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所感/桶川ストーカー殺人事件 遺言



久しく本を手に取っていなかったのですが、たまたま再販されたのを発見したので購入しました。
下総航空祭の帰りでぐったりしていたのですが、気がつけば電車で夢中になって読んでいました。
埼玉県・桶川市で発生したストーカーによる殺人事件を発生と同時に追ってきた記者が、その過程を記録したルポ本です。
今までも新潮文庫では殺人事件のルポ本を何冊か出しているのですが、これは群を抜いて凄まじい。
被害者の女性は本当に普通の女性で、たまたま暴力団まがいの男に見初められてしまったばかりに殺されることになってしまいました。
「自動車ディーラー」を名乗る男性に声をかけられて交際が始まり、徐々に男が本性を露わにしていく訳ですが、その過程が鮮明に証言されています。
特に女性は恐怖感を覚えずにはいられないでしょう。明らかにDVボーダー男なのですが、それが金と人脈で自分を追い詰めてくる。
ヤミ金の取り立てのような嫌がらせ(上がり込み、家への監視・粘着、誹謗中傷)に、無言電話や脅迫。
警察に訴えても取り合ってもらえず、遂に被害者は殺されてしまう。
犯人は逃げおおせ、被害者は警察発表によってどんどん「殺されて仕方がない」ようなイメージに仕立てあげられてしまう。
何の落ち度もない、普通の若い女性が警察と犯人によって「殺されて」いく過程が、克明に記録されています。
一方、記者である筆者はそれに疑問を抱き、事件の核心に切り込んでいきます。
「警察とストーカーに殺された」・・・被害者の友人が言った、そうとしか言いようがない驚愕の事実。
告訴を取り下げさせようとさせ、訴えを無視し、最後には被害者を攻撃する。
犯人を逮捕することで怠慢を認めることになってしまう上尾署は、事件発生後も犯人を逮捕しようとしない。
ここまでの流れで、いかに被害者と遺族が無念か、悔しいか、非常に痛々しい思いを感じるかと思います。
決して情に訴えることを意識した文章ではなく、「記者」の立場にたった整然とした文章であるからこそ、それを感じます。
どうして、殺されなければいけなくて、どうして、死んで尚誹りを受けなければいけなかったのか。
そこにある思いに、読み進めるうちに涙さえ出てきます。
筆者である記者は、人脈を使い、遺族や友人に幾度も取材を繰り返し、やがて殺害実行犯を特定します。
この辺は本当に、鳥肌もの。決して安全な取材ではないにも関わらず、「たかが週刊誌」の記者が犯人のマンションを特定してしまうんですね。
捜査と取材が逆転し、週刊誌に追われる形で動く警察が動きます。
ストーカー本人は実行犯ではなく、金と血縁のつながりで被害者を殺害させています。のちに本人は北海道で自殺死体で見つかるのですが・・・。
警察の怠慢、そして罪を告発し、実行犯を追い詰め、被害者の名誉が少しづつ回復されていく過程には息を飲まずにいられません。
この本の骨は、多分犯人を追い詰めるスリルや警察を告発する勧善懲罰劇ではないです。
普通の21歳の被害者が遺したあまりに悲痛な「遺言」。それを受け取った記者から、徐々に波紋が広がっていく。
「遺言」を真っ直ぐに受け止め、被害者の思いを背負い、追求していく記者の記事。
それがメディアを通じ、世の中を動かす。
そこにある記者の強い人間愛を感じずにはいられません。
また、記者ということで、この事件を通してメディアのあり方に大きな疑問を投げかけています。
警察に操られた大手メディアと、真相を告発する週刊誌。
どんなに立派な器でも、中に人間がいなければ意味がないのです。警察も、メディアも。
殺された猪野詩織さんは、普通の女の子でした。どうして殺されなければいけなかったのでしょうか。
その問いは、読者にもずっと残ります。
読みながら泣きました。悔しいし、恐ろしいし、悲しい。
それでも、このような良心の記者が、まだ日本に残っていることに安堵をします。

久々に

萌えcanで育ててる娘達。



寝袋が濡れてる件について

オタワ・・・
涙で枕まで泣き濡れるわこりゃ

明日から富士サファリパークに泊まりでツアーです

やったー☆


やったー・・・

悲劇に向かって挑む喜劇(もの)を運命の神は憎むか

すげえ言葉だよな。
たまたま聴いた「親しらず子しらず」の歌詞なんですが、腹にパンチ食らったような重ーい言葉ですねえ。

悲しき人を悲しみでさらに追い打ちするを人生というか
悲劇に向かって挑む喜劇(もの)を運命の神は憎むか

どうやったらこんな言葉が出てくるんだよ・・・うーん。

「死んだ男の残したものは」の

死んだ彼らの残したものは
生きてる私 生きてるあなた
他には誰も残っていない
他には誰も残っていない

もかなり衝撃的な歌詞でしたが、ベクトルが違うかな。

どんなに情報を得られる世の中でも、自分に何も持ってないとこういう言葉は生み出せないんだなあと反省。
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