学パロフォルスタ&ヒトラーさん&クビツェクさんでSSをば。
リレー設定でもいいかなと思いつつ…学パロでほのぼのやりました(おい)
この四人での組み合わせも好きです…
*attention*
・フォルスタ&ヒトラーさん&クビツェクさんなSS
・学パロ(Laurentia!)設定です
・フォルとクビツェクさんの絡みがおおめ?
・全体的にほのぼの甘めです
・どちらのCPも思いやりによって成り立つらぶらぶだったらいいな、って(おい)
・相変わらずな妄想クオリティ
・ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKと言う方は追記からどうぞ!
ある日の放課後のこと……
「ふぅ……」
クビツェクは携帯をしまいなおして、一つ息を吐いた。
つい今しがた連絡していたのは、彼の親友である、ヒトラー。
部活があって少し遅くなったクビツェクは、
門のところで待ち合わせれば良いと思っていたのだが、
どうやら彼はクビツェクを迎えに校舎内に戻ってしまったらしい。
連絡をとったら、直ぐに自分もそっちに向かうから、と返事があった。
だから、クビツェクは先に此処に来たのである。
もうだいぶ生徒は捌けているのか、あまり人は多くない。
まばらに散った生徒たちが帰路についている。
と、門の傍にたっている影を見つけた。
クビツェクたちの制服とは違う。
柔らかい亜麻色の髪が風に揺れている。
幾度か顔を合わせたことがある"彼"だと、直ぐに理解した。
彼は校門に寄りかかりながらぼんやりと空を見上げている。
普段彼の待ち人と一緒にいるときの表情とは異なっていた。
「スターリンを迎えにきたの?」
ひょこ、と顔を出してクビツェクが尋ねると、
彼……フォルは驚いたように目を丸くした。
ぱちぱち、と瞬きを繰り返してから小さく笑って言う。
「びっくりした。君か」
「あ、ごめんね」
「いや、謝ることはないんだけど……あれ?」
フォルはきょろきょろとあたりを見渡して、首をかしげた。
どうやら"彼"の姿を探しているようだ。
クビツェクは先回りして彼に訊ねた。
「アドルフを探してる?」
「うん。一緒じゃないの?」
「僕も此処で待ち合わせなんだ。僕を探して中に戻っちゃったらしくてね」
そう言ってクビツェクは苦笑する。
自分が待ち遠しくて探しに戻ってしまったらしいと言うのは純粋に嬉しいが……
そういう、案外そそっかしいというか、そういうところもあるのが彼だ。
フォルはそんな彼の表情を見て、くすくすと笑った。
「そうなんだ。本当に仲が良いんだね」
フォルの言葉にクビツェクは笑みを浮かべた。
仲が良い。
そう言われることは多々あれど、やはり嬉しい。
「君と一緒にいるときの総統閣下の顔、すごく穏やかだもんね」
「そう見えるかい?」
第三者から見ても?とクビツェクは問いかける。
フォルはこくりと頷いた。
「これでも、目は確かなつもりだよ。
多分、君は特別な存在なんだろうなぁって漠然と思ってた」
「ふふ、そうかな……だったらいいな、とは思うよ。
アドルフは……色々、不安定なところもあるからね」
"僕がちゃんと支えてあげられたら、って思うんだ"
クビツェクはそう言って、柔らかい笑みを浮かべた。
そう、一緒にいて支えられたらいい。
一度離れてしまったけれど、その時間を埋められるくらい近くに。
少しでも彼の"近く"……物理的にも精神的にも近くにいたい。
いつでも支えられるような存在でありたい。
それが、彼の願いであった。
クビツェクのそんな表情をじっと見つめて、フォルもふっと笑う。
「じゃあ、僕もおんなじだ。
書記長様と一緒にいて、支えてあげたいなって思うんだよね。
ほうっておけないっていうか……」
フォルはそう言って空を見上げる。
夏も近い今の時期、まだ陽は昇っていて空は蒼い。
眩しい太陽に目を細めつつ、フォルはつけたすようにいった。
「まぁ、あくまで僕は他校生だから物理的距離は限界があるけどね」
"現に今も此処で待つほかないし"と言って、フォルは苦笑した。
物理的距離は絶対に同じ学校の生徒であるヒトラーやクビツェク、
同じ生徒会に所属するチャーチルたちのほうが近いとフォルも知っている。
ならばせめて……精神的な距離は一番近くにいたいんだよね、といった。
クビツェクはそれを聞いて穏やかに笑むと、"きっと……"と何かを言いかける。
と、むこうから"グストル!"と小さく声が聞こえた。
それは他でもない、クビツェクの待ち人の声で。
駆け寄ってくる黒髪の彼……ヒトラーにクビツェクは手を振り返した。
直ぐにクビツェクの前まで来るとヒトラーは上がった呼吸を整えつつ、彼に言う。
「ごめ……お待たせ、グストル」
「何も走ってくることはなかったのに」
「だって、グストルをまたせたら、悪いから……」
苦笑しつつ、クビツェクはヒトラーの額に流れた汗をそっと拭った。
元々彼はそこまで体が強いわけではない。
体育ができるわけでもない彼がこうも一生懸命走ってきたのが自分のためと思うと愛しい。
ヒトラーはフォルに視線を移して"いたのか"と呟いた。
自分の存在は見えてなかったのかとフォルは思わず笑う。
ヒトラーは校舎の方に視線を向けつつ、いった。
「スターリンも、そろそろ来ると思うぞ」
「あ、そう?」
「此処に来る途中ですれ違ったから……仕事、終わったみたいだし」
中にいたヒトラーがそういうならまず間違いはないだろう。
フォルはその言葉に嬉しそうに笑って、"教えてくれてありがとう"と言う。
クビツェクは一通りのフォルとヒトラーのやり取りを見たあとで、
ヒトラーの方を向いて微笑みつつ、いった。
「じゃあ、僕たちはそろそろ行こうか」
「あぁ。じゃあ、また」
ヒトラーはフォルに手を振る。
「またね、二人とも」
フォルはひらひらと二人に手を振った。
そのまま歩きだす、ヒトラーとクビツェク。
暫くは二人並んで歩いていただけだったけれど、やがてどちらともなく手をつなぐ。
ヒトラーが隣を歩くクビツェクに何か言って、
クビツェクが笑っているらしいのが遠目にも見えた。
友人同士のじゃれあい。
その中にあるもっと深い"何か"を感じた気がした。
そんな二人を見て、フォルは目を細める。
……と、不意にぽんと肩を叩かれた。
勿論それは、浅緑の髪の彼の所業。
しかし完全に意識がそれていたフォルは驚いたように小さく声をあげていた。
「わ、びっくりした」
「あ、わ、悪い……お待たせ、なのだよ」
そう言ってバツが悪そうに笑うスターリン。
フォルは笑顔で首を振った。
別に驚いたことに対して怒っているわけではない。
「お仕事、お疲れ様でした」
「あぁ……ありがとう」
「じゃあ、帰ろ?」
フォルはそう言って、スターリンの手を握る。
スターリンは一瞬顔を赤くしたあと、顔を顰めた。
そして、視線を逃がしつつ言う。
「……暑いのだよ」
それが照れ隠しでないことがわからないほどフォルも鈍くはない。
だから、くすくすと笑って彼に言った。
「好きな人と手を繋ぐのに季節なんか関係ないでしょ」
「あのなぁ……」
好きな人、とさらっと言ってのけるフォル。
スターリンはそうそうぽんぽんとそういった言葉を口に出さない。
恥ずかしげもなくそれができるフォルがある意味すごいと思っていた。
全く、とスターリンは溜息を吐く。
けれども、フォルの手を強引に振りほどくことはしなかった。
それが彼なりの"愛情"の受け入れ方だとフォルも知っている。
きゅ、と彼の細い手を握りつつフォルはいった。
「じゃあ、帰りにアイス屋さんにでも寄ろうか。暑いし」
「お前が行きたいだけだろ……」
「あ、バレた」
あはは、と笑うフォル。
その無邪気な笑みを見て、スターリンもやれやれと言うように笑みを零した。
ヒトラーとクビツェクとは少し違うかもしれない。
また、チャーチルとスターリンの関係とも少し違うかもしれない。
けれどこれが"自分たち"の形であるなら……
「それはそれで、いいかな」
「?どうしたのだよ、フォル」
「ううん、何でもない」
小さく呟いたフォルにスターリンは不思議そうな顔をする。
フォルは笑って首を振ると、優しく彼の手を引きながら歩き始めた。
―― 愛情の形 ――
(きっと、君の気持ちも彼に伝わっていると思うよ)
(それが"愛情"の形だと言うことも、きっとね)
2013-6-26 22:33