ちゅっ
可愛いリップ音がして振り返れば、優しい微笑みを浮かべた愛する人が、愛する娘の頬にキスをしていた。
あれ?私には、ないの、かな?
ヴィヴィオの制服を正して、忘れ物ない?とか聞いてるなのはは、もうママ歴4年目に突入だ。
大丈夫、と笑顔で返すヴィヴィオは更に可愛い盛りで、あの頃のなのはを思わす面影が見え隠れして、正直困る。
だって、だって。
あの頃のなのはと言ったら可愛いくて可愛いくて。何度衝動的に抱きしめようとしてしまったかわからない程だ。
もちろん今でもそうなのだけれど。
昔からあのたぬk、げふんげふん、はやてがなのはにちょっかい出すものだから、目を光らせていたなぁ、なんて思い出す。今も変わらずセクハラしようとしてるみたいだけど、そんなこと許さないからね。
なのはは私の、です。
わわわっ。
言っちゃった。
中学を卒業する間際、これで離れ離れになってしまうのが、違う、離れてる間に君の隣に私でない誰かが立つことが怖かった。
そんな想いとアリサやすずかの後押しがあって、言葉を紡いだんだ。好き、て。
夕暮れ時だったけど、それだけじゃない赤がなのはの顔にみえた。
小さな小さな声がした。
「私、も…好き」
世界が滲む。
嬉しさで溢れ出すそれを隠すように、ただ、がむしゃらに。なのはを抱きしめた。
…甘い甘いなのはの匂いが私を酔わせてく。
前髪に、瞼に、頬に、そして。
「…トちゃん!」
「フェイトママ!」
「っ!な、なに!?」
「何じゃないよー!大丈夫?」
「へ?」
「ずぅーっと呼んでたのに反応がないから」
「あ、う、えと…」
「あ、ヴィヴィオ、もう時間だから行くね!」
「いってらっしゃいヴィヴィオ!」
「い、いってらっしゃい」
「うん、いってきまーす!」
ばたむ。扉が閉じると同時に沈黙。
それと、背中にあたたかなぬくもり。
「な、のは?」
「…具合とか悪いの?」
「ううん。大丈夫だよ。どうして?」
「あ、う、………っ///」
「なのは?」
「…朝」
「朝?」
朝、アサ、あさ…。
「っ///違うよ!確かに朝方冷え込んでたけど、なのはを抱きしめてたし!!」
「フェイトちゃんっ!」
「あ、ごめん」
反射的に飛び出した言葉でなのはが俯く。
さらり。いつもはサイドに上げられてるそれも、今日はまだおろしたままで。流れた髪から除く可愛い耳すら赤に染まってる。
真っ赤な君。
思い出すはあの時。
初めて交わしたキスの甘さ。
「じゃあどうして?」
「…言わなきゃダメ?」
「うん」
「…え、とね?」
「うん」
怖ず怖ずと、なのは怒らない?と聞けば、黙っていられる方が嫌なのー!と頬を膨らませて。
一々可愛いなのはにいつもドキドキさせられて。
「…ヴィヴィオにキスしてたなのはをみてたら思い出したんだ」
「へ?」
「その…、なのはと初めてキスした日のこと」
「ふぇええぇぇえぇ///!!?」
驚いた声。
それと再び染まる頬。
それを包むように触れたら、やっぱり熱くて。
潤んだ瞳が私を誘う。
「…なのは」
「なぁに?」
「もしかして期待してる?」
からかうような口調でなのはをみる。
むー
言葉で表現するならばそんな感じ。
くすくすと笑いがこぼれるのは仕方ないことでしょう?
だって。可愛い。
本当にいつまでも可愛い人だ。
膨らんだ頬に軽く唇を寄せて、驚いて少し開いたなのはのそれに深く触れる。
いきなりのことに戸惑うなのはを逃がさないように、抱きしめて。
角度を変えながら、より深く、よりなのはを味わうように触れていく。
「っぷは…はぁっ」
「大丈夫?」
「もうっフェイトちゃん!いきなりこんな…!」
「いきなりじゃなかったらいいの?」
「―っ、そうじゃなくて!」
怒ったような顔。
たぶんじゃなくて、怒ってるのだろうけど、やっぱり思ってしまう私はもう末期で。
可愛い。
「ごめん、嘘、なのは」
「ふぇ?」
そう。きっと、なのはが触れてくれた時から私は。
「期待してたのは私だよ」
その言葉に私が大好きな表情を浮かべるなのはが愛しくて。
たくさんの人を魅了して止まないそれを本当は誰にもみせたくないのだけれど。
あの夕焼けに染まった教室で言われた言葉が今でも私を包み込んでるから大丈夫。
せっかく久々に二人重なったオフだけど、家でゴロゴロするのもいいよね、と勝手に決めた。今が朝なんて考えない、考えることは止めた。
何もかも投げ捨て、見つめるは、蒼。
「フェイトちゃん?」
熱を帯びた瞳に上下する肩。赤に染まる頬と少しだけ乱れた髪。
「――っ」
つまりは、可愛過ぎるなのはが悪い。
抱きしめる力を緩めて、なのはを抱き上げる。
「フェイトちゃ…!」
もちろん形式はお姫様抱っこ。
柔らかな唇にちゅっと軽く触れたのが合図のように、二人の寝室へ。
白いシーツに横たえさせ、その波に綺麗な亜麻色が広がった。
「…なのは、いいかな?」
もぅ、と頬を膨らませる愛しい人は、言葉とはウラハラに微笑んでいて。
「だめって言っても止めないくせに」
可愛い声と諦めたような言葉が駄目押しに、私を加速させていって、綺麗な指が私の頬に触れる。
「フェイトちゃん」
「なぁに?」
「愛してるよ」
「―っ」
重なる情景。
染めるは赤。
見つめる先は蒼。
熱に溺れながら囁かれた愛の言葉。
既視感。
変わらぬ愛を感じて、頬が緩む。
「なのは。誰よりもキミを愛してるよ」
「ふぇえ////!?」
蒼が見開かれ、顔に朱を帯びた。
ずるいよぉ、と顔を背けながら呟く様が可愛くて。
あの時のようにキスの雨を降らせてく。
前髪に、瞼に、頬に、そして。
ノンストップ
(いつまでも変わらぬ愛をキミに)
ちょ、フェイトさん朝からがっつき過ぎ!いやしかし、いやしかし。王子様なフェイトそんに敵う人っているのかな?あいつは天然で仕出かすから\(^q^)/w
そんなフラグ建築家なくせになのはさんに一途、とか。
なのはさんも 私だけをみて! て言いたいところだけど なのはしか見てない、見えない とか言い出しそう、フェイトちゃん(・∀・)笑
もう結婚すればいいよ