰かを好きになるという感情を長門が手に入れているのかは滅茶苦茶知りたい。
……ははっ…何だかんだ言って俺も谷口と同レベか……
「別に落ち込むことでもないと思いますよ?むしろ一般的な思春期の高校生ならば、こういったことに興味を持たない方がおかしいのでは?」
そういうもんかね?
「ええ。適当に入るタイミングをとれば大丈夫です。もし追及されれば僕が言い出しっぺだと名乗りますよ」
「ふーん……信用していいんだな?」
「ええ(これで涼宮さんが彼への好意を僅かにでも漏らしてくれれば、2人の距離が近付いていくでしょうし)」
古泉の含み笑いに嫌な予感がしたが、俺達は女子陣の会話を聴くことにした。
『ふぇ!?好きな人…ですかぁ〜?』
『そうよ〜みくるちゃん!有希もほら、本ばっかり読んでないでお話しましょうよ!』
微妙にヒドくねえかハルヒ。長門なら本を読みながらでも会話に参加くらい出来るだろうに。
『……………』
バタン、と大きな音がする。長門が本を閉じたのだろう。
『……あなたの言う『好きな人』というのは、自分が好意を抱いている対象ということ?』
『そそ、それって鶴屋さんとかみたいなお友達とかも入れてですか〜!?』
『ふっふ〜ん!甘いわよみくるちゃん!愛は愛でも友愛じゃなくて恋愛の愛よ!男共はいないんだし、カミングアウトしちゃいなさい!ほら!』
『ふえ〜〜〜!?』
『………………』
朝比奈さんは予想通りの反応。長門はやっぱりだんまりだ。でも気のせいか?普通に俺達に気付いてんじゃないのか?
『ほらほら!白状しなさいみくるちゃん!』
『だっ、ダメですぅ〜!言えませ〜ん!『禁則事項』ですぅ〜!』
「…………古泉」
「何でしょう?」
「今の朝比奈さんの反応…俺の気のせいか知らんが、『好きな人はいるけど言えない』ってニュアンスに聞こえるんだが…いないんならいないって言うと思うんだが…」
「………かもですね……」
朝比奈さんのハートを射止めた男か……とりあえず会えたら殴っとこうか……
『もう!面白くないわね〜』
『ふえぇ〜……』
『じゃあ有希は?誰か好きな人いないの?クラスとかにカッコいい男子とかいるんじゃない?まあ有希はとっても優秀だから、あたしの眼鏡にかなう男じゃなきゃダメだけどね!』
長門の気持ちはスルーかい。俺も同感だが。
『……………』
『ほら有希!言っちゃいなさいよ!』
『まずはあなたのことを聞きたい』
『えっ!?』
「おい、切り返されただけで何をテンパっとんだハルヒの奴。自分が振った話題なんだから自分が聞かれることもあるだろうに」
「何ででしょうね〜(長門さん、GJ!)」
『えっあっあたしは…!』
『こういう話題は、まず話題を切り出した者が初めに言うものだと考えている』
『そ、そうですよ〜涼宮さんもいるんじゃないんですか〜?キョン君とか〜?』
そこでどうして俺の名前が出るんですか朝比奈さん?
『はあ!?な、何言ってんのよみくるちゃん!誰があんな奴を!!』
「っ!(そこでツンは要らないですよ涼宮さん!!)」
「ふ〜ん、わかりきったことだがああハッキリ言われると少し傷つくな…」
「!!(これは、自覚はないが脈ありですか!?イケる!!デレてください!!)」
古泉、何ハラハラしとんだ?
『ほらほら〜涼宮さ〜ん♪』
『う、うるさいうるさい!今はあたしのことはいいの!有希、まずあんたよ!』
「ちっ!」
「!?(こ、古泉が舌打ち!?古泉の奴、ハルヒの恋愛事情がそんなに気になるのか!?まさか古泉、お前ハルヒのことが…?)」
『……………』
『ほら!そこで都合よくだんまりなんて許さないわよ!白状しちゃいなさい!』
『………絶対?』
『そうよ!好きな人がいるならいる!いないならいない!ハッキリ言いなさい!』
ヤケだなハルヒ……
『…………いる』
『『え!?』』
な、何ですとー!?
『私が関わった人物において、あなたが知りたいような感情を抱いている対象がいる。その者は確かに私にとって、どんなものにも、何にも代え難い特別な存在』
……お父さん嬉しいよ長門。人間らしくなって……などとアホみたいなことはおいといて、その対象は誰だ!?もしヘタな奴ならぶっ飛ばしてやる!!
「……何を興奮しているのですか?」
「スマン、取り乱した。なんつーか、大切に育てていた娘が嫁に行くときの親父の心境にシンクロしちまった」
「………そうですか…(嫌な予感がしますよ……)」
『ゆ、有希!誰よそれ!?教えなさい気になるから!いや待って、例えばそいつと世界を天秤にかけるとしたらどっちをとるの!?』
何をワケのわからんことを。俺もそうだがハルヒも相当テンパってんな……
『…………私はその者の意志を最大限尊重する。しかし、もし許されるのならば世界を犠牲にしてでもその者といたい』
!?
『そ、そうなの……有希って大人しく見えて意外と熱いとこあるんだ……で、誰なのよそいつは!?』
『『 』』
「!!!??」
長門!?どうしてそこで俺の名前が!?古泉、お前どうしてそんな引きつった顔してんだ!?
『ふぇぇ!!?』
『え、みくるちゃん!?知ってるのそいつ!?……いったいどこの誰かしら……』
お前の目の前の席にいるよ!!
『ねえ有希、そいつクラスが一緒なの?部活とかは?図書館での読書仲間?』
読書仲間じゃないがお前と同じクラスでお前の部下第1号だよ!長門に告られた嬉しさと恥ずかしさとハルヒに忘れ去られたショックがいい感じに均衡を保ってる……
『同学年だがクラスは5組』
『え?そんな名前の奴いたかしら…』
『正式な部活には所属していないが、非公式の同好会にいる』
『へぇ、何て同好会?』
『SOS団』
バキィッ
擬音化するならそんな感じに空気が凍り付いた。
たっぷり1分後、時が動き出した。
『……有希?』
『何?』
『そいつって、SOS団団員の1人なの?』
『そう』
『……まさか、あだ名は『キョン』とかだったりする?』
『そう』
『『『……………』』』
「「…………………」」
『だ、ダメよ!!』
『何が?』
『何がって……あ、アレよ!有希にはキョンなんかじゃ全っっ然釣り合わないわ!例えるなら龍とミジンコよ!勿論有希が龍よ!?』
うわひでえ!!
『あなたが私達をどう例えようと勝手だが、少なくとも私は彼をそんな風には思わない』
『ぐっ……ででででも、有希にはもっといい人がいるわ!!』
『誰?』
『そ、そうね……ほ、ほら!古泉君とか!イケメンだし気は利くし色んな方面に顔が広いじゃない!』
『確かに古泉一樹は一般的な高校生男子においても高い水準で整った顔をしているが、それと比較しても彼の顔が相当悪いとは言えない。また、彼も私をよく気にかけてくれる』
『うっ……で、でもキョンはいっつもみくるちゃんとかのコスプレにだらしなく鼻の下伸ばしてるエロい男よ!古泉君はそんなことない紳士よ!』
『朝比奈みくるを万人受けするマスコットキャラクターとして連れてきたのはあなた。それに彼が好意ある視線を向けたとしても、彼が思春期なるものを迎えた高校生男子ならばむしろ当然の行為と言える。ただ、朝比奈みくるにばかり目を向けていることが少々不満であるのは同意する。私は彼にもっと見てほしい。それに、一見では彼ほどではないが、古泉一樹も朝比奈みくるの姿に精神の保養を図っている』
「「………………」」
「………………古泉」
「………何ですか?」
「お前も……男だったんだな……」
「…………否定はしませんよ……」
微妙に古泉とわかり合えた気がする……
『と、とにかくダメよ!!あんなバカでアホでマヌケで変態で役立たずでダメダメな男、やめなさい!!』
そんな評価を下す相手を傍においとく意味がわからない。
「……本気、ですか?いや、本気でわからないんでしょうね……」
『それはあなたの評価に過ぎない。私には私の彼に対する評価がある』
『そ、それでも!!100人に聞いたら120人がキョンより古泉君がいいって言うわ!!』
『20人増える意味が理解できない。でも、1つわかった』
『え?』
『あなたが言うところの大多数の人間、並びにあなたは、彼よりも古泉一樹に高い評価をおくということ』
まあ、そりゃそうか。
『そ、そうよ!!』
『それはすなわち、』
『あなたは少なくとも、彼ではなく古泉一樹に好意を寄せているものと理解した』
『………………え?』
確かに、そういうことだろう。
突然、扉が開く。
「「!?」」
「…………」
長門だった。
「………!!」
ハルヒは完全に固まってる。
「………聞いてた?」
う、す、すまん……どんな話をしてるか気になってな……
「いい。罰ゲーム1つで」
な、何を!?
長門は俺の袖をつまみ……じゃなく、腕を絡めてくる。
「これから、図書館に付いてきてもらう。それと、返事がほしい」
へ?
「私は直接ではないが、あなたに告白ともいえる行為をした。……あなたは、私は嫌……?」
「………そんなことは、絶対にない。むしろ、お前は俺なんかでいいのか……?」
「あなたがいい」
「………そうか。色々至らねえけど、よろしく…」
「………こちらこそ…」
長門の顔は、ほんの一滴赤い絵の具を垂らしたように朱に染まる。……可愛いな。
「ちょ、ちょっとキョン!!」
くそ、いい雰囲気だったのに!何だ?
「あ、あんたが有希に釣り合うわけないじゃない!」
「別にいいだろ。俺は長門が嫌いじゃないし長門も俺がいいって言ってくれてるんだからさ。それと、話を立ち聞きしたのは謝る。古泉に言われてな」
「何ですって!?」
「う……(そこで僕に振りますか!?)」
「ああまあ、古泉を責めないでやってくれ。コイツはお前が誰が好きかって話の時、気が気じゃなかったみたいだぜ。お前も古泉に高い好印象があるんだから、付き合えばいいんじゃないか。結構お似合いだと思うぞ」
「「な゛………」」
2人一緒に固まる。朝比奈さんもいるから3人か。
ん?腕に痛みが。
「……………」
長門が俺の腕を軽くつねってジト目で俺を見ている。すまん長門、早く行こうか。図書館が閉まっちまう。
「そう。でも待って。少し屈んで」
「?」
長門に言われた通り、膝を軽く折って長門と目線を合わす。
「……………」
長門に頭をホールドされる。そして……
俺が目を閉じる暇もなく、目を閉じた長門の唇が俺の唇に重なった。
「「「………………!!」」」
きっかり5秒ほど、誰も動けなかった。
「………ぷは……」
………甘かった……長門…?
「………浮気防止薬。早く行こう」
長門は腕をまた絡め、俺を引っ張る。焦り気味な歩調から、照れてるのか。
可愛い奴め、笑みが止まらんじゃないか。
「わかったわかった。それじゃ早く行こうか、お姫様」
俺達は腕を絡めたまま、図書館まで向かった。
「「「……………………」」」
「あ、あの〜……涼宮さん?」
「………………………………」
「………あ、携帯が…………」
「…………滅びろこんな世界」
あれ、何か甘くなった。
……誰か黒長門orピュア長門サイドで書いてくれないかな(自分で書け!!)
黒長門に悶え始めた俺はもうダメか……
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