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四萬打企画!!最終日





はい、最終日でございます。
何だかんだで一週間連続で投稿できましたね。
うん。誰だ一日遅れてない?って言ったヤツ。あ、私か。←




では茶番もこの辺にして、どうぞ!!





【(タイトル未定)】



新城真人
《シンジョウ マサト》





〜死〜






声が聴こえたんだ。



透き通った声が



純粋で柔らかな声が



安心感のある声が









もしかしたら、それは…





*********





只今、午前11時55分。


いつもなら、青空町は極々平和な時間を送っている頃……なのだが、今日は違った。



「オイ、お前」


「………何?」


「持っている拳銃を捨てろ」


「……」


「…チッ……テメェ、聞こえなかったのか…?俺は、拳銃を捨てろっつってんだよ!」


「……分かってるわよ」


たった今、私は、指名手配中になっている男数名と、犯罪者であり、幼馴染みでもある男に拉致られ、立て籠り状態になってしまった。


私の名前は新城真人。一応、この青空町を守っている刑事だ。


それなのにこんな無様に縛り上げられ、凶悪犯目の前に丸腰の状態にされてしまった、最悪の事態に出会してしまったのは、警察庁長官の娘だからか、凶悪犯を束ねるリーダーが、親友だったからなのか……。


それともただ運が悪かっただけか…とにかく、理由は様々だろうが、危険な状況には変わりない。



――コツ…ッ



「真人」


不意に、この場に似合わない陽気な声が響いた。


聞いたことのある声色の持ち主が、私に近付いてくる。


思わず体が強張った。


「……」


「やだなぁ。せっかく久しぶりに会ったんだから、返事くらいしようよ?」


「……」


生憎だが、久しぶりだろうと楽しい会話をする気など更々無い。と、視線で訴える。


どうして、こんな奴と何年も友達として付き合ってこれたのか、未だに分からない。


「頑固だねぇ?そーゆうトコ、君のお父さんソックリだ」


「………アンタに、バカ親父の事なんて語られたくないね」


私は、幼馴染みをキツく睨み付ける。


しかし、異常な奴にこんなことをしても、驚くわけがなかった。


「フフッ、そっか…真人は、お父さんのこと尊敬してるんだったねー」


イラつくくらい、滑稽に笑ってやがる。


「でもさぁ、ほんっとに君も、君のお父さんもムカつくよね。俺の仲間を次々と、躊躇無く殺していっちゃうんだから。オマケにウザいくらいに生真面目だし」


「……こっちも散々仲間を虐殺された。怒りは、アンタだけが感じているわけじゃないわ」


「…あぁ、そう…」



――ガッ



私の物怖じしない態度が気に触ったのか、幼馴染みは、思い切り私の頭を、持っていた拳銃で殴ってきた。


「痛っ…」


強く殴られた衝撃で、頭からポタポタと赤い血が落ちてくる。


痛みはするものの、それでも、私の気は動転することはなかった。


それは向こうも同じようで、寧ろ、私が血を流している光景に、快感を得ているようにも見られる。所詮は狂人だ。


「…もっと痛がっても良いのに。馬鹿みたいに我慢強いね」



――カチャリ…ッ



突然、幼馴染みはカチャリ…と音を立てながら、拳銃を私の胸に押し当ててくる。


「ねぇ、もっと苦しめよ。偽善者が」


「……ハッ…」






哀れな奴だよ。アンタは昔っから。






「(もうすぐ、私は死ぬわね……)」



刑事の勘か、私は冷静に頭の中で思う。


大丈夫。外にはたくさんの警官が居る。きっと銃声が聴こえたら、強行突破をしてここに突入するはずだ。


そうすれば、コイツや、コイツの仲間達は捕まえられる。一般人の犠牲も出ない。


「撃つなら…さっさと撃ちなさいよ。私を殺しても、どうせアンタは救われない」


「………そうだね」







――パァンッ!!







荒れたビルに、けたたましい銃声が響き渡った。



――ドサ…ッ



「ぐ、ぅ…っゲホッ!!ゲホッゲホッ!!」


撃たれた弾丸は、肺を貫通したのか、息が上手く出来ない。


血が逆流したように速くなって、身体中が熱くなって、全身から力が抜けていく。


痛くて、熱くて、寒い…これが、死ぬ瞬間。


「(まさかこんな経験をするなんて…しかも、撃たれ所が悪かったみたいね……)」



即死、できない…。



横たわる床から、複数の足音が聴こえる。


さっきの銃声を聴いて、突入を決心したんだろうな…アイツらにしては、根気強く待った方だ。


「オ、オイ…勢い余って撃っちまったけど、大丈夫なのかよ?」


人質を失うのを焦った、一人の敵の仲間が、幼馴染みに話し掛ける。


しかし、相手は人間を撃った後。平常心なわけがなかった。


「うるせーよ」


「なっ…!?」


「そんなにコイツが生きてるか心配?なら、確かめてみなよ。急所は外したから」


「……」


幼馴染みにそう言われた男は、縛っていた私の手足のロープを外すと、私の首を持ち上げて、訊ねてくる。


「ぅ……」


持ち上げられた時に、撃たれた所がズキリと痛み、私は呻き声を上げた。


「…テメェは人質なんだから生きてろよな」


「っ……は…」


何かを喋ろうとする度、傷口から血が流れ出るのが分かる。


痛みには堪えられる方だが、早く…この激痛から解放されたいと思った。








………駄目よ……




「っ…!?」




貴女は………まだ、死んでは駄目よ…………









生き延びて……強くなりなさい…………

















声が聴こえたんだ。




透き通った声が




純粋で柔らかな声が




安心感のある声が









もしかしたら、それは…







この先の総てを予知した、神様の声だったのかもしれない……―――。





(嗚呼…来るよ)
(あの子が、この世界に。)







――――――――




これは言わずもがな、分かる人には分かりますよね。
そうです、これ、初の男主を扱った【雫ノ欠片】の元になった小説になります。
最初は女主だったんですよね…この小説。
でも女の子が受けるには大分ひどい仕打ちだったので、無理矢理男の子にしちゃいました。そんな裏話です。



さて、如何でしたでしょうか?


一週間連続投稿、少しでもお楽しみいただけたなら幸いです。
更新速度は相変わらずストップに近い状態ですが、頑張りたいと思います!


ではではー。(^-^)/




END

四萬打企画!!六日目




はい、六日目でごぜーます。小雪です。
では挨拶もそこそこにしまして、始めたいと思います。





では、どうぞ!!






【契約】


如月 鵺
《キサラギ ヌエ》
┗悪魔と契約をした家出少女。そこから、不可思議なハプニングに遭うハメになる。


《スイ》
┗鵺と契約した悪魔。




〜出逢ったのは悪魔〜





シトシトと降り注ぐ、雨の中―――。






薄暗い路地裏の隅で、雨宿りをしていた鵺は、突然現れた男に、奇妙な言葉をかけられた。






出逢ったのは悪魔







「……」


鵺はつい、ポカンと口を開けて、悪魔を凝視してしまう。


「幸運に思え、人間。俺は崇高な悪魔だ。俺と契約を交わせば、お前の願いは何でも叶えてやる」


「……」


「しかしかわりに、死んだらお前の魂を貰う。良いな?」


悪魔の言葉に、鵺はただ、雨で肌に張り付いた髪を退けることもなく、悪魔の顔を見つめた。


そんな鵺を不思議に思い、悪魔は鵺を見下ろす。


「……オイ、人間?聴こえているのか?」


「………あ…うん…」


やっと、反応を示した鵺。悪魔はそれを見て笑みを浮かべ、鵺を指差した。


「ならば良い。さぁ、最初の願いを言え。俺がお前の願いを叶えたその瞬間、俺とお前の契約は成立となる」


「願い事、言えばいいの?」


「あぁ。億万長者だろうが、世界征服だろうが、何だって欲望を叶えてやるぞ」


普通に生活をしていて、尚且つ宗教深い者ならば、確実に犯罪に手を染めてしまいそうな誘惑の言葉を、悪魔は言う。


鵺は、悪魔の魅惑の言葉に耳を傾けながら、少しの間、考えた。




「……じゃあ、」




鵺が、口を開く。




一体、どんな欲にまみれた願いが返ってくるのか。悪魔は笑みを深くしながら待った。



しかし、鵺が言い放った願い事は、何とも間の抜けた願いだった。




「ご飯、別に食べなくても生きていけるような身体にしてくれないかな?」


「………は?」


思わず、悪魔から間抜けな声が漏れる。


いや、しかし、これは。悪魔は困惑したように、鵺に聞き返す。


「本当に…そんな願いで良いのか?今のお前が空腹なら、一生使いきれない程の金を出せと願い、美味いものを食えば良いもの……」


「ダメかな?」


「ダメ、等では、ないが……」


悪魔は戸惑い、首の後ろを掻いた。


「じゃあ、お願いします」


悪魔の動揺を気にかけつつも、鵺は、力無く笑う。


妙に痩せ細った鵺の体を、悪魔は観察しながら、何日も食べてないのが分かる。


一先ず、ここで死なれたら契約どころではない。悪魔は直ぐに気持ちを切り替え、鵺の頭に触れた。


「地獄の主、ルシファーよ…今此処で、この者に潜む『七つの大罪』の一つである、『大食』を取り除きたまえ」


その後、ブツブツと呪文めいたようなことを呟き、次の瞬間、鵺の頭を強く押す。



そうすれば、先ほどまで感じていた"食べたい"という欲求が無くなり、鵺は空腹を感じなくなった。


「あ…」


「どうだ。身体に変化はあったか?」


頭から手を話した悪魔の問いに、鵺は素直に頷く。


「お腹…空かなくなった」


「よし、ならばこれで、お前との契約は成立だな」


悪魔はニコリと微笑み、座り込む鵺に向かって、手を差し伸べた。


「さぁ…俺の手を取れ、新たな主人よ。お前と俺は、今から死ぬまで一心同体だ」


「一心、同体…?」


「あぁ。」


「……それは、こんな私と一緒に居てくれるってこと…?」


不安げに瞳を曇らせる鵺に、悪魔は違和感を覚える。


鵺は、他の人間とは少し違う境遇に居たのだろうか。


「…勿論だ」


悪魔は、少し考えたせいで言葉を返すのを送らせながらも、鵺の質問に対して頷く。




その瞬間、鵺は顔を綻ばせ、穏やかな表情を悪魔に向けた。




「ありがとう。私、嬉しいよ…」


「……」


たかだか空腹を無くし、そばにいるだけだと言っただけなのに。悪魔は、怖がりもしない鵺に、徐々に興味を抱く自分がいるのを感じる。


「そ、そうか」


悪魔は、置かれた鵺の手を強く握りしめながら、自分自身の方へ引き寄せた。




せっかく捕まえた人間を、逃がさないように。






(悪魔と共に、非日常の到来)
(後で拒絶されようが、絶対にお前を逃がしはしない)





――――――――



というお話。
実はこれ、夢で見た内容を突発的に書いた夢小説になります。
当然、突発的なので続きが書けなくてボツになっちゃいました。いつものパターンだね、うん。


ではではー。



END

四萬打企画!!五日目



さて、五日目になりました。
この辺でこの日記の趣旨を知らない人が出てくると思うので、久しぶりにハショっていた企画説明をしたいと思いまーす。←

これは、遅れてやって来た四萬打企画になります。
『あー更新率低いなぁ…どうやったら上がるかなぁ…………そうだ、ボツ小説の公開しよう』というトチ狂った管理人が考えた企画でございます。
正直言って、需要は絶対ない。でもまぁいっか。うん、良いよね。だって小雪だもの。←



では、どうぞ!!






あ、そうそう。




今回は、超中途半端なところで終わります★(´ω`)←






【くれない】


ハク
┗リナリーに出会う前の記憶を失った少女。綺麗な顔立ちなのに天然ボケ。




〜さいしょ〜




―――雨が降っていた。

冷たい雫が、私の体を滑っていく度に温かな体温を奪っていく。


私はうっすらと重たい目蓋を持ち上げた。


湿った土のニオイが鼻につく。横になったまま辺りを見れば、鬱蒼と生い茂る木々が生えている。


私は体を起こし、膝が汚れるのも構わずその場に座った。


私は、何故ここに居るのだろうか。思い出そうとするが、どうしても目覚める前の事が浮かんでこない。それも何一つ。


まるで生まれたばかりの赤子のように、私の頭の中は真っ白だった。


ここはどこ。わたしはだれ。あれはなに。これはなに。見えるもの全てが、私には疑問でイッパイである。


「……あー…」


私は口を開け、言葉を発した。


だが、それは言葉と言うにはあまりにも形を成していなくて、寧ろ、呻き声と言う方が近かった。


「……」


私は顔を上に上げ、空を見た。


時刻は夜。遥か彼方の先には、鈍色に光る月が、私の周囲を照らしている。私は月を見ると、本能的に思った。


キラキラしている、あれがほしい。


私は手を空に向かって伸ばす。


そこで気が付く。






……私の手は、赤い液体でベットリと染まっていた。





************





―――私があの子を拾ったのは、冷たい雨が降り注ぐ日だった。


「ここね…」


兄であり、黒の教団科学班室長でもあるコムイ兄さんの説明によると、ここがアクマの出現ポイントらしい。


今回の私の任務は、そのアクマの破壊。だが、近くの村で聞き込みをしていると、不可解な噂を耳にした。


『……たまに、あの化け物達のそばで、村の人間じゃない少女を見ることがあるんだ』


アクマと人間が協力するなんてあり得ない。もしかしたら、ブローカーかもしれない。


私は少女の特徴を大まかに聞くと、アクマが出没する森へ向かった。





―――大分森の奥へと入った頃、どこからか声がした。




「……?」


動物の声じゃない。明らかに、人間の声。よく耳をすまして、私は声がする場所を追っていく。


そして、一段と木々が生い茂る箇所を抜けた、その時だ。私の視界に、一人の少女が移り込んだ。


「うぇ…ひっく……っ」


「貴方……」


私は警戒して辺りを確認し、少女のそばにアクマが居ないことを確認する。殺気は感じられない。アクマが潜む危険性は無いと見なした私は、少女に近付いた。


少女は私の足音に気が付くと振り返る。


思わず足を止め、息を呑んでしまった。


漆黒の髪に黒曜石の瞳。間違いない。アクマの近くで見掛けるという、少女本人だ。


それにしても、なんて顔の整った人間なんだろう。泣いているので少し解りづらいが、パーツの一つ一つが完璧で、まるで人形のようだった。




――――――――





終わり。←殴蹴


このボツ理由は読んでくだされば分かる通り、どうやってリナリーとハクを会話させようか迷った結果、結局考えが浮かばず御蔵入りとなりました。


でも、私の大好きなリナリーがめちゃめちゃ出てくる小説なので…もしかしたら、ふと公開されてるかもしれませんよ。フヘヘ。←



ではでは、また…………。





END

四萬打企画!!四日目






公開するのを忘れていた四日目。
決して三日坊主とは言わせない。←



では、どうぞ!!





【リアル恋愛ゲーム】


蒼井 優里
《アオイ ユウリ》
┗乙女、ギャル、BL等々、様々な恋愛ゲームを攻略しているオタク少女。男兄弟の中で育ったせいか、あまり女らしさは無く、常に「どんと来い」という心構えでいる。器がデカい。所謂男前な性格。でも運動オンチなんだからそこがまたギャップ萌えで可愛いとかなんとか。

天風 大翔
《アマカゼ ヒロト》
┗典型的なワンコキャラ。優里からしてみれば「お前の方が攻略キャラじゃ」というが、本人はあくまでもオトす専門。一ヶ月に三十人の女子にフラれるという記録を持っており、恋愛ゲームにハマったきっかけでもある。つまりは現実逃避。ただいま優里に弟子入り中。




〜先生、それギャルゲーじゃないです〜




どうも、こんにちは。



外は晴れ。夏のうだるような暑さにやられながらも、インドア派の私は今日も何とか生きています。


さて………早速ですが、まずは私の事から説明していきたいと思います。


私の名前は蒼井優里。齢は17。女らしさは母のお腹の中に忘れてきました。ちなみに趣味はゲーム。雑食の私は乙女、ギャル、BL等々、全てのジャンルの恋愛ゲームを攻略しています。


まぁ、そんなわけで、現在進行形で、ジャージ姿で座椅子に座り、部屋で扇風機に当たりながらゲームをしている私ですが。


先程、あり得ない出来事が起こってしまいました。





――バンッ!





「うぉっ!?」


「師匠!ギャルゲー買ってきました!!」





………それはこの、ノックも無しに、勢いよく部屋のドアを開けた子。弟のお友達の、天風大翔くんがひっじょーに関係していたりするのです。






それは、数分前に遡る―――。





************





「優里さん…俺を、貴女の弟子にしてください!!」


「………はい?」



ゲームを中断し、リビングで休憩をしていた私に、優里くんはいきなり話し掛けてきた。


「えーっと、ちょっと待って?弟子って…何の?」


「そんなの決まってるじゃないッスか!」


大翔くんは、ズイッと整った顔を私に近付け、力説してくる。


「優太から聞きました。お姉さん、恋愛ゲームめっちゃくちゃプロいんですよね?俺、どーしてもギャルゲーを極めたいんです!」


「はぁ……」


器がデカい等と褒められる私でも、さすがにこれは受け止められなかった。いや、姉の私が言うのもなんだが、弟のお友達はみんなリア充だ。私のやっているゲームには無関心、むしろ引く奴等の方が多いというのに。なのにこの子は、それを極めたいと言った。


もしかして、私をからかっているのか?いや、でも友達の姉からかってなにが楽しいんだ。時間の無駄も良いとこだろ。


じゃあ、この子はマジで私に弟子入りしようとしてるってか。いやいやいや、ナイナイ。ありえない。第一、ただ恋愛ゲームを趣味としている私に弟子入りする事自体間違っている。


「…大翔くん、悪いけど、私そんなに極めてるわけじゃないから……」


「またまたぁ、謙遜しなくても良いですって!」


いや、謙遜も何も私師匠と呼ばれるような技能は持ち合わせていないんですって。


当然ながら、私は優里くんの弟子入り志願を断った。


しかし、優里くんは一歩も引くような雰囲気は見られない。何故そこまで頑ななんだ。たかがゲームだろ?


「別に良いじゃん、教えてやれば?」


「優太……」


すると、不意に私達の話をソファーに座って聴いていた弟の優太が、私に話し掛けてきた。


「いや、アンタ軽い気持ちで言うけどさ、私なんかに弟子入りしても何も得られるようなことなんてないからね?時間の無駄だって」


「どうしてもダメですか…!?」


「お前もそんな絶望的な顔するような事じゃないだろ」


男の癖に泣きそうになる大翔くんに、優太はため息をつく。


「優里、ちょっと」


「え?」


そして、どういうわけか、私を手招きして呼び寄せた。
 

私は訳が分からず、とりあえず優太に近付いて耳を貸す。


「あのなぁ…大翔の奴、この一ヶ月で三十人連続で女子にフラれてんだよ…」


「は…?」


一ヶ月で三十人…ザッと計算して一日ペースってことか。


「だから、せめてもの慰めで、優里の部屋にあった絶対に付き合える恋愛ゲームをちょっと勧めたら、これ極めるとか言い出してさ……」


「つまり、大翔くんは現実逃避がしたいが為に、ギャルゲーを攻略したいと……?」


「そういうこと。ウジウジされんのも鬱陶しいし、適当にやらせといてくんねェ?」


相変わらずドライな弟だ。まぁでも、大翔くんがあそこまで必死になる理由は分かったような気がする。


仕方無い。このまま断って引き摺られても後味悪いし、ここは大人しく協力してやろう。


「……あー、と…大翔くん」


「はい!」


私が声をかけると、大翔くんは元気良く返事をした。


「普通に恋愛ゲームやりたいっていうなら、別にやらせてあげてもいいよ?」


「マ、マジッスか!?」


「うん。同志が増えるのは悪いことでは無いし」


「オイ、ちゃっかり大翔のことオタク色に染め上げようと企んでねーかぁ?」


「黙れ愚弟。姉である私がお前の友達を慰めてやるんだから感謝しろ」


「……」


若干、優里に頼んだことを後悔する優太。フンッ、今更遅いわ。



「じゃあ大翔くん、今私が持ってるゲームソフト出すから、選んでもらって、そこからやっていこうか?」


「あ、いえ!教えてもらえるのでもありがたいのに、ソフトまで優里さんのお世話になるわけにはいきません!!それはちゃんと自分で用意します!」


「え?良いよそんな変な気ィ使わなくて。どうせクリアしてるやつなんだし……」


「ダメですよ!それじゃ師匠が楽しくないです!」


うん、気ィ使ってくれるのは嬉しいけど、師匠になる気はないからね。


しかし、どうやら私が止めても大翔くんは引き下がる気はないようだ。ノンストップだな大翔くん。


「俺、ちょっと近くのゲームショップで買ってきますね!」


「あー…そう?じゃあ私、部屋で待ってるから…」


「ウッス!チャリンコマッハでこいで五分で戻ります!!」


事故る気かお前は。どう考えてもうちからゲームショップまで二十分かかるからね。


…………って、もう居ないし。


「大丈夫かな…?あの子……」


「バカだから大丈夫だろ、アイツなら」




何だその基準……。




――――と、まぁ、こんな訳で、私は成り行きで新井 大翔くんの恋愛ゲームの指導をすることとなったのです。



で、冒頭に戻る。




「お、お帰り大翔くん…出来ればノックをして入室願いたかったわ」


「あれ、ビックリさせちゃいました?すいません……あ、でもソフトは買ってきたんで!ほら!」
 

そう言うと大翔くんは、嬉しそうな顔で私にシールで留められたビニール袋を差し出してきた。


「どれどれ…?」


私は封を開け、中のゲームを取り出す。





……そして、絶句した。




「俺、あんまゲームやらないんスけど、カセットって色んなのがあるんですねー?よく分かんないから適当に選んできちゃいました」


「……」


無意識に震える手。確かに彼は"ギャルゲー"を買ってきたと言っていた。だが、中に入っていたゲームは、どう見ても明らかに…………、




「…あー…ゴホンッ、大翔くん?ちなみに君、ギャルゲーの表紙を見た事は?」


「いいえ?あ、でもそのカセットってショートヘアの子多いッスよねー。最近のって、そういうマニアに向けたシリーズもあるんスね」


あぁ、まぁ、うん。確かにみんなショートヘアだね。………っていうか、ショートヘアじゃないとおかしいもんね。




だってこれ……………BLゲームなんだもの。しかも見事に18禁。良く買えたな15歳で。




「……大翔くん、非常に言いづらいことなんだが、これはギャルゲーではありません」


「え!?で、でもそれ、恋愛ゲームの棚に置いてありましたよ!?」


「うん、確かに恋愛ゲームではあるんだ。でも君が考えてるのとは少し趣向が違うというかさ…」


「違う…??」


さてはて、どうしたものか。恋愛ゲームは恋愛ゲームでも、男同士のラブを画いたゲームなんぞ、きっと大翔くんは求めていない。


「……」


けど、せっかく初めて買った恋愛ゲーム。記念すべきソフトをこのままお蔵入りしてしまうのも惜しい。


「うーん……まぁ、別にこれでもいっか」


「へ?」


「大翔くん、始めに恋愛ゲームの鉄則を教えておこう」


「な、何でしょう師匠!?」


「起動したら投げ出さず、責任をもって最後までやり遂げ、ハッピーエンドを見ることだ。良いな?」


「はい!」


何だかんだでノってきている私。さて、純粋な青少年に恋愛ゲームの洗礼といきますか。



私はやっていたゲームの電源を切ると、大翔くんが買ってきた恋愛ゲームを、ゲーム機に入れ、起動させた。






(次の瞬間、テレビの画面から眩い光が放たれた)
(あれ、何だか急に意識が……?)






――――――――






はい、珍しく一話完結した小説になります。
そういえば、この小説の番外編みたいなものを日記で上げたような気がする。確か。

主人公は気に入ってたんですけどね。やっぱり続きが書けなくてボツになっちゃいました。


ではでは。5日目でまた会えることを願います....。




END

四萬打企画!!三日目



どうも、三日坊主になりたくないと切に願ってる小雪です。

はい、説明も前回通りハショってまいりますよー。←



では、どうぞ!!










あ、そうだ。



今回は酷いですよ☆←








【鬼隠し】


一 雛
《ニノマエ スウ》
┗白銀の瞳に、漆黒の髪。16歳。学校にも行かず実家でニート生活を送っていて、お先真っ暗なダメ人間。なのにたまに学校に行ったらモテる。鬼子の力を受け継いでいて、怒ると瞳の色が変化する。


一 魁
《ニノマエ カイ》
┗藍色の瞳に、漆黒の髪。16歳。二股三股は当たり前なチャラ男。友人は広く浅く付き合うタイプ。若干ナルシスト気味。自分が一番乱してるくせに風紀委員だったり。鬼子の力は受け継いでいないが、無駄に力は兄貴よりも強い。


一 郁
《ニノマエ イク》
┗桜色の瞳に、漆黒の髪。人見知りが激しく、自分を主張することが苦手。兄として双子の将来を心配している。自他共に認める女顔。入子としての力を受け継いでいるが、光闇問わず受け入れてしまう為、本家では危険視されている。




〜隠しの儀〜




坊や、お訊きなさい。



午後漆時を過ぎる前に、お帰りなさい。



午前零時を過ぎたら、外に出てはいけません。



午前弐時を過ぎたら、外を見てはいけません。



目が合えば、つれていかれるから。



気を付けて。



鬼隠しに遇いたくなければ、言う事をお訊きなさい。




―――――――――




終わりです←殴

そういえば、御蔵入りになってしまった理由を言うのを忘れてましたね。

これは至って簡単です。

実はこれ、銀魂夢小説なんですが、設定の段階で凝りすぎたのが主な原因になります。


一応追記には書きましたが、見たくなければどうぞ飛ばしてやってください。




ではではー。





END


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