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 う な り く ん

ヒーロー編?んなこたぁどうでもいい!(挨拶)

そんなことより成田市のキャラクターが激アツです。
うなぎ+成田でうなりくん。語尾にうなが付きます。しかもツイートしてる。
もはやおかしいレベルの可愛さ!

あと最近漫画もアツいです。モンタージュ5巻を買って読んでから4巻を抜かした事に気づきました。
東的には大和は川崎雄大の実子だと思います。横溝が死んだ養父では。
それにしても川崎と鈴木の目的は何なんだー。
関口の安定したきゅうべぇっぷりはまあいつもどおり。夏美のカーチャンコマされるなよ・・・

ロボット残党兵は完結。最初から最後までダサくてアツいです。
「らしさ」のある一本筋の通ったストーリーと、きれいさを求めない絵柄はすごく良かったです。
おとめ妖怪ざくろは神がかりの里編完結。
プリキュアとかのお姫様的アニメの延長ですな。でも好き。
女の子も安心のグロなし。

今後注目の作品は他にフロントミッションとシュトヘルとかです。
more...!

《Vertigo》episode-0:HERO-1

月の沙漠を はるばると
旅のらくだが 行きました

そこまで歌って、谷川軍曹は口を噤んだ。幼い頃の記憶に残る、哀愁を帯びたメロディー。その続きを忘れたからだ。
月が中東の乾いた大地に、青い闇の幕を掛けている。
彼女が乗るのは駱駝ではなく空軍のヘリコプターで、携えるのは金銀のかめではなく実弾を装填した銃であった。
UH-60は広く軍隊で使われている多用途ヘリコプターで、主に人員輸送や救助活動に当てられる。
ずんぐりした胴体と2発のエンジン、機体上方左右に吊り下げられた燃料タンクのある特徴的シルエットは、軍人なら大概見慣れたものだった。
人が5、6人乗れるキャビンには、今は誓――谷川誓空軍軍曹と、他部隊の見知らぬ伍長、そしてパイロットをサポートするフライト・エンジニア(航空機関士)しかいない。
拠点間の移動に幾度も乗ったそのヘリコプターは、今日もいつもと変わらずに荒れ地を進む。
草木の生えない砂色の大地は乾燥に強張り、朝と夕にはコーランの祈りがどこからともなく流れる。
夢にも見たことのない場所、幻想の宵。
見慣れた「ロクマル」――UH-60のキャビンから見る、見慣れない風景。
開け放ったキャビンの中で、昼は暑く、夜は寒い中東の気候を痛感する。
パイロットとクルーが被る、暑苦しい航空用ヘルメットがありがたいくらいだ。
砂混じりの風が、大地の表層を毛羽立たせる。
その風の音と、何より聴覚を奪うヘリコプターのブレードの音が、誓の口ずさむ歌をかき消してくれる。
同乗する陸軍の伍長は、誓の機関拳銃より3倍は長さのある小銃を抱いて、ずっと反対側の景色を眺めていた。
誓の持つのは元より近接戦闘用であり、拳銃を一回り大きくした程度で、水平にしても僅かに身体より余る程度だ。
対して、最長で500メートル、実質300メートルのレンジを想定した陸軍の小銃は、抱えた兵士の肩口から下腹部まである。
迷彩服の色の違いは、任務の違い。それは武装の違い。
灰色のピクセル迷彩服の襟を立て、誓はまた前を向いた。
顔見知りのフライト・エンジニアは、クリップボードを手に、何やらコックピットの様子を観察している。
風は束ねた髪を揺らし、異国の夜は首筋を撫でる。
「砂漠の夜明け」作戦が始まってから、幾日が経ったのかもはやはっきりしない。
石油産出国の情勢不安に米政府は敏感で、こうして戸籍上はアメリカ人の誓も戦争に駆り出されている。
ただし、アメリカ本土からすれば日本というのは微妙な異国なのだろう、と誓はぼんやり考える。
日本という国はアメリカの一部になっても、言語や習慣や生活は変わらない。
好戦的な本土の気風に辟易することも少なくなく、誓は腕に付けたワッペンをちらりと見やった。
サソリをあしらったデザインの「砂漠の夜明け」作戦のパッチは、日本なら歌舞伎や相撲をあしらう本土人の観光気分を思い出させる。
駆逐したアメリカ先住民の部族名を航空機の名前にしたり、占領した国の芸能をコールサインや部隊エンブレムにするその神経に、未だに多くの「日本人」は迎合できずにいた。
皮肉にも、「砂漠の夜明け」作戦のパッチは、蠍座を意味する誓のTACネームと近似する。
作戦時に用いる渾名のようなTACネームは、ただ単に蠍座だからと上官に決められたものだ。
スコーピオ――天の毒虫は、赤い星を抱く不吉なシンボル。
そのTACネームはややどぎついが、誓は嫌いではなかった。
「砂漠の夜明け」作戦が終わり、さっさと十字軍どものパッチを外せれば一番なのだが。
とりとめもなく、誓はそんなことを考える。
目を閉じたままの闇。汗とかすかな油のにおい。
日本人の汗のにおいだ。パイロットもクルーも、本土人はいない。
ゆらゆらと揺れるキャビンは船のようで、眠気を誘った。
乾いた唇を舐めると、舌先にざらりとした砂埃が残る。
目を開いて、地平線まで続く広野を見る。月光に青く染まった大地の、砂礫ひとつひとつがぼんやりと光っている。周辺には何の人影も見えない。
1000フィート(300メートル)の高度から見る景色は、方向感覚を逸失しそうな空白。だ
本当にこの国で戦争が行われているのかという疑問さえ生まれる静寂。
自分たちの装填した弾の入った銃だけが、そのリアリティを出す。
芯まで冷えた樹脂と金属が、手袋越しにもその存在感を示した。
高卒フリーターだった頃には、国際線パイロットになって海外に行くのだと疑っていなかった。
その夢が、まさかこんな形で叶うとは。
操縦桿ではなく銃を握り、乗るのはボーイング787や三菱MR-Jでなくシコルスキーのロクマル。
ニュースの中の存在だった国を、飛んでいるわけだ。

「あと45分でキャンプ・ヘンドリクセンです」

パイロットが、有線通信で機内にアナウンスする。
ヘルメットに接続されたインターホンで機内通話も出来るのだが、誓はほとんどこれを使っていない。
ヘンドリクセン基地は「砂漠の夜明け」作戦の一大拠点となっている航空基地で、誓も普段はここに住んでいた。
周囲には多少の市街地もあるが、女性に対する厳しい戒律が残るイスラム世界に足を踏み込むことはできなかった。
ただでさえ、アメリカに対する感情は良くないのだ。
ふとその時、誓は斜め前の視界の端に何か小さな光を見た。
ぱぱっと細切れに点滅した光は、そこに一瞬人影を照らし出す。
何かをこちらに向けていた。
頭より早く、体がインターホンのスイッチを押す。

「光が」

そこまで言った時、銃声が光を追いかけてきた。

「え」

フライト・エンジニアが振り返いた瞬間だった。
それと同時に、誓から見えていた副操縦士の腕が鈍い音と共に膨張して破裂した。
副操縦士は、そのことに気付かない。
フライト・エンジニアはそれをもろに被り、ヘルメットや戦闘服が赤黒く染まる。
罵った声は誰のものだったのか。
大量の血液をヘルメットから垂らしながら、フライト・エンジニアはコックピットに首を突っ込んだ。
ヘリがぐらりと傾く。闇の中でもわかるくらいに機長の身体は奇妙に弛緩し、居眠りをするようにうなだれていた。

ぐおおおおお

獣じみた叫び声。気分が悪くなるような血の臭い。
インターホンでギチギチと歯軋りが聞こえる。
とっさに副操縦席の操縦桿を掴んだフライト・エンジニアが、機体の姿勢が崩れるのを防ごうとする。
彼は、手首から先だけ残った副操縦士の手の上から操縦桿を握っていた。

「掴まれ!」

未だに何が起きているのか分からない陸軍伍長に叫んだ。
自分の身体を何かが掴んでいる。気が付けば自分で機内の柱を保持していた。
驚くべきことに、副操縦士はまだ正気を失っていなかった。

「メイデイ・メイデイ・メイデイ!」

副操縦士が無線に向かって叫ぶ。
消えた副操縦士の右腕をフライト・エンジニアは補い、彼らは緊急着陸しようとしていた。
コックピットに身体を突っ込んだままのフライト・エンジニア。
パイロットの本能のまま、操縦を続ける副操縦士。
追いかけるような、被弾の音がテールの部分から響く。

「ウィ・アー・キロ・ファイブ・ワン、ゴーイング・ダウン・・・」

けたたましい警報。機体は左右にドリフトしながら高度を下げていく。
小さな起伏の陰影が、ズームアップされてくる。

死ぬのか。

誓は、警報と叫びの入り混じった静寂のなかで、静かに瞬いた。
遠い地面に落ちていた影が、間近になってくる。
そして、タイヤに石がぶつかる衝撃が伝わった。
高速でアプローチしたヘリコプターの機体が、鼻先から大地に突っ込む。
その轟音と衝撃に、誓は目を閉じた。
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