携帯におとした着うたフルの『雪、無音、窓辺にて。』の再生回数が他のJ-POPよりはるかに多い件について。
キョン長?SS
キャラソンネタ…
【favorite song】
「キョン」
今日も今日とて主に神の気まぐれによって巻き起こる、常識外れの非日常が訪れることもなくぼんやりと流れる俺にとっての日常。といっても俺の知り合いつーか仲間に宇宙人・未来人・超能力者が確かに存在している時点で俺の去年まで当然といえた常識は、もはや神に近付きすぎて地に墜とされた英雄とやらのデッドラインほどまで吹っ飛んでいた。我ながらよくわからんたとえだな。
「キョン〜?」
そして俺は現在俺の個人的にかなりツボである歌い手の澄んだ声を携帯からイヤホン越しに傾聴している。何度聴いてもいい声だな。こんなワケのわからんモノローグを浮かべててうっかり聞き逃すことがとてつもなく損だとさえ思うぐらいにな。
「キョーンー?」
ああ、何度でも言うがいい声だ。朝比奈さんの淹れるお茶ほどに日々疲れた俺の荒みつつある心を優しく癒してくれるね。俺ほど気苦労の絶えない一般的高校生なんていないだろう、つーかいてたまるか。
「キョーーン!!」
「おぅわっ!?」
何だ何だ!?見るとハルヒが物凄い剣幕で俺を睨んでいる。どうかしたのか?俺はとりあえず曲を一時停止しイヤホンを耳から外して問い掛ける。
「あんたねぇ、団長が再三に渡って呼び掛けてんのに無視し続けるなんて随分偉くなったもんねぇ?」
ふと古泉を見ると、微っ妙に顔が引きつってやがる。悪かったよハルヒ。携帯の曲をイヤホンで聴いてるとわかるが、こいつは想像以上に周囲への聴覚が疎かになるもんなんだ。呼ばれてるのに気付かなかったんだよ。無視してたわけじゃねえんだ、許してくれ。
いつになく素直な俺の謝罪が通じたのか、ハルヒのご機嫌もやや良くなったようだ。が、攻撃対象ロックを解くにはまだ早かったようで、
「ふーん…じゃああんたが団長の呼び掛けにさえ気付かないほど聴き入ってた歌って何なのかしらねえ……?」
おい何だその目は。何俺の一時停止中の携帯狙ってんだ。別に俺が何聴いてようといいだろうが。さっさと呼び掛けた用件を言え。俺は続きを聴きたいんだ。
「ふーん……」
ハルヒはますます目を細めて、
「いただきっ!」
暗殺者ばりのスピードで俺の携帯を奪い、俺が返せと言う間さえないうちに携帯からイヤホンを抜き再生を押して音量を上げた。
いーろがない 世界で 見ーつけたの you are star 〜♪
…………………
部室を嫌な沈黙が包む。この3点リーダは何人分だ?知るか。
おいハルヒ、何だその某蝉モードの目は。冗談抜きで怖いぞ。朝比奈さん、あなたは怯えすぎです。長門、出来るならフォローしてくれ。何顔伏せてんだ。古泉、お前は知らん。
「あんた……そんなに有希がいいんだぁ……」
だから怖いって。言っとくがな、俺はSOS団の女性陣の歌を聴いていて、たまたま今のが長門のだっただけだ。3人ともキレイな声してるから聴き惚れるのも仕方ねえだろ?
俺がそう言うと、ハルヒは顔を赤くし「ばっ…バカ!」と言ってそっぽを向いた。ふぅ、助かった。
その後は辛かった。ハルヒがいきなり「ここでカラオケ大会するわよ!」と叫んで全員歌うことになり、俺はハルヒの持ち歌のほとんどに強制的にデュエットさせられ、喉が潰れかけた。
ハルヒの機嫌は段々良くなっていったが、長門がいきなり「やめとーけとー 言うべーきかー」って歌い始めた時にまたも修羅モードになった。
おい古泉!俺のせいじゃねえだろ!
そのもう少し後のことだ。帰り道、俺と長門の2人で帰っていると長門がおもむろに口を開く。
「あなたは」
「ん?何だ長門」
「SOS団の女性3人の声がキレイだと言った」
ああ、否定する気はないし俺の正直な感想だぞ。すると長門は微――――妙に不安げな表情で俺に問う。
「じゃぁ……私の声はあなたにとって好ましいもの?」
もちろんだ。特にお前は口数が少ないからより朗らかな歌声に価値があるように思うぜ。あ、だからって口数を無理して増やそうとはするなよ。お前には人間みたいに自然に成長してほしいし、何より無理だけはしてほしくないからな。それに、今のお前だって十分魅力的だ。
よくよく考えたらとんでもなくこっぱずかしい台詞を吐いたが本音なので気にしない。すると長門は不安を少し緩めた表情で俺に尋ねた。
「では……私達のうち、誰の歌声があなたにとって1番だった……?」
長門は真剣な瞳で俺を貫く。俺は少し気恥ずかしかったが、正直に答えたよ。内容?教えねえよ。ヒントならやるがな。
俺の隣にいる読書大好き宇宙人が、非常―――に薄いながらも確かに
微笑んでくれたってことだな。
――――
何か途中で消えるぞこれorz
長門はキョンの嫁。
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