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書き物:其の7


―某マクド○ルドにて。

「ま、やっぱりいつも通りじゃないのは順番だけってことだな。そこまで気にすることじゃない。」

トレイに乗っけてある山盛りのポテトを黙々と減らしながら浅倉は呟いた。
リハは繰り上がったが、予期せぬ事態はそれだけで、バンドサウンドとしては何も変わらずいつも通りだった。

「いつも通りどころか、進化したじゃん、今回は。西園寺クンがチャイナシンバルなんかもってきちゃって。」

杉原は三つめのアップルパイを食べ終え、すぐまた次のアップルパイにとりかかった。

「あの…どうでもいいんだけど、さ。むしろこれもいつも通りなんだけどさ」

言いづらそうに渚は口ごもるが、それでも浅倉、杉原の両人は黙々と目の前にあるものを処理する。

「セット…頼もうよ。せっかくなんだし、そんな奇食みた―」

「安くていいんだよ」
「安くていいのー」

はもった、前半部分が半端なく綺麗に。
奇食、とまではいかずとも、二人のトレイの上は奇妙と言わざるをえなかった。浅倉の方にはポテトの山、まさに山。杉原の方にはアップルパイ5つ。
対して渚、西園寺の方は普通にセットメニューである。

「よく飽きないな…」

思わず呟いてしまうほどすごいところがある。

「今頃、例のバンドさんはリハ中かねぇ…」

窓の外を眺めつつ、黙々とポテトをつまみつつ、浅倉はぼやく。

「時間的には、そろそろ始まる頃だろう。急げば間に合いそうだな」

ハンバーガーの包みで鶴を折りながら、例によって独り言のようにぼやく。

「行っちゃう?」

4つめを完食し、最後のアップルパイを睨みながら杉原は尋ねた。若干辛そうな顔をしながら、最後の一つに手をかける。

「私は…パス。もうちょっとゆっくりしたいし」

「俺は行くわ、やっぱり若干興味あるしな」

「んじゃぁウチも行く。あと三分だけ待って…」

苦しそうだった。正直、こんな杉原は、見てられない。それに比べて浅倉のトレイの上には、脂ぎった紙以外、何一つなかった。

「西園寺は?」

何気なく渚は問う。

「俺は、今からアップルパイを買いに行くからやめておく。」

西園寺はそれだけ言うと、すたすたとレジの方へ向かった。杉原のを見ていて食べたくなったのか、どうなのか。

ちなみに、渚はまだハンバーガー半分くらいしか食べれてなかったりした。


7.手打ち料と色んな真実の序章‐3
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